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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.12.16,Sun

 

 

あれから10年の月日が経った。
ジェイドを中心とした両国合同の研究者チームによって、地下の瘴気はゆっくりと、だが着実に中和されつつある。
あと数十年もすれば、全ての瘴気が中和できるだろう。
預言が完全に覆された今、預言を絶対視していたユリアシティもその考えを改め、貴重な古代の知識を役立てる為に世界に門戸を開き、世界有数の学術都市となっていた。
功績により死罪を免ぜられたティアは、終生ユリアシティから出ない事を条件に釈放され、今は一市民として慎ましく暮らしているらしい。
ダアトはもう預言を詠む事は無い。人々の心の拠り所として、祈りを捧げる場所となっていた。
すっかり逞しく成長したイオンが皆と協力して立派に治めている。

 

昨年ルークはキムラスカの王に即位した。
エステルはファブレ公爵家の門跡を継いではと言う声を断り、子爵のままルークの補佐として働いている。時折暴走する王の手綱を取れる唯一の人物として欠かせない存在だ。
エステルは『自分は妾腹だから』とか言っているが、実はこの二人、すっかり出来上がっていて、お互いに妻を娶る事を良しとしなかったのだ。
代わりにエルウィングが成人した時にファブレ家を継ぐ事が決まっている。
アッシュとルーは『くっ付いちまうのも、まあ、しかたねぇか。あれも俺達だもんな・・・』と苦笑を漏らしていた。

王を退き隠居した二人は、あちこちに旅行したりピオニーやガルディオス伯の所に顔を出したりと、楽しく暮らしていた。特にルーは『わ~いvはじめての新婚旅行!』とはしゃいでいた。


ガイはあれから毎年のようにキムラスカを訪れては、ルーシアの心を射止めんと頑張っていた。(気が長いこった!と生暖かい眼で応援されている。)
アッシュとルークのいびりにも耐え続けた甲斐あって、やっと『優しいお兄ちゃん』から『素敵な恋人』に昇格したようだ。


今日はルーシアとガイの結婚式だ。
純白のドレスに身を包んだルーシアの可憐な笑顔は、マルクト国民全てを魅了した。
両国の国民に祝福された二人の結婚は、和平をより強固なものにする事だろう。
気の早い事に、とうとう子を作らなかったピオニーは二人の子供を養子にする気満々だ。
薄いながらもガルディオス家には皇帝の血が流れており、世界を救った英雄の一人であるガイは国民の知名度も高かったからだ。
おまけにキムラスカの皇女を娶ると来ては、貴族たちも反対のしようが無い。
長年、両国の重鎮達の頭を悩ませてきた後継者問題は、キムラスカの二人の皇女のおかげで片がつきそうだった。


喜びに顔を輝かせたルーシアが、ヴェールを上げてガイと誓いの口付けを交わしているのが見える。
感極まったガイがルーシアを抱き上げた。
幸せそうな笑い声と、歓声が辺りに響いた。

「ねえアッシュ、ルーシア、綺麗だね。」
「ああ、幸せそうで良かった・・・」

白髪混じりになったアッシュはルーの手を握り、ルーは幸せそうにその手を握り返した。
ただの父親と母親のようなその幸せそうな様子を、周囲の者達は深い敬愛とともに見守っていた。


ルーシアも、そして数年後にはエルウィングも幸せな結婚をし、たくさんの孫が生まれた。

 

 

長い歳月が経ち、年老いていよいよベッドから起きられなくなったアッシュの手を取り、ルーは微笑んだ。
髪は白くなり、深い皺が刻まれていたが、その眼はいつまでも悪戯っぽさを忘れなかった。
ごそごそとアッシュのベッドに潜り込んでくる。


「ねぇアッシュ・・・色々大変だったけど、楽しかったね。」
「ああ、・・・幸せだった・・・」


アッシュは抱きしめたルーの鼻先に口付けを落とした。
「俺はもういくが、お前まだ子供達を見てるか?」
「ううん、もう十分だよ。アッシュと一緒が良い。」
「そうか・・・なら一緒にいくか。」


キムラスカ史上最も偉大な王と王妃は、いつもそうしているように寄り添いあって眠りについた。
幸せそうな微笑を浮かべた二人は、抱き合いながらそっと目を閉じる。


窓からは柔らかい月の光が二人を照らしている。
その光に紛れるように、淡い朱金の光が二人からふわりと立ち昇った。


・・・二人の鼓動は、静かにその動きを止めていった。

 

 


「まったく、最後までラブラブなんだから!二人揃って逝っちゃうこと無いんじゃない?」
「でも二人とも幸せいっぱいって顔をしてたわ。だからこれで良かったのよ、きっと。」
目を赤くしてぷりぷり怒っているルーシアに、エルウィングは微笑みかけた。


暖炉の脇ではルークとエステルが分厚い日記帳を燃やしている。
そこにはクリムゾンとシュザンヌの驚くべき生涯が記されていた。(何と前世つきだ!)
さっき兄妹四人で読み終わったところだ。
日記の最後のページにはシュザンヌの字で『読んだら燃やしてねv』と書かれていた。
さすがにこれは後世に残せない。
ルークとエステルは、後でジェイドとガイだけには内容を教えてやろうと思いながら、一枚一枚大切に燃やしていった。
優しく暖かい思い出が胸に降り積もっていく。
この暖かさこそが、父と母が全力で守りぬいたものだ。
(父上、母上・・・ありがとうございました。)

 

一つ溜息をついたルーシアは、兄姉達にくるりと振り返ると満面の笑みで告げた。
「私たちも、父上と母上を見習って、一生幸せにならなくっちゃね!」

 

 

 

安らかな眠りについたアッシュとルーがふっと目を開けた時、そこは元の音譜帯の我が家だった。
「良く戻ったな、我の同位体たちよ。」
テーブルについていたローレライ1号が二人に微笑みかけた。
何もかも、行った時のままだ。蹴倒した椅子までそのままだった。


「あれ?アッシュ!俺、男に戻ってる!それに若い!」
「まあ、我達は時間を司るからな。・・・ここでは1分も経っていないぞ。まあ、茶でも飲め。」
「・・・なんか、ヒデェ詐欺にあった気分なのは俺だけか?」
憮然としたアッシュに、ローレライは苦笑しながらお茶を差し出した。
「まあ、そう言うな。上手くやったではないか。・・・幸せだったか?」
「・・・・・・ああ。」
アッシュはカップに口をつけながら、ふっと笑った。


ルークは久しぶりの男の身体を実感すべく胸や腹筋を触りまくっている。
それを見ていたアッシュは、不意ににやりと笑った。
「ルーク、男の身体を実感したいなら、俺が手伝ってやるぜ。」
ギクッとしたルークがアッシュを見た。
「え、遠慮します・・・!」
「この身体は久しぶりだ、ヤらせろ。」
「うひゃあ!お手柔らかに・・・!」

(いつもの事だが)突然イチャイチャしはじめた二人に、ローレライ1号は溜息をついた。
何十年経ってもバカップルは変わらないらしい。
「我は帰るぞ・・・・・・ぐへっ!!」
ローレライが玄関を出ようとしたその時、バターンとドアが開いた。
ローレライはドアと壁に挟まれてのびている。

 

「我を助けてくれぇ~!!」
・・・飛び込んできたのは、ローレライ(3号)だった。


「てめぇ・・・」
いい所を邪魔されたアッシュが魔王の様に笑いながら指をボキボキ鳴らしている。
すっかり気分まで若返っちゃって、まあ。

 

さあ、今度はどんな世界に飛ばされるのかな。
でも、隣にアッシュがいてくれるなら、何も怖くない。


ルークは、そっと微笑んだ。




                                    END

 

 

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