忍者ブログ
同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by tafuto - 2007.12.11,Tue

 

バチカルに着き(ガイはアルビオールを降りるのがちょっと残念そうだった)王に親書を手渡した後、歓迎の宴が開かれた。
アッシュが長年根回しをしていたおかげで、集まった貴族たちは皆友好的である。
ガイはそこで自分の従姉妹であるジョゼット・セシルに改めて紹介された。

「いつぞやは名乗りもせず失礼しました。ガルディオス伯爵。」
「いえ、こちらこそ。こうしてお会いできて嬉しいですよ。」
亡き母の面影をもつジョゼットを見て、ガイは懐かしさに目を細める。
セシル家は前王の時代に没落していたが、ジョゼットは己の才覚と剣の腕で少将まで登りつめていた。
「和平が締結したら、ぜひ我が家にもおいでください。きっと父も喜ぶでしょう。」


友好的な雰囲気の中で宴もお開きになり、王の私室の応接間で歓談しているところで、ガイは思い切って訊ねてみた。
「クリムゾン王、不躾ながらお願いがあるのです。城に捕らえられているヴァン・グランツに面会させてはいただけないでしょうか?彼は本名をヴァンデスデルカと言い、私の兄のような存在でした。何故あんな考えを持ってしまったのか、話して見たいのです。」
アッシュはふっと笑うと、頷いた。
「構わない、許可しよう。ぜひ、話してやってくれ。」
「ありがとうございます!」

 

ひっそりと静まり返った牢獄に、王と王妃は自らガイを案内していった。
牢番に手を振り人払いを命じる。
ガイは扉の格子越しにヴァンに話しかけた。
「ヴァン!」
その声に顔を上げたヴァンは、ガイの顔を凝視すると驚愕したように立ち上がった。
「ガイラルディア様!生きておられたのか!」
「ああ、クリムゾン殿のおかげで皆無事だった。お前は、何故こんな事を・・・!」
長い間俯いていたヴァンは、やがて言葉を搾り出した。
「・・・・・・私は、預言が・・・いや、預言に踊らされる愚かな人間が憎かったのです。大事なものを全てこの手で壊させられ、見捨てられた事を恨んだのです。」
歯を食いしばったヴァンを、ガイは痛ましそうに見つめた。


「父上は、拉致されたお前を助け出そうと研究所に向かって、建物の崩壊に巻き込まれて重傷を負った。お前を助けられずに済まないと謝っていた。キムラスカとマルクトは今、和平を結ぼうとしている。・・・預言は、もう覆されつつあるんだ。まだお前は全てを憎み続けるのか!?」
瞠目したヴァンは、ドサリとベッドに腰を下ろし、顔を覆った。


「それでもお前が全てを憎み、世界に仇為そうとするなら、せめてもの情けだ、主としてこの俺がお前を討つ!」
「・・・・・・・・・」
ヴァンは、答えられなかった。

やがてアッシュがガイを促し、一同は去っていった。

「・・・私のしようとして来た事は、全て無駄だったのか・・・なんと愚かな・・・」
誰も居ない独房で、ヴァンは自嘲の笑みを漏らした。

 


暗くなってしまったガイを慰めようと、ルーは頑張った。
美味しいカクテルを勧め、楽しい話題を話しかけた。ルークとエステルも一生懸命盛り上げようとしている。
そこに、娘達が就寝の挨拶にやって来た。
「お母様、お父様、おやすみなさい。」
「おやすみなさい!」
ラッキーvと思ったルーは、娘達をガイに紹介することにした。
「ルーシー、エル。ガイラルディア・ガラン・ガルディオス伯爵にご挨拶なさい。」


7歳の小さなレディ達は、ドレスを摘んで軽やかに挨拶をする。
「はじめまして、エルウィングと申します。以後お見知り置きを、ガルディオス伯爵様。」
深紅の真っ直ぐな髪を持ち、年齢の割に大人びた雰囲気の少女が挨拶をした。

「はじめまして、ルーシアです。ガイラルディア様!お会いできて嬉しいわ!明日は私ともお話してくださいね。」
朱色のふわふわとした髪の少女が、満面の笑顔でガイに笑いかけた。そのままちょこんとガイの頬に口付けを落とすと、王と王妃に挨拶をして二人は出て行った。

 

二人が出て行ったほうを呆然と見ているガイに、ルークとエステルが顔を見合わせる。
そっと覗き込むと、ガイは何やらぶつぶつと呟いている。
「・・・天使だ・・・俺の天使がここにいた・・・!ルーシア、なんて可愛いんだ・・・俺の理想の天使!」
そんなガイの様子に、ルーは苦笑して、アッシュはちょっとムッとした。(なんたって男親だ)
ルークはわなわなと震えて、鼻血を噴かんばかりに紅潮しているガイの頬を殴り付けた。


「てめぇ!このロリコン野郎!妹はまだ7歳だぞ!手ぇ出したらただじゃおかねぇからな!」
「い、いや10年経てば17歳と31歳でちょうどつり合うじゃないか!お義兄さん!」
「誰が誰の兄だ!ふざけるなぁ!」

エクスプロードと唱えようとしたルークをエステルが慌てて止めに入った。
いきなり騒然とし始めた室内を、ルーとアッシュは苦笑して見ていた。
ほっといても、まあ大丈夫だろう。ルークの暴走はエステルに任しておけば。


「まあ、ガイも浮上したし、結果オーライかなv」
「奴にルーシアをくれてやるのは腹が立つがな。精々いびり倒してやろう。」
「まぁったぁ、そんな事言っちゃって!ガイの事けっこう気に入ったくせに。」
「ふん、まあな。」
くすくすと笑いあった夫婦は、ちょん、と口付けを交わした。
うっかりそれを見てしまったエステルが(またか!)という感じに天を仰いだ。
ルークとガイは、まだやりあっている。

「ガイ、今日は寝かせないぞ!一晩かけていかに妹たちが可愛いかを語ってやる!」
「おう!望む所だ!」
ガイはルークに引き摺っていかれた。
「父上、母上、お休みなさい!」
エステルも慌ててそれを追う。ルークがいつ暴走するか、分かったモンじゃない。
けっこういいコンビネーションの三人だった。

 


歓迎の宴の後、疲れてしまったイオンを迎賓館である元ファブレ邸に送ってきたジェイド達は、そのまま屋敷で寛いでいた。
応接室でお茶を楽しみながら歓談していた所に、一人の少年が飛び込んでくる。

「フローリアン、人がいる時に来ちゃダメ、です!」
「だって、アリエッタ!僕の兄弟たちに早く会いたかったんだよ!イオン、シンク、はじめまして!僕はフローリアンです。」
中途半端にしか刷り込みのされなかったフローリアンは、子供っぽさを表した全開笑顔で二人の手を取った。
「フローリアン、モースにばれたら、まずい、です。」
アリエッタがチラッとアニスの方を見て言った。

「モースなんて、今頃失脚してるよ。戦争を起こそうとした罪でね。」
シンクが嘲笑するように返した。つけていた仮面をぽいっと投げ捨てる。


同じ顔の3人を絶句して見ていたアニスは、蒼白になるとイオンの前に跪いた。
自分がモースの手の者だという事は、全て知られていたのだ。

「申し訳ございません、イオン様。私はモースのスパイでした。カーティス大佐、タルタロスの進路をモースに流したのは私です。どうぞ処罰を!・・・私は極刑になっても構わないんです、だけど、両親だけは助けてください!」

「アニス・・・あなたがモースのスパイだというのは、知っていました。けれどあなたが時々酷く辛そうに僕を見ていたのを知っているんです。とても優秀なのに、時々わざと僕を見失ったり、人に聞かせるように無礼な口を聞く事も・・・何かあるなら、話して下さい。」
アニスは弾かれたように顔を上げると、涙を落とした。
「パパとママが、ダアトの地下牢に閉じ込められているんです。スパイを続けるなら殺さないと言われて。・・・ああやって失敗すれば、イオン様は呆れて私を解任してくれるんじゃないかと思って失礼な事を。ごめんなさい、イオン様!」

床に蹲って泣きじゃくるアニスを、痛ましそうに見つめたイオンは、そっと膝をついた。
「アニス・・・モースは失脚しました。あなたはもう自由なんです。そして、もう一度僕と友達になってくれませんか? 僕はアニスの、世話焼きで朗らかな所が大好きなんです。」
アニスはぐしゃぐしゃになった顔を上げた。イオンが微笑みかける。

「まあ、タルタロスの事は、幸い死者もいなかったことですし、モースの悪事の証言をしてもらえれば司法取引で免罪されるでしょう。」
黙って聞いていたジェイドが口を挟んだ。
「ありがとうございます、ジェイド。」

「いいえ。・・・しかし、レプリカというのは皆違った人間なのですね。少しも同じ所が無い。
・・・あの洟垂れも早くその事に気付けばいいものを・・・」
突然の展開にびっくりしていたフローリアンがぎこちなくアニスを慰めている。
イオンが優しく微笑み、シンクが呆れたようにアリエッタとお茶をすすっている。
そんな光景を見ながら、ジェイドは呟いた。


翌日、見違えたように導師守護役らしい態度になったアニスと、シンク、アリエッタを連れてイオンはダアトへと帰還して行った。兄弟たちと一緒に居る事を望んだフローリアンも着いて行った。
モースが失脚した後始末をしなければならない。しばらくダアトは忙しくなるだろう。

 

 

PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
はくしゅ
気に入って下さいましたら、 ぜひぽちっとな
プロフィール
HN:
tafuto
性別:
女性
自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

当家のPCとセキュリティ
Windows Vista  IE8
Norton Internet Security 2009
GENOウィルス対策↓
Adobe Reader 9.4.4
Adobe Flash Player WIN 10,3,181,14
メールフォーム
カウンター
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]