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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.11.12,Mon

 
                                   ※アッシュ、落ち込む(笑)


 


シェリダン港が見えたところでローレライは姿を消した。アッシュは髪を隠し港に入っていった。
港では、開戦の噂で持ちきりだった。
アッシュは噂をしていた男に思わず問いかけた。
「はぁ? 何で開戦なんだよ。理由は?」
「なんでもアクゼリュスでキムラスカの王位継承者が二人も亡くなったんだとさ!」
アッシュは唖然とする。
 
 
(・・・あいつらまさか、国に報告に戻らなかったんじゃねぇだろうな!ローレライ、キムラスカに戻るぞ。戦争なんかしたら、預言どおりになっちまう!)
(じゃあ、私はこのまま姿を現さないでおくね。)
(・・・そうだな。ややこしくなっちまうからな。・・・・・・そこにいろよ?)
(当たり前じゃないか。あっち行けって言われても、絶対離れないから!)
 
 
 
シェリダン港からベルケンド港に移動し、連絡船でバチカルへと向かう。
王都への移動は規制されていたが、王族の証である真紅の髪を見せれば尋問を受ける事は無かった。
王城へと足を踏み入れる。アッシュにとっては七年ぶりの王城だった。
門番の兵が入室を止めようと槍を交差させる。アッシュははらりとマントを落とした。
そして立ち竦む番兵の間を抜け、堂々と謁見の間に入っていった。
そこには国の主だった者とモースがいた。
 
 
「お久しぶりです、叔父上、父上。ルーク・フォン・ファブレ、ただいま帰還致しました。」
 
 
堂々と名乗りを上げるアッシュを見て、一同の顔が驚愕に彩られる。
「お前はルークか! 生きておったのか?」
「はい。ナタリアも生きています。開戦の理由は、どこにも無いのです。すぐに兵を引いてください。」
「しかし・・・」
 
 
驚くインゴベルトの側から、ヒステリックな声がかかった。モースだ。
「王よ、騙されてはなりません! 預言は絶対なのです!こやつは偽者に違いありませんぞ。戦争によってキムラスカは未曾有の繁栄を迎えるのです!」
「大詠師モース。貴公は預言の全てを知っても、まだそんな事を言えるのか?」
 
 
嘲笑したアッシュは、世界の消滅までの秘預言の全文を読み上げた。
「な・・・何と・・・」
蒼醒める王達を見て、モースが叫んだ。
「でたらめを申すな!何故お前がそんな事を知っているのだ!」
「おれは世界でただ一人のローレライの同位体。ローレライが全てを教えてくれた。叔父上、『聖なる焔の光』はアクゼリュスで消滅しなかった。預言は外れたのです。 ・・・どうか御考え直し下さい。」
「でたらめだ! 預言は絶対なのだ!」
 
 
モースとアッシュを交互に見ていたインゴベルトは、やがて心を決めたように兵に向かって指示を出した。
「その者を捕らえよ! 『聖なる焔の光』の名を騙る不届きものだ。」
 
「叔父上!」
 
 
 
アッシュは信じられなかった。
預言に従えば滅亡が待ち受けているのに、目先の繁栄に踊らされて戦争を選ぶとは!
預言は一度外れている。戦争に勝つかどうかもわからないのに。
兵士に腕を取られながら、縋るように父親を見る。しかしクリムゾンは視線を逸らしてしまった。
アッシュの心を絶望が覆った。この人たちの中では『ルーク』は預言の為の生贄でしかないのだ。
 
 
その時、朱金の光が溢れローレライが現れた。激怒している。
朱金の光が渦を巻いて、どこからとも無く声が響いた。
『その手を離せ、無礼者! わが半身の身に下賎な手を掛けるな。せっかくわが半身がこの世界の行く末を教えてやったのに、人は自ら滅亡を望むものらしい・・・ならさっさと滅びてしまえ!』
(ルーク・・・まだこんな所にいるの?)
(ローレライ。・・・いや、もういい・・・行こう。)
 
アッシュは驚愕する王達をもう一瞥もすることなく、その場を後にした。
 
 
 
 
(ルーク・・・ 気を落とさないで・・・)
(・・・大丈夫だ。それよりどうするかな、いっそマルクトに秘預言をぶちまけてやろうか
・・・開戦が近い中、マルクトに行くのは至難の業だな・・・)
(音素を弄って、髪の色を変えてあげようか?)
(そうだな・・・頼む。教団の旅券があるから、ダアト経由でならケテルブルグに行けるだろう。そこからグランコクマを目指そう。)
 
 
アッシュの髪を漆黒に見えるように変えながら、ローレライは落ち込んでしまったアッシュを慰めるのに必死だった。人の世界の存亡など、ぶっちゃけどうでもいいローレライだったが、アッシュの意志を尊重したかったのだ。
『ルーク』がこんなに頑張って世界を滅亡から救おうとしてるのに、アホ人間ども! とかなり立腹していた。
 
 
 
 
教団服とオラクルの身分証明書のおかげで、何とかケテルブルグにたどり着く事が出来た。
キムラスカとマルクトの開戦は、もう目前だった。ルグニカ平野に両軍の主力が集まっている。
ネフリーとピオニーの噂を聞いたことがあったアッシュは、ネフリーの屋敷へと赴き、マルクト皇帝に会うための紹介状を書いてもらう事にした。
 
髪の色を戻してネフリーに秘預言の全てを話すと、蒼白になったネフリーはグランコクマまでの同行を申し出てくれた。船も出してくれると言うので、ありがたくお世話になることにする。
もう一刻も猶予は無いのだった。
 
 
さすがにケテルブルグの知事を乗せた船は、グランコクマに入港する事が出来た。
ネフリーはアッシュを伴って、皇帝の謁見の間に赴く。
 
そこにはピオニーと、ジェイド・ティア・アニス・イオンがいた。
 
 
皇帝に会うためにネフリーに借りた私服を着ていたアッシュに、皇帝の許しも得ずにティアが話しかけた。
と言うか、顔を見るなり罵倒し始めた。アニスも便乗する。
 
 
「ちょっとルーク! 貴方どこに行ってたのよ! こんなに大変な時に、無責任ね!」
「そうだよ~! たいへんだったんだから! 陛下ぁ~、こいつ人間じゃないんですよ~。言う事聞くことなんて、ありませんよ~!」
 
 
顔をあわせた早々、アッシュの怒りゲージは振り切れた。
皇帝の御前だと心に言い聞かせ、ぐっとこらえる。跪いて礼を取った。
 
「私は元オラクルの特務師団長アッシュ。陛下に重要なお話があって参りました。」
 
 
「な~んだ、アッシュだったのかぁ。あの人間もどきはどこ行っちゃったわけ?」
「アッシュ、ナタリアががっかりしていたわよ。黙って居なくなる事無いんじゃないかしら。
こんな大変な時に勝手な行動をするのは無責任よ。」
 
 
「うるせぇ!!てめぇら、話を聞けぇ!」
 
 
ぶち切れたアッシュに、ピオニーの宥める声が聞こえてきた。
「まあまあ、お前達ちょっと黙っててくれ。・・・それでアッシュ殿、話とは?」
「ここで言う事は出来ません。」
不満気な元同行者が声をあげる前に、ギロリと睨み付けた。
「では、俺の私室で・・・」
 
 
「待ってください陛下。六神将のアッシュは、ルーク・フォン・ファブレの被験者。敵国の人間です。一人で超振動を起こす事が出来る。キムラスカの暗殺者で無いと、どうして分かります。」
皇帝の話を遮ったジェイドがコンタミネーションで取り出した槍をアッシュに突きつけた。
「違います、アッシュ殿は・・・」
ネフリーが急いで話しかけようとしたのを、ジェイドは身振りで遮った。
 
 
アッシュの怒りはどこかに突き抜けた。話もさせる気ねぇのか、こいつら!
 
 
「・・・・・・勝手にしろ! もう戦争でも滅亡でも何でも、好きにしやがれ!」
 
 
吐き捨てるとアッシュは踵を返した。
怒りのあまり第七音素が身体の周囲を取り巻き、兵士は近寄る事も出来ない。
そのままずんずん歩いてグランコクマを出て行ってしまった。
 
 
 
 
 
(ローレライ・・・・・・世界を滅亡させたくないと思ってるのは、もしかして俺だけなのか・・・?)
(どうなんだろうね?)
 
 
どんよりと落ち込んでしまったアッシュを宥める為に人型を取ったローレライは、ぴったりとアッシュの背に張り付きながら、答えた。
アッシュは膝を抱えてベッドに座り込んでいる。
 
 
ここはエンゲーブの北の森。変装して食料を買い込んだアッシュは、チーグルの森の近くにあったオンボロな小屋を借りて寝泊りしていた。
 
 
 
戦争はすでに始まっていた。
バチカルに(やっと)戻ったナタリアは、偽姫だったと言う噂が流れていた。
ルークの生存は黙殺されている。
ルグニカ平野では、両軍の戦いが膠着状態に陥っていた。
 
 
アッシュはなんかもう全てに嫌になりながら、ギシギシきしむベッドに座り込んでいた。
両国の王と話も出来ないのでは、もうなす術が無い。
ハァ・・・と溜息をついて、アッシュはベッドにひっくり返って傍らのローレライを抱きしめた。
 

・・・ちょっと、現実逃避させてくれ。
 
 
 

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