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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.09,Tue

 

数刻後、外が騒がしくなりガイが飛び込んできた。
「ルークー、無事か! 心配したぜぇ・・・」
「煩い、ルーク様は休息中だ」
「・・・今起きた」


身体をおこすルークを支える。
「頭痛は?」
「だいぶへいきになった」
「みんなで駆けつけたんだが、上でアリエッタに襲い掛かられてさ。大佐とティアに親の仇と言ってたが。片がつきそうなんで先に来た」
「ガイ、何で来た。残れと言っただろう。まさかイオン様まで連れてきてないだろうな」
その言葉にうろたえたガイが、しどろもどろに言葉を返す。
「い・・・いや、どうしてもって言うんで連れてきたけど。馬車で来たから!」
「お前は馬鹿か。それで?イオン様を残して、戦闘中のマルクト名代をほっぽって来たのか。
・・・俺はルーク様個人の護衛だが、お前はあいつらの護衛だろう! なに考えてんだ!!」
「ルークが心配だったし、俺はルークの使用人だから・・・」
「お前は使用人として一行に任命されたのか! 違うだろ?」
 

「お説教はその辺にしてあげてください」

ジェイドが近づいてくる。そしてはっとしたように装置を見渡した。
「こ・・・これはまさかフォミクリー。ディストですか!」
装置を立ち上げると、破棄されたデータの復元を試みる。
「これは第七音素? 完全同位体・・・まさか」
「何かわかりましたか?」
シリウスが近づくと、ジェイドは眼鏡を押さえた。
「いえ、データは完全ではない。・・・確証の無い事は言えません」
 
 
 
デオ峠に差し掛かると、疲れ果てたイオンが遅れる様になってきた。その都度休息する為、急ぎたいルークは苛苛するようになって来た。

「だから言ったろ! 無理だって」
「すみません・・・ぼくのために」
「イオン様は悪くないですよ~。ちょっとルーク! イオン様に謝りなさいよ!」
「何で俺が謝るんだよ! 当然の事しか言ってないだろ! お前もちゃんとイオン見てろよ!」
「本当に傲慢ね。その性格なんとかしないと、いつか痛い目見るわよ」
「ルークは昔から我侭だったからなぁ」
一同から口々に責め立てられ、癇癪を起こしたルークは 踵を返した。

 

ぎすぎすしたパーティーの雰囲気から逃れるように、少し離れたところに座り、シリウスはルークに話しかける。
「今日は、瘴気についてお話しましょうか。音素の歴史についてはお話しましたね。あるとき一人の学者が第七音素を見つけ、それを巡って世界中を巻き込む戦争が起きたのです。地上は瘴気に包まれ、世界の半分もの人が死に絶えました。それを何とかしようとしたのがユリア・ジュエです。ユリアはローレライと契約し、戦争を止めて、瘴気を地下に封じ込めたと言われています」
「ユリアとかローレライって、ローレライ教団はそこから来てるのか? 瘴気なんて、どうやって封じ込めたんだろう」
「さあ、そこまでは私もわかりません。2000年も前の事だし、私も聞いた話ですから。二度と世界を壊すような戦争が起こらないように、科学の大半は封印されてしまったそうです」
「ふーん・・・じゃあ、封じ込めた瘴気が、漏れて来てるのかもしれないな。吸うと病気になるんだろ?」
「瘴気障害ですね。内臓がやられ、体中に痛みが走り、悪化すると死に至ります。瘴気障害は感染しませんが、弱った身体は他の病気を併発しているかも知れません。無闇に素手で触れてはいけませんよ」
「解った、気をつける。・・・なぁ。師匠は内緒って言ったんだけど、俺の力、超振動って言うんだって。それで瘴気が消せるって言ってたんだ。ホントかな?」

その言葉にシリウスは考え込んだ。
「超振動? あれは第七音素師が二人で起こすものではないんですか? 確かにヴァン殿もルーク様も第七音素師ですが・・・私にはお答えする事が出来ません。ジェイド殿にでも聞いて見ましょう」
「あのイヤミが教えてくれっかよ」
 憮然とした表情でそっぽを向いたルークに、シリウスは苦笑を返した。

 

夕食の後、シリウスはジェイドに訊ねてみた。
「カーティス大佐。ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか」
「なんです、シリウス。手短にお願いします」
「瘴気は超振動によって消せるものなのでしょうか?」
「何故そんな事を? ・・・理論上可能であるとは言えますが」
「瘴気を消す方法を考えていたのです。その方法を知っていますか?」
「さて、そこまではお答えできませんね」

やはり一筋縄ではいかないらしい。方法を知っていたとしても、他国の人間に軽々しく言えるものではないのだろう。そう思いながらもシリウスは舌打ちをしたい気分になった。
「そうですか、ありがとうございました」
「いえいえ。あなたもお坊ちゃんのお守りは大変ですねぇ」
シリウスはジェイドに一礼し、ルークのところに戻る。

 

「超振動で瘴気を消すことは、理論上は可能だそうです。しかし方法までは解りませんでした」
その言葉にルークは明るい表情になった。
「すげー! 師匠の言った事は合ってたんだ。なら師匠に任せれば大丈夫だろ」

ヴァンを信頼しきっているルークの様子に、言いようの無い不安が沸き起こる。
シリウスから見れば、ヴァンの行動はは怪し過ぎたのだ。しかし何が怪しいかが分からない。
もどかしい気持ちを押さえ込んで、務めて冷静にシリウスはルークに語りかけた。

「・・・ただ、超振動はとても大きな力です。制御に失敗すれば、あたりを巻き込んで破壊しかねない。私は心配です。ヴァン殿にお会いしたら、方法を詳しく聞いてからお決めになった方がいいと思います」
「シリウスは心配性だな! でも失敗したら師匠まで危ないもんな。わかった、聞いて見るよ」
 

途中、魔弾のリグレットの襲撃があったが、威嚇のみで去っていった。
しかしその際の同行者の言葉に、シリウスの苛立ちは募るばかりだった。
(皆、何かを知りながら隠している。それも鍵となる重要な事を! いったい何が起きているんだ!)
 

 

アクゼリュスの門をくぐり、一行は立ち込める瘴気に呆然とした。倒れている人が何人も見える。
救助隊の姿を探しながら、シリウスはジェイドに尋ねた。
「カーティス大佐、マルクトからの救援は到着していないのですか?」
「は? 私たちが来たではありませんか」
その言葉にシリウスは驚愕する。
「何ですって? この人数で、住民全てを救助できると思っているのですか!」
「・・・此処まで酷いとは思って居ませんでした。今そんな事を言ってもしょうがないでしょう」

 
倒れた人を抱き起こそうとするナタリアをルークが止める。
それに憤慨するナタリアに味方して、ティアやアニスが口々に言い募ろうとする。
シリウスがナタリアの肩に手を掛け、話しかけた。

「ナタリア様、衰弱した身体は二次感染を引き起こしている可能性があります。心情的に理解できますが、素手で病人に触れないのは、救助の基本です」
その言葉に皆ばつが悪そうに黙り込んだ。


シリウスは辺りを見渡し、声をかける。
「責任者の方はおられますか! キムラスカより親善大使としてルーク・フォン・ファブレ様が参られました」
よろめきながら初老の男が進み出る。
「私が、此処の責任者です。お待ちしていました。町の人口の半数以上がすでに死亡してしまいました。・・・助けに来てくれて、ありがとうございます」
「先遣隊は、到着していますか?」
「何名か、坑道に入っていきました。それきり姿が見えません」
「わかりました。すぐに此処から離れた方がいい。門から少し行った所に陸艦が乗り捨てられていました。歩ける者は、そこに避難して下さい」

目先の者を介抱する同行者は無視して、シリウスは助かりそうな者の移動を優先した。
「なぁ、俺は何したら良い?」
不安そうに辺りを見回すルークに、シリウスは優しく言った。
「こういう時、上に立つ者は指示を出すものです。あちこち移動しては命令系統が乱れますから。初めての公務が、とんだ大事になってしまいましたね。ルーク様は私のすることをよく見て、指示の出し方を学んでください。それが今あなたのすべき事です。けして私から離れないで下さい。人一人がやれる事には限界があります。指示を出しながらでは、あなたの守りが疎かになりかねない」
「わかった」
素直に頷いたルークはシリウスの側に立ち、災害救助を学ぼうと懸命に耳を傾けていた。


傍目にはシリウスの側に立っているだけのルークに同行者は非難の目を向けたが、無視すると話しかけてこなくなった。
まだかろうじて元気な住人に指示を出し避難の手はずを整えると、シリウスは息をついた。

「後は時間が勝負です。瘴気にやられるのが先が、逃げ出せるのが先か。動けない者を全て助けるのはもう無理でしょう。人手が足りないし、移動させても瘴気障害が進みすぎている」
「やっぱ、俺が遅くなったからかな。 ・・・なあ、ヴァン師匠を探して、瘴気を消そうよ!」
「・・・・・・それも考えに入れた方が良いかもしれません」
動ける住民に指示を出し後を任せると、シリウスはルークと連れ立って坑道に入っていった。
 


一際濃い瘴気に顔をしかめる。坑道の奥には人が倒れ、同行者がそれを介抱していた。
その中にアニスの姿を見つけ、シリウスは驚愕する。
「こんな中に導師を連れてきたのか? 導師は何処に・・・!」
奥の方にふらふらと進んでいくイオンを見つけ、二人は急いで後を追った。

もう少しで追いつきそうになった時、突然ルークを頭痛が襲う。
(そこから先に行くのはよせっ!)
頭に響く声にパニックになりながらルークは叫んだ。
「何なんだよこれ! 行くなって言ってる!」
(奥に行くんじゃねぇ!取り返しがつかねぇぞ! 言うことを聞きやがれっ!)
「でもイオンが向こうにいるんだ! 助けないと!」

イオンは模様のついた扉の前にいた。近くにヴァンが立っている。
ヴァンがルークを見て笑いイオンに話しかけると、イオンは扉に手を差し伸べた。
光が扉を覆い、封咒が解かれる。
「さあ、ルーク、こちらに来るのだ」
(やめろ! 行くんじゃねぇっ! アクゼリュスを滅ぼすつもりか!)
「瘴気を消さなきゃ、みんな死んじゃうだろ!!」
頭痛を堪え、ルークはシリウスとともにその部屋の中に入っていった。

中央に巨大な音機関が光を発していた。
「これは何ですか、師匠。どうやって瘴気を消すんですか?」
「これは大地を支えるパッセージリング。ここで超振動を使って、瘴気を中和するのだ。さあ、こっちへおいで」

ヴァンに近づこうとしたルークの脳裏に、辺りを破壊しかねないと言うシリウスの言葉が蘇った。
不安に立ち竦む。それを庇うようにシリウスが立った。
「ヴァン師匠。少し待って下さい。住民の避難がもう少し出来てからにしませんか」
「ふん・・・余計な知恵を付けられたか。しかしもう遅い」
ヴァンは傍らのイオンをシリウスに向けて突き飛ばした。そして動揺するルークに刃を走らせる。
イオンを受け止めたせいで、とっさに反撃できなかったシリウスは、ルークを身体で突き飛ばした。

「ぐぁっ・・・!」

肩から腰まで切り裂かれたシリウスは倒れこんだ。辺りが赤く染まる。
「忠犬を始末するのは、主人を狙うのが一番だな」
「師匠! 何でこんな事を! シリウス!!」

ヴァンはルークを無理やりパッセージリングの前まで引き摺って行った。
「や・・・止めろ! ルーク様を放せ・・・!」
よろめくシリウスが近づいてくるその目前で、ヴァンはルークに言葉を放った。

「さぁ…『愚かなレプリカルーク』力を解放するのだ!」

ガクリと力の抜けたルークは無表情に両手を前に上げた。その手の間に光が集まり、弾けた。
轟音と共にパッセージリングが崩壊してゆく。
「・・・ようやく役に立ってくれたな。レプリカ」
ルークは人形のようにゆっくりと倒れていった。
そこにアッシュを先頭に一同が飛び込んでくる
。ヴァンはアッシュを捕らえ、グリフォンでその場を去っていった。


ティアの歌う譜歌に守られ、ゆっくりと降下してゆく。
たどり着いたそこは瘴気に覆われた魔界(クリフォト)だった。


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