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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2008.01.29,Tue


拍手再録 クリスマス編    

  
                                      『雪山心中』

 

 

一面の白い雪の中を、同じ大きさの二つの足跡が、どこまでも続いていた
振り返れば、遠くにケテルブルクの灯りがきらきら光っている
しかし足跡の主は、けして振り返ろうとはしなかった

 


今日は聖夜の祭りだった
美しく飾り立てられた街に、寄り添う恋人達が、幸せそうな家族が、
連れ立って歩く、そんな日だった


そんな当たり前の幸福、全てに背を向けて足跡は遠ざかっていく
ほの白く光る闇の中に、二つの焔は分け入って行った

 


瘴気の中和は、周りの者が思うよりずっと、二人を蝕んでいた
厚い教団服に隠されたアッシュの身体は、衰弱し痩せ衰えていた
繋いだ手は、もう体温すら感じられない


大爆発の進んでいた身体は、中和によって加速度的に乖離を進行させた
そしてそんなアッシュの身体を支えて歩くルークの腕は
うっすらと消えかかっていた

 


大爆発によって流れ込むアッシュの音素を、
乖離しかかったルークの身体は、繋ぎとめておく事ができなかった
こうしている間にも、アッシュの音素はルークに流れ込み、
乖離しては消えてゆく

 

全てが消えてしまう前に、自分を殺してくれと泣くルークを
アッシュは抱きしめたまま
動く事が出来なかった

 

『一緒に行くか?・・・・・・ルーク』

『・・・・・・・・・うん、アッシュ』

 


国を、世界を、すべてを裏切っても
この手を離すことは
出来なかった

 

もう、街の灯りすら見えない
厚い雪雲は、星の光さえ通さない


ただ白い雪が
淡く淡く、光っては消えていった

 


繋いでいたルークの手がふっと揺らぎ、アッシュの手をすり抜けた
よろめいたアッシュは縋りつくように、祈るように
ルークをきつく抱きしめた


(全てが消えるまで、俺の音素をお前に)

 

『いつまでも一緒だよ、アッシュ・・・愛してる』

『ああ、知っている。・・・愛している。・・・永遠に。』

 

天に向かって降る、雪のように
淡い光が
空に昇っていった



             地上には、ただ、


             白い雪だけが



              残されていた

 


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