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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.11.10,Sat

 

 
シンクとラルゴは、ヴァンに命ぜられたといって導師をザオ遺跡に連れてきてダアト式封咒を開けさせた。
何でこんな所を開ける必要があるのかの説明は無い。
ふらつく導師を置いて帰ろうとする二人に、アッシュはツッコんだ。
 
「身体の弱い導師をこんなとこに放置したら死んじまうぞ! 導師は俺が預かる、安全なとこまで連れて行くからお前らは先に帰れ。」
「あっそう、じゃよろしく。ついでに親善大使の一行の足止めもしてよね。」
「・・・・・・・」
 
 
溜息をついてアッシュが導師を連れて向かったのは砂漠のオアシスだった。
一人で魔物を撃退したり、導師の世話を焼いたり、食事の支度をしたりと息をつく暇も無い。
導師の足に合わせていた為、予想より遅くなってしまった。
そこで親善大使の一行と遭遇する。
「やべぇ・・・遅れすぎた!」
導師に口止めしたアッシュはすぐにその場を離れた。しかし目ざとく見つけたローレライは回線を繋いできた。
 
 
(ルーク! せっかく会えたのに、また行っちゃうの?せめて今夜は一緒にいてよ。)
(ローレライ、俺は急いでタルタロスに向かわないといけねぇんだよ。お前だって、一人で出歩いたり出来ねぇだろ?)
(何で?今まで町をぶらついた時に、誰も付いて来たりしなかったよ?)
(何だって! ガイの野郎は何してやがるんだ!おい、暗殺者だって来るかも知れねぇんだ、一人で出歩くな!あと髪も隠せ!)
(ふぅん? ・・・なんで?)
(ああもう、わかった! 今夜泉の側まで抜け出して来い。抜け出せなかったら無理して来るなよ)
(わかったv)
 
 
月が昇る頃、泉の譜石に隠れるように待っていたアッシュの所にローレライがやって来た。
「ロ・・・ルーク、出てくる時、誰も何も言わなかったのか?」
「うん。散歩してくるって言ったけど、誰も止めなかったよ?」
 
ぴったりとアッシュに張り付き、嬉しそうに笑うローレライ。
しかしアッシュは一行の危機管理能力の無さに愕然とする思いだった。
国内外に敵の多いファブレの跡取りを、髪も隠さず一人歩きさせるとは!
 
一度タルタロスに戻って報告を済ませたら、誰が何と言おうとこいつを攫ってやる!とアッシュは固く心に誓った。
 
 
・・・結局、心配のあまり影ながら一行をケセドニアまで見守ってしまったアッシュは(暗殺者を3人ばかり葬った)、ガイにカースロットを掛けに来たシンクと連れ立ってタルタロスに戻った。
そしてそこでヴァンの計画を聞いてしまった。
リグレットとラルゴが話しているのを部屋に入ろうとしてドア越しに聞き取ったのだ。
 
 
 
 
「ちきしょうヴァンの奴、騙しやがって! 預言を覆して世界の滅亡を防ぐなんて、嘘っぱちじゃねぇか! このままじゃアクゼリュスと共にあいつが死んじまう。」
 
タルタロスは陸艦のため、海上走行は船よりも遅い。アッシュはイラつきながら陸に着くのを待った。
人気の無い所に上陸し、アクゼリュスへと向かうタルタロスを、デオ峠の近くで隙を見て抜け出した。そのまま親善大使一行を追ってひた走る。
 
 
運の悪い事に、ティアを連れ戻そうとして出ていたリグレットの兵と遭遇してしまった。
兵を撒くために遠回りをしたアッシュは、ぜいぜいと息を切らしながらアクゼリュスにたどり着いた。
夢中で走っていた為、途中、回線もつなげなかった。
 
 
 
(おい、どこにいるローレライ!)
(ルーク! 坑道の中だよ。)
(一人でか!)
(うん、みんな病人を見てる。俺は役立たずだからって、放って置かれた。ヴァンが呼んでるっていわれたところ)
(絶対行くなよ! 親善大使を放置って、皆正気かよ!)
アッシュはちょうど通りかかったティアにヴァンの企みを告げると、坑道に走り込んでいった。
 
 
(ルーク! イオンがヴァンに捕まった。封咒を開けさせられてる!)
(ローレライ、今そこに行く!ヴァンに近づくな!)
アッシュがパッセージリングにたどり着いたとき、そこでは丁度ヴァンがローレライを捕らえ、耳元で暗示の言葉を囁いているところだった。少し離れた所にイオンが倒れている。

(しまった! ・・・ローレライ!!)
 
 
 
 
きょとん、とローレライがヴァンを見返す。ヴァンの顔に焦りが見えた。
力のほとんどを封印されていても、音素集合体であるローレライに暗示など効く筈が無かったのだ。
 
「ヴァン! てめぇ!!」
風の様に突っ込んで行き、ヴァンを蹴り飛ばしたアッシュは、ローレライを後ろに庇うとヴァンに剣を向けた。そのまま斬り合いになる。ローレライが譜術で援護した。
 
数合斬り合っていると、パッセージリングに亀裂が走った。そのまま亀裂は広がり、ゆっくりと崩れていく。ヴァンはにやりと笑うと剣を引き、魔物に掴まるとその場を離れた。
 
自分の方にも魔物が捕らえようとやって来たが、アッシュはそれを切り捨てた。
いざとなったら、ここでローレライと融合してしまっても良いとさえ思っていた。
 
そこにジェイドやティアたちがやってくる。ヴァンはティアに譜歌を謡えと叫び、去って行った。
 
 
 
 
ティアの譜歌に守られて、崩壊する大地をゆっくりと下っていく。
アッシュは後手に回ってしまった自分に舌打ちをし、拳を握りしめた。
ローレライがそっと寄り添う。
(ローレライ、すまねぇ。遅くなった・・・)
(ううん、ルークはちゃんと来てくれた。それに、あれは自然崩壊じゃないか。ルークが気に病む事無いよ。)
そんな二人を、ジェイドがじっと見つめていた。
 
 
 
 
「さて、貴方は何故ここにいるのですか? 六神将、鮮血のアッシュ。」
クリフォトにたどり着くと、ジェイドが話しかけて来た。そこにティアが口を挟む。
「アッシュは私に兄さんの企みを教えてくれたの。ルークの力を使ってアクゼリュスを崩落させるつもりだって・・・」
「ええ~、じゃあ、アクゼリュスが崩落したのって、このお坊ちゃんのせいなの~?」
アニスの言葉を皮切りに、皆口々に『ルーク』を責め立てる。
 
ローレライはきょとんとしていた。当たり前だ、自分は何も関わっていないのだから。
ローレライがしたのは、イオンを人質に取られ、しかたなくパッセージリングの前までついて行った事だけだ。
しかしその態度に、ますます皆は感情的に責め立てて来る。
アッシュの不快感は頂点に達した。
 
 
 
「うるせえ、黙れ! お前ら見てもいねぇくせに、憶測で良くそこまで責め立てられるな! 俺はロ・・・ルークがやったなんて一言も言ってないだろうが! そこの導師に聞いてみろ!」
 
何か言おうとしてはアニスに遮られていたイオンが、申し分けなさそうに顔を伏せた。
「大体お前らが偉そうに言えた義理か? 何で親善大使を一人で放置したんだよ。導師もだ。導師がヴァンに扉を開けさせられなかったら、あんな所に行く事は出来なかったんだろうが!
・・・それに、アクゼリュスは自然崩壊したんだ。誰も何もやっちゃいないんだよ!」
 
 
皆、不満気に黙ったが、納得はしていないようだ。
「その通りです・・・ すみません、僕が扉を開けたりしなければ・・・」
イオンが顔を伏せたまま小声で呟く。
「ええ~っ、イオン様は悪くありませんよ~」
「そうだな、導師を放置してヴァンの言うなりにさせた導師守護役の責任だな。」
冷たく吐き捨てたアッシュの言葉にアニスが青褪め、黙り込んだ。
  
「アニスは悪くないわ! 救助をしていたのだもの、しょうがないでしょう!」
「導師の守護は『しょうがない』ですむものなのか。お前らも何で親善大使を一人にしたんだよ。護衛と使用人が主人を『役立たず』とは、聞いて呆れるぜ。」
「それはルークの態度が悪かったから・・・」
 
 
「てめえら、いっぺん身分制度って奴を勉強して来い!てめぇもだ、眼鏡。何でマルクトは救助を出さなかった。親善大使に救助までやらせるつもりだったのか?ふざけんな、この人数で何が出来る。」
 
「それより、ルークと貴方の関係を知りたいですね。」
「ふん、無視か。てめぇに話す義理はねぇな。」
アッシュはローレライを連れると、近くに見えるタルタロスに向かって歩いていった。
 
 
 
 
ローレライはアッシュの側に居られて機嫌良くニコニコしていた。
音素集合体にとって、人の生死などあまり興味が無かったからだ。
同行者達はそんなローレライの態度を責めたが、ローレライには皆が何に怒っているのか理解できなかった。
 
一行の雰囲気は最悪に悪かった。
アッシュも、他人を責め立てるばかりで自らの行動を反省もしない同行者に、怒りを突き抜けて呆れ果てていた。
 
 
ユリアシティに着くと、一行はテオドーロ市長のところに話をしに行った。
聖なる焔の光が預言通り死ななかった事に驚愕したテオドーロは、聖なる焔の光がアクゼリュスと共に消滅し、それによって戦争が起こると詠まれた事を一行に伝えた。
皆驚いていたが、キムラスカが『ルーク』を生贄にアクゼリュスへと送ったと言う事には思い至らないようだ。相変わらずローレライを非難している。アッシュは冷笑した。
(こいつら、そろいも揃って馬鹿じゃねぇのか。)
 
 
ジェイドはタルタロスを利用して外殻大地に戻る事を提案した。
アッシュはローレライを連れてユリアロードから外へ出るつもりだった。
退室しようとするアッシュにジェイドの制止が入る。
「アッシュ、どこに行くつもりですか?」
「ベルケンドだ。ヴァンの動きを探る。」
「待ってください、私達もヴァンの企みを知る必要がある。一緒に行きましょう。」
「はぁ?お前ら国に報告に帰らなくていいのかよ。ナタリア、お前戦争を起こしたいのか?」
「今はヴァンの企みを知る方が先ですわ!」
「その通りです。」
 
 
ちっともその通りじゃねぇだろ!戦争が起きたらどうすんだよ!
と内心ツッコミながら、アッシュはもうどうでもいい気分に陥っていた。
人の話を聞こうともしない奴らと会話するのは激しく疲れる。
おまけに、預言遵守派のユリアシティの市民が次々とルークを狙って来た。
アッシュはテオドーロに内密に消滅預言を伝えたが、ルークを狙う刺客は止む事が無かった。
 
(こいつら・・・心の底まで預言に浸かりきっていやがる。もう何を言っても無駄だ・・・)
 
 
 
タルタロスに便乗し、外殻大地へと無事たどり着いてベルケンドへと向かっている旅の中で、ジェイドが不意にローレライに訊ねた。
 
「ルーク、貴方はアッシュのレプリカですね? アッシュが10才のとき誘拐された『ルーク・フォン・ファブレ』なのでしょう。」
「そうだよ。」
 
嘘やごまかしに慣れないローレライは、あっさりと答えてしまう。アッシュは顔を顰めた。
絶対煩くなるから言わずに置こうと思ったのを、ローレライに伝え忘れたのだ。
皆が一斉に話し出す。ほとんどがローレライを罵倒するものだ。
 
 
「ええ~! このお坊ちゃん、人間じゃなかったのぉ~? サイテ~!」
「どうりで何も知らないと思ったわ。本当に『お人形さん』だったのね。」
「ではアッシュ、あなたが本当のルークなのですね!・・・約束を覚えていらして?
アクゼリュスを落としたのは本物のルークではないのですから、問題ありませんわ!」
「ルーク! それじゃお前はファブレ家の人間じゃなかったんだな!」
 
 
 
ウゼェ・・・!!
 
 
アッシュは心底、この一行を嫌悪した。そして同行した事を果てしなく後悔した。
 
(レプリカって言うなら、俺こそが此処にいるローレライのレプリカなんだろうぜ!)
 
もう口をきくのも嫌だったアッシュは、ベルケンドまで船室にローレライと閉じこもった。
ドアの外から煩く話しかけてくる声が聞こえるが、もう無視だ。
ただ、ニコニコと笑いかけてくるローレライを抱きしめて、狭いベッドに寝転んでいた。
ローレライが優しく髪を撫でてくれた。
 
 
グレまくった気分が少しだけ癒される気がする・・・
 
 
 

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