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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 

 
そんな中、ある日突然世界の各地から瘴気が吹き出し始めた。

両国はすぐに研究者を派遣し、原因の解明に努めた。
世界の何箇所かで第七音素が多量に消費されており、何か巨大なレプリカを作ったことで、ディバイングラインが歪み、降下した大地の隙間から瘴気が吹き出したと考えられた。
 

ルークたちは消費地点を重点に、キムラスカとマルクトに分かれてアルビオールで各地を回り、フォミクリー施設を破壊していった。
コーラル城、ワイヨン鏡窟の施設を破壊し、ユリアシティ方面に向っているとき、海上を巨大なものが移動しているのが見えた。・・・島だ。
遠くからマルクトのアルビオールが向ってくるのが見える。
2台はその島に降り立った。
 

「こ・・・これはフェレス島だ!」
ガイが驚きの声を上げる。
「ホドが崩落した衝撃で、津波に飲まれて消えたって話しだぞ」
 
「アリエッタの、故郷、です。ヴァン総長、言ってました。アリエッタの故郷、作ってくれるって」
小さな声で、アリエッタが呟いた。
「そんならこれは、レプリカなのか!」
一同は辺りを見渡し、その規模に息を呑んだ。
 
 
フェレス島の巨大なフォミクリー装置は稼動していた。十数名のレプリカが、うつろな目で歩き回っている。
近づこうとした時、声が響いた。

「それには近づけさせませんよ! 行きなさい、カイザーディストXX!」
「いい加減にしなさい! ディスト」
ジェイドがセイントバブルを放つ。そこにシリウスがフリジットコフィンを重ね、カイザーディストは破壊された。
「ジェイド、あなたは変わってしまいました。ネビリム先生を復活させたくないのですか! 昔みたいにまたみんなで・・・」
「レプリカは! ・・・作られた時点でもうすでに別の人間です。ルークを、シンクを見てきたあなたが何故分からないでのですか! 人は、死んだらもう、戻らないのです!」

激高するジェイドを、皆は驚きの目で見つめた。
「う・・・うう、ジェイド・・・!」
鼻水を垂らして泣き始めたディストを、シンクが蹴り飛ばし気絶させる。
ぐるぐるに縛り上げたそれを、ガイが担いだ。
 
「・・・ルーク、許してください・・・私が愚かでした」
真っ直ぐにルークを見つめたジェイドが眼を伏せて謝罪し、フォミクリー装置へと歩いていった。
 

 
ジェイドがレプリカの製造を停止させ、データをコピーする。
「さて、やっちゃって良いか」
「こんな巨大なもの、どうやって壊しますか」
ジェイドの問いに、シリウスがニヤッと笑う。
「秘奥義でも一発。モノに出来るならやってみな。・・・インディグネィション!」
ぐわっと光が膨れ上がり、凄まじい音を立てて装置は完全に沈黙した。
その威力に、誰もが呆然と固まっていた。
シリウスが笑いながら振り返った。
「じゃあ、行こうか」
 

気を取り直しアルビオールに乗り込もうとした一同の前で、突然海面から光と共に巨大な建造物が浮上してきた。
そのまま空中に浮かび上がっていく。
「あれはホド! ヴァン、ついにやっちまったのか!」
ガイが叫ぶ。
「今こうしていても、仕方がありません。一度戻ってこれからの事を話し合いましょう」
ジェイドが息をのむ一同を促した。
 

ディストは取調べを受ける為、マルクトに護送された。
それによると、フォミクリーの施設はホド以外のものは全て破壊できたようだった。
 
作られたばかりのレプリカたちは、世界各地から集められ、両国共通の保護施設で教育を受ける事になった。
 
 
 
 
 
「問題は、瘴気です。すでに魔界と同じほど瘴気は濃度を増してしまった。このままではひと月もすれば人々は瘴気中毒で次々に倒れていくでしょう」
 
各国の要人をダアトに集め、作戦会議が開かれていた。
ジェイドの言葉に皆焦燥を隠せない。
「瘴気を何とかする方法が、一つだけあります。・・・シリウス、以前言った事を覚えていますか?
超振動で瘴気を中和できるのは、本当なのです。・・・しかし、多大な犠牲が必要です。第七譜術師一万人分のセブンスフォニムとそれを施行するものの命です。音素を収束させるローレライの剣を用いて超振動を起こせば、瘴気は中和できるでしょう。しかし、それを行った者は生きてはいられないでしょう・・・」

「なんだと! ルーシェルかアッシュのどちらかが死なねばならんという事か?!」
クリムゾンが絶望の表情で声を荒げる。
「お、俺がやる! アッシュはローレライの解放を・・・!」
「何言ってやがる! てめぇは死にたいのか! 俺がやる!」
ガイやナタリアが口々に引き止める。
「ルーク、何でお前が死ななきゃならないんだ!」
「アッシュ、考え直してください! お父様何か言って下さいませ」
「お前達を犠牲にすることは出来ん・・・しかし」
逡巡するインゴベルトに、ナタリアは絶望の眼を向けた。
「世界を取るか、どちらか一人の命をとるか、だ。・・・すまん」
ピオニーが二人に頭を下げた。
 
 
 
「ちょっと待て。何故みんな、アッシュかルーク、どちらかが死ぬことを前提に話を進めてるんだ。何故2人が生き残る方法を探さない」
それまで無言で様子を見ていたシリウスが、強い調子で発言した。怒っている。
「しかし、下手をしたら二人とも死ぬことになりますよ」
「予備に残そうってか? 随分と傲慢な考えだな」
ジェイドの言葉に吐き捨てる。

シリウスは二人に向き直ると、話し始めた。
「一人でやったら死ぬかも知れない。では二人なら?三人ならどうだ? 二人が力を合わせれば、生き残る確率は50%だ。俺も俺の力の全てをつかって手伝う。ほら、66%じゃないか。そう分の悪い賭けじゃない。
アッシュ、いつか言ったよね。一人では支えきれないほどの使命を受けて生まれた、だから支えあえるように二人になった、って。何で一人でやろうと思うんだ。
死なせないよ。『氷華』ファリィヤと『双牙』フェンリルの子、『冥王』シリウスの名にかけて。
君たちはどうなの? 半身を残して世界のために犠牲になる事を望むの?」
 

アッシュとルークは、目を合わせ、硬く手を繋ぎあうと言った。
「俺たちは生きたい! 2人でこの世界で生きるためにやりたい」
ふっと笑ったシリウスは、一同に向うと頭を下げた。
「時間をくれ。10日で良い。準備がある」
 

「苦しんでいる民は一刻も早い中和を望んでいますのよ」
ナタリアが思わず、といった感じで口を挟むと、シリウスは皮肉気に答えた。
「10日で民は死なないだろう? それこそその大層な慈悲の心で具合の悪い民を救ってやったらどうだ。 
たった10日の事だろう? それとも準備不足で3人とも死ぬのがお望みか?
・・・1%でも2%でも成功の確率が上がるなら、俺は何でもやる」
 
「1万人分のフォニムはどうしますか?」
ジェイドの問いに、笑って答える。
「でっかいレプリカが有ったじゃないか。海の上に。べつに、1万人犠牲にする必要は無いだろ」
「・・・なるほど、フェレス島を使うつもりですか」
 
 
戻ろうとするアッシュとルークにピオニーが話しかけた。
「すまんな・・・俺はいつでもお前達を犠牲にしてばかりだ」
隣でインゴベルトも頷いている。
「陛下の立場なら、当たり前の事です。最小の犠牲で、最大の成果を。民のために。・・・それが王だ」

苦笑するとピオニーはこんどはシリウスに話しかけた。
「二人を頼む。・・・しかし、お前が『冥王』だったとはな」
「冥王って?」
首を傾げるルークに説明する。
「すげえ強い、伝説の傭兵だ。傭兵の王と言われている。一番強い奴が冥王と呼ばれるんだ」

ピオニーの言葉にシリウスは笑って手を振る。
「それは言いすぎです。『二つ名は名乗るものではない』とか言っておきながら、自分で名乗っちゃいましたね、かっこ悪い」

「いや、惚れそうになったぞ。母君にそっくりだな」
珍しいクリムゾンの冗談に、インゴベルトは口を開いて固まった。
 


 
 

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