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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.11.09,Fri

                                    ※アッシュ、ぐれはじめる(笑)                          

 


 
ある日突然、ローレライから通信が入った。
仕事中に気をとられては危ない為、いつもは夢の中で会うだけなのに、とアッシュは怪訝に思った。
(ルーク! 外に出てしまったけど、どうしよう。)
(はぁ? なんでそんな事になったんだよ、ローレライ。)
(ヴァンの妹が屋敷に押し入ってきて、ナイフを受け止めたらついうっかり超振動を起こしてしまった。)
(あの野郎、何やってやがるんだ!おい、眼をつなげろ。同調してしばらくフォローしてやる。)
同調したアッシュが辺りを見渡すと、セレニアが咲いている。地形から判断すると、ここはタタル渓谷のようだ。
少し離れたところに女が倒れている。
(こいつが襲撃犯か?)
(そうだよ。)
 
 
しばらくすると、襲撃犯が眼を覚ました。ローレライとその女の会話を聞いていたアッシュは、女のあまりに非常識な言い草に絶句した。そして『そうなのか?』と聞いているローレライにも。
あっけに取られたアッシュが口を挟むことも出来ないまま、二人は渓谷を抜け馬車に乗り込んでしまった。
 
(ちょ・・・!ローレライ! そっちはグランコクマに行っちまうぞ!)
(え・・・? グランコクマって、どこ? ・・・それよりルーク・・・ねむくなっちゃった・・・)
 
回線がぼやけて途切れると、アッシュは頭を抱えた。
国境も知らず、なおかつ襲撃犯の隣でぐうすか寝ているこいつが理解できない。
 
 
(こいつ・・・今まで何を教わってきたんだ! すっげぇ不安だ・・・!)
 
とりあえず朝までは奴も寝ているだろうと自分も休みながら、朝イチで回線をつなげようとアッシュは心に誓った。
 
 
 
しかし翌朝、アッシュに出撃命令が出てしまった。
・・・マルクトに誘拐された導師の奪還命令だった。
 
 
 
 
 
ルグニカ平野にリグレットとラルゴの隊の団員達と向かいながら、暇を見つけてはアッシュはローレライと回線を繋いだ。
 
吃驚する事ばかりだった。
誘拐した相手の、王族である『ルーク』を見下し、馬鹿にした発言を繰り返す襲撃犯にも驚いたが、ローレライはそれをなんとも思わない。ちょっとムッとしているだけだ。
まず身分制度を理解していない。お金も物の売り買いも知らず、敵国にいる事にも頓着しない。
 
 
・・・屋敷にいるときは解らなかったが、こいつ人間社会の常識を理解していない!
 
  
(お前な! 今まで屋敷で何を教わってきたんだ! だいたいローレライってのは記憶を司るんだろう! こういう時に役立つ記憶の一つや二つねぇのか!)
(だって・・・この身体に入った時、記憶とか力のほとんどを本体に置いて来てしまったんだよ。 ・・・あ、2000年前の音譜帯の事なら少し覚えてるよ!)
(そんなもんが、役に立つか!)
(今まで、誰もそんな事は教えてくれなかったんだもの・・・ 教師達の教える事は、間違ってばかりだから聞いてなかった。)
(・・・・・・今度から、なんかする時は俺に聞いてからにしろ!俺は今、導師奪還の為にルグニカ平野に向かってる所だ。もしかしたらどこかで合流できるかもしれない。危ない事すんなよ!)
(わかった。会えるといいなv)
 
 
溜息をつきながら回線を切ったアッシュは、翌朝早朝にローレライに起こされた。
(ルーク! 導師を探してたよね。ここにいるよ? 今、北の森に入って行った。)
(何で導師が一人でそんなとこに居るんだ?おい、導師を安全な所に誘導できるか?)
(うん、やってみる)
 
 
 
回線を繋ぎながらフレスベルグで移動していたアッシュは、そのあとの事に絶叫しそうになった。

(止めろ! ライガクイーンの所にお前らが行くなんて、自殺行為だ!絶対ダメだ!ライガの事なら何とかしてやるから! あいつは同僚の知り合いだ。移動させてやるから絶対行くなよ!)

ゼェハァしながらアリエッタに、ライガクイーンに討伐隊が出されそうだからチーグルの森から移動させてくれと告げると、アリエッタはすぐさま一頭のライガをそこに向かわせた。
何でそんな事を知っているのかと聞いてこないアリエッタに胸を撫で下ろす。
ローレライに助言しながら、何とか一行がライガクイーンの元に行くのを思い留まらせると、今度はマルクト軍人に捕まった。
 
 
(ああ、まったく! ローレライ、お前厄介ごとを引き寄せる体質じゃねぇのか?)
(しらないよ、そんなこと。ユリアの子孫が厄介ごとを引き寄せてるんじゃないの?)
ちょっと拗ねてしまったローレライに苦笑したアッシュは、マルクト軍人の言葉に表情を引き締めた。
(導師は和平の為に自分でダアトを出てきたのか! ・・・この出撃はなんかうさんくせぇと思ってたんだよ、俺は言ってないのに導師の行く先を知ってたしな。しかし、この軍人・・・ 和平をする気あんのか? 名代にこんな慇懃無礼な態度を取られて王に取り次ごうなんて思う奴は、お前くらいなもんだろうぜ。)
(そうなの?これが普通じゃなかったの?)
(全然まったく普通じゃねぇよ!非常識の固まりだ!どいつもこいつも、まともな奴が居やがらねぇ! おい、これから俺達は導師奪還の為にタルタロスを襲撃する。何とか言いくるめて人に傷を負わせないようにするつもりだが、気をつけろよ。)
(うん、わかった。)
 
 
 
リグレットやラルゴと舌戦しながら、何とか穏便な方向で導師奪還を進めたアッシュだが、ローレライが無能軍人達の盾にされ、見張りに一人で残されたのを見た時についにぶちっとキレた。
自分の半身に剣を振り上げたオラクル兵を鞘で殴りつけ昏倒させる。
アッシュを見たローレライが、ぱあっと顔を輝かせた。
 
「ルーク! やっと会えたね! この場合、はじめましてになるのかな?」
「静かにしろ、ローレライ。誰かに聞かれるとまずい。口に出す時、俺の事はアッシュと呼べ。俺もお前の事はルークと呼ぶから。」
「わかった…けど、なんか変だね。」
 
クスリと笑みを漏らしたローレライを、アッシュは抱きしめた。驚いたローレライも破顔して抱きしめ返してくる。しばらく互いの体温を感じていると、アッシュは言った。
「もう限界だ。お前をあの非常識軍人どもに任せて置けない。命がいくつ有っても足りやしねぇ。名代が国境を越えるのなんか、鳩でも飛ばせば充分だ。ケセドニア辺りまで送ってやるから、さっさと帰れ。」
「アッシュと居られる方が嬉しいから、俺はそれで良いよ。でもここを抜けちゃって平気なの?」
「特務師団は連れてきてねぇから大丈夫だ。お前を保護したって言っときゃ平気だろう。」
 
 
 
アリエッタに借りていたフレスベルグに二人で乗り込むと、アッシュはさっさとその場を後にした。
途中フレスベルグを休ませながら、二日をかけてケセドニアにたどり着く。その間、アッシュは人間社会というものをローレライに声が掠れるほど話して聞かせた。
ローレライは半身といられるのが嬉しくて、ぴったりと張り付きニコニコしているばかりで、本当に理解しているかは分からなかったが。
 
ケセドニアに着くと、アッシュは自分の顔と髪を隠してローレライを宿に連れて行った。
バチカルとカイツールに鳩を出す為だ。
案の定ローレライは「なんて書くの?」なんて聞いてきた。
懇切丁寧に文章を考えてやりながら(文字の間違いも直してやった)アッシュは深く溜息をついた。
・・・こいつ本当に2000歳か!
 
 
 
「ここからキムラスカ側までは一人で行け。いいか、ヴァンは今年何かやるつもりだ。気をつけろよ。何か分かったら連絡するから、お前も何かあったら連絡して来い。くれぐれもキムラスカに俺の事は言うなよ。あの非常識軍人どものことは何があったか全部話していいからな。」
 
 
アッシュと離れるのが嫌でべそべそしているローレライに、まるで母親のようにくどくど注意しながらアッシュは心配で胃が痛くなった。
 
 
・・・ほんとに分かってんのか?こいつ。鉱山の町で共に消滅して戦争が起こると詠まれたのは、今年だぞ!・・・ああ、こいつは人が滅びても痛くも痒くもないんだった・・・ 俺が頑張るしかないのか!?
 
 
 
ヴァンは預言の一部をアッシュに教え、預言を覆すと言うばかりで、具体的な計画を何もアッシュに知らせなかった。いくら探っても計画の全容は掴めなかった。
アッシュは預言の全てをローレライから聞いていたが(もちろん誰にも話していない)戦争が起きなければ預言は覆されるのだと思っていたため、今までヴァンに協力してきた。しかしヴァンの行動は不審すぎたのだ。
戦争を進めるモースに協力して、わざわざ戦争のきっかけになるかも知れない襲撃を行うなど、最近だんだんきな臭さが漂ってきた。
ヴァンは世界を救う為に預言を覆したい訳では無いのではないかと、アッシュは思い初めていた。
 
 
 
 
2週間ほど経った頃、バチカルのローレライから連絡が有った。マルクトの名代が到着し、和平の証にアクゼリュスに親善大使として赴く事になったと。
(・・・なんであんな態度の名代で、和平を結ぼうって気になったんだ?お前、ちゃんとあいつらの態度を言ったのか?)
(うん・・・みんなあんまり聞いてくれなかった。)
 
アッシュは親善に行く事になったメンバーを聞いて、口を開けて固まった。
(父上も叔父上も、アタマ腐ってやがるのか!たったこれだけの人数で何が出来る。それに何で襲撃犯が同行するんだよ! ・・・ローレライ、あいつらは預言どおりアクゼリュスでお前を死なせる気だぞ。いや、こんなメンバーじゃ行く前に死んじまう。何とかならないか?)
(今は見張られてて、逃げ出せないよ。)
(・・・・・・なら、アクゼリュスに着く間に何とかしてやる。お前もくれぐれも気をつけろよ。)
 
 
 
 
任務でバチカル方面に来ていたアッシュは、シンクが導師を攫って来たことに驚愕した。
 
「和平の取次ぎは済んだんだから、普通に迎えに行けばいいじゃねぇか!」
というアッシュの意見は、聞き流された。
 
 
シンクが導師を連れて行った先は、タルタロスだった。
硬直したアッシュが、ぎくしゃくとシンクを振り返る。
「・・・・・・これ、どこから持ってきたんだ?」
「マルクトからだけど。襲撃したじゃない。」
 
「・・・お前らは、マルクトと戦争するつもりかぁー! 兵を殺さなかった意味がねぇじゃねえか!」
というアッシュの意見は、黙殺された。
 
 
 
ローレライに回線を繋いだアッシュの目に入ってきたのは、顔を合わせたとたんに、自分たちが保護の義務を怠った事を棚に上げて『勝手にいなくなるなんて!』とローレライを罵る襲撃犯と、親善大使を馬鹿にしたように冷笑する名代と、旅の支度を手伝いもしない使用人と、そしてやすやすと導師をさらわれ、その後始末を親善大使に押し付けようとする導師守護役。
・・・おまけに城を出奔してきた姫様だった。
 
 
 
「ダメだ・・・・・・ キムラスカもダアトもマルクトも、頭がおかしい奴しかいねぇ・・・」
アッシュは気絶しそうになりながら、空の彼方を見つめた。
 
 
・・・雨か。今の気分にぴったりだぜ・・・などとアッシュがやさぐれていると、廃工場址から親善大使一行が出てきた。
ローレライの顔が輝き、アッシュに向かって突っ走ってくる。アッシュは慌てて剣を抜いた。
 
(待て待てー! 今、知り合いだとバレるとまずいだろ! とりあえず剣を抜け!)
(ええ~! せっかく会えたのに!)
(いいから早く!)
 
2、3回剣を打ち付けると、アッシュはすばやく引き上げた。これ以上やっているとローレライに抱きつかれそうだったからだ。
(導師はあとで返すからな。俺はヴァンが何をやろうとしているのか、もう少し探ってみる。逃げるのはもうちょっと待ってろよ。)
(・・・わかった)
 
 
 
せっかく会えたアッシュとすぐに離れ離れになったローレライは、落胆のあまりがっくりと膝を付いたが、周囲の者がそれをどう捉えたかは想像にお任せする。
 
 
 

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