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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.22,Mon

 
 

機関部を損傷したタルタロスはのろのろとセントビナーに向かっていった。
セントビナーの前にはオラクル兵が陣取っていた。そこにシンクと呼ばれた奴がやって来た。
仮面で顔を隠してるが、髪の色も声もイオンそっくりじゃねぇか。あいつもレプリカなのか。

セントビナーで自由行動になると、俺はそっと宿を抜け出して老マクガヴァンのところに顔を出した。
「マクガヴァン殿、俺はルーク・フォン・ファブレです。オラクル兵に誘拐され、マルクトに来た所を和平の使者を自称する軍人に拘束されました。マルクトは本当に和平を望んでいるのか、皇帝に確認して頂けませんか?彼の態度はとても和平の使者とは思えない。」

俺の話を聞いて驚愕したマクガヴァンは、至急連絡をすることを約束してくれた。
俺は少しためらったが、マクガヴァンの人柄に惹かれてつい話をしてしまった。

「・・・マクガヴァン殿。アクゼリュスは消滅すると預言に詠まれています。信じるかどうかはお任せします。しかし、住民の避難はしておいた方がいい。」

「な・・・!それは本当か!」
驚愕するマクガヴァンに、俺は小声で続けた。
「預言では、俺がアクゼリュスに行って、共に消滅すると。そしてそれによってキムラスカとマルクトが開戦し、キムラスカの繁栄があるといわれています。・・・ピオニー陛下は預言を信じる方ですか?俺は信じない。マルクトに亡命しても良いと思っているのです。」

瞠目したマクガヴァンは、ピオニー陛下に伝える事を約束してくれた。無論、内密に、だ。
俺はタルタロスの襲撃がおかしい、進路が漏れていた可能性があると言い添えて、屋敷を後にした。
今はおとなしくキムラスカに帰るしか無さそうなので、俺はバチカルに詳細を鳩で飛ばしておいた。
 

 
宿に戻ると窓枠にオラクルの暗号を示す紐が結んであった。アリエッタだ。
俺は兵士に声をかけ、ソイルの木を見に行くと言って出てきた。
ソイルの木を展望台まで上ると、アリエッタが飛び降りてくる。
「アッシュ!」
「アリエッタ。元気か?」
「はい・・・アッシュ、死んだんじゃなかった、ですか?」

俺はレプリカの事を説明した。自分が大爆発を起こしてレプリカの身体に融合されたのであろうことも。
声を失いこちらを凝視するアリエッタに苦笑する。
「信じられないか?」
「ううん。信じる、です。アリエッタ、アッシュが死んだとこ、見ました。けどここにいるの、アッシュ、です。」
「ありがとう。・・・これを知ってるのはお前だけだ。秘密にしといてくれよ。それからイオンの事だが、俺を知らなかった。俺が死ぬ前イオンも身体を壊していた。多分あれは・・・・・・」
「アリエッタのイオン様じゃ、無いですか・・・イオン様は、もう、死んじゃったですか・・・」

泣き出したアリエッタをしばらく慰め、やっと泣き止んだアリエッタに、シンクという奴もレプリカじゃないかと言い添え、俺はソイルの木からおりて行った。
 
 
 
マクガヴァンがカイツールまで兵を貸してくれた。
タルタロスで無傷だった者と合わせて20名ほどの兵が護衛に付いた。
襲撃犯は拘束され、兵士に見張られながら歩かされている。
俺は馬車に乗っていたが、橋が落ちていた為フーブラス川から徒歩になった。
兵士は恐縮しているが、俺は慣れているから構わないんだがな。

浅瀬を渡りきった所で、いきなり瘴気が噴出してきた。兵士が2,3名巻き込まれて倒れる。
俺はとっさに、手を翳してしまった。
手の中に光が溢れ、一瞬の後に瘴気は消失した。いつもの超振動じゃない。これは何だ?
唖然としているみんながこっちを見ているが、俺にもわからねぇ。

「今のはなんですか。」
眼鏡が眼鏡を光らせてこっちを見ている。
「俺にもわからねぇよ。知ってても、お前に言うと思うのか?ネクロマンサー。」
俺はそっぽを向くと、倒れた兵士に近寄った。こいつらは親切にしてくれたからな。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます。ルーク様。」
恐縮する兵士に回復をかけてやる。そういえば、大爆発の後は苦手だった譜術がすんなり使えるようになっていた。超振動も同じ事だったのだろうか、以前よりコントロールが効いた気がする。
 

カイツールには、アルマンダイン将軍とキムラスカの兵が待っていた。マルクト兵とはここでお別れだ。
襲撃犯をキムラスカ側に引渡し、マルクトの兵士達は敬礼で見送ってくれた。
カイツールから馬車を仕立て、軍港からケセドニアを経由してバチカルに向かう。
俺はキャッツベルトの甲板で、誰もいないことを確かめ海に向けて超振動を発生させてみた。
急に頭痛がし、声が聞こえる。これは昔良く聞こえた声か?

(聖なる焔の光よ・・・我はローレライ。焔は一つになり、完全になった。今は全てを無効にし、再構成させる第二超振動を使えるであろう・・・我を地核から開放してくれ・・・)

そこで声は途切れた。あの声はローレライだったのか。・・・しかし、第二超振動か。これは使いように拠っちゃ、すげぇ武器になるな。しばらくは訓練に勤しむとしよう。
俺はにやりと笑うと、その場を後にした。
 
 

バチカル港ではたいそうな迎えがあった。なぜかマルクト軍の制服を着た奴が居る。
「はじめまして、ルーク様。私はマルクト軍アスラン・フリングス小将です。この度は、名代の態度に問題があり、ご無礼、まことに申し訳ありませんでした。私は代わりの名代として、ピオニー皇帝よりじきじきに命を賜りました。カーティス少佐、親書を渡してください。」

眼鏡が唖然としている。いい気味だ。これでお前は終わったな。
俺はフリングスと導師を陛下に取り次ぐと、屋敷に戻った。父上も母上も、相変わらずな態度だ。
こんな所、早く逃げ出したいぜ。
 

部屋で寛いでいると、召使が呼びに来た。フリングスが詫びと礼に来ているらしい。
応接間に行くと、フリングスは丁寧に膝を付いて礼を取ってくれた。・・・これが普通だよな。

「マクガヴァン殿より、お話を窺いました。ご無礼を申しわけ御座いませんでした。和平が成立した今、早速住民の避難に向かわせております。御力添えをありがとう御座いました。ピオニー皇帝はこの恩を忘れないと仰っていました。」

ふうん・・・こいつ、なかなか出来るな。護衛騎士に分からない様に、全てを聞いている事を伝えてきた。俺をマルクトに受け入れてくれるつもりはあるようだな。
「いや、何よりだ。和平成立を嬉しく思う。・・・楽にして良いぞ、許可する。」
当たり障りの無い言葉を取り交わすと、フリングスは帰って行った。
 
 

次の日、城に呼ばれた。俺を和平の親善大使としてアクゼリュスへと送り込むつもりだ。
いよいよ来たな。モースが得意げに王の隣で喚いている。
わざわざ半分壊した預言を並べ立てて、いい気なもんだ。
俺は、その預言の続きを王の前で小声で詠んでやった。王と父上が真っ青になる。

「ルーク・・・お前、知って・・・」
「ルーク・フォン・ファブレ、謹んで拝命致しました。」
冷笑して退出しようとしたところに、モースの声がかかり、俺は足を止めた。
「ヴァン謡将とその妹もこの任に付き、贖罪としましょう。」

なんだそりゃ、馬鹿にしているのか。

「いいえ、結構です。襲撃犯と同行せよと言うなど、ダアトはキムラスカを格下に見ているのですか?どうぞ極刑を持って贖罪となされば良い。ヴァン謡将は以前も私に無礼を働きました。彼を自由にするなら、親善大使に行く事はお断りいたします。私が戻るまで拘束しておいてください。」
モースが眼を白黒させている。いい気味だ。

「しかし、ルーク・・・」
「この親善大使派遣が、妨害により上手く行かない可能性がありますので、これだけは譲れません。それともキムラスカはダアトの属国に成り下がったのですか?王位継承者の誘拐犯とその原因となった者がたったそれだけの事で許されるとは。このことを知れば、民はどう思うでしょうか。」
「む・・・分かった、そちの言うとおりにしよう。」
「王よ! ヴァンとティアはユリアの子孫ですぞ!」

「大詠師モース。キムラスカ王家の血は、ユリアの血より格下であると言っているのだな?何たる不敬。陛下、いつまでこの不敬者をお側においておかれるのですか。・・・ああ、そういえばティア・グランツはあなたの部下でしたね、モース殿。部下の責任を代わりに償うと言っておられるのでしょうか。」
周囲の貴族達の眼も冷たくモースを見ている。モースは冷や汗をかき出した。
「い・・・いや、それは・・・」
「それでは、私は準備がありますから、失礼させていただきます。くれぐれもグランツ兄妹を自由にしないで下さいとお願い致します。」
「うむ、分かった。」
 
ああ、ちょっとすっきりしたぜ。
 
 

打ち合わせの為に、フリングスの所によって行く。ぶっ、眼鏡が一兵卒のように使われてるぜ。
瘴気の蔓延したアクゼリュスに王族が行くという事にフリングスは難色を示したが、俺がマクガヴァン殿に言った事が真実だと思い知ったんだろう。眼が真剣になった。
キムラスカが提示した一行の兵の少なさにも不審を抱いたようだ。住民の救助はマルクトで全て請け負うので、慰問だけに来てくれれば良いと言ってくれた。

屋敷に戻ると、父上が微妙な顔をして俺を見ていた。無視する。
母上の所に顔を出すと、相変わらず可哀相に、と抱きしめられた。
・・・母上、俺も『ルーク』も可哀想なんて言い続けられたくは無かった。ただ笑って抱きしめて欲しかったのです。

早く無事な姿を見せて頂戴と泣く母上に俺は言った。
「おれはもう戻れません。キムラスカは俺を殺す選択をしたのですから。・・・詳しくは父上にでもお聞き下さい。」
涙も止まり、瞠目する母上に俺は静かに別れを告げた。
 
 
 
次の日、数名の護衛と出発しようとしていた所に導師守護役がやって来た。寝ていたら導師が居なくなったから、ついでに探してくれと来た。さらったのは六神将だと。
隣でフリングスも唖然としている。こいつ、今自分がどれほど非常識なことを言ったか全然わかってねぇな。
俺は呆れを通り越して笑い出した。たかが一兵卒が教団内の揉め事の後始末を他国に頼むとは、ダアトはつくづく腐ってやがる。俺は王に使いを出して導師捜索を頼み、鳩でダアトに知らせてやった。ダアトはさぞかし慌てる事だろう。まあ、同行したいなら前衛にでも立って貰えばいいか。お前が行くのは監獄だろうがな。
 
 
船でカイツールに向かう事にしたが、驚いた事にナタリアが密航していた。
お前、あれだけ行く事を止められていただろう?王命に背いての出奔か。こいつは気付いてないんだろうな。今頃廃嫡の手続きが取られているだろうぜ。まあ俺の知ったことじゃない。『ルーク』の記憶で、こいつには愛想が尽きたからな。

案の定ケセドニアにもナタリアの迎えは来ていなかった。俺はキムラスカ領事館にナタリアを預けた。何か喚いているが無視だ。領事にはナタリアが出奔してきた事を告げておく。領事は真っ青だ。ナタリアがもう『姫』ではないかもしれないと分かったんだろう。

ケセドニアで一泊すると、導師を返して欲しかったらザオ遺跡に来いと投げ文があったが、俺は領事とダアトに知らせて放っておいた。当たり前だ。
アニスはとっとと追い出した。導師守護役なら役目を全うしろ、と導師救出の為にキムラスカから出した兵と同行してもらう。
 
 
カイツール軍港からデオ峠方面に向かうが、カイツールからの街道使用許可が出た所為でキムラスカとマルクトの兵が入り乱れて救助活動をしていた。
街道沿いにテント村が立ち並び、具合の悪い住民の介抱をしている。
マルクト兵が俺に敬礼してきた。
「ルーク様。此度の事、お礼の言葉も御座いません。ここからの護衛を、精一杯努めさせていただきます。」

妙に友好的だと思ったら、ああ、いつぞやは世話になったな。タルタロスの奴か。
ついでにテント村を慰問して回復をかけてやると、えらく感謝された。
道々テントの患者に回復をかけながら進んでいった。眼鏡は不満そうだが、10分くらいづつしかかかってないんだ、良いだろその位。フリングスは逆に恐縮しきっていたが、俺が自主的にしてるんだから良いんだよ。

デオ峠に差し掛かると、救助の姿も見えなくなった。もうアクゼリュスには住人は残っていないんだろう。
「ルーク様、この先に進まれるのはお止めになった方が良いのでは?」
フリングスが心配そうに言ってくるが、俺の役目はアクゼリュスに行く事で終わるからな。
俺も行きたくは無いが。
「ちょっと足を踏み入れれば、行った事になるだろ。一応行って見ようぜ。」
 
 
 
アクゼリュスは思った以上に酷い瘴気だった。目の前が霞むほどの瘴気に、フリングスたちが絶句する。誰もここまでとは思っていなかったようだ。
「なあ、これの原因は分かっているのか?」
「いえ、残念ながら。地中から噴出しているとしか解っていません。」
「調べた方が良いのか?」
「それは山々ですが、この状態では調べに行く者が危険です。」
「俺が少しの間だけ瘴気を薄くしてやるよ。その間に見てくるか?」

超振動をアクゼリュスに向けて放つと、瘴気が薄くなった。驚くフリングス達に早く行けと合図する。しばらくすると伝令が戻ってきた。扉のような物でふさがれており、その先に行けないが何かあるようだと。俺はちょっと迷って、奥を見に行く事にした。フリングスは止めたがな。
奥には封印された扉があった。俺は第二超振動で扉を消してやった。
 
 
中に入った一同は唖然とした。巨大な音機関がある。これはユリアの時代の物だろう。
眼鏡が早速調べている。随分ガタが来ているが、大丈夫だろうか。
「これは・・・パッセージリングと書いてあります。大地を支えている音機関だと。2000年前の物でしょう。」
そろそろ出た方が良いかと思っていたら、目の前でそのパッセージリングが点滅しだした。耐用年数超過で危険であると文字が浮き出てきた。皆、青褪める。
 
 

そのとき朱金の光が俺を取り巻いた。
(聖なる焔の光よ。大地を支える柱はもうもたないのだ。新たな柱を構築せよ。)
俺の頭の中に、その方法が入ってきた。世界の成り立ちの知識も。同時に手が光り、剣が現れる。
(全て終わったら、我を開放してくれ・・・)

皆、驚いたように俺を見るが、俺は構っていられなかった。
目の前でパッセージリングに亀裂が走っていく。俺は剣を床に突き立てると第二超振動を操り始めた。
崩壊しつつあるパッセージリングが下から順に上へと光っていき、柱が再生されていった。

俺は力を使い果たして膝を付いた。フリングスが慌てておれを支える。
「これで、しばらく大丈夫なはずだ。悪りぃ、ちょっと休ませてくれ・・・」

俺は気を失った。
 
 
 
 

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作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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