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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2007.12.13,Thu

 

アルビオールで送られたガイ達が、クリムゾンからの親書をマルクト皇帝に手渡し、数週間後に自治区であるケセドニアで両国の和平が締結される運びとなった。


キムラスカからは王と王妃、それに二人の子息が出席している。
マルクトからはピオニー皇帝と護衛のジェイド、それに和平の功労者であるガルディオス伯爵が出席していた。
ピオニーは羨ましかったアルビオールに乗れてご満悦である。(ガイがアルビオールでグランコクマに帰ったときは、拗ねたピオニーをなだめるのが大変だった。)

ダアトからは導師と、失脚したモースに代わってその座に着いた大詠師トリトハイムが出席していた。
そうそうたる顔ぶれである。広いアスター邸が手狭に感じるほどだ。
しかしその顔は皆、明るく輝いていた。やっとこの日を迎えることが出来たのだ。

 

滞りなく和平締結の調印も終わり、歓談の席に移った。華美な事を嫌う両国の王の勧めで、軽いものを摘みながらの立食形式だ。(最も、アスターは王に相応しい選び抜いた食材を準備したが)
ルークとエステルはガイやイオンたちと楽しそうに話している。

ピオニーが朗らかに笑いながら硬くアッシュと握手を交わした。
「クリムゾン王、お会いしたかったですよ。王の手腕には敬服する。マルクトがここまで来れたのは王のおかげです。シュザンヌ王妃にも世話になった。」
アッシュも微笑みながらそれに答えた。
「いや、ピオニー陛下もこの短期間で貴族を纏め上げた手腕は大したものだ。この時が有るのは陛下の努力の賜物です。」

ピオニーは笑いながら小声で続けた。
「いよいよあの計画を行動に移せる日が来ましたね。その前に、ご子息をグランコクマにご案内できませんか。『アレ』が完成しました。」
眼を見張ったアッシュは、嬉しそうに微笑んだ。隣でルーも目を潤ませている。
最大の懸念であった大爆発問題が解決した。
自分達の悲劇を、息子たちは繰り返さないですむのだ。
これで大爆発を気にすることなく大地の降下に移る事が出来る。
「そうか!・・・待ち望んでいました。それでは息子達をグランコクマへと訪問させましょう。
・・・和平の証に。」
「マルクトはご子息を歓迎いたします。」

 

歓談もそろそろお開きとなりかけた時に、不意にピオニーがアッシュに訊ねた。
「ところで先ほどから思っていたのですが、なぜ王と王妃の愛称が『ルー』と『アッシュ』なのですか?」
その質問に、辺りが静まり返った。
(あ~聞いちゃったよ、この人!)と言う感じである。
18年間、誰もが聞きたくて聞けなかった事だった。さすがはピオニー陛下!
ピオニーは(えっ、俺まずいこと聞いちゃった?)と言うように視線を彷徨わせている。
皆、聞いていないふりをしながら興味津々で聞き耳を立てていた。


しばし無言だったアッシュが、咳払いしながら答えた。至極真面目な顔である。


「・・・・・・・・・妻を知った時、私は愛の焔に焼き尽くされ、灰になったのだ。その灰に降り注いだ光が、ルー(光)なのです。」


ぐえっふぉ!とあちこちからむせる音が響いた。高価な食器を落として割れた音も。
ルークなど、涙目で蹲っている。顔が真っ赤だ。(ガイが背中をさすってやっていた。)


「やっだ、もう!恥ずかしいんだから!アッシュの馬鹿v」
ルーが思い切りアッシュの背中をひっぱたき、アッシュがよろめいた。
ルーは顔を真っ赤にして頬を両手で押さえている。
背中の痛みをこらえながらアッシュが答えた。
「・・・だが、間違ってはいないだろう?」
「そりゃそうだけど・・・もうv」

突然イチャイチャしはじめた万年バカップルに、かける言葉は見つからなかった。
峻厳な王と気高い王妃のイメージがガラガラと崩れていく。
(・・・聞くんじゃなかった・・・!!)
ピオニーは質問してしまった事をものすごく後悔した。

 


翌週、和平の証としてキムラスカ皇子のグランコクマへの表敬訪問が行われた。
戦争で家族を失い微妙な顔をする者もいたが、和平を推し進めたクリムゾンがホドの民を救ったと言う噂は広く伝わっていた為、国民の大部分は二人を歓迎していた。
聡明で凛々しいルークと優しくて芯の強いエステルは、次代の施政者としての資質をマルクト国民に強く印象付けた。


視察の名目で研究所を訪れた二人は、ジェイドにこっそりと奥の部屋に誘われた。
今回の訪問の第一目的である大爆発を防止する為だ。
「まずお二人の固有振動数を計測させていただきます。・・・サフィール、準備を。」
「出来てますよ、ジェイド。」
奥から出てきた白衣の男に、ルークは僅かに顔を硬くした。
「そいつは誘拐された時に見たことがある。」

「・・・あなたから完全同位体を作る装置を開発したのは私ですから。イオンレプリカを作ったのもね。モースが失脚して、私はマルクト預かりで罪を償う事になりました。・・・・・・ああ、本当に似ていない、ジェイドの言うとおりだ・・・完全同位体でも、レプリカは生まれ出た瞬間から被験者とは別の存在なんですねぇ。」

感慨深そうなサフィールを装置の方に追いやって、ジェイドは二人に話しかけた。
「もう悪さは出来ませんから大丈夫ですよ。アレはただの下僕ですから。」
ジェイドの笑顔が怖えぇ!と戦きながら、二人は装置に横になった。

 

その晩、王宮に用意された二人の部屋にジェイドが訪ねてきた。
二人に、にっこりと微笑みかける。
「出来ましたよ。アンチフォンスロットの原理を応用して、体内のフォニムが乖離しないように開発したものです。被験者のフォニムの乖離を抑えれば大爆発は防げるはずですし、レプリカの弱点である乖離しやすいと言う点も防止出来るでしょう。」
緑色に光る石のついたペンダントを二人に差し出す。
「これを肌身離さず着けていて下さい。・・・死ぬまでね。メンテナンスは引き受けますから。」

ルークとエステルは顔を見合わせると二人でペンダントを付け合った。
「ありがとう、ジェイド。」
「けっこう似合うな、エステル。・・・礼を言う、ジェイド。」
「ああ、それをデザインしたのは陛下ですから。今度礼を言って置いて下さいね。」


翌日礼を言いに行った二人がピオニーに散々遊ばれたのは言うまでも無い。
ブウサギの着ぐるみを着せられたエステルは涙目だったが、うっかりガイに見られて「数年後のルーシアちゃんv」と手を握られたドレス姿のルークよりはマシだろう。

 

 

外殻大地降下作戦を行う前に、まずアクゼリュスを落とす必要が有った。
パッセージリングを起動させる為に、アルバート式封咒を解かなければならなかったからだ。
長年、超振動の制御の訓練をしてきたルークは、自分が行くと言い張った。
エステルがそれに異を唱える。
「ルク兄ばかりにさせられないよ!俺も手伝う!」
「危ないからお前は来るな!」
「危ないのはルク兄も一緒じゃないか!」
「町ひとつを滅ぼすなんて、お前にさせたくねぇんだよ!」

喧嘩になってしまった二人に、アッシュは静かに語りかけた。
「忘れたのか?お前達は互いの半身だと。苦しみを一人で背負う必要は無いのだ。支え合いなさい。お前達には他の誰にも真似出来ない繋がりが有るのだから。」
胸を衝かれたようにアッシュを見たふたりは、やがて苦笑して手を取り合った。
「二人で頑張ろう、エステル。」
「ああ!」


地核の流動化を止める装置はすでに完成しており、コーラル城に運び込まれていた。
アクゼリュスを崩落させたらすぐにでもそこから地核に投入できる。
しかし、もう一つ問題が有った。
アクゼリュスの崩落に他の大地を巻き込ませないようにするには、アクゼリュスのパッセージリングを切り離す必要が有った。
そしてそれにはパッセージリングを稼動させる必要があったのだ。
・・・ユリア式封咒を解いて。

 

 

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