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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.29,Mon

         ※  前回に引き続き、ルークが鬱 です;;   ・・・つーか、同行者ウゼェ

 

 

 

いよいよ地核の振動を止める装置が出来上がった。その時、ヴァンがシェリダンを襲った。
住民がオラクル兵に切られようとした時、それを止める一団が表れた。

「さっさと港へ行け!」

いつかアッシュと一緒に居た大男が叫ぶ。一団はヴァンに付くオラクル兵達を追い詰め、次々と倒していった。
港に着き、タルタロスに乗り込もうとしたルークたちの前にヴァンが立ちはだかる。
老人達がそれを止めに入り、切られていった。

ルークが行動をためらったとき、背後から叩きつけるような怒声が響いた。
「何してる!お前のすべき事をしろ!」
紅がひるがえった。紅は剣を抜き、真っ直ぐヴァンに突っ込んでいく。激しい剣戟の音が響いた。
後ろ髪を引かれながらルークはタルタロスに乗り込んだ。ヴァンと切り結ぶアッシュの姿が眼の端に映った。
 
 
地核にたどり着き装置を作動させると、シンクが現れた。やっとの事で倒すと、シンクは哀しい事実を告げて地核へと落ちていった。
道具のように使い捨てにされるレプリカの存在が、ルークは哀しかった。嘆くイオンの側に寄り、そっと手を握る。イオンは哀しげにルークの眼を見つめると、ぎゅっと手を握り返してきた。

言いようの無い思いを振り切るように、シェリダンへと戻って来る。シェリダンは数名の死者と負傷者がいるが、アッシュたちのおかげで全滅は免れていた。
ヴァンは取り逃がしてしまったと、アッシュが悔しがっていたそうだ。
危ないところを助けられたギンジが、恩返しだと言って、アッシュに貸し出したアルビオールを操縦してついて行ったという。
 
 
 
しばらくアッシュと会えない日々が続いていたが、ある日ルーク達の泊まっている宿にひょっこりとアッシュが表れた。ルーク達を見て嫌な顔をするが、すいぶん疲れているようで服も血や泥で汚れている。腕にも血が滲んだ包帯が巻いてあった。

「ル・・・アッシュ! 大丈夫ですの?」
ナタリアが駆け寄っていく。ルークも後を追った。ティアやアニスもぞろぞろと付いて来る。
ジェイドやアニスは面白がって茶化しに来ただけだろうが。
ガイは少し離れた所でアッシュを無表情に見ている。

「アッシュ、一人で行動するなんて無茶だ。一緒に行こう!」
ルークの言葉にアッシュはフン、と鼻を鳴らした。
「断る。何でおまえらと行動を共にする必要があるんだよ。」
「アッシュ、意地を張るのはおよしになって。」
「そうだよ~ 我侭なんだから。ナタリアも心配してるよ~」
「人の親切は、素直に受けるものですよ。」
「うるせぇ!」
 

口々にアッシュを責める一行の前に、大男が立ちはだかった。警戒する一同に声をかける。
「生憎だがアッシュは一人で行動しているわけじゃない。お前達と行動を共にする理由なんか無いんだよ。俺は元特務師団のノールってんだ。」
ひょいっと振り返ると、アッシュに向ってルームキーを投げ寄こした。
「団長、上行ってろよ。顔色わりぃぞ。ほら、鍵。」
「・・・ああ、悪りぃな。さんきゅ。」

鍵を受け取ったアッシュは素直に部屋に上がっていく。
アッシュの感謝の言葉に驚愕する一同に、ノールは物騒な笑みを向けた。
「ぶっ倒れそうな奴を、なに疲れさせてんだよ、てめぇら。 ・・・何で団長が辞めたはずのオラクルの制服着て歩き回ってるか、考えた事あんのか? 奴らの眼を引き付ける為じゃねぇか。ド素人どもが、そんな事もわからねぇのかよ。」

ムッとして口を噤んだ一行を見渡して、ノールはふとガイに眼を留めた。じっと顔を見つめる。
「お前がガイラルディアか・・・ どこかで見たことあると思ったぜ。5年位前にダアトに来た事あったな。まだガキだった団長がマワされてんの、楽しそうに見てたじゃねぇか。あん時のてめぇのツラ、忘れられねぇほど醜悪だったぜ。 ・・・思い出しても反吐が出らぁ。」
 


目を見開き、青ざめるガイをもう一瞥もせず、ノールは部屋へと上がっていった。
ジェイドは興味無さそうにその場を離れ、アニスとティアは何か囁き合いながら去っていく。
ナタリアは一人理解出来なかったように首を傾げて着いていった。皆、聞かなかったことにした様だ。


・・・ガイが『ルーク』の誘拐を手引きした事が証明されてしまった。皆にとってはどうでも良いことなのか?
ルークは言いようも無くショックを受けた。
言葉も発しないガイの横顔を、ルークは無表情にただじっと見ていた。
翌日、話しかけてくるガイにルークはいつものように貼り付けた笑顔を向けた。ホッとした様な、けれどどこか後ろめたそうなガイの口から、アッシュのことが語られる事は、ついに無かった。
 
 
 
ケテルブルグでアッシュに会った。宿の食堂で自分とそう変わらないくらいの歳の少年二人と話している。
片方は長い真っ直ぐな銀髪で碧眼、もう一方は癖のある短い金髪に緑眼、一対の人形の様に同じ顔をしている。金髪の少年はコーラル城で会ったユーリだ。
アッシュは穏やかな顔で少年の冗談に笑っていた。
仲の良さそうなその様子が羨ましくて、ルークはポツリと呟いた。
「・・・アッシュ、あんな顔も出来るんだ・・・」

ルークが呼びかけるとアッシュは表情を消して目を眇めた。
「・・・なんだ、お前らか。何の用だ。」
しゅんとなるルーク。あまりの態度の違いに、ルークの同行者たちが騒ぎ出した。
「ちゃんと笑えるんじゃん。何であたし達には仏頂面なのー?」
「そうですわ。そちらの方はどなたですの?」
アッシュは不機嫌になり、席を立った。
「信用もできない奴らの前で笑えるか。エリー、ユーリ、俺は部屋に行く。お前らはゆっくりしてて良いぞ。」
金髪の少年が、アッシュに笑って手を振った。
「後で部屋にお茶持ってくよ~」
「ああ、わりぃな。頼む。」
 

「あの態度の違いはなんなのかしら。失礼ね。」
「カンジわるーい!」
穏やかに笑って手を振り返し、行ってしまったアッシュに、同行者達は口々に不満を言い募った。
その様子を呆れて見ていた銀髪の少年が、ルークたちに問いかけた。
「ねぇ、アッシュが眉間に皺を寄せる理由、知ってる?」
「・・・俺の事、嫌いなんだろ?」
俯いたルークが小さく呟いた。

「あははは! アッシュはねぇ、眼が悪いんだよ。小さい頃、ヴァンに長期間暗闇に監禁されてたからね。そんな事も分かんないで仲間になんて、聞いて呆れる! 今までアッシュの何を見てたの?」
「まあ、そんなこと、言われなければ解りませんわ。アッシュも言って下されば良いのに。」
「見て解んない奴に言っても解んないんじゃない?」
ナタリアの言葉に金髪の少年がそっぽ向きながら冷笑した。
「失礼ですわ! 何なのです、あなた達は!」
「「俺たちはアッシュの為の道具」」
「人を道具になんて、アッシュは傲慢だわ。」
声を揃えて笑った双子に、ティアが不快そうに口を挟んだ。
「何で? あんた軍人だろ? 信頼できる指揮官の、信用できる道具を目指す事の何が変なのさ。」
「俺たちは道具としてのプライドを持ってる。エセ軍人のあんたと違ってね。」
「何ですって! 失礼よ、あなた達!」
 


驚愕に眼を見開いたルークは、アッシュの去った方をずっと見つめ続けていた。
アッシュが監禁? 眼が悪いことも自分は気が付かなかった。
少年達と同行者の言い争いも耳に入っていなかった。
今までの自分達の行動を振り返り、アッシュが自分達を信用しないのは当たり前だと思いながら考え続けた。

(自分たちは今までアッシュを理解しようとして来たことがあっただろうか。アッシュは本当に、皆が言うような傲慢で自分勝手な人間なのだろうか。アッシュが今までどんな生活を送ってきたのかさえ、俺は知らない・・・)


同行者達が自由行動になって去って行っても、ルークは椅子に座り込んでいた。
ティーセットを運んでいった少年達が、戻ってきた。その後姿にルークは思わず話しかけた。
「あ、あの! 俺・・・アッシュのこと、知りたいんだ。教えてくれないかな・・・」
振り返った少年達は、ルークを見るときょとん、と首を傾げた。
「「自分で聞けば良いじゃん。」」
「だって、俺はアッシュに嫌われてるから・・・」
俯くルークに、双子は顔を見合わせるとブフッと噴出した。
「別にあんたの事、アッシュは嫌ってないよ? あいつらは大嫌いだっていってたけどね。」
「そうそう、馬鹿な奴だって呆れてはいたけど、嫌いとは言って無かったよ。」
「「アッシュは決して嘘はつかないよ。」」
双子は笑いながら去っていった。
 

 

しばらく躊躇っていたルークは、意を決して双子に聞いたアッシュの部屋に訊ねて行った。
ノックの音に低く応えが返る。
開けられたドアから中に入ったルークは息を呑んだ。
入浴を済ませたばかりのアッシュが上半身裸で髪を拭っている。その身体は傷だらけだった。
剣の傷は全身に走り、背中には鞭打たれた古い跡が縦横に残っている。手足には火傷の跡も。

何もいえないルークを怪訝そうに見ながら、アッシュは言葉をかけた。
「何か用か? ・・・何見てやがる。ああ、これか。」
ふんっと馬鹿にしたように笑うが、けして不機嫌そうではない。
「俺のことが知りたいそうだな、何が知りたいんだ。」
「解らない。でも、もっとアッシュの事を知りたいんだ。俺、馬鹿だったから。アッシュのこと、何も解ろうとしなかったから!」
「知ったって、良いことなんか何もねぇぞ。」
「それでも! アッシュの場所を奪ってのうのうと生きてきたんだ。出来るなら全部返したい!」

「間違うなよ、俺があそこを捨てたんだ。お前に奪われたわけじゃねぇ。俺は自分の力で自分の居場所を作った。誰にも文句は言わせねぇ。 ・・・いいもん見せてやる。」
アッシュは下穿きをずり下げると腰にある刺青をルークに見せた。
何かの紋章に薔薇が絡みついたそれは、ルークの眼には妙に扇情的に写った。
 

「これはな、ヴァンの野郎に入れられた。こんなとこに刺青入れてんのは売春婦なんかと決まってる。奴はな、俺をずっとそういう道具に使ってたんだよ。 ・・・特務師団てのは汚ねぇ仕事をするところだ。身体使って情報取ったり、暗殺したり、預言に従わない奴らを皆殺しにしたりな。今さら貴族になんて、戻れるわけがねぇんだよ。最も、戻る気なんかさらさらねぇけどな。」

ショックを受けて立ち竦むルークの頭を、呆れたようにアッシュは軽く叩いた。
驚愕したように顔を上げ固まるルークにアッシュは苦笑した。
「ガキはこれだからしょうがねぇな。さっさと戻れよ、もう随分知っただろう?世の中奇麗事ばかりじゃ無ぇんだよ。俺がおまえらと行かねぇのは、お前の仲間が信用できないからだ。不快なだけの奴らと行動を共にする理由がどこにある。お前が奴らを信用してるなら、一緒に居れば良いだろ。人まで付き合わせんな。」
部屋からぽいっと追い出される。


ルークはぐちゃぐちゃになった頭の中を、どうしたら良いかわからなかった。
アッシュの生き様を思うと、ただ涙が流れて仕方なかった。

アッシュの事、自分の『仲間たち』の事。ずるずると廊下に座り込んで、いつまでも考えていた。
 
 
 

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