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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 

 
「フッ・・・二人で手を取り合いながら来るとはな。おまえ達は全ての屍を踏み越えてきた。さあ、私と共に来い、『ルーク』。星の記憶を消滅させ、ユリアが残した消滅預言を覆すのだ」

シンクがヴァンに向って叫んだ。
「レプリカを道具としか見ないあんたがなに言ってる! ・・・こんな計画、成功するはず無いんだ!」
ルークが、真っ直ぐにヴァンを見ながら強く言った。
「俺たちは未来が選べると信じている」
「私は未来が定められていると知っている。やはり・・・互いに相容れぬようだな。剣を抜け、まとめて相手をしてやろう」
「ヴァン・・・覚悟!」
 

 
最後の戦闘が始まった。
ローレライの力を手に入れたヴァンとの戦闘は、激烈を極めた。
激しい剣戟が繰り返され、技や譜術が飛び交った。
ヴァンの回復量は凄まじく、傷をつけた傍から直ってゆく。
こちらは繰り出されるヴァンの奥義にティアやナタリアの回復が追いつかない。
 

アッシュがヴァンと切り結びながら叫んだ。
「人はもう、預言から外れる事を自ら選んだ。あんたが願った事は叶ったのに、何故こんな馬鹿な事を続ける! あんたは預言が憎かったんじゃない。預言に従ってきた愚かな人間に復讐したかったんだろう!」
「黙れ! 私はこれに全てを捧げて生きてきたのだ。もう後戻りは出来ん!」

ヴァンの光龍槍がアッシュを吹き飛ばした。
すかさずナタリアが回復をかける。
戦闘は、膠着状態に陥っていた。皆激しく息を切らしている。
ヴァンも髪が解け、荒い息をしている。第七音素を取り込み過ぎた身体が両腕を変形させていた。
 
 
「大譜歌を謡って、ヴァンに封じられているローレライを目覚めさせよう」
息を切らしたシリウスが、近くの仲間に囁いた。
「私が謡うわ」
「ティア、俺にはもう、戦いに参加できる体力は残っていないんだ。戦闘での回復を頼む」

シリウスの、覚悟を秘めた真剣な眼に、ティアは数瞬のためらいの後頷いた。
「・・・分かったわ」
「大譜歌を謡い出したら、俺は他に何も出来ない。皆、援護は頼んだ」
「任せて」
皆、強く頷くと、ヴァンに相対する二人に向って駆け出して行った。
 

 
シリウスの歌う大譜歌に、囚われていたローレライが力を増し、体内で暴れ始める。
ヴァンは力が抜けてゆくのが解った。
そのチャンスに、アッシュとルークが切りかかる。二本の剣を剣で受け止め、振り払う。
その剣戟にルークがよろめいた。ヴァンがルークに向って振りかぶる剣を、アッシュが弾く。
体勢を立て直したルークが下から飛び込む。激しい剣戟が続いた。
 

大爆発で体力の低下していたアッシュが、激しく喘いで膝を突いた。
アッシュを狙ったヴァンをルークが剣で止めるが、弾かれ、剣は飛ばされていった。
にやりと笑ったヴァンが剣を振りかぶったとき、ルークは後ろに引き倒された。

アッシュが前に出る。

 
ヴァンの剣がアッシュの胸を貫いた。
そのヴァンの手を剣ごと捕らえ、数瞬遅れてアッシュの剣がヴァンの腹に突き込まれる。

「・・・師匠・・・預言は覆されたんだよ・・・・・・」

血を吐きながら、アッシュは囁き、ずるずると崩れ落ちていった。
ヴァンは腹を貫く剣に手をやり、よろめきながら後ずさっていく。俯いた顔から血の筋が落ちる。

「アッシュ!」
(・・・・・・あとは・・・頼む・・・)

駆け寄ろうとしたルークは瞠目した。
アッシュから朱金の光が立ち上り、自分に吸い込まれていったからだ。
体中にアッシュの存在が感じられる。
 
そして気付いた。 ・・・・・・アッシュの死に。


「あ・・・ああぁ!!」

慟哭するルークを優しく、そして厳しい気配が取り巻く。
(まだ、終わっちゃいねぇぞ。 ・・・行け!)
(わかった・・・アッシュ!)

ヴァンに駆け寄ると、力を最大限に集める。そして叫んだ。
「ロスト・フォン・ドライブ!!」
眩い光がヴァンに向って集約し、弾けた。

ヴァンが乖離してゆく。
・・・その顔は、微笑んで見えた。幼い頃、自分を誉めてくれたときの顔だった。


「ありがとうございました、せんせい」
 
 

譜歌を終えたシリウスが、アッシュの傍らに倒れこみ、血を吐くのが見えた。
ルークは震える身体を押さえながら、ゆっくりとアッシュの側に戻る。
ぺたんと座り込み、アッシュを抱き起こすとその口の端の血を拭い取る。

そして、抱きしめた。
 

言葉を失った仲間たちが、周囲に集まる。
ナタリアが、嗚咽を漏らした。
「馬鹿燃え滓・・・」
シンクが俯き、アリエッタがシンクの腕にしがみ付いて涙を堪えた。
 
 
 
「俺はこれから、ローレライを解放する。 ・・・みんなは、戻って」
「あなたは・・・!」
「大爆発は、もう、止まらない。 ・・・さあ、早く行って。時間がないんだ」

静かに微笑んだルークの表情に、身を引き裂かれそうになりながら皆はその場を後にした。
何度も振り返りながら、去って行く。
それを微笑みながら見送ったルークは、傍らのシリウスに話しかけた。

「シリウスも・・・」
「俺は、魂のひとかけらまで君のものだよ。さあ、一緒に終わらせようか」
「・・・・・・うん」
ルークの笑顔に、涙が一滴こぼれた。
 
 

アッシュを抱きとめて静かに譜歌を謡うシリウスの前で、ルークはローレライの鍵を地に突き立てた。カチリと回すと、譜陣が現れる。

栄光の地は、静かに崩壊を始めた。
譜陣に守られて、大地をどこまでも下がっていく。


掠れた声が途絶え、シリウスがゆっくりと倒れこんでゆく。
それを支えようとしたルークは、自分の体が光の粒となって透け始めた事に気付いた。

膝を突き、今はもう物を言わなくなった二人を透ける腕で抱きしめる。


「ありがとう・・・アッシュ、シリウス」
 
 
 
突然、朱金の焔が辺りを舞い、声が響いた。

(世界は消えなかったのか・・・我の見た未来が、僅かでも覆されるとは・・・驚嘆に値する)

「ローレライ? ・・・俺、解放できたんだ」

(礼をしたい。乖離した身体を作ってやろう)

「アッシュは? 大爆発はどうなったの?」

(それはヒトの技。我には手出しできん。作った身体に二つの記憶が入る事になろう)

「俺は、アッシュと一つになりたいんじゃない! 二人で居たいんだ。シリウスと、皆で、一緒に暮らしたいんだ」

(・・・・・・我は、時間と記憶を司る。二人で存在できる時間に遡って、やり直してみるか?)

「そんな事が出来るの?」

(我が力を取り戻すまで、暫しかかるがな。それまで音符帯にいれば良い。そのユリアの子孫にも世話をかけた。三人とも連れて行ってやろう)

「皆一緒なんだね・・・うん!」
 

 

幸せそうな笑顔が、光に解けていった。
 
 

 

 

 


 
崩れ行くエルドラントから、光の柱が天に立ち上った。
少し離れた所から、仲間たちはそれを見守り、泣き崩れた。


マルクトからも遠く光の柱が見えた。研究室の窓からそれを見たジェイドは机を叩きつけ、俯いた。
その頬を流れるのは、彼が生まれてはじめて流した命を悼む涙だった。
 
 
 
 
 
 
一年後、最終戦を共にした者達がタタル渓谷に集まった。
崩れたエルドラントを一望できる此処で祈りを捧げたいと思う者たちが集まったのだ。
静かにティアの大譜歌が流れる。皆、思い思いの場所でそれに聞き入っている。
歌が終わり、皆が背を向けようとしたとき、セレニアの花畑の真中に朱金の光が踊った。
その光は言葉を発した。
 

(我はローレライ)
「ルークは、ルークはどうなったの?」
(焔たちは、二人で存在できる所に旅立った。ユリアの子孫も一緒だ。我は、焔の言葉を伝えに来た。・・・嘆くなと)
「・・・ルーク、アッシュ」

(残った焔の音素で、我は新たな存在を作り出した。ヒトの世よ、この存在が必要か?)
すう、と光が集まると、そこに小さな赤子の姿があった。
(これは二人の焔のどちらでもない。それでも受け入れるか?)
「ええ、きっと幸せにしてみせる!」
「守ってあげるよ」
「いっぱい遊んであげる、です」
皆口々に答える。
(それならば、この存在を預けよう・・・)
ティアの腕に赤子を託し、光は消えうせた。
 


ほの白く光るセレニアの中で、無邪気に笑う赤毛の子供。
寄り集まった者達は、その笑顔を守ろうと誓いあった。
どの顔も、優しい微笑みに彩られていた。
 
 

 
                                                                                      END







 その後の彼ら
     ※蛇足です。残された人々がその後どうなったか気になる人だけ御覧下さい。

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