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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2008.03.04,Tue

 

タルタロスを打ち上げると言うあいつらに隠れて、俺とルークはユリアロードを通って外に戻った。
アラミス湧水洞にはシンクとアリエッタが俺達を迎えに来ていた。
「やぁ、お疲れさん」
「アッシュ、ルーク・・・無事だった、です」
「ああ、心配かけたな。タルタロスの救助隊と住民もほとんど生き残ってるぜ。動けないから下に置いて来たが」

俺は上での出来事の報告を受けた。
ディストはマルクト皇帝に次にセントビナーが崩落する可能性が有る事を話し、速やかに住民の避難が行われる手筈になっていると言う。
その後ディストはベルケンドに行くと言うから、そこで合流する為に俺たちはベルケンドへ向かう事にした。これからの行動を決めなきゃならねぇからな。


「うわぁ~!すげぇ! 俺、空飛んでるんだ!」
空を飛ぶアリエッタのお友達の上ではしゃぎまくるルークを一発殴っておとなしくさせる。
「うるせぇ! 落ちても知らねぇぞ、しっかり掴まってろこのガキ!」
しゅんとするルークにシンクがちょっかい出して、また煩くなる。アリエッタが呆れ顔で見ている。
まあ良いか、打ち解けたみたいだし。

「なあ、アッシュ! シンクとイオンって、全然違うのな!」
「今さら何言ってる。俺とお前だって全然違うだろ」
「そうだよな!」
ガキっぽい全開笑顔でルークが笑う。・・・そうだ、お前にゃその顔が似合ってるんだよ。


野営の時、ルークが真面目な顔で話し掛けてきた。前衛に出させてくれと言う。
「何言ってんだ、お前は貴族だろう?」
「俺はもう貴族じゃねぇ! 守られるべき者じゃない。・・・・・・それに、あの旅で盗賊を斬った。俺の手はもう無垢じゃない」

あいつらはルークに人を斬らせたのか! 守るべき親善大使に! ・・・七つの子供に!
愕然とした俺にルークは叫んだ。

「俺は守られたいんじゃない、アッシュと対等になりたいんだ!」

強い眼差しでルークは俺を見る。
・・・ガキだと思っていたが、どんどん成長するんだな。ちょっと考えを改めるか。
「・・・わかった。でも実力はまだまだだからな。これからビシビシしごいてやるから、覚悟しとけよ」
「ありがとう、アッシュ! 俺、強くなるからな!」

妙にやる気を出したルークは、色々と手伝いをはじめた。
・・・気持ちはありがたく受け取っておく。しかし買出しは俺達に任せろ。頼むから。
バザーなんてなぁ値切るもんだし、お前の言いなりに高い食いもん買ってたら、俺の貯金なんてすぐに無くなっちまうんだよ!

 

ベルケンドにはもうディストが着いていた。あの趣味の悪い服は着ていない。(・・・良かった)
ディストは俺とルークの身体検査をすると、超振動とやらについて語り始めた。
俺は初耳だが、俺にもその力があるらしい。

「貴方とルークは、普通のレプリカと被験者では有りません。完全同位体なのです」
「それって何だ?」
ルークが首を傾げている。
「音素振動数まで完全に一致したレプリカと被験者は、あなたたち以外には居ません。だから本来アッシュしか使えない超振動がルークも使えるのですよ。・・・貴方達は、ローレライと同じ音素振動数を持つのです。ゆえに一人で超振動を起こす事が出来る」
「俺にも使えるって事か?」
俺の疑問にディストは頷いた。

「ええ、貴方は忘れてしまいましたが、幼い頃から貴方には超振動の実験がされていたのです。キムラスカの兵器となる為に。・・・・・・忘れて良かったのかもしれませんね・・・まあ、私が言って良い事じゃありませんが」
自嘲したように笑ったディストは、表情を改めた。
「完全同位体には、大爆発と言う現象が起きると言われています。被験者が音素乖離を起こし、最終的にレプリカの身体を乗っ取ると言う現象です。私はそれを防ぐ為の研究にかかろうと思います。まあこの天才ディスト様に任せておきなさい!」
大爆発・・・そんな事が起こるのか。俺は死にたくないし、こいつの身体を奪うのも嫌だ。
「・・・頼んだ、ディスト」

「えーと、テンサイディストサマ? 頑張ってくれよな!」
良く分かっていないルークがディストを励ます。
・・・そいつを誉めると調子に乗って煩いから、それ位にしておけよ。

 

これからの事を話し合っていた俺達の前に、いきなりヴァンが現れた。リグレットとラルゴを引き連れている。
警戒する俺たちにヴァンは自分の計画を語り始めた。俺に協力しろと言う。

・・・前から思っていたが、こいつの言う事は俺にはさっぱり理解できねぇ。

「アクゼリュスで俺たちは死ななかった。もう預言は覆されてるじゃねぇか。何で今さら預言どおりに人間を皆殺しにする必要があるんだよ」
ちょっと口篭ったヴァンが答える。
「・・・それがユリアの預言から開放される唯一の方法だからだ」
「死んじまったら、予言どころじゃねぇだろ!」
「違うな。死ぬのはユリアの亡霊のような預言とそれを支えるローレライだけだ。あれが預言を読む力の源となりこの星を狂わせているのだ。ローレライを消滅させねばこの星は預言に縛られ続けるだろう」

・・・やっぱりわからねぇ。預言どおり死んだってこいつのやる事で死んだって、死ぬ事に変わりはねぇだろ。

「何でローレライを憎むんだよ。預言を詠んだのはてめぇの先祖のユリアじゃねぇか。ローレライはユリアに使役されてただけだろ? おまけに2000年も閉じ込められて・・・ 憎むより先にユリアの子孫はローレライに謝るべきだろ? ローレライを解放すれば預言は読めなくなるんだから、それで良いじゃねぇか。預言に頼りきりの馬鹿な人間たちへの復讐になるだろ? せっかく消滅預言が覆されそうなのに、お前のやろうとする事は預言を後押しする事と同じだ。・・・一番預言に捕らわれてるのはお前じゃねぇか!」
瞠目し、言葉を失ったヴァンを睨みすえ、リグレットやラルゴにも届くように俺は叫んだ。

「滅びの預言を覆すってのは、生きるって事じゃねぇか! 生き残る方法を考えろよ!」


しばし無言の時が流れ、不意にヴァンが下を向いてくっくっと笑い出した。
「そうか・・・一番、預言に捕らわれていたのは私か・・・・・・そうだな、その通りだ」
ヴァンは真っ直ぐに俺を見た。
「育てた子供に教えられるとはな。・・・こんな事で贖罪になりはしないが、お前に協力しよう」
リグレットとラルゴも頷いている。リグレットは目が赤くなっている。
「フン、17のガキが居る歳じゃねぇだろ、ただの老け顔の癖に」
俺の照れ隠しにダメージを食らったヴァンが胸を押さえた。これくらいの苛めは許されるだろう?

立ち直ったヴァンが静かに俺たちを見た。
「アッシュ、ルーク。すまなかった。私はお前たちを利用していた」
ルークが俺の腕を握りながら一歩前へ出た。
「師匠・・・あの屋敷で、師匠だけが俺にちゃんと言葉をくれた。騙されていたとしても・・・俺は師匠の事、嫌いになれない」
そう言って俯いたルークの頭を、俺はぽんぽん撫でる。
「俺はまあ、何されたわけでもねぇからな。育ての親に馬鹿な事して欲しく無いだけだ」
「そうか・・・それでは育ての親として努力するとしよう」
今まで見たことも無いような穏やかな顔でヴァンが微笑んだ。


総長と六神将(+1)総出の『消滅預言根絶計画』はこうして開始された。(ちなみに全員辞職覚悟だ)

 

まずマルクトとキムラスカの開戦を防ぐ為、シンクがイオンに化けてキムラスカ王に会いに行った。
ルークが生きている事を知らせても、キムラスカの繁栄の為に戦争は止まらないだろう。
それならいっそ、消滅預言までぶちまけて、戦争を起こしても待っているのは滅亡だと言う事を知らせてやればいい。ヴァンが語ったパッセージリングの耐用年数の事を聞いて、戦争を起こそうと思う奴なんか居ないだろう。
その間ヴァンと俺たちはマルクトのピオニー皇帝の所に状況の説明と謝罪に行った。
俺とルークは、行程の間じゅう、リグレットに超振動の制御の方法を叩き込まれた。


アリエッタのお友達を乗り継ぎ、ディストの顔パスでグランコクマへと入る。
俺達はすぐに謁見の間に通された。
「お前がアッシュか! 俺の民を救ってくれた事に礼を言う。・・・ところでジェイドは生きているのか?」
ハァ? あの眼鏡、まだ報告していないのか? とっくに上に戻ったと思ったが。
「はい、ユリアシティで別れましたが、カーティス大佐は生きています。タルタロスに乗っていた救助隊と住民も、殆どが生き残ったと聞いております。負傷者はユリアシティで保護されています」
「そうか! 情報に感謝する。 ・・・あの馬鹿、一体何処で何やってるんだ」


そこにヴァンが進み出て、アクゼリュスを落とした謝罪を述べた。ルークも付き従うように頭を垂れる。
じっとヴァンの様子を見ていたピオニー皇帝が、話しはじめた。
「パッセージリングの耐用年数の事はサフィールに聞いている。アクゼリュスを落とさなければセフィロトの封呪が開かない事も。幸いな事にそこのアッシュたちのおかげで住民に被害は出ていない。アクゼリュスを落とした事は不問にしても良い。・・・・・・しかし、それでは貴公は世界を救うために協力してくれるのだな?」
「はい。愚かな私の贖罪として、誠心誠意、この身を尽くす所存でございます」
「そうか、わかった。・・・よろしく頼む」

 

外殻大地降下作戦を説明しマルクトの了承を取り付けると、俺達はキムラスカへと向かった。
キムラスカにも了承を取り付けなければならなかったからだ。ヴァンが俺を誘拐したという謝罪もある。
まあ、ヴァンが何もしなかったらルークは作られず、俺がアクゼリュスで死んでいただろうから、預言を知っていて黙認したキムラスカとしてはあまり強くは出られないと思うが。
両親の顔が見れるかと思って、俺は少し期待していた。


俺達は謁見の間に通された。シンクとアリエッタの姿も見える。モースはダアトに帰っているところだ。
シンクはあらかじめ計画の内容を説明し、キムラスカもそれを納得しているという。
ヴァンが進み出て、誘拐についての謝罪を述べた。
複雑な顔をしたインゴベルト王が、頷いてそれを受け入れる。ヴァンを罰してしまったら、大地を降下させる事が出来ないからだ。やはり繁栄の後の滅亡は嫌だったらしいな。

王の横にファブレ公爵が控えている。・・・あれが俺の父親か。
見つめる俺とファブレ公爵の目が合った。その視線はすっと逸らされた。
・・・・・・眼を、逸らされた。
隣のルークが哀しそうな顔になる。
計画の了承を取り付け謁見の間を後にする時、ルークが呟いた。
「父上は、俺をちゃんと見てくれたこと無いんだ・・・」
・・・お前もずっと、あんな冷たい眼で見られていたのか?

ルークが生存している事を見せて安心してもらおうと、ファブレ家にも顔を出した。
ルークは俺を母親と会わせたいみたいだったが。
病弱そうな女が、俺とルークを見比べて、可哀想にかわいそうにと繰り返しながら涙ぐむ。
ルークは微妙な表情をしている。
俺はなんだか今まで努力してきた事や楽しかった事まで全て否定された気がして、イラッとしてしまった。

「記憶が無い事はそれほど可哀想な事ですか? ・・・記憶のあった頃の俺は、可哀想ではなかったんですか」

動きを止めた女に、俺は静かに一礼して部屋を出た。
ここに、懐かしいと感じるものなんてひとつも無かった。
俺が憧れていた暖かいものは、失くしたんじゃない。・・・・・・最初から無かったんだ。

無言で屋敷を出る俺に、小走りでルークが追いついてきた。
気遣うように俺の顔を覗き込んで笑うと、立ち止まった俺の手を取って引っ張る。
「行こうぜ、アッシュ!」
「・・・・・・ああ」
繋いだ手は、暖かかった。 俺はその手を握り締めた。


キムラスカに来て唯一良かったと思う事は、アルビオールと言う空を飛ぶ譜業を借りられた事だ。
俺達はシェリダンへと向かい、完成したばかりのアルビオールを借りる事にした。
これで移動時間が大幅に短縮できる。アリエッタのお友達も疲れているからな。
ギンジと言う調子の良い男がパイロットとして同行してくれた。譜業オタクでディストと話が合いそうだ。

 

通常は、ひとつのセフィロトから全てを操作出来るらしいのだが、ヴァンがすまなそうに謝ってきた。
「すまん・・・シュレーの丘とザオ遺跡のセフィロトには、ちょっと小細工してしまった。プロテクトを解きに行かなくてはならん」
この時間の無いときに! と冷たい目で見られてヴァンは小さくなっている。
とりあえず崩落しかけているシュレーの丘に急いで向かい、パッセージリングの所まで辿り着いた。(こことザオ遺跡はもうイオンが封咒を解いてあった)

ヴァンがユリア式封咒を解き、俺が超振動の訓練がてらパッセージリングを書き換えた。
出力を少し上げ、崩落まで時間がかかるように調整する。(計算したのはベルケンドから引っ張ってきたディストだけどな。俺は書き込んだだけだ)
ルークは自分が次にやるんだからと、食い入るように見ている。
ディストは地核の流動化を止める装置の為に、振動数を測定していた。

ザオ遺跡では今度はルークが超振動で書き換えを行った。
(・・・お前な、貴族なんだから古代イスパニア文字くらい勉強しておけよ?)

ザオ遺跡を出たところでヴァンが倒れた。ディストの診察によると、瘴気障害に罹っているらしい。
「・・・ユリア式封咒を解く事で、汚染されたフォニムを体内に取り込んでしまうのだ。このくらい覚悟の上だ」
蒼い顔でヴァンが言う。
あんた初めの計画の時から生き残るつもり無かったのか? 身を尽くすって、この事かよ。

・・・・・・・・・大馬鹿野郎。

 

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