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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2025.04.23,Wed
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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 
 
閑話   赤毛たちのボケの話
 
 
 
「なぁ、フェレス島のフォニムを中和に使ったら、俺たち海に投げ出されるんじゃねぇ? 俺、泳げないんだけど」
「・・・・・・」

「・・・・・・あ、そうだ、ボートを置いてその上でやったらどうかな?」
「それだ!」

「それだ、じゃねぇ! 大体ローレライの剣をレプリカ大地に突き立てるんだ。ボートに穴が開くだろうが!」
「・・・・・・」

「じ、じゃあ船べりからやればいいじゃん!」
「傾いて転覆したらどうする!」
「いかだはどうかな?」

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・あんたたちさぁ、いい加減ボートから離れなよ」
「アリエッタのお友達で、拾ってやる、です」

「・・・」
「・・・」
「・・・」
 
 
 

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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 

 
バチカルに戻ると、シリウスはクリムゾンに頼み事をした。
「このくらいの出来るだけ硬くて透明な丸い宝石を二つ下さいませんか? 呪具にしたいのです」
指で2cmほどの円を作る。
「わしに出来ることなら、協力しよう。何でも言ってくれ。・・・すまんな。いつもお前に助けられてばかりだな」
「私がしたいから、しているのです。今回の事も私の我侭ではありませんか。・・・そう言って下さるなら、もう二つばかり。しばらく御子息の護衛につけません。それと、ベルケンドの別荘を貸してください。屋敷で行うには剣呑な事をしなくてはなりませんから」
「うむ、許可する。 ・・・お前も、身体を気遣えよ」

シリウスは笑って、答えなかった。
これからやろうとする事で、命を大幅に縮めるのは分かっていたからだ。
 
 

宝石が手に入ると、シリウスはベルケンドに篭った。譜術の本を見て、譜陣を練っている。
シリウスに協力する為、白光騎士が数名着いて来ていた。
ルークやアッシュも、護衛にシンクを連れて顔を出している。

 
ルークたちが帰った夜半、騎士達に離れるよう言い置き、シリウスは別荘の中庭に譜陣を書いた。
両の掌を深く傷つけ、宝石を一つ組み合わせた手の中に握ると、譜陣の中に立ち詠唱を始めた。
ぽたり、ぽたりと血が滴り落ちているのが見える。
騎士たちは離れた所から護衛しながら、息を呑んでそれを見守っていた。

詠唱は一晩続き夜が明けるころに止まった。
2、3歩あるき倒れこんだシリウスを、あわてて介抱する。
グミを含ませるとシリウスは眼を開いた。
「・・・ああ、ありがとう・・・・・・良かった、成功した」

握りしめられた宝石は、真紅に色づき、譜陣が浮かび上がっていた。
「シリウス殿、こんなになるまで・・・! ゆっくり休んでください」
「そうも言ってられないんだ・・・ でも、今日は寝かせておいてね」
気絶するように眠り込んだシリウスを抱えあげると、騎士はそっと運んで行った。
 
 
一昼夜眠り込み、シリウスは眼を覚ました。食事を取って体力の回復を図る。
頑張って食事を作った騎士が、心配そうに声をかける。
「手は大丈夫ですか?」
「ああ、場所考えて切ってるから。グミ食べさせてもらったから、平気。今日はミックスグミ2、3個くれるかな」
「またあのような事をされるのですか! 少しは体を考えてください」
「今頑張らなくて、いつ頑張るんだよ。俺は二人を助けるためなら何でもやると誓った。大丈夫、死なないから」
軽く笑って、その晩もシリウスは命を注いだ宝珠を作り上げた。
騎士たちは、言葉も無く見守り続けた。
 

 
出血の為に青ざめ眠るシリウスを、アッシュとルークが見舞った。
泣きそうな顔で覗き込むルークを包帯の巻かれた手で撫で、笑った。
 
「ちょうど良い、二人に渡す物があるんだ。 ・・・これはフォニム収束の呪具、こっちはコントロールの呪具。二人にあげるよ。ペンダントにでもして身に着けて。
普段はコントロールをルークが、収束をアッシュが身に着けると良い。瘴気中和のときは、反対にコントロールの優れたアッシュがさらにコントロールを高め、フォニムに親和性のあるレプリカのルゥが収束を持つ事で身体のフォニムの拡散を防げるはずだ」

真紅の宝珠を二人に渡す。
「ジェイドに来てもらえるよう、手配してくれないか? 彼に協力を仰ぎたい事があるんだ」
二人が承諾すると、シリウスはまた眠り込んだ。

 
何故これほど消耗しているのか、騎士達から話しを聞いた二人は、唇を噛んだ。
「あいつ・・・無茶しやがって!」
「アッシュ、シリウスの頑張りが無駄にならないように、絶対成功させような!」
「当たり前だ」
 
 
二日後、連絡を受けたジェイドがベルケンドに到着した。
アルビオールを降り、別荘に向って歩いていると、突然ティアに声をかけられた。

「お願い、彼のところに連れて行って欲しいの。彼は私の知らない譜歌を知っている。それを教えてもらいたいのよ。その為なら頭だって下げられるわ!」
(・・・随分傲慢な事だ。 ・・・・・・私も、人のことは言えませんでしたね)
内心で自嘲すると、ジェイドはティアに返した。
「連れて行くのは構いませんが、彼が会うかは分かりませんよ」
 

二人は応接間に通された。玄関先でティアが騎士と押し問答した為、面倒臭くなったシリウスが許可したのだ。
 
部屋に入って来たシリウスにジェイドは息を呑んだ。短い間にげっそりとやつれて青ざめていたからだ。
そんなシリウスの様子にも気付かず、ティアは切り出した。
「あなたの行う譜歌を見せて欲しいの」
「君には見せられない」
「何故! 私はユリアの子孫として、それを知る権利が有るわ!」
「そんなものは無いよ、これは母と祖母が編み出したものだ。教えたとしても君に使えるとは思えない」
「馬鹿にしないで!」

大声を出したティアを拘束しようとした騎士を手で制すると、シリウスは静かに続けた。
「大譜歌が歌えて秘奥義が2、3種類立て続けに使えて、譜眼を入れられたら教えてやっても良い。
それくらいのレベルじゃないと使う事は出来ない。だけどこれは禁呪だ、失敗したら死ぬよ」
言葉に詰まるティアに騎士が退出を促した。
 
 
じっとやり取りを見ていたジェイドが静かに声をかける。
「すみませんでした。そこで会って頼まれたのですが、あなたは彼女には会わないと思っていましたよ」
「押し問答を聞いてる気力がなかったんだ」
「何故それほど消耗しているのですか」
「彼らを生かすために頑張ってるだけだよ。 ・・・ネクロマンサー、世間話をするために呼んだんじゃないんだ。協力してもらいたい事がある。礼に譜眼をみせてやるよ」
「それは興味深いですが、なにに協力したら良いのです」
「此処じゃなんだから、部屋に来てくれ」
 

個室に移動すると、シリウスはシャツを脱いで上半身裸になった。
体中に譜陣を刻んだ痕や刺青があり、ジェイドは絶句した。
無残な傷跡は、しかし奇妙に美しくも見えた。

「詠唱時間がほとんど無いのは身体に譜陣を刻んでるからだよ。 ・・・あんたの事は大嫌いだが、譜術の実力は信用している。この譜陣を背中に焼き付けて欲しい。さすがに真後ろは自分じゃ見えないからな。そこだけスペースが残ってるんだ」
ひらりと譜陣を記した紙を寄こす。
「・・・・・・分かりました。少し時間を下さい。間違えてはことですから」
「頼む。少し休むから、準備が出来たら呼んでくれ」
 

ジェイドが応接間に戻ると、アッシュとルークが来ていた。
もの言いたげにジェイドを見る。
ジェイドはソファーに座ると、疲れたように笑った。
「あれが『冥王』・・・ですか。私は以前、彼の率いた傭兵隊に自分の部隊を完膚なきまでに叩き潰された事があるのですよ。随分前のことですが」
 
「なあ、シリウス何やるつもりなんだ? あんなに疲れてるのに。・・・教えてくれないんだ」
ルークがおずおずと話しかける。
「私の口からは言えません」
「ジェイド!」
「・・・しかし、知る勇気があるなら、今晩中庭を見ていると良いでしょう。ただし、けして回復術を使ってはいけませんよ。さて私はすることが有るので、部屋に引き取らせていただきます」
アッシュとルークは顔を見合わせ、同時に頷いた。
 
 
夜、二人は窓からそっと中庭を覗いていた。
下穿き一枚のシリウスが中央に進み出、譜歌を謡いだした。
月明かりに白く裸身が浮かび上がる。全身に刻まれた呪譜に、二人は言葉も無かった。
足元に出現した譜陣が淡く光る。その時、ジェイドがシリウスの背に手を翳した。
髪を高く結い上げ、曝した背中の中程、唯一白く残っている場所に、じゅうっといやな音を立てて新たな呪譜が焼き付けられていった。
顔を歪め、両手を握り締めたシリウスは、それでも動くことなく譜歌を続けた。
アッシュとルークは飛び出していこうとする足を押さえつけ、それを見ていた。
 
 
「・・・終わりました」
譜歌が終わり、ジェイドから声がかかると、シリウスは膝を突いて呻いた。
アッシュとルークは窓から飛び出していった。見守っていた騎士たちがグミを持って走ってくる。
どの顔も泣きそうだった。
 
「なにをしているの、貴方たち!」
庭の隅からティアが飛び出してきた。回復術をかけようと、詠唱を始める。
「止めなさい! ティア!!」
大声を上げるジェイドに吃驚したティアは、詠唱を止めた。

「何故です、大佐! こんな怪我をしてるのに、グミじゃ追いつかないわ!」
「何のために彼がこんな事をしたと思ってるんです! もう一度彼にこの苦痛を味あわせるつもりですか! 
回復術では傷跡が残らないでしょうが!」
「あ・・・!」
青ざめ、口に手をやるティアを、ジェイドはきつく睨んだ。
 

「貴女は彼の消耗に気付きもせず、非礼な言葉で譜歌を強請った。断られたのに忍び込んでまで見ようとした。どこまで傲慢になれば気が済むのです! いい加減自分勝手な常識とやらを振りかざすのは止めなさい!」
「・・・・・・・・・」

青ざめ項垂れるティアを、もう一瞥もせずジェイドはシリウスを抱き起こした。
「しっかりしなさい。グミを」
「アップルグミにしてくれるかな・・・傷が薄くなるとまずい・・・」
騎士が差し出したグミを口に含む。

「さすがに痛てぇ・・・ なぁ、ティア、まだ知りたいか。全身を焼く勇気はあるかい。けど今のレベルじゃ死ぬだけだよ」
声を出す事も出来ず、ティアは俯いた。その顔に涙が滴った。
 
 
ジェイドがシリウスを背負い(シリウスは嫌がったが、無理やり背負った。回りは先程のジェイドの剣幕に戦いて止められなかった)ベッドに運び込んだ。
傷薬を塗りたくり、包帯を巻く。

「大丈夫です、私は医師の資格を持っています。ちゃんと傷も残してあげますよ・・・・・・貴方は馬鹿ですね。この子達をこんなに泣かせて」
眼を真っ赤にしたルークと歯を食いしばっているアッシュの姿を見せる。
「・・・だから見せたくなかったのに」
苦笑するシリウスにアッシュか食ってかかる。
「知らない方が俺は後悔する!」
ルークは枕元で跪いた。
「シリウス、ごめん。 ・・・俺たちのために、ありがとう」
「・・・どういたしまして。頑張ろうね」
シリウスはそっとその髪を撫で、静かに眠りについた。
 
 

翌日、ジェイドとティアが帰国した。
ティアは幾度も謝罪を重ねていた。泣きはらした顔に苦笑してひらひらと手を振る。

ジェイドは帰る前に、じっくりまったりと譜眼を見ていった。
10cmの距離で長々と見つめ合う男たちは、予想通りなんとも言いがたく寒いものがあって、一同は揃って目を逸らした。
 


シリウスたちはバチカルに戻ることにし、ファブレ邸で体力の回復に努めた。
瘴気中和の日はもう、すぐそこまで迫っていた。
 

 

 


閑話  ボケてる人たち

Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 

 
そんな中、ある日突然世界の各地から瘴気が吹き出し始めた。

両国はすぐに研究者を派遣し、原因の解明に努めた。
世界の何箇所かで第七音素が多量に消費されており、何か巨大なレプリカを作ったことで、ディバイングラインが歪み、降下した大地の隙間から瘴気が吹き出したと考えられた。
 

ルークたちは消費地点を重点に、キムラスカとマルクトに分かれてアルビオールで各地を回り、フォミクリー施設を破壊していった。
コーラル城、ワイヨン鏡窟の施設を破壊し、ユリアシティ方面に向っているとき、海上を巨大なものが移動しているのが見えた。・・・島だ。
遠くからマルクトのアルビオールが向ってくるのが見える。
2台はその島に降り立った。
 

「こ・・・これはフェレス島だ!」
ガイが驚きの声を上げる。
「ホドが崩落した衝撃で、津波に飲まれて消えたって話しだぞ」
 
「アリエッタの、故郷、です。ヴァン総長、言ってました。アリエッタの故郷、作ってくれるって」
小さな声で、アリエッタが呟いた。
「そんならこれは、レプリカなのか!」
一同は辺りを見渡し、その規模に息を呑んだ。
 
 
フェレス島の巨大なフォミクリー装置は稼動していた。十数名のレプリカが、うつろな目で歩き回っている。
近づこうとした時、声が響いた。

「それには近づけさせませんよ! 行きなさい、カイザーディストXX!」
「いい加減にしなさい! ディスト」
ジェイドがセイントバブルを放つ。そこにシリウスがフリジットコフィンを重ね、カイザーディストは破壊された。
「ジェイド、あなたは変わってしまいました。ネビリム先生を復活させたくないのですか! 昔みたいにまたみんなで・・・」
「レプリカは! ・・・作られた時点でもうすでに別の人間です。ルークを、シンクを見てきたあなたが何故分からないでのですか! 人は、死んだらもう、戻らないのです!」

激高するジェイドを、皆は驚きの目で見つめた。
「う・・・うう、ジェイド・・・!」
鼻水を垂らして泣き始めたディストを、シンクが蹴り飛ばし気絶させる。
ぐるぐるに縛り上げたそれを、ガイが担いだ。
 
「・・・ルーク、許してください・・・私が愚かでした」
真っ直ぐにルークを見つめたジェイドが眼を伏せて謝罪し、フォミクリー装置へと歩いていった。
 

 
ジェイドがレプリカの製造を停止させ、データをコピーする。
「さて、やっちゃって良いか」
「こんな巨大なもの、どうやって壊しますか」
ジェイドの問いに、シリウスがニヤッと笑う。
「秘奥義でも一発。モノに出来るならやってみな。・・・インディグネィション!」
ぐわっと光が膨れ上がり、凄まじい音を立てて装置は完全に沈黙した。
その威力に、誰もが呆然と固まっていた。
シリウスが笑いながら振り返った。
「じゃあ、行こうか」
 

気を取り直しアルビオールに乗り込もうとした一同の前で、突然海面から光と共に巨大な建造物が浮上してきた。
そのまま空中に浮かび上がっていく。
「あれはホド! ヴァン、ついにやっちまったのか!」
ガイが叫ぶ。
「今こうしていても、仕方がありません。一度戻ってこれからの事を話し合いましょう」
ジェイドが息をのむ一同を促した。
 

ディストは取調べを受ける為、マルクトに護送された。
それによると、フォミクリーの施設はホド以外のものは全て破壊できたようだった。
 
作られたばかりのレプリカたちは、世界各地から集められ、両国共通の保護施設で教育を受ける事になった。
 
 
 
 
 
「問題は、瘴気です。すでに魔界と同じほど瘴気は濃度を増してしまった。このままではひと月もすれば人々は瘴気中毒で次々に倒れていくでしょう」
 
各国の要人をダアトに集め、作戦会議が開かれていた。
ジェイドの言葉に皆焦燥を隠せない。
「瘴気を何とかする方法が、一つだけあります。・・・シリウス、以前言った事を覚えていますか?
超振動で瘴気を中和できるのは、本当なのです。・・・しかし、多大な犠牲が必要です。第七譜術師一万人分のセブンスフォニムとそれを施行するものの命です。音素を収束させるローレライの剣を用いて超振動を起こせば、瘴気は中和できるでしょう。しかし、それを行った者は生きてはいられないでしょう・・・」

「なんだと! ルーシェルかアッシュのどちらかが死なねばならんという事か?!」
クリムゾンが絶望の表情で声を荒げる。
「お、俺がやる! アッシュはローレライの解放を・・・!」
「何言ってやがる! てめぇは死にたいのか! 俺がやる!」
ガイやナタリアが口々に引き止める。
「ルーク、何でお前が死ななきゃならないんだ!」
「アッシュ、考え直してください! お父様何か言って下さいませ」
「お前達を犠牲にすることは出来ん・・・しかし」
逡巡するインゴベルトに、ナタリアは絶望の眼を向けた。
「世界を取るか、どちらか一人の命をとるか、だ。・・・すまん」
ピオニーが二人に頭を下げた。
 
 
 
「ちょっと待て。何故みんな、アッシュかルーク、どちらかが死ぬことを前提に話を進めてるんだ。何故2人が生き残る方法を探さない」
それまで無言で様子を見ていたシリウスが、強い調子で発言した。怒っている。
「しかし、下手をしたら二人とも死ぬことになりますよ」
「予備に残そうってか? 随分と傲慢な考えだな」
ジェイドの言葉に吐き捨てる。

シリウスは二人に向き直ると、話し始めた。
「一人でやったら死ぬかも知れない。では二人なら?三人ならどうだ? 二人が力を合わせれば、生き残る確率は50%だ。俺も俺の力の全てをつかって手伝う。ほら、66%じゃないか。そう分の悪い賭けじゃない。
アッシュ、いつか言ったよね。一人では支えきれないほどの使命を受けて生まれた、だから支えあえるように二人になった、って。何で一人でやろうと思うんだ。
死なせないよ。『氷華』ファリィヤと『双牙』フェンリルの子、『冥王』シリウスの名にかけて。
君たちはどうなの? 半身を残して世界のために犠牲になる事を望むの?」
 

アッシュとルークは、目を合わせ、硬く手を繋ぎあうと言った。
「俺たちは生きたい! 2人でこの世界で生きるためにやりたい」
ふっと笑ったシリウスは、一同に向うと頭を下げた。
「時間をくれ。10日で良い。準備がある」
 

「苦しんでいる民は一刻も早い中和を望んでいますのよ」
ナタリアが思わず、といった感じで口を挟むと、シリウスは皮肉気に答えた。
「10日で民は死なないだろう? それこそその大層な慈悲の心で具合の悪い民を救ってやったらどうだ。 
たった10日の事だろう? それとも準備不足で3人とも死ぬのがお望みか?
・・・1%でも2%でも成功の確率が上がるなら、俺は何でもやる」
 
「1万人分のフォニムはどうしますか?」
ジェイドの問いに、笑って答える。
「でっかいレプリカが有ったじゃないか。海の上に。べつに、1万人犠牲にする必要は無いだろ」
「・・・なるほど、フェレス島を使うつもりですか」
 
 
戻ろうとするアッシュとルークにピオニーが話しかけた。
「すまんな・・・俺はいつでもお前達を犠牲にしてばかりだ」
隣でインゴベルトも頷いている。
「陛下の立場なら、当たり前の事です。最小の犠牲で、最大の成果を。民のために。・・・それが王だ」

苦笑するとピオニーはこんどはシリウスに話しかけた。
「二人を頼む。・・・しかし、お前が『冥王』だったとはな」
「冥王って?」
首を傾げるルークに説明する。
「すげえ強い、伝説の傭兵だ。傭兵の王と言われている。一番強い奴が冥王と呼ばれるんだ」

ピオニーの言葉にシリウスは笑って手を振る。
「それは言いすぎです。『二つ名は名乗るものではない』とか言っておきながら、自分で名乗っちゃいましたね、かっこ悪い」

「いや、惚れそうになったぞ。母君にそっくりだな」
珍しいクリムゾンの冗談に、インゴベルトは口を開いて固まった。
 


 
 

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作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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