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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.11.02,Sun

アッシュのみ帰還ED  ほのかに仲間厳しめ 暗いです。

 

『 NOBODY 』

 

 

「聖なる焔よ・・・目覚めよ」

 

真っ白な光の世界で、アッシュは目覚めた。
起きているか寝ているかも分からない清冽な白い空間に、一人浮かびながらゆっくりと目蓋を開く。
ふわりと目前に湧き上がった朱金の焔がその姿を変え、人のような形をとった。


「なぜ・・・俺は死んだはずだ」


ぼんやりと問いかけるアッシュに、焔は一時の逡巡のあと答える。

「聖なる焔の半身が望んだのだ。・・・お前を生き返らせてほしいと」


瞠目したアッシュは、己の心の中に自分のものでない記憶があることに気付いた。


「消えるのは・・・存在を食われるのは、あいつの方だったって言うのか」


呆然と呟いたアッシュは、俯き、ゆっくりと笑いだした。
笑い声はだんだんと大きくなり、ついに気が狂ったように男は哄笑する。

その頬に、涙が滴り落ちた。

膝をつき、胸をかきむしりながら、男は長い間嗤い続けた。

 

 

「なぁ、ローレライ。俺を生き返らせるのがあいつの願いだったのなら、俺の願いもかなえてくれるか?」


やがて虚ろな表情で顔を上げたアッシュは、ローレライに一つ頼みごとをした。

 

「あいつを喰らったこの身体から、俺の記憶を消してくれ」

 

言葉を失ったローレライは、小さく呟く。

「・・・そんな事をしても、おまえはルークにはなれんぞ」

 

「かまわないだろう? あいつらが俺とルークの区別など付くものか。 
ルークの記憶があるのなら、この身体はルークになれるさ。 
俺は死に、ルークは消えたんだ。  残るのはあいつらと約束した人形だけでいい」

 

静かに笑うアッシュの絶望に染まった眼を見たローレライは、言いかけた言葉を飲み込み頷いた。

 

 

聖なる焔とその半身は、確かに今、死んだのだ。

 

 

 

 


月の光を受けたセレニアの野に、歌声が響く。

帰ろうと踵を返した一行が、何かに呼ばれたように振り向いたとき、そこには赤い髪の男が一人立っていた。

長い髪の少女が涙を浮かべて駆け寄り、その名を呟く。


「ルーク・・・!」


「ただいま、ティア。 ・・・約束したからな」

 

 

『仲間たち』に抱きしめられる青年の、優しく微笑むその眼の奥には

 

 


 


何もなかった。

 

 

 

 

                      nobody -誰でもない存在-

 

 

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