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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2008.08.25,Mon

IF ED後 大爆発後にルークの精神がアッシュの身体に入った(身体交換)

作品傾向の説明

・・・・・・なんか訳の分からない話。 アッシュ+ルーク(深読みしたければどうぞv)
アッシュの子育て。厳しめ要素なし。ギャグなのかシリアスなのか判別不能。苦労人アッシュ。
スランプのリハビリにもそもそ打ってました(笑)

 

 

『今日も良い天気』


アッシュが最後に覚えていたのは、真っ白な部屋を赤く染めた自分の腹から流れる血だった。
剣を突き込まれた腹の灼熱の痛みも感じなくなり、妙に安らかな気だるい気持ちで自分のレプリカに後を託したはずだった。

・・・・・・それなのに。

何だこれは。

アッシュは自分がお姫様抱っこをしている『自分の身体』を呆然と見つめた。
(・・・うすらボケた顔しやがって。・・・って、ちがーう! いったい何がどうなってやがるんだ!)
誰かが傍で見ていたら、無表情で立ち尽くしていると思っただろう。しかしアッシュは混乱の極みにあった。それはもう硬直してしまうほどに。

「うひゃぁ!」
不意に抱いていた身体がびくりと動き、アッシュは驚愕の余り身体を放り出した。
ごちんと痛そうな音が響く。
情けない声を上げて尻もちをついたアッシュは、我に返ると辺りを見回した。
(ちっ、ダセェ ・・・・・・誰も見て無かっただろうな)
格好付け精神は死んでも治らなかったらしい。
でもまあ、いきなり死体が動いたら誰だってビビるだろう。ましてそれが自分の死体なら。
誰も居ないことにホッとしたアッシュは、頭上から聞こえてきた笑い声にギクッとして恐る恐る上を見上げた。

(ぷっ・・・くくく・・・)
(あははっ、笑っちゃ悪いよローレライ)
(お前だって笑っているではないか)
(だってさ、あのアッシュが『うひゃぁ!』だって・・・ぷっ)

「てめぇら! なんでそんなとこに居る! てぇかそのざまは何だ!」

真っ赤になって怒鳴ったアッシュの見たものは、空中にふよふよ浮かぶ朱金の光のかたまりと半透明に透けた己のレプリカの姿だった。口を押さえてプルプルしている。

「てめぇ、ローレライだな! 一体これはどういう事だ、さっさと説明しやがれ! 
それと・・・・・・ルーク・・・何でてめぇは消えかけてるんだよ」

とたんにへにゃりとした情けない笑顔になったルークは、アッシュの傍にすうっと降りてきた。
(アッシュはさ、大爆発について間違って信じていたんだよ。記憶を辿ってみて? 俺の記憶がアッシュの中に入っているはずだよ)

ジェイドと話すルークの記憶を『思い返し』たアッシュは、愕然としてルークを見た。
「お前を吸収して俺が生き残る筈だったのか? お前は記憶しか残らないだと・・・・・・ふざけるな! 俺はここで死ぬ気でいたんだ。お前になら後を任せられると・・・そう思っていたのに、今更そんなこと言われて納得できるか! てめぇも何でそうあっさりと諦めるんだ!」
あの時のルークの何もかも諦めたような作り笑いは、いつでもアッシュを苛立たせた。
顔を見れば怒鳴りつけてしまうほどに。

「何で、胸張って誇り高く生きようとしない!」

(アッシュ・・・ 俺のこと、認めてくれてたんだ)

はっと我に返って自分が言った言葉に赤面したアッシュは、涙目で縋りついてきたルークをぐいと押しやった。・・・つもりが、その手はスカッとルークをすり抜けた。
キッとローレライを睨みつける。(半分は照れ隠しだ)

「おいローレライ。なら俺の身体はどうしたんだ? 何で俺はこいつの身体に入ってる。・・・しかも、さっきあの身体は動いたんだぞ!」
(知らん。・・・それは人の技。我が関知するところでは無い)
「知らんですむかぁ!」

アッシュの怒鳴り声を(器用に)耳を押さえて退けたローレライは、辺りをふよふよと漂いながら面倒そうに話す。
(大爆発とやらが終了する前にお前が死んでしまったから、変なふうに大爆発したのではないか?だいたい理論だけで全てを解ったと思っている方がおかしいのだ。・・・何ならルークよ、そこの身体に入ってしまえば良い。どうせ空いてるんだし)
「勝手なこと言うな!」
(このままでは直にルークの意識は四散してしまうぞ? それに、この身体だとて中身が無いのならだんだん腐ってしまうだろうよ)
「それはそうだが・・・」
アッシュに認められていたという感動に浸っていたルークは、アッシュとローレライの会話に我に返りあわあわと辺りを跳ねまわった。
(ええっ! アッシュの身体、腐っちゃうの? それは嫌だ! うわ、見たくねぇ!)
「俺だって見たくねぇよ! あ、ちょっと待て、・・・ルーク!」

頭を抱えて飛び上がったルークは、転がっているアッシュの身体に思い切りぶつかって行った。
半透明の身体がアッシュの抜け殻の身体に吸い込まれる。

「待てって言ったのに・・・ 俺がそっちの身体に戻ればすべて丸くおさまったんじゃねぇか!」
がっくりと膝を付いたアッシュは恨めしそうにローレライを睨んだ。
(む・・・それもそうだな。 でもどっちでも変わらんではないか? 同じ顔なんだし)
「変わる! ぜったい変わる!」

脱力しながらアッシュはずるずると自分の身体に近寄って行った。
蒼褪めた頬に赤みが差している。その碧の瞳がパチリと開き、アッシュを見た。
「ふぇ~ あぅ~ うえぇぇぇぇん!」

鼻水を垂らして赤ん坊のように泣きわめく『自分』なんてものを至近距離で見てしまったアッシュが硬直する。
気分は『頼むからやめてくれえぇぇ! これはどんな拷問だよ!』である。
正直いたたまれない。今すぐ自殺したいくらいだ。と言うか、『こいつを殺して俺も死ぬ!』って気分だ。

「ローレライ、これはどういう事だ。何でルークが生まれたてのレプリカみたいになってるんだ」
(記憶はお前が持っているんだろう? 他の身体に入ったなら記憶が無くて当たり前じゃないか)

あっさりと言ってのけるローレライに殺意がこみ上げる。
しかしこうなった以上、もうどうしようもない。現実逃避をしている暇は無い。
微妙に目をそらしながら泣いているルークに近寄り、その頭に恐る恐る手を伸ばした。
「・・・泣くんじゃねぇよ。俺の身体使うって言うなら、しゃんとしろ」
わしわしと頭を撫でる手に、きょとんとしたルークが嬉しそうに笑いだした。
「きゃぁ~ぅ あっちゅ~!」
「? ・・・今アッシュって言ったか?」
ぎゅうぎゅうしがみ付いてくるルークに辟易しながらアッシュはローレライに問いかけた。

(・・・どうやら、そうして引っ付いていると少しづつ記憶が移行するようだな。ま、頑張れ。我は音譜帯からお前たちを見守っていてやろう。 ・・・ではさらば!)
朱金の光が一目散に天空目指して駆け上っていく。
「あっこら逃げるなてめぇ、待ちやがれ! この無責任野郎!」
「ふぇ~ん・・・ あっちゅぅ~」

アッシュの大声にびっくりして泣き出したルークと二人きり取り残されて、アッシュは涙目になった。
(あのまま死んでた方が、ましだったんじゃねぇか・・・?)


こうしてアッシュの育児は幕を開ける。
ちなみにここはエルドラント最深部だ。
・・・・・・平穏な生活にはまだまだ先が長かった。


それからのアッシュの苦労は筆舌に尽くし難かった。
自分と同じ体格の(それも元は自分の身体だ!)幼児を背負い、手を引き。
廃墟を漁って手に入れた剣で魔物と戦い、手にいれたイケテナイチキンで離乳食を作ってルークに食べさせてやり。
夜泣きするルークに怒鳴りつけたいのをぐっと堪えて添い寝してやり。
おねしょした下着を涙目で洗ってやり。(アッシュはしばらくマジ泣きした)

「とりあえずてめぇは前髪を下ろせ。髪型変えてくれ、頼むから。・・・服も交換するぞ。
このままでは俺は・・・・・・いたたまれなさに自殺しそうだ」
きょとんと首をかしげるルークの髪をぐしゃぐしゃとかき回し、後ろに一つにまとめて結ってやる。
せめてもの幸いはルークが毎晩夜泣きして(・・・幸い?)添い寝したおかげで記憶が少し移行し、おねしょをしなくなったことだろうか。ぼろぼろこぼしながらでも一人で食べれるようになったし。
とりあえず記憶を移行させないことにはルークをバチカルに返せない。この状態を見て何を言われるかと考えるだけでぞっとする。

(何で俺は結婚もしてないのに子育てしてるんだよ・・・) 
アッシュは隈の浮いたやつれた顔でぼんやりと考えた。
シチューでべたべたに汚れたルークの手がアッシュの髪を掴むまであと5秒。
大声に驚いたルークがシチューをひっくり返して二人ともベタベタになるまであと10秒。

 

ここはタタル渓谷の奥。山道を外れてさらに奥に入った所にある小さな小屋だ。
ここまでたどり着くのにゆうに一月はかかった。良く死ななかったと自分を褒めたい。
使っていない山小屋を見つけた時、どんなに嬉しかったことか。
屋根のある場所で眠れるって、ホント素晴らしい。

「あっしゅー! なぁなぁ、あれ何だ?」
「急に飛びついてくんな。いつも重いって言ってんだろう?」
背中めがけて飛びかかってきたルークをあしらうのも慣れたものだ。
狭い小屋で毎晩ひっついて寝ている所為で、ルークは屋敷での事を少しずつ思い出してきていた。
いきなり甦る記憶に混乱して泣き出すこともあるが、アッシュに宥められ、根気よく説明されると納得しておとなしくなる。記憶の移行は上手くいっているようだった。
自分の持っているルークの記憶を見て、足りない基礎勉強を教えてやることもあった。
ルークについた家庭教師たちの態度があまりに酷過ぎたからだ。
・・・まあ大体は食料を見つけるのに大方の時間を費やしていたが。


アッシュはすっかり絆されていた。
なにしろとんでもない苦労をして育てたのだ。実に涙ぐましいお母さんぶりだった。
そしてそんなアッシュ自身も幸せそうな柔らかい表情になってきている事に、自分では気付いていなかった。ルークを育てることでアッシュもまた成長していたのだった。

自由に走り回って良く笑い学ぶことをを楽しむルークに、アッシュは思う。
記憶にあるルークの姿より、よほど人間らしく幸せそうだ。たとえ着ている物はボロくても。
(このまま辛い記憶なんて取り戻さなければいいんじゃねぇか?)

一年が経ち、あの旅の記憶が少しずつよみがえってきたルークに、アッシュはためらいがちに問いかけた。
「お前、この先の記憶を取り戻すのはもう止めるか? 思い出しても、辛いだけだぞ」
成長しずいぶんと落ち着いてきたルークは、真剣な表情で考え、答える。
「俺・・・思い出したい! 自分のしたことやアッシュのこと、忘れたままなんて嫌だ。
・・・それに俺、アッシュが俺を認めてくれた、俺のこと嫌いじゃなかったって、それだけはずっと覚えてたんだ。だから何を思い出してもきっと耐えられると思うんだ。アッシュが居てくれるから平気だよ、だって俺は俺なんだから!」

揺るぎ無い瞳の力強い笑顔に、アッシュはエルドラントで戦った時を思い出す。
この顔が見たかった。俺の子供じみた拘りを吹き飛ばしたこいつ。

「それにさぁ、毎日一緒に寝てたら嫌だって言っても思い出しちゃうんじゃねぇ? 離れて寝られるほど広くないよ、この家」 
「・・・・・・それを言うなよ」
ちょっとがっくりしたアッシュは、ルークの頭をコツンと小突いた。 

 

アクゼリュスからの記憶の移行は、怒号のうちに過ぎ去った。
ある晩突然泣きじゃくりはじめたルークの様子に、それと察したアッシュはしっかりと抱きしめた。
こうなったらさっさと全ての記憶を移してしまった方がいい。長くかかればかかるほどルークが苦しむ。
肌が密着している方が記憶の移行がスムーズだと気付いたアッシュはルークの衣服をはぎ取り、自分も服を脱いでルークをしっかりと抱え込んだ。
「それはお前だけの所為じゃない。・・・悪かった。お前に全てを押し付けてしまった」
「アッシュ・・・アッシュ、アッシュ」
何度も囁き、抱きしめた背を撫で摩る。
同じで違う身体はぴったりと重ね合わさるようにお互いを抱きしめ合った。

時々食事をし身体を洗いに行くほかには二人はずっとベッドの上で抱きしめ合っていた。
記憶の移行が完了するまでに、一週間かかった。
狩りにも行けず食料も尽き、最後の3日は水だけで過ごした。

 

疲れ果てやつれた二人の頬に朝の光が差し込む。
アッシュはうっすらと目を開いた。目前にある顔をぼんやりした頭でじっと見つめる。
その瞼がかすかに震え、ゆっくりと瞳が現れた。
無言のままに長い間見つめ合う。

「・・・おはよ、アッシュ」
「ああ、おはようルーク」

「・・・・・・ありがとう」
「何がだ?」

瞳がゆっくりと細められ、お互いに回されていた腕に力が入った。
くすくすと笑う声が重ね合った胸郭から直接響いてくる。
「アッシュ、大好き」
「ああ、俺もおまえが好きだ」

笑い声はだんだん大きくなり、ついには二人でげらげらと笑い転げた。
笑い疲れて並んで寝そべった二人は顔を見合わせる。

「アッシュ・・・」
「・・・ルーク」
「「・・・腹減った!」」

寝転がっていても食事は現れないので、二人して外に出る。数日ぶりの風がさわやかだ。
「どうする~? アッシュ」
「まずはこのまま川行って体洗おうぜ。上手くすりゃついでに魚かなんか捕れんだろ」

剣を担いで全裸ですたすたと歩いて行くアッシュを見てルークはそっと目頭を押さえた。
(ああ・・・アッシュ、元貴族とは思えない野生児っぷり。苦労かけてゴメン)
ちょっとそこまで己を捨てきれないルークは腰にタオルを巻いてアッシュの後を追った。

川で身体を洗いながら魚を捕って(業を煮やしたアッシュがサンダーブレードをぶっ放した)焼いた魚に齧りつきながら、裸のまま暖かい岩の上で身体を乾かす。
日に照らされて乾いてきた長い髪が風に遊ばれている。
緩く癖のついた明るい真紅の髪がアッシュの身体を取り巻いている。ルークの背に流れるのはしなやかな深紅の髪だ。

「・・・・・・ごめんなアッシュ。髪の色が違っちゃったな」

髪を弄びながらしゅんとするルークを、アッシュは訝しげに見た。
そのままためらうように何度か言葉を言いかけ、ぷいと顔を背けた。耳が赤い。
ぼそぼそと呟くような声が聞こえる。
「・・・俺は、血の色じゃないお前の髪が羨ましかった。だから謝るのは俺の方だ」

きょとんとしたルークが次の瞬間真っ赤になる。
「お、俺は・・・サラサラストレートのアッシュの髪、すっげぇ羨ましかった! 色も俺みたいに劣化してなくて、綺麗で憧れてた!」

顔を見合わせた二人は、同時に噴き出した。
「あははは! じゃあ良いか」
「ああ、問題ねぇな」


満腹になった二人は寄りかかり合いながら心地よい風を堪能する。
「これからどうする? ルーク」
穏やかに問いかけるアッシュに、ルークはう~んと顔をしかめた。
「・・・とりあえず、もうちょっと文明的な生活したいかな? あ、俺だけファブレに帰そうとしたって駄目だかんな!」
いたずらっぽく笑うルークにアッシュは苦笑する。
「初めはそうしようかと思ってたんだがな。今はどうでもいい。お前の好きにすればいい。お前の人生なんだからお前のしたいように生きろよ」
「アッシュは?」
「俺の人生も俺の自由に生きさせてもらう。奪われたとか捨てたとかじゃねぇ、あそこに居たんじゃ分からないもっと色んな事してみたいんだよ」
微笑むアッシュを眩しそうに見つめたルークは破顔する。
「俺ももっと色んな事知りたい。俺の好きにしていいならアッシュと一緒に居たい。なぁアッシュ、一緒に行こう?」
「・・・それも良いか。旅は道連れって言うしな」

立ち上がって一つ背伸びをしたアッシュはルークの手を引いて立ち上がらせた。

「じゃあ、あの服がまともなうちに移動するか」
「そうだね、ボロキレ腰に巻いて歩くのはアッシュはいいかもしれないけど俺は嫌だ」
「何だとてめぇ!」
「ぼーりょくはんたーい」

げらげら笑いながらルークは小屋に向かって走り出す。アッシュも笑いながら後を追う。
他に人影もない渓谷に楽しそうな笑い声が響き渡った。

 

明日はどこに行こうか。 
この身体があれば、どこでだって生きていけるさ。

ああ、生きてるって素晴らしい!

 


ちなみに輝く笑顔の二人は全裸だ。
服を着るのを忘れるなよ、と音譜帯のローレライは願った。

 


 

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作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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