アッシュのみ帰還ED ほのかに仲間厳しめ 暗いです。
『 NOBODY 』
「聖なる焔よ・・・目覚めよ」
真っ白な光の世界で、アッシュは目覚めた。
起きているか寝ているかも分からない清冽な白い空間に、一人浮かびながらゆっくりと目蓋を開く。
ふわりと目前に湧き上がった朱金の焔がその姿を変え、人のような形をとった。
「なぜ・・・俺は死んだはずだ」
ぼんやりと問いかけるアッシュに、焔は一時の逡巡のあと答える。
「聖なる焔の半身が望んだのだ。・・・お前を生き返らせてほしいと」
瞠目したアッシュは、己の心の中に自分のものでない記憶があることに気付いた。
「消えるのは・・・存在を食われるのは、あいつの方だったって言うのか」
呆然と呟いたアッシュは、俯き、ゆっくりと笑いだした。
笑い声はだんだんと大きくなり、ついに気が狂ったように男は哄笑する。
その頬に、涙が滴り落ちた。
膝をつき、胸をかきむしりながら、男は長い間嗤い続けた。
「なぁ、ローレライ。俺を生き返らせるのがあいつの願いだったのなら、俺の願いもかなえてくれるか?」
やがて虚ろな表情で顔を上げたアッシュは、ローレライに一つ頼みごとをした。
「あいつを喰らったこの身体から、俺の記憶を消してくれ」
言葉を失ったローレライは、小さく呟く。
「・・・そんな事をしても、おまえはルークにはなれんぞ」
「かまわないだろう? あいつらが俺とルークの区別など付くものか。
ルークの記憶があるのなら、この身体はルークになれるさ。
俺は死に、ルークは消えたんだ。 残るのはあいつらと約束した人形だけでいい」
静かに笑うアッシュの絶望に染まった眼を見たローレライは、言いかけた言葉を飲み込み頷いた。
聖なる焔とその半身は、確かに今、死んだのだ。
月の光を受けたセレニアの野に、歌声が響く。
帰ろうと踵を返した一行が、何かに呼ばれたように振り向いたとき、そこには赤い髪の男が一人立っていた。
長い髪の少女が涙を浮かべて駆け寄り、その名を呟く。
「ルーク・・・!」
「ただいま、ティア。 ・・・約束したからな」
『仲間たち』に抱きしめられる青年の、優しく微笑むその眼の奥には
何もなかった。
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