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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2008.09.07,Sun

※こないだまで載っていた拍手の再録になります。 パーティーメンバーにちょっと厳しめです。
あ、新しいのに代わってますv
 

 

『合わせ鏡の微笑』

 

大譜歌に惹かれるように焔はセレニアの花園に降り立った。
焔は二つ、10歳ほどの子供の姿で、向かい合って祈るように両手を合わせていた。

「ルーク! アッシュ!」
その声に、二人の焔は同時に振り返る。
焔たちは駆け寄って抱きしめようと手を伸ばす一同からすっと身を引いた。

「ねぇ、貴方たちは誰を抱きしめようとしているの?」

その言葉に『仲間たち』は困惑し立ち竦む。・・・誰も、確信がもてなかった。
同じ色彩。同じ表情、同じ声。
ぴたりと寄り添い、腕を絡めあってうっすらと微笑む二人は、まるで鏡に写した人形のように見えた。

「俺達を見分けられないの?・・・仲間だったのに。」


「貴方達は・・・いえ、大爆発はどうなったのですか」
ジェイドが眼鏡を押さえ、焔たちに問いかける。
二人は顔を見合わせ、可笑しそうに答えた。

「大爆発は起こったよ」
「俺たちは記憶も身体も全て混ざり合い、一つになった」
「そして二つに分かれたんだ」
「一人分の身体を二つに分けたから、こんなに小さいんだよ」


同じ口調で交互に答える焔たちに、一同は呆然とする。言葉を聞いていても区別がつかない。
ジェイドが重ねて問いかけた。
「それでは貴方たちはルークでもあり、アッシュでもあるというのですか?」
「そう。・・・でも違う所がひとつだけある」
「・・・それは?」
「・・・・・・魂だけが、違う」


顔を見合わせる一同からナタリアが進み出た。無理に笑顔を作り、二人に話しかける。
「とにかく良かったですわ! すぐにバチカルに帰って大々的にお披露目しなくては!」

二つの焔はその言葉にくすくすと笑い出した。笑いながらまた交互に言葉を放つ。

「ナタリア、俺たちが戻った事、国民には知らせないで」
「まあ、なぜですのルーク、アッシュ!」
「俺たちの葬式はすんだんだから、余計な混乱を招くでしょ?」
「この身体で成人の儀は無理があるし」
「それに俺たちは、俺たちの見分けもつかない人達とは」
「一緒に居たくないんだ」


今度こそ言葉を失った一同を、同じ表情で嘲笑いながら焔たちは去って行く。
「待って下さい。・・・その身体で山道は危険だ。体に異常が無いかも検査しなくてはなりません」
その言葉に立ち止まった二人は顔を見合わせて同時に肩を竦めた。

 

焔はベルケンドを経てバチカルに帰還した。
検査の結果は驚くべきものだった。
レプリカでも人でもない身体。髪を切っても消えず、体構成音素も同一。
ガイが字を書かせてみたが、二人は笑いながら両手で同じ筆跡の字を書いて見せた。

「「言ったでしょう? 全て混ざり合って二つに分かれたって」」

同じ表情で微笑む二人を、屋敷の誰もが見分けることは出来なかった。両親さえも。


名を間違えたものには返事もしない二人にファブレ公爵は困り果てた。
そんな中、ギンジとノエルの兄妹が二人に会いに来た。

「こんにちは、ルークさん」
「アッシュさん! 元気でしたか・・・おいら、またアッシュさんに会えて嬉しいです」

焔たちが口も開かないうちにそれぞれに話しかけた兄妹に、仲間達や両親は驚愕した。
焔は嬉しそうに言葉を交わしている。
屋敷を出て広場のベンチに座って話を続ける4人に、色っぽい美女が近づいてゆく。

「あらん、アッシュ坊やじゃないか。無事だったら連絡くらいお寄こしよ、この薄情もの」
「すまないな」


二人を見分けられる者の出現に、見守っていた一同は驚愕した。
ガイやティアなどの仲間達は、談笑する焔たちに近づき、問いかけた。
「何故、貴方達は彼らを見分けられるの?」


悔しそうなティアの言葉にきょとんとしたギンジが言葉を返す。
「寂しそうなのがアッシュさんで、哀しそうなのがルークさんですよ。分からないんですか?」
ノエルが兄の言葉を引き継ぐように言葉を発した。
「アッシュさんがアッシュさんであるかは私には判りません。けれどルークさんならわかります。・・・眼を見れば」
ノアールが呆れたように肩を竦める。
「意地っ張りがアッシュ坊やで、頑固者がルーク坊やじゃないか。」


不思議そうなギンジ達の言葉に憤慨しながら良く二人を見比べて見ても自分達には区別がつかない。
困惑し、顔を見合わせる『仲間達』の顔を見て、焔は二人揃って噴き出した。

「あはは・・・おっかしーの。あんなに親友だ、仲間だ、ずっと見ているなんて言ってたくせに、あんたたち誰も分かんないなんてね」
「自分の見たいものしか見えていなかったんだろう?」
「俺たちはバチカルを出て行くよ」
「もう義理は果たしたからな」

口々に引き止める仲間達に、二つの焔は寄り添って同じ微笑を向けた。

「仲間や親だと言うなら、俺たちの見分けがつくはずでしょう?」
「見分けてごらん? それが出来ないなら俺たちを束縛しないで」
「自分達が勝手に作ってきたイメージで、俺達を見ないで」


もう、彼らを引き止める言葉を持つものは居なかった。
自分達にそんな資格は無いのだと、彼らはやっと気が付いたのだった。

 

 

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