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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.05.26,Mon


IF END後

カップリング無し(?) 厳しめ要素なし(?)ですが、猫好きでないとつまらないと思います(笑) 
仲良しファブレ一家。


設定

1人分とちょっとしか音素が無かったんで『ルーク』と猫一匹が戻った。
12時を境に意識がチェンジする。(0時と12時。12時間交代)
アッシュは0時から昼の12時まで人間、ルークはその逆。
人アッシュ活動時間4時~12時 アシュ猫12時~0時
人ルーク活動時間12時~22時 ルク猫0時~12時 
22時から4時までは身体も寝てるから大丈夫。猫はいつでも寝てるもんだしな。
アシュ猫のときは耳としっぽの先がちょっと黒っぽい。(・・・撫でても良いぞ)ツンごろ。優雅に歩いて尻尾の先でちょっとタッチ。
ルク猫のときは耳としっぽの先がちょっと金色。(モフれ!)にゃんデレ。膝に乗って来て腹見せ。
猫は猫型。直立歩行はしない(笑)
お互いは便利通信網で会話できるけど、他人には猫の姿の時の言葉はわからない。
この事を知らない人には真面目な顔で猫と会話する変人扱い。

 

 


『change!』


ローレライの解放から一年が過ぎ、焔はセレニアの野に帰還した。

「ここからならホドを見渡せる。それに・・・約束してたからな・・・」

月影に佇む影は一人と一匹。
「ルーク! ・・・なのか・・・?」
「うん。ただいま、皆」

ルークに駆け寄った一行は、その腕の中の生き物に困惑の眼を向けた。
不機嫌そうにしっぽをパシパシとルークに打ちつけながら抱かれていた猫は、耳としっぽの先がちょっと黒っぽい見事な深紅の毛並みをしていた。一同の方など見向きもせずつーんと澄ましている。

「・・・まずはバチカルへと向かいましょう。そこで何があったか詳しくお聞きします。・・・・・・その腕の中の生き物の事もね」
ジェイドの胡乱な微笑みに腰が引けたルークは、次の瞬間絶叫した。
「いってえー!!」
抱いていた猫が猛然と暴れだし、ルークの腕に爪を立てると同時に腹に一発蹴りを食らわせ、くるりととんぼを切ってルークの腕から逃げ出したのだ。
「ま、待てよ! アッシュ! 逃げんな!」
蹴られた腹を押さえながらルークが猫に追い縋る。赤い猫はするりとその手をかいくぐり一目散に逃げて行く。
「・・・ええ~っ! アッシュぅ? あれが?」
「みんな、一緒に捕まえてくれよ! こんなとこに置いて行ったら魔物の餌になっちまう!」
必死で後を追いながらルークは叫んだ。
セレニアの野で、真夜中の追いかけっこが始まった。


屋外で猫を捕まえるのはとても難しい。人に慣れていない猫ではその難しさは倍増する。
ぜいぜいと息を切らした六人が必死に後を追いかける。
「大地の咆哮、其は怒れる地竜の爪牙・・・」
「やめてぇジェイド! アッシュ死ぬって! 今、猫なんだから!」
にっこりと微笑みながら呟き出したジェイドをルークが慌てて止める。そして泣きそうになりながら猫アッシュに叫んだ。
「アッシュもなんで逃げんだよ! 一緒に帰るって約束したろ! ・・・俺たち運命共同体なんだからな!」

その言葉に足を止めたアッシュが尻尾の毛を膨らませながら不承不承振り返った。
「今だ! いっけぇ~!トクナガ!」
「フギャーー!!」
「ああっ、アッシュ~」
でかいぬいぐるみにビターンと圧し掛かられて赤い猫は姿が見えなくなった。

くったりと気絶した猫を、ぷらぷらとぶら下げて戻って来たガイから大事そうに受け取ると、ルークは今までの事を話し始めた。

「俺たち今まで音譜帯に居たんだ。ローレライが乖離してしまった身体を作ってくれようとしたんだけど、音素が足りなくて一人分とちょっとしか作れなかったんだよ」
「大爆発はどうなったのですか?」
ジェイドの問いに俯いたルークが答える。
「起きたよ。・・・おれとアッシュはいっぺん混ざり合ったんだ。それをローレライが二つに分けてくれた。だから俺もアッシュもお互いの記憶がある」
「・・・そうですか」
「なあ、それじゃこの猫が間違いなくアッシュなんだな?」

恐る恐る指を指すガイに答えようとしたルークは、不意に頭を押さえて膝をついた。
慌てるガイを抑え、立ち上がったルークの眉間には見事な皺が寄っていた。
「今はこの猫がルークだ。・・・チッ、だからお前らと行動を共にしたくなかったんだ。命がいくつあっても足りやしねぇ」


唖然とする一同を置いて、猫を抱いたアッシュはすたすたと渓谷を下りはじめた。
「何やってる。どうせアルビオールで来たんだろ? さっさとバチカルへ行くぞ」
「ちょ、待てよアッシュ! いったいどういう事なんだ」
「だから説明するからアルビオールに向かうって言ってるんだ! こいつをこのままにして置く気か!」
慌ててナタリアがぐったりした猫に向かって回復をかける。
うっすらと目を開けてプルプルと首を振る猫は、耳としっぽの先が金色に変化するきれいな朱色に変わっていた。

「にゃ、にゃー!(ああっ、俺、猫になってるー! どうしようアッシュ!)」
「だからもう少し待てと言ったんだ! このバカ猫! まずこの身体に慣れないとどうしようもねぇだろ! 戻った早々殺す気か!」
「うにゃにゃ!(アッシュが逃げるからじゃんか!)」
「俺はおもちゃにされるのなんざまっぴらだ!」

いきなり喧嘩を始めた猫と人間を唖然として眺めていた一同は、ため息をつきながら歩み寄った。
にっこりと笑ったジェイドとガイががしっとアッシュの両腕を掴む。
落としかけたルークをティアがさっと取り上げた。
「まずは移動しましょうか? そのあとでたっぷりと聞かせてもらいます。・・・まずは、お帰りなさい、二人とも」
「良く帰ったな。ルーク、アッシュ」
「お帰りなさい。 ・・・かわいいわルーク」
「お帰りなさいませ、二人とも」
「おっかえりーv」
口々にそう言い微笑む一同に、ルークの耳としっぽはピンと立った。
アッシュは少し耳を赤くして俯き、ぶっきらぼうに答えた。

「にゃにゃ(ただいま、みんな)」
「・・・・・・フン、・・・ただいま」

 

アルビオールはバチカルへと向かっていた。
猫ルークはティアやアニス、ナタリアに構い倒されている。時折みぎゃー!と悲鳴が聞こえてきていた。
ジェイドはぼんやりと座っているアッシュに問いかけた。
「それで、何があったのです」
眠そうに振り向いたアッシュはぽつりと答えた。
「あいつが二人で戻れるようローレライにねじ込んだんだよ。・・・俺は戻らなくて良いって言ったのに」
「せっかく戻れたのに、なんでそんなこと言うんだよ!」
傍にいたガイがアッシュを責めるように声を荒げる。アッシュはガイをちらりと見て話をつづけた。
「俺はずっと17で死ぬと思って生きてきたし、実際死んだんだからもう悔いはねぇんだよ。 ・・・お前らだってルークが生きてればそれで良いんだろ? もし俺だけが戻ったら、お前ら何て言うつもりだったんだ。俺を憎んだろう?」
「・・・そんな、事は・・・」

「仮定の話をしても意味がありません。今はこれからの事を考えるべきでしょう」
口ごもるガイを遮るようにジェイドが口を挟む。
「屋敷に着いたらまとめて説明するから、今は寝かせろ。・・・疲れた」
うとうとと眼を閉じるアッシュにジェイドは追及を諦めた。そこに構い倒されてふらふらの猫ルークが飛び込んでくる。
「うにゃー!(アッシュ助けてー!)」
「あ、ルーク!」
後を追う女性陣を引きとめながら、ジェイドはアッシュとルークを見た。
眠りこんだアッシュの膝の上に乗ったルークがそこで丸くなる。無意識にアッシュの手がルークを撫でた。

「さあ、二人とも疲れています、今は休ませてあげなさい。浮かれていないで彼らの事を一番に考えるべきではないのですか?」
ばつが悪そうな女性陣と落ち込んでしまったガイが連れ立って離れていく。
・・・自分達はどれだけこの二人を傷つけて来たのだろう。せめてこれからは幸せに生きてほしい。
ルークが消えてから後悔のどん底に落ち込んでいたジェイドは、似合わない事に人情派になっていたらしい。

 

バチカルに着いたのは、翌日の昼近くになった頃だった。
門番から知らせを受けたファブレ夫妻が屋敷から飛び出してくる。
「おお・・・ルーク、アッシュ! 戻ってくれたのか!」
「良く、戻ってくれました・・・」
「只今戻りました。・・・父上、母上」
涙ぐむ両親を複雑そうに見たアッシュは、言い辛そうに話を続けた。
「色々説明しなければならない事があります。まずはお話を」

応接室に場所を移した一同は、中央に座ったアッシュとその腕の中のルークに注目する。
一つ咳払いしたアッシュは話を始めた。

「まず、俺たちは一度死んだのです。俺はエルドラントで剣に貫かれて、こいつはローレライの解放で音素が乖離して。 しかし進行中だった大爆発のせいで俺とルークの音素は混ざり合い、もう一つの完全同位体のローレライに融合されました。ローレライはそれを哀れに思い、俺たちの音素を二つに分け身体を作り出した。しかし乖離していた音素では二つの身体は作れなかったのです。
・・・今、俺たちは身体を共有している状態です。0時と12時を境に12時間ごとにこの身体と猫の身体の意識が入れ替わる」

唖然としてその説明を聞いていた一同の中からシュザンヌが進み出た。クリムゾンも後を追うように二人に歩み寄った。
「どんな身体でも、貴方達が二人で戻ってくれた事を嬉しく思います。ルーク、アッシュ」
「そうだな。わが子たちが戻ったのだ、それ以上の事は望まん。 ・・・良く、戻ってくれた」
父と母に抱きしめられて俯いたアッシュはかすかに微笑みを浮かべた。その手を励ますようにルークが舐める。

「しかし・・・この身体では政治の表舞台に立つことはできません。ナタリアとの婚約も破棄させて下さい」
その言葉にナタリアが詰め寄る。
「まあ、なぜですの! アッシュ」
「ナタリア・・・お前は誰と結婚するつもりなんだ? この身体はルークのものでもあるんだぞ。 午前と午後で違う人格の人間が王になる事などあってはならない、国が混乱する。それにローレライに作られたこの身体は後継者を残す事は出来ないだろう」
「あ・・・」
青ざめたナタリアが口を覆って首を振る。二人が戻った事が嬉しくて、そんな事までは考えてもいなかった。
同じく口を覆ったティアが俯いた。ルークも同じことだと気付いたのだ。 失恋決定だった。

 

遠くで昼を告げる鐘が鳴り響く。
アッシュは一瞬ふらつくとこめかみを押さえた。
その腕から耳と尾の先の黒ずんだ深紅の猫がするりと床へ降り立つ。
「父上、母上。俺からもお願いします。半分猫の俺たちはもう貴族としての義務を果たすことはできません」
顔を上げた少し哀しげな微笑みは、あの頃のルークが良く見せたものだった。
「ルーク・・・なのか?」
「はい、父上」

目の前で入れ替わりの瞬間を見せられたのだ。クリムゾンには息子たちが言っている事が良く解った。
知らない者には二重人格を疑われ、知っているものには半獣人と軽んじられるだろう。二人に好意的な者ばかりではないのだ。
国を荒らす原因になりかねない。それに、クリムゾンはもうこれ以上我が子達を苦しめたくは無かった。
そっと抱き締めるとクリムゾンはルークに微笑みかけた。シュザンヌも並んでもう一人の息子を抱きしめる。
「分った。王には私からも進言しよう。・・・良く帰って来たな、ルーク。これからはお前たちの望むように暮らせばいいのだ」
「ありがとうございます、父上」
ほっとしたように笑うルークの足元で、深紅の猫がにゃーと鳴いた。
「(ありがとうございます。父上、母上)」

 

アッシュの朝は早い。
昼の12時までしか活動できないアッシュは夜明け前から起き出し、本を読んだり剣の稽古をして過ごした。
早起きは教団で慣れていた為、別に不満に思う事も無い。早起きの苦手なルークには無理だと思ってこちらの時間帯を選んだのだ。
朝食を両親と一緒にとる気恥かしさももう慣れた。
そのうち眠そうに起き出して来た猫ルークがかまえとばかりにまとわりついてくる。
ちょっと邪険にしつつかまってやり、勉強したり外出したりするともう昼だ。
ルークに身体を代わったアッシュはしなやかな尾を振って優雅に庭を散歩するのが日課だ。
そして天気の良い日はお気に入りの木の上で昼寝するのだ。


ジェイドに辛くは無いかと聞かれたとき、そっけなく『・・・別に』と答えたが、実はアッシュはこの生活が気に入っていた。
ジェイドは『楽しいですか?』と聞けば良かったのだ。そうしたら『・・・まあな』と答えただろうに。
猫の本能にちょっと引きずられているのかも知れない。
猫と言うのは、環境の変化を嫌う生き物なのだ。満足していればテリトリーの広さなど気にしない。

アッシュを探して庭を駆けまわるルークの声が聞こえる。ピクリと耳をそちらに向けて、眼は閉じたままだ。
(うるせえ、寝かせろ)
猫とは子供が苦手な生き物だった。

日が陰る頃やっと起き出したアッシュは、ふぁ~と欠伸をしてしなやかに伸びをする。ついでに爪とぎをしてから軽々と木から下りると屋敷へと向かった。
ふくれっ面のルークをちらりと横目で見ると、まるで気にも留めずに歩いて行く。
構ってもらえなかったルークが肩を落とすと、すれ違いざまにアッシュは長い尻尾でルークの足をパシッと叩いた。
(何してる、行くぞ。・・・・・・ブラッシングさせてやっても良いぞ)
「うん、アッシュ~!」
・・・・・・そして猫とはツンデレがデフォルトの生き物であった。


夕食は一家で揃って摂る。
アッシュ用に一段高くした椅子に乗って、茹でて裂いたチキンをもらってちょっと嬉しい。
はむはむと上品にチキンを食べながらルークに通訳してもらって両親と歓談する。
別人のようににこやかになったクリムゾンは、二人の為に世界平和を目指しているらしい。
最高級猫用シャンプーで磨かれ(風呂はちょっと嫌だが我慢する)、毎日シュザンヌに優しくブラッシングされたアッシュの毛並みはきらきらのつやつやだ。エメラルドの瞳は艶を増し、その優雅なしぐさは猫嫌いな者をも魅了した。
好きなものを食べ、勝手気ままに行動する。人間という生き物は皆下僕と化す。
アッシュは飼い猫生活を満喫していた。

ソファーに寝そべっているアッシュのもとに、クリムゾンがやって来た。
隣にそっと座ると、手を伸ばそうとしてはためらい汗をかいて固まっている。
(なんだよ、さっさと撫でればいいのに)
アッシュは起き上がり背伸びをすると、おもむろにクリムゾンの膝の上に乗り丸くなった。
ためらいがちな手がそっと触れてくる。毛並みのつややかさを確かめるように優しく撫でられる。
(こうやって優しく撫でられるのは嫌いじゃない)
上品に小さくのどを鳴らしたアッシュは、父の大きな手の感触を味わいながら眠りに落ちた。
猫になったアッシュは、なんか色々と自分に素直だった。
そして動くに動けず足の痺れたクリムゾンは、それでも嬉しそうにアッシュを撫で続けていた。

 

夕刻、ガイ達がルークのもとに遊びにきた。
夕食を共に取り泊まってゆくことを勧められた彼らは、ルークが入浴しに行ったときここぞとばかりにアッシュにちょっかいを出して来た。きらきらした眼で詰め寄りアッシュを包囲する。
「・・・かわいいわv」
寝ている所を抱き上げられ、ティアのメロンにぎゅうぎゅう押し付けられアニスにしっぽを引っ張られる。
ナタリアに耳をくすぐられ、引っ掻くわけにもいかず悶絶した。
「アッシュもこうして見ると可愛いよなぁ」
ガイがアッシュを抱きしめようとしたときアッシュの堪忍袋の緒が切れた。
「ふぎゃー! ふしゃー!」
ガイの腕に思い切り爪を立て噛み付く。絶叫をあげて手を離したガイをにらみつけると、アッシュは窓から外に飛び出した。
お気に入りの木に登って不貞寝する。アッシュを探す声がするが無視だ。
蒸し暑い夜に木の上は丁度良い涼しさで、いつしかアッシュは本格的に眠りこんだ。


誰かに呼ばれた気がしてふっと覚醒する。
まだ真夜中だ、もうひと眠りしようとしてアッシュはそこがベッドで、自分が人の姿になっていることに気付いた。
「やべぇ、いつの間に変わった・・・」
ベッドの隣のかごを見ると、猫になっているはずのルークがいない。
「・・・? まだあそこで寝てるのか?」
嫌な予感がしたアッシュはガウンを引っ掛け、あの木の根元に行ってみた。

「ふみゃぁ~ん! (だれかぁ~! 助けて~!)」
べそをかいたルークが木にしがみついて鳴いていた。がちがちに固まって、今にも落ちそうだ。
アッシュの姿を見ると助かったとばかりに耳がぴんと立った。
(うにゃ~ん! あっしゅー! 下りられないよー!)
呆れたアッシュがルークに向かって叫んだ。
「てめぇは今猫だろう! それくらい出来無ぇでどうする! さっさと下りて来い!」
(だって~、こんな高いところ、怖いよー!)
アッシュはため息をついた。こいつ、まだ猫の身体能力を把握してないのか。
「ったく、しようがねぇな。 ・・・大丈夫だ、受け止めてやるから」
意を決したように眼を閉じて飛び降りて来たルークは、アッシュの胸に思い切り爪を立ててしがみついた。
「うぎゃあ~!!!」
(うわぁ~! ごめんアッシュ~!)

・・・実はルークの方が猫生活には順応出来ていなかったのだった。

 

遅く起きた猫ルークの一日は、アッシュを探すことから始まる。
アッシュはたいがいは部屋に居て、起き出して来たルークにご飯を準備してくれるのだが、時々本や書類に夢中になってルークの事を忘れてしまう事がある。
「にゃ~(アッシュ、ごはん!)」
「・・・・・・」
「にゃん!(おなかすいたよ!)」
「・・・・・・」
しょうがないから机の上に飛び乗って書類の上にごろんと寝てやることにする。これは猫の権利だ。
「邪魔だ、ルーク。どけ」
押し退けようとした手を前足でホールドしてパクリと甘噛みしてやる。
「・・・・・・・・・」
堕ちたな。駄目押しに上目遣いで腹見せだ。
「うにゃ~んv」
「・・・ああもう! 分かった!」
勝者・ルーク 敗者・アッシュ。
猫は可愛いのが仕事の生き物だ。なので奴らに勤勉な態度を取られると、勝てる奴はそうそういない。


食事してすっかり満足したルークはぺろりと口の周りを舐めてついでに顔を洗う。
アッシュはクローゼットを開けて上着を取りだしていた。
(アッシュー! どっか行っちゃうの? ねぇ遊んでよ!)
しっぽをぴんと立ててアッシュの足の間をぐるぐる回ってやる。
「邪魔だ。俺は本屋に行くんだ」
ルークをひょいと抱き上げたアッシュは、そのままベッドへとルークを放り投げた。
む。・・・負けない!
ダダダっと戻って来てまたぐるぐる。
ひょい、ぽーん。
だだだっ、ぐるぐる。
ひょいっ、ぽーん。
だだだっ、ぐるぐる。
なんか楽しくなってきた。
「ああもう! 遊んでんじゃねぇ!」
そして今日もアッシュの貴重な午前中は終了した。

猫とはこちらが忙しいときほど『かまえ!』とすり寄ってくる生き物である。

 

ジェイドは時々健康診断にやって来ては辛そうな眼で二人を見ている。
でも実の所アッシュもルークもこれ以上無いってくらい幸せだった。
ついでにクリムゾンもシュザンヌも屋敷のみんなも幸せいっぱいだった。

生きていてくれるだけで良かったのに、こんな萌える存在になって帰って来てくれるとは!
ファブレ家の財があれば一人と一匹を生涯養う事など屁でも無い。
べったべたに甘やかしてもまだおつりがくる。
いや、むしろ命をかけて世界を救った二人にこれ以上の苦労をさせる事など神が許しても私達が許さん!
クリムゾンもシュザンヌも決意に燃えていた。


凛々しい息子とツンデレビューティーな猫、素直で可愛い息子とお馬鹿で愛らしい猫。
一粒で二度美味しい×2=4
4パターンの萌えに逆らえる奴など居はしない。
ファブレ家はきらきらと萌え輝く笑顔に満ちていた。


一人と一匹、その他大勢は今日も幸せに暮らしていた。

 

 





※一番萌えたのはアシュ猫を撫でるクリムゾンパパのシーンv 私の萌えが詰まっていますv
 ああ、こんな猫を飼いてぇ! 

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プロフィール
HN:
tafuto
性別:
女性
自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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