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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.01.24,Thu

 


熱を出したルークが起き上がれるようになるまで、3日かかった。
久しぶりにピオニーと顔をあわせ、共に昼食を取っていると、キムラスカからの知らせが届いた。
手紙を読むルークの顔が、見る見るうちに蒼白になる。
「どうした、ルーク殿。」
ピオニーの声に、ルークは顔を上げた。

「インゴベルト国王が崩御しました・・・国の重鎮の主だった者も。私はすぐにバチカルに帰らないと。」
席を立とうとするルークを、ピオニーは真剣な面持ちで押し止めた。
「まあ待て、少し時間をくれないか。貴公がキムラスカを継ぐ身であるなら、話して置かなければならない事がある。これからの世界の為に、重要な問題があるんだ。」
「国を継ぐのはナタリアでしょう。・・・ナタリアは何処ですか?」
「ナタリア殿下は一足先にキムラスカにお帰りになった。今頃はバチカルに着いている頃だろう。」
少し安堵したルークは、ピオニーに話に耳を傾けた。

 

人払いをした室内に、ピオニーとジェイド、アスランが残り、説明を始めた。
アッシュに聞いた事を、文献や調査に行って裏付けたものだ。
世界の構造とパッセージリング、その耐用年数が切れていること。秘預言の全て。イオンが攫われた真相とリグレットの目的など、全てを話し終えたときには、すでに深夜になっていた。

「マルクトは、世界の未曾有の危機を防ぐ為にもキムラスカと戦争などしたくないのだ。むしろ手を取り合ってこの問題に取り組まなければ、待っているのは滅亡だ。どうだ、協力してくれないか。シェリダンやベルケンドの技術力を借りたいんだ。」
全てを包み隠さず話し、その上で協力を求めるピオニーに、ルークは好感を持った。
しかし、是と言うわけには行かない。自分は臣下でしかないのだ。

「協力したいのですが、私は王では有りません。ナタリアと話し合って決めないと、独断で返答する事は出来ません。」
ルークの生真面目な返答に、ピオニーは苦笑しながら答えた。
「それはもちろんだ。しかしこの危機を乗り越える為、キムラスカにも問題を知っていてもらいたかった。バチカルに帰ってから、答えを出してもらって構わない。」
「ありがとうございます、ピオニー陛下。キムラスカは感謝を忘れないでしょう。私も戦争など起こさせないよう、出来る限りの努力を致します。」
「ああ、頼むぞ。」
二人は固く握手を交わした。


翌朝早く出立するルークが準備の為に退席すると、ジェイドが呟いた。
「これで事実上の同盟が結ばれましたね・・・今頃ナタリア殿下は・・・・・・」
「言うな、ジェイド。」
「失礼致しました。」
ピオニーの硬い声に、ジェイドは僅かに眼を伏せた。
あの、真っ直ぐで優しい子供が傷つかない事を祈るばかりだった。

 


バチカル港に降り立ったルークは、迎えの者が一斉に跪くのを驚愕して眺めていた。
一人の貴族が進み出る。
「帰還をお慶び申し上げます。ルーク様。」
「顔を上げてください。ナタリアは?急いで伝えなければならない事があるのです。」
「・・・・・・まずは王宮へ。」
口篭り、眼を伏せる貴族に不安が募る。

ルークは一度しか入った事の無い、謁見の間に案内された。
そこには少しでも地位のある貴族たちが勢揃いしていた。皆、能力はあるが地位が低くて下級役人に甘んじていた者達だった。・・・それだけしか残らなかったのだ。
贅に溺れる大貴族、賄賂や税金のごまかしで私服を肥やすもの、国王に追従し預言に妄信した貴族などは、皆殺害されていた。王妹であるシュザンヌはショックのあまりベッドから起きる事も出来なくなっている。

「ナタリア様は、王家の血を引かぬことが判明し・・・錯乱して窓から身を投げてしまわれました。
・・・・・・ルーク様、キムラスカには、もう貴方様しか居ないのです。王となって我々をお導き下さい。」
一斉に頭を垂れる人々に、ルークは息を呑んだ。徐々に現状が頭に入ってくる。
大貴族や国の重鎮全てがいなくなった今、国を動かせる権限を持つものはルークしかいないのだった。


眼を閉じて一つ深呼吸したルークは、真っ直ぐに前を向いて皆に話しかけた。
「・・・解った。各自残った人員と力をあわせ、政が滞らぬように組織を再編せよ。前王の葬儀を急ぎ済ませ、喪が明けた後に戴冠式を行う。それまで暫定的に私が王位につく。至らぬ私だが、宜しく頼む。皆でこの危機を乗り越えよう。」
「「ははっ」」

 

インゴベルト王と貴族達の合同葬がバチカルに程近い丘で行われた。(あまりに死者が多数でバチカルには埋葬できなかった。)
黒い服を着た凛とした顔の若き後継者は、その存在を人々に知らしめた。

葬儀が終わってルークがまずした事は、マルクトとの和平を締結させる事だった。
国がこんな状態で戦争を望むものなどいはしない。ルグニカ平野に集結していた軍も呼び戻した。
和平の証にベルケンドとシェリダンをマルクトに解放する。
ルークはジョゼットやシュザンヌと話し合い、能力が高く信用の置けそうな者を大臣に取り立て、ピオニーに聞いた事を話し協力を求めた。
寝る間も惜しんで働く若き施政者を侮る者はいなかった。皆率先して協力し、キムラスカの政治は次第に整っていった。

 


「ルークが王になったぞ。お前の言ったとおりだな。・・・ベルケンドとシェリダンの使用許可が出た。」
「そうか、なら早く地核の振動を止める装置を作らせろ。早くしないと大地が崩落を始めるぞ。」
ピオニーは自室で赤い髪の男と茶を飲んでいた。
地核の流動化に関する古い文献を持ってきた男を引き止めたのだ。
「大地の降下は、どうやるつもりだ。」
「地核の流動化さえ止まれば、どこかのパッセージリングから書き換えをして一気に大地を下ろせる。リグレットたちが何かしていても、俺には関係ない。」
男は妙に優雅な手つきでティーカップに口をつける。
(この男・・・貴族だったのか?・・・・・・いや、深入りしてはならない。)
ピオニーは頭を振って湧いて来る興味を振り払った。マルクトを滅ぼすわけには行かない。
今はただ、大地の降下作戦に全力を尽くすべきだった。







※セントビナー崩落までの時間が合いませんが、アッシュがちゃんと切り離してアクゼリュスを落としたってことで一つよろしく。

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