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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.05.07,Wed


※この二次創作作品には残虐的表現、性的表現が含まれております。
成人されていない方、残虐表現の苦手な方はお読みにならないことをお勧めいたします。

 















シェリダンの軟禁されている部屋でナタリアは開戦を知った。ガイ達にはあれから会わせて貰っていない。
食事を運んできた兵士から開戦したと告げられた時、ナタリアは叫んだ。
「どうしてです! アクゼリュスを落としたのはルークなのですからルークが悪いのではありませんか! 私をバチカルに連れて行って。お父様の誤解を解かなければ!」
うろたえるナタリアは、ジェイドに戦友を殺された兵士の憎悪のこもった冷たい視線に気づく事は無かった。

ナタリアがシェリダン襲撃に加担していたことは、すでに国王に報告してあった。
そしてモースはナタリアがインゴベルトの実の娘では無い事を告げていた。六神将のアッシュに聞いたガイの本名も。
ナタリアは知らなかったが、バチカルへは反逆者として護送されるのだ。

 

「お父様! 私がお父様の実の娘では無いとおっしゃるのですか!」
王の御前に引き出され縋り付くように手を伸ばすナタリアに、インゴベルトは冷たく吐き捨てた。
「・・・そんな事は、もうどうでも良いのだ。お前はわしの命に背きルークに付いて行った時言ったそうではないか。王女と思うな、と。もうお前をわしの娘などと思っておらん。大方スパイをさせるためにすり替えられたのであろう? でなければルークが死んだ崩落で生き残り、マルクト兵と共謀してアルビオールを奪いに来るなどするはずがない!」
「そんな! なぜそうしたかガイにお聞きになって下さいまし!」
「ガイ? ・・・あやつこそスパイの証。あやつはガルディオス家の遺児であるぞ。キムラスカに仇なす為に潜り込んでおったのだ!」
「な・・・それは本当ですの・・・?」
「白々しい・・・スパイと共謀してマルクトに加担した罪で死罪を申しつける。この女を連れて行け!」
「お父様! 嘘よ、違うとおっしゃって!」
叫びながら連れて行かれるナタリアを庇うものはいなかった。みな軽蔑と憎悪のこもった眼で見ている。
その視線に気づいた時、ナタリアは絶望した。

 

次の日、王城前広場にて公開処刑が行われた。
処刑台に引かれていくナタリアを見て人々は囁き合った。
「マルクトのスパイだって・・・本物のナタリア様を殺してすり替わったらしいよ」
「次期国王のルーク様を死に追いやって、マルクト兵と一緒に国家機密を奪おうとしたんだって・・・」
「私たちを騙していたのね!」
虚ろな表情のナタリアに、いくつもの石が投げられる。
ナタリアは処刑台に跪かされ、剣が振り上げられた。 ナタリアは気が狂ったように叫んだ。
「いやああああああぁ!」
ごとりと重い音が響き、悲鳴が止まった。

喝采を叫ぶ民衆の前に、今度は金髪の若い男が引き出された。
「ちきしょう! ファブレ公爵! 一族の仇!」
暴れ叫ぶ男は殴られ、押さえつけられて跪かされた。
「あれ、ガイよ。人は見かけによらないわね。ガルディオスだったんですって・・・何年もずっと復讐の機会を窺っていたんでしょう?」
「ルーク様を殺したの、あいつじゃないの? 怖いわ、私たちも危なかったんじゃない」
ファブレ家に勤めるメイドが囁き交わす。
剣が閃き、再び重い音が響いた。
もう一人、同じくスパイだという庭師の老人が斬首されたあと、広場は静けさを取り戻した。


ティアは度重なる不敬でキムラスカから死罪を要求されたが、ユリアの子孫だと言う事でモースがダアトでの終身刑を条件に引き取った。
アニスは王族への不敬と職務怠慢でダアトで裁かれることになった。
しかしダアトで留置されていたはずのティアの姿は、いつの間にか消え失せていた。

そして同じ頃、どこからも助けの来る事の無かったセントビナーが瘴気の海にのみ込まれて消滅していた。

 


「なぁなぁアッシュ! 偽姫と自称親友が斬首されたってさ」
「ああ、眼鏡もシェリダンで死んだって話じゃねぇか・・・お前、何かしたのか?」
「まっさかぁ! 俺が何もしなかったから、あいつらは当然の裁きを受けたんだよ。俺はただ『見てた』だけさ」

くすくすと笑いながら、ルークはしどけなく横たわったアッシュの中心を愛撫していた。愛しそうに舌を絡め、吸い上げる。
少し荒くなった息を吐きながら、アッシュはにやりとルークを見た。
「あいつらが墓穴を掘って自分の首に縄をかけるのを、笑って見てたんだろう?」
「うん、楽しかった」

一生懸命舌を動かすルークの頬をそっと撫でる。
「お前のも舐めてやる。跨れよ」
「ヤダ。今日はアッシュを気持ち良くするんだから。それにソレしたらアッシュのイク顔見れないじゃんか」
「・・・・・・見てんなよ」
「やだ、見る。 生アッシュを堪能してんの。色っぽいアッシュの顔は俺だけのもの!」
「顔だけでいいのか?」
「・・・ここも、ココも、全部俺のもの。誰にもやらない」
アッシュの体中に唇を落としながら、機嫌良くルークは笑った。

 


キムラスカとマルクトの両軍はルグニカ平野で激突した。
もう誰にも止められない。どちらかの国の滅亡を掛けた戦いだ。 
そして軍の規模は互角だったが、マクガヴァンとネクロマンサーを失ったマルクト軍は精彩に欠け、押され気味だった。
自らの罪悪感と後悔を戦意に変えたクリムゾンの猛攻は凄まじく、ついに戦線はテオルの森近くまで迫っていた。
ルグニカ平野は死者で埋め尽くされた。

 


タタル渓谷の奥、イオンが開けた扉の奥を焔たちは進んでいた。
傍らには虚ろな顔のティアが無言で付き従っている。
ダアトからヴァンによって連れ出されたティアは、兄の説得に耳を貸そうとしなかった。
説得を諦めたヴァンはティアからレプリカを作成したのだ。
しかしレプリカではユリア式封咒は反応しなかった。ティアは生体情報を抜かれた副作用で精神錯乱を起こした。
苦渋の思いでヴァンはティアに洗脳を施した。


「しかし師匠も身内には甘いやつだよな。どうせオリジナル全員殺すんだから、さっさと洗脳しちゃえば良かったのに」
「髭野郎、ぐだぐだ言いやがってうざってぇ。こんな女、これくらいしか使い道無ぇのによ」
「だよな!」
悲痛な顔でティアを連れていたリグレットが堪りかねたように二人に怒鳴った。
「お前たち! 少しは閣下の気持ちも考えてやれ!」
ルークは馬鹿にしたようにリグレットを振り返った。
「人間全てを殺すって決めたのはあんたたちなのに、何甘っちょろいこと言ってんの? この女使うって決めたのはヴァンじゃんか」
「説得に応じたら助けるつもりだったのか? しかしどっちにしろ最終的にはみんな死ぬんだろ。意味無ぇじゃねぇか」
唇を噛んだリグレットにアッシュの追い打ちがかかる。
「さあ、お前たちが生贄にするって決めたその女にさっさと封咒を解かせろよ」

言葉を失ったリグレットは、固く眼をつぶりティアをユリア式封咒の前に押し出した。
苦悶の表情を浮かべたティアが倒れ込む。
それを一瞥もせず、アッシュはパッセージリングの書き換えを行っていった。

 


あと一刻でテオルの森への総攻撃をかけるというその時、クリムゾンは足元から響く不気味な振動を感じた。
揺れはだんだんと大きくなってゆく。いやな予感がする。
クリムゾンが全軍の移動を命じようと立ち上がったその時、足元の大地が崩壊した。
キムラスカ軍の七割を飲み込んで、ルグニカ平野は完全に消失した。

完全な勝ち戦から一転して自軍の大半を失う事になったキムラスカは半狂乱に陥った。
軍の要であるクリムゾンをはじめ、キムラスカの誇る陸艦など軍備のほとんどを失ったのだ。
もうすでにバチカルを防衛するゴールドバーグ将軍の師団しか残ってはいない。今、マルクトに攻められたらひとたまりも無い。
インゴベルトはモースに詰め寄った。
「これはどういう事だ! モース殿、キムラスカを謀ったのか!」
「いえ、けしてそのような事はありません! 預言には確かにキムラスカの勝利が詠まれているのです」
しどろもどろのモースは、もう一度預言を確かめてくると言ってダアトに帰還していった。

 


「全くどうなっておるのだ! こうなったらあれにもう一度預言を詠ませて・・・」
ぶつぶつ呟きながら廊下を急ぐモースに声が掛けられた。
「大詠師モース、第七譜石が発見されたそうです。御出で頂けますか」
「なにっ、それは本当か! 早く案内せよ」
振り返ったモースが見たものは六神将のアッシュだった。アッシュはモースをザレッホ火山の火口に連れて行った。


巨大な譜石の前、そこにはヴァンを始めとする六神将と導師イオンが立っていた。
「導師イオン、生きていたのか! ・・・そんな事はどうでも良い、早く譜石を詠まんか!」
掴みかからんばかりのモースに嘲笑の声がかかった。
「イオン、そんなの詠むことないぜ。それの内容なんかもうとっくに知ってるからさ」
「ええルーク。詠む気なんかこれっぽっちもありませんよ」
くすくす笑いあう二人の前にヴァンが進み出た。モースを見据え、嘲笑うかのように朗々と終末預言を詠みあげる。

「・・・なんだと! でたらめを申すな! ユリアは繁栄を詠まれたのだ!」
半狂乱のモースに、ヴァンは冷たい笑みを浮かべた。
「ええ、そして泡沫の繁栄の後の滅亡もね。・・・・・・大詠師モース、あなたの役目はここまでです。預言を盲信する愚かな男、世界の終わりを告げる譜石の前で一足先に死ぬがいい」
ゆっくりと近づいてくるヴァンを前に、モースはぎくしゃくと身を翻した。足をもつれさせながら逃れようと走り出す。
その身体は黒衣の男によって止められた。
「うざってぇ、さっさと消えろ、屑が」
閃光が走り、モースはぽかんとした表情を浮かべながらずれていく胴体を見た。そしてそのまま声も立てずに火口へと落ちて行った。

 


各地のセフィロトは、ヴァン達によって次々と暴走させられていった。
4か所目でティアが起き上がれなくなった。
枯れ木のようにやせ細りヒューヒューを喉を鳴らして廃人の様にベッドに横たわっている。もう少しで死ぬだろう。
ティアが使えなくなってからはヴァンが代わってユリア式封咒を解いた。
一回ごとに体調を崩し瘦せ衰えて行くヴァンを、ルーク達はにやにや笑いながら見ていた。

ついに最後のセフィロトが暴走させられた。ひと月もしないうちに時間差で次々と大地は崩落してゆくだろう。
そうしたらいよいよレプリカ大地の作成だ。レプリカの楽園が創造される。

 

シンクやイオンとともにソファーに座り、甘くした紅茶を飲みながらアリエッタがふくれっ面で呟いた。
「つまらない。あいつらライガママの仇なのに、みんな勝手に死んじゃう、です」
窓に寄りかかってコーヒーを飲んでいたアッシュが、可笑しそうに答える。
「アニスが残ってたろう? どうせ死罪だ、今のうちに行ってきたらどうだ」
「アリエッタ、アニスを殺しに行ったです。でもアニス、すっかりおかしくなっちゃってた。・・・あんなの殺してもつまらない、です。」
「いいじゃんあんな女、わざわざ殺す価値も無いよ」
アッシュの足に寄りかかりながらココアを啜っていたルークが、笑いながら話しかけた。
「どうせみんな死ぬからさ。師匠だって瘴気障害でそのうち死んじゃうさ。そしたら師匠が頑張って作ったレプリカ大地で、レプリカのみんなと楽しく暮らそうぜ!」
「あんたはいつも能天気だよね」
「でも楽しそうですね」
シンクが肩を竦めて呆れたように笑い、イオンが微笑んだ。 
一人ぼっちだった子供達は寄り集まり、共犯者の顔で笑い合った。

 


マルクトもキムラスカも混乱し、すでに国として機能していない。
エンゲーブが落ちた所為で食糧難に陥り、食料をめぐって醜い殺し合いが各地で行われている。
食料を備蓄していた貴族の館が、民衆によって次々と襲われていった。
暴動が起きたバチカルではインゴベルトの首級が城門にさらされた。
グランコクマでは予言を絶対視する者にピオニーが暗殺された。
民衆はただ利己的に争い、奪い、殺し合いを続けていた。


ヴァンの計画を止められる者など、もはや何処にも存在しなかった。

 


 

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