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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2009.08.05,Wed


 

『彼』を目にしたその瞬間、ルークの時が止まった。睨みつけてくる眼から視線が離れない。


・・・・・・・・・これが、恋?


「人を殺すのが怖いなら剣なんて棄てちまいな! この出来損ないの屑が!」
「・・・・・・ キタ━━━━━(*゚∀゚*)━━━━━ !! これだよこれ! 俺の求めていたものは! なぁ、あんたなんて名前だ? ん?六神将鮮血のアッシュ、・・・アッシュかぁ! その眉間のしわカッコいいな! なぁ、もういっぺん言ってくれよ、屑が!ってさv」

放った譜術をあっさりと避け瞬間移動の様に詰め寄ってきたルークに、アッシュは意表を突かれた。
「え?・・・・・・・・・・・・・・・くずが
「ああん、たまんねぇ・・・(;´Д`)ハァハァ ・・・・・・よし決めた。今日からお前は俺のご主人様だ!」
「・・・ハァ?」
「ご主人様! 俺は今日からお前のクズイヌだ! よろしくお願いしますの!」
そう言うとルークはアッシュの首に手を回し、無理やり自分を姫抱っこさせた。ルークにとって下僕とは頭に乗せたり抱っこしたり袋に詰めたりして常に持ち歩くものだったからである。
もちろん常人には彼の思考回路は理解されない。

「なにしやがる! この変態劣化屑!」
「ああ・・・イイv アッシュ最高だハァハァ。それでこそ俺のご主人様。俺はどこまでもお供しますの!」
「ええい、離せ! 付いてくんな! このクズイヌ!」
首にしがみ付いたルークをべりっと剥がし足元に転がすと、アッシュはげしげしと踏みつけた。しかしクズイヌと呼んでいるあたり、ルークのペースに巻き込まれている事に気付いていない。
「アッシュ・・・もっときつく踏んでくれ! 俺を罵って下さいですの!」
潤んだ瞳で鼻息も荒く見上げてくるルークに、アッシュの変態許容量の限界が訪れた。
「そいつらを牢に閉じ込めておけ!」
ちょっと涙声で指示を飛ばしたアッシュは後も見ずに走り去った。
猛スピードでタルタロスから離脱するアッシュの脳裏には、言い知れぬ敗北感が満ち溢れていた。


アッシュという理想のご主人様を見つけたルークは真の下僕となるために張り切った。
アッシュを追い求めて道なき道を突き進む。たとえどんな障害が現れたとしても。

「ルーク、探したぜぇ・・・こん「ガイ! 俺はご主人様を見つけたぜ! さあ、さっさと行こうぜ皆」
死んだ眼をした使用人が華麗に現れても何事もなかったように流された。

我が道を突き進むルークには初めての対人戦など屁でも無かった。人を殺す罪悪感など、殺さなければ感じる必要もない。
「俺に剣なんて必要ねぇ! ご主人様は剣なんて棄てろって言ってたからな! 俺の武器は下僕の証とアッシュへの愛だ! ・・・・・・かかってきな」
中指を立ててニヤリと笑ったルークは、次の瞬間群がる兵士の真ん中に飛び込んでいった。
両腕エルボーで二人を倒すと、そのまま数人を巻き込んで体当たりをかました。

「ルークアターック!アターック!」

小動物に岩をも砕かせるソーサラーリングを装備したルークは・・・ぶっちゃけ無敵だった。

「ははははは! ・・・どうだ、痛いか。お前の痛みは俺のもの。さあ! 思う存分俺を恨むがいい、罵るがいい!」
妙なことを口走り、高笑いしながら蹴りやパンチで兵を吹き飛ばしていくルークに、戦場は静まり返っていった。

なにこれこわい。おかあさんへんなひとがいるよ。おねがいもうかえらせて・・・

(ルーク以外の)敵味方の気持ちが一つになった瞬間だった。

「貴方達、命を無駄にしたくなければ・・・と言うか、人としての尊厳を大切にして下さい」
ぽつりと呟いたジェイドの言葉に、オラクル兵たちは一斉にその場を逃げ出していった。

 

ところでアッシュは、衝動的にタルタロスを離脱した後これからどうしようかと迷っていた。
ヴァンの計画の危険性に気付いた彼は、ヴァンから離反し計画を阻止するために手駒が必要だった。
そのために自分のレプリカに会いに行ったのであった。

八つ当たりのようにレプリカを恨んでいたアッシュだが、実はほんのちょっと心の奥で期待していた。
自分から作られた存在なら、きっと俺の(孤独な)気持ちをわかってくれる。以心伝心で共闘できるだろう、と。
・・・・・・結果がアレだ。
予想のナナメ上すぎる展開にアッシュは動揺した。突発事項にはあまり強くないのだ。
ほとんど思考停止のままとぼとぼとさまよい歩き続け、気がついたときにはカイツールまで来ていた。

「アッシュー!」

ギクッとして顔を上げたアッシュの目に映ったものは、満面の笑みでこちらに駆け寄ってくる変態レプリカの姿だった。
「げっ、クズイヌ!」
脱兎のごとく逃げようとしたアッシュを見たルークはここで逃がしてはなるものかとスピードを上げた。・・・奥の手を使って。
「待ってくれよー! ご主人様ぁ! えーい、ルークアターック!」
真後ろから直撃を喰らったアッシュは、腰に抱きついたルークごと10mほど飛ばされ、そのまま大地に叩きつけられた。
「ぐはぁ!」
「やりぃvご主人様、捕獲完了! ・・・・・・なんだこの込み上げる愛おしさは! アッシュ~v」

ピクリとも動かず地面に突っ伏しているアッシュに乗り上げ尻のあたりにすりすりと頬ずりしているルークに、国境の兵士やジェイド達ですら声も掛けられない。
そんな中を、見事に空気の読めない髭の人が堂々と歩み寄ってきた。

「退け、アッシュ! 私はお前にこんな命令を下した覚えは・・・・・・アレ?・・・と言うか、ルーク・・・何をしている?」
「・・・なんだヴァンか。馴れ馴れしく俺のアッシュに話しかけるんじゃねえよ! アッシュは俺のご主人様なんだから、ぜってぇ離れねぇからな!」
アッシュの尻の上から胡乱な目で見上げてくるルークにヴァンは混乱した。
(困ったことになった。・・・・・・あれ? 困らないのか? ルークがアッシュの下僕って事は、私は超振動×2を手に入れた、のか? でも微妙に何かが違う気がする?)
「そ、そうか」
混乱しているヴァンは丸め込まれた。
無事、国境を通過した一行は、カイツール港から連絡船キャッツベルトへと乗り込んだ。
ここまでくればバチカルまではもうすぐである。


気絶したままのアッシュをしっかりと毛布でくるみ(それって簀巻きじゃ・・・と呟いたガイの言葉は無視された)上機嫌のルークは外の空気を吸いに甲板へと出た。
背伸びと深呼吸をして海を見ていると、突如頭痛がおそってきた。それと同時に何か言いしれぬ力がルークの身体の中を荒れ狂い始めた。

「な・・・何が・・・・・・ううっ、身体が勝手に・・・! みなぎるぅぅぅぅぅぅ!! ルークファイァー!」

差し出された両手から光が迸る。
ちゅど~ん! 連絡船の甲板の手すりを消失させてはるか遠くに水飛沫が立ち登った。

隙あらば暗示をかけようと隠れて見ていたヴァンは・・・ (゚д゚)ポカーン
「・・・・・・それは・・・ファイアー、なのか・・・?」

ツッコむところはそこではないと思うが、爽やかに笑って振り返ったルークにはそんなことはどうでもよかった。
「細かい事は気にすんな! 愛するご主人様の為に、俺はまた一つ新しい力を手に入れたぜ!」
ご主人様を手に入れて絶好調のルークに、付け入る隙などなかった。 

 

バチカル港で簀巻きのご主人様を担ぎあげたルークは、良い笑顔で一行に告げた。
「あ、あそこが城。多分。じゃぁな!」
「ルーク! 無責任だわ!」
「なんでよ? 城からの迎えが来てるんだから取り次ぎは終わったろ? 俺の存在はアッシュと共にある! 下僕がご主人様を放ってどこに行くんだよ? 何があっても離れない、それが下僕の存在意義!」 
アッシュを担いでスキップで去っていくルークを、誰も止められはしなかった。
というか、謁見の間にルークと共に行く事に危機感を覚えたジェイドがあえて止めなかったのだが。


意気揚々とファブレ家の門をくぐるルークに金髪の少女が駆け寄ってきた。キムラスカの王女であるナタリアだ。ナタリアは、数少ないルークの趣味を理解する協力者であった。
「お帰りなさいませ、ルーク! 約束は思い出して下さいまして? ・・・まあ! 理想のご主人様を見つけてしまいましたのね。 残念ですわ、わたくし貴方の為に完璧な女王様を目指していましたのに・・・ 弓のほかにムチも極めましたのよ。 でもわたくし、ルークの幸せのためになら協力いたしますわ!」
「おう! 俺たちの幸せを祈っててくれよな!」

上に立つ者は些細な事は気にしないのである。
よって、アッシュの顔や髪の色などは誰も気にも留めなかった。そんなことよりルークがご主人様を見つけたと言う事の方が重要だ。これでやっとあのルークが落ち着いてくれるのだ。
「ルークと同じ顔だろうが、そんな些細なことはどうでもよい。あの子の相手が出来るなら、それでかまわん」
実の父親からしてこうだし。

・・・・・・かまえよ。てかそれって些細なことじゃないし。と、内心突っ込んだ使用人達はそっと目を逸らした。
見ざる言わざる聞かざるがファブレ家の使用人の心得なのだ。

 

(此処は・・・自分の部屋か。何か長い長い悪夢を見ていたような気がする・・・・・・ って、夢じゃねぇ!)

ぼんやりと意識を取り戻したアッシュは、がばりと起き上がった。
此処に居てはいけない。何かとてつもなく嫌な予感がする。鮮血の二つ名で恐れられた自分の、人生最大の危機が訪れる予感がする。
そっとベッドを下りると、音も無く部屋を抜け出す。
見張りをやり過ごし、塀を乗り越えたアッシュは一目参にファブレ家を後にした。 


その頃(アッシュにとっては幸運なことに)ルークは城に呼ばれ親善大使の説明を受けているところだった。

「親善大使? 嫌です。・・・それより叔父上聞いて下さい! 俺は理想のご主人様をやっと手に入れられたんだ。ああ・・・あの眉間のしわ、吐き捨てるような罵りの言葉。まさに夢で見た俺の理想のご主人様! ナタリアにムチで打たれるより千倍も興奮するっ! ああ・・・v まずは首輪をつけてもらって、俺はアッシュの膝とか足下とかにはべって「おい、屑!」とか呼んでもらうんだ・・・ ああんvなんてヘブン!(都合により以下略)」

アクゼリュス行きをコンマ一秒で断り、そればかりかご主人様とのアハハウフフな18禁的生活設計を他国の使者や国の重鎮が勢揃いする謁見の間で滔々としゃべりまくるルークにインゴベルトは涙目だ。
後ろの方では、クリムゾンが腹を切ろうとして騎士たちに羽交い締めにされている。そっと目を逸らす。
(おお、オリビアよ、お前とのノーマルな夫婦生活が懐かしい・・・)
だが王として、現実逃避はそこまでだ。

「・・・・・・わかった。ルークよ、アクゼリュスさえ行ってくれたらその後はご主人様とやらと好きに暮らすがよい。 だから頼むからちょっとアクゼリュスまで行ってきておくれ・・・・・・お願い」
「えぇ~ ('A`)」

あらあら、幸せそうね、ルーク。とにこやかに見ていたシュザンヌがここで口を挟んだ。
「ルーク、男は甲斐性が大事です。ここで良い所を見せればきっと薔薇色の人生が訪れますよ。貴方のご主人様はダアトの御方ですから、貴方が大役を果たせばきっとモース殿はあの方を貴方に下さいますわ。ねぇ、モース殿」
「そ、それはもちろん!」
もうこの状態を早くどうにかしたくてついモースは頷いてしまったが、ルークのご主人様が六神将のアッシュであることはモースには伝わっていない。俗にハメられたとも言う。
ルークの幸せを望むシュザンヌがアッシュを合法的に手に入れるためにダアトから言質を取ったのだった。

「わかりました母上! 真の下僕たるもの、身体を張って見事ご主人様をGETしてまいります!」
「頑張りなさいルーク。母はいつでも貴方の幸せを祈っていますよ」

るんるんとアッシュの元に戻ったルークの見たものは、もぬけの殻のベッドだった。
「アッシュ~! どこに行ってしまったんだ!? 髭か? 髭の仕業か? あの野郎、俺のアッシュに目を付けてやがったな・・・ あのエロ髭コロス」


すっかり誰からも忘れ去られていたヴァンは、牢の中でひとり黄昏ていた。
どうもあのレプリカに関わると碌な事が無い。ヴァンの思惑のナナメ上ばかりを突き進むルークに、最早お手上げだ。そこにドアを蹴破って飛び込んできた者が居た。
「てめぇこの髭! アッシュをどこにやった!」
いきなりそんな事を言われても何が何やら。今回ばかりは濡れ衣だ。
「いや・・・私に言われても。第一私はここから一歩も外に出ていないのだが・・・」
じっと睨んでくるルークをここぞとばかりに言い包める。ここで負けたら全てが終わる気がする。
「そうだ、アッシュはアクゼリュスに行ったのではないのか? 私もアッシュの捜索を手伝おう」
なんかすでに目的が違ってきている気がしないでもないが、ヴァンも必死だ。このルークに『アクゼリュスを救って英雄になれ』なんて言っても無駄だ。ここぞとばかりに『頼りがいのある師匠』のカリスマ笑顔を振りまいてみる。
・・・が、ルークはそんなもの見ちゃいなかった。心の中のアッシュに語りかけ、拳を握って燃えている。

「・・・・・・ふっ。アッシュ、お前の気持ちは確かに受け取ったぜ! 俺の甲斐性を試してるんだな! それでこそ俺のご主人様だ!! 待っててくれアッシュ、今行くからな!」

こうして親善大使一行・・・もとい、ご主人様捕獲部隊一行はアクゼリュスへと旅立つ事になったのであった。


「アッシュは陸路を行く可能性が高い。私はもしもの為に船でアクゼリュスに先回りしていよう」
「仕方ねぇな・・・アッシュに手ぇ出すんじゃねぇぞ、髭」
「イオン様がいなくなっちゃったんです~」
「そんな事はどうでもいい! 俺はアッシュを探しに行くんだ!」
「・・・・・・ついででもいいですから」
「ルーク、廃工場跡からこっそりバチカルの外に出られるんだが・・・」
「よし、そこだ! そこにアッシュは居るに違いない! みんなレッツゴー!」

バチカル出立時にも色々あったが全ては瑣末事だ。ルークはただアッシュだけを求めているのだ。

 

アッシュはやっとの事で廃工場を抜けてきた所だった。長い間簀巻きにされていた為、いまだ体力が戻っていなかったのだ。近くにイオンを連れたシンクの指揮する陸艦が見える。ホッとしてそちらに向かおうとしたその時、廃工場出口からルーク一行が現れた。

「イオン様!」
「アッシュを返せー!」
「「「えっ?」」」

何故にアッシュ? とシンク達がぽかんとした所にアッシュが必死の形相で走ってくる。
「グズグズすんな! シンク、早くタルタロスを出せ!」

速度を上げたタルタロスがルーク一行を引き離した事を見届けたアッシュはその場にずるずるとへたり込んだ。
「何で俺がこんな目に・・・」
虚ろな目で呟いたアッシュは、そもそも何でルークに会いに行ったのかを考えて思い出した。・・・ヴァンの陰謀を。
実はとても優秀なアッシュは、ヴァンの計画を全て調べ上げていたのだった。
唇を噛み締めたアッシュは床に拳を叩き付ける。
「なにやってんだ、俺は! あのクズイヌをアクゼリュスに行かせたら駄目なんじゃねぇか!」
ヴァンの企みを未然に防ぐためにはもう一度アレに接触しなければならない。
アッシュの瞳は悲壮な決意に彩られていた。



ザオ遺跡でイオンにダアト式封咒を解かせたアッシュは、イオンを連れてアクゼリュスへと向かっていた。
あんな砂漠にイオンを置き去りにしたら身体の弱いイオンは死んでしまうからである。一身上の都合によりフォンスロットを開けられなかった為、ルークをザオ遺跡に迎えに来させる事も出来ない。
タルタロスの振動に身を任せながらイオンが呟く。

「アッシュ・・・僕は導師イオンのレプリカなんです」
「・・・・・・知っている」
「アッシュ、貴方は・・・・・・ルークのご主人様なんですね」
何でそうなる!

ガクッとしながら叫んだアッシュにイオンは晴れやかな笑みを向けた。
「僕はずっと導師の身代わりでしかないと諦めていました。しかしルークを見ていて思ったんです。僕は僕として存在しても良いのだと!」
人形であることを望まれ続けたイオンが、その枷を振り切った瞬間であった。
自己を確立したイオンの瞳は穏やかな決意に満ち溢れていた。
アッシュはそっと呟く。

「・・・・・・頼むからお前まで変態にはならないでくれ」


 

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性別:
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自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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