忍者ブログ
同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by tafuto - 2008.11.19,Wed

『蛍火の杜へ』リスペクト! (緑川ゆき 著)

ルーク溺愛アッシュ。 アシュルク  死にネタです。


設定

完全同位体の被験者とレプリカが触れ合うとレプリカは消滅してしまう。これが大爆発(という捏造です)

第七音素の同位体として異端視されていたため深い孤独を感じていたアッシュは作られたばかりのルークに一目惚れ。思わず触れようとしてヴァンに止められ、触れればレプリカは消えてしまうことを聞く。
アッシュはルークに触れてしまわないようにダアトに残ることを決意する。
ルークを消したくないという一心で行動している。
アッシュがピュアなストーカー

話の構成上、ゲーム進行はいろいろ省いています。そして捏造過多です。
雰囲気重視の話なので設定は深く考えない事(笑) ボロが出ますv
「蛍火の杜へ」のファンの人、ごめんなさい。<(_ _)>  愛がスベった・・・
すでに原作(蛍火)の面影を留めていません。最後が思いきり違います。



 

 

                       『Noli me tangere ‐私に触れるな‐』

 


暗い森の中を永遠に彷徨うような孤独の中にいた。
出口を求めて走りまわり、疲れて動けなくなって、信じたもの全てが崩れ去り。
全てを諦めて立ち尽くす俺の前に、突然その光は現れた。
 

無垢な瞳で見あげてくる『それ』を、俺は茫然と見つめ続けた。
俺より少し色の薄い、夕陽のような髪が薄暗いランプの光を弾く。


俺の、レプリカ。
俺から作られた、俺と同じ生きもの。
世界中でたった一人、異端の化け物と言われ続けたこの俺の。
・・・・・・俺の、半身。

 

無意識に手が動き、その朱金の髪に触れようとする。
その俺の手を、節くれ立った大きな手がつかんだ。

「触れてはいけない。完全同位体のレプリカと被験者が触れ合えば、レプリカは消滅してしまうのだ」

薄笑いを浮かべたヴァンが俺の腕を引き、レプリカを隠すように遠ざけた。


ああ、それではこの俺の半身に触れられる日は、永遠に来ないのか。

俺は絶望と、ほんの少しの安堵を込めて、連れて行かれるそいつを見送った。

 

『触れてはならない』  その言葉が呪いのように俺を縛る。

あいつの傍に居てはいけないんだ。
傍に居れば、俺は必ずこいつに触れてしまうだろう。
たった今でさえ、抱きしめたくてたまらないのだから。


俺はアッシュという名を貰い、いつかあいつを一目見ることを心待ちにするようになった。
名を捨てることも、罪も、血に塗れることも怖くはなかった。
たった一つ、あの光を守るためならば。

 


導師を奪還しに行った先であいつを見つけた。
あの存在を、見間違えるものか。 ただひたすらに望んでいた、たった一つの光。
人を殺して怯えるお前は、あのときと変わらず無垢なままだな。
お前が人を殺める必要などない。剣など捨ててしまえ。


眠らせたあいつに触れたがる両手を止めるのに苦労する。
早くこいつを連れて行ってくれ。でないと俺はこいつを消してしまう。
視界に入れないように顔を背ける。 やっと会えた半身と離れる苦しさに顔が歪む。


そうだ、せめて声だけでも。
それならば俺はあいつに触れなくて済む。・・・あいつを消さなくて済む。
アリエッタに攫わせたあいつをコーラル城に運び、ディストにフォンスロットを開けさせた。

心の片隅に、あいつの存在が感じ取れる。


・・・・・・あたたかい、ひかり。  ああ、お前はきれいだな。

 

 

降りしきる雨の中、イオンを追って走り寄ってきたあいつが、驚愕の目で俺を見る。
おずおずとのばされた手を剣で払いのける。

俺に触れるな! (でないと俺はお前を消してしまう)

怯えるあいつの歪んだ顔を見なくて済むように、身をひるがえした俺はその場を足早に立ち去った。

 

ヴァンの目的は、あいつを使ってアクゼリュスを崩落させることだった。
そんなこと、許すわけにはいかない。
あいつを死なせないために、今まで俺は生きてきたのだから。
全力で走る、息が切れる。障気に覆われた街は目前だ。
死なせるものか。 ・・・・・・ルーク!

 


ヴァンの足元に崩れ落ちたあいつに伸ばした手を、すんでのところで引き留めた。
握りしめた拳に爪が食い込む。

触れてはいけない。

立ちすくむ俺を、ヴァンの魔物がその場から連れ去った。
離せ、俺もここで朽ちる!(あいつがいないのなら、俺の生に意味はない)

 

ヴァンを撒き、たどり着いた監視者の町で、錯乱してつかみかかってきたあいつを剣で弾き飛ばした。
(生きていてくれた)
気絶して倒れるあいつを無表情に見下ろす。
(こんな時にさえ、抱き止めてもやれない)
(抱きしめたい)
(俺の半身。・・・大切な大切なひかり)

(せめてこの想いだけは伝えてもかまわないだろうか?)


ベッドに寝かされたあいつの精神をそっと心に招き入れた。
温かなひかりが孤独に凍えた俺の心を温めてくれる。
俺は戸惑うあいつに全てを伝えた。
ヴァンの事、レプリカの事、そして触れ合えばお前が消えてしまうこと。

『ルーク・・・何があっても、絶対、俺に触るなよ』
(おまえを愛しているんだ)
『アッシュ・・・・・・ありがとう、話してくれて。今まで守ってくれていたのに、気付かなくてごめん』
(・・・・・・俺も、アッシュがすきだ)


あいつが立ち上がれるようになるまでの短い間は、俺にとって蜜月のように甘い時間だった。
あの豪奢な鳥籠で、誰にも顧みられること無く過ごしたあいつにとってもそれは同じ事。
温もりに飢えた心がお互いを離したくないと叫ぶ。


しかし、あいつも俺も世界が消えるのを黙って見過ごすことは出来なかった。
たとえ辛いばかりの世界だとしても。


あいつはあいつのすべきことを、俺は俺のすべきことを。
そう決めたはずなのに、直ぐにでも逢いたがる心をなだめるのに苦労する。
ときどき何もかも放り出してあいつのもとに行ってしまいたくなる。
きつく抱き締めて、そのまま俺もあいつと共に消えてしまえたら・・・・・・

 


街で見かけたあいつは、使用人と肩を組んで笑っていた。
なぜ俺は触れることが出来ない!
胸が苦しい。 顔が歪む。 痛いほど拳を握り締め、顔をそむけた。
「アッシュ・・・」
俺に気付いたあいつの哀しそうな声が聞こえる。
『・・・一緒に居たいよ』
『・・・・・・駄目だ。共には行けない』
追い縋る視線を振り切り、速足にその場を立ち去る。その背後からあいつらの声が聞こえた。

「アッシュ! いくらお前がルークを嫌いだからってその態度は無いだろ」
「アッシュ、貴方もご一緒しませんこと?」
「ルーク、貴方も引け目に感じる事なんて無いのよ」

黙れ! 何も知らない奴がいい加減な事を言うな。
俺は、俺からこいつを守りたいんだ。

 


紫色に陰る空に白い塔がそびえ立っている。俺はあいつらに見つからないように黙ってダアトを出てきた。
障気中和をお互いに自分がやると言い張って、ルークと怒鳴り合った。
レプリカよりも被験者を残すだって、冗談じゃない。
あいつを生かすために俺は今まで生きてきたのに。

あたりを埋め尽くすレプリカ達の生気の無い顔が俺に向けられる。
許せ。 あいつのために死んでくれ。 代わりに俺をくれてやるから。


ローレライの剣を掲げ力を籠めようとした俺に何かが飛びかかってきた。
「やめろ、アッシュ!」
ガイに引き倒されて俺の手から剣が落ちる。剣はルークの足元に転がって行った。
泣きそうなあいつが剣を手にレプリカ達の間に進み出る。
離せ! あいつにやらせる訳にはいかない! 離してくれ!
ガイと眼鏡がもがく俺を押さえつける。

やめろルーク、やめてくれ!

超振動の光がうねりながら天へと伸びて行き、レプリカ達が一人、また一人と消えて行った。
あいつは殺したくない、死にたくないと心で叫びながら真っ直ぐに空を見ていた。
剣を握り締めるその手が揺らぐ。 薄れる。

消える、消えてしまう。 おれのひかりが!

力のゆるんだガイの手を振りほどいた俺はルークの元に飛び込んで行った。
あいつの手に触れないよう剣の刃をつかんで超振動を合わせる。掌が切れて血が滴り落ちた。
眩い光が辺りを染め上げた。

 

ふと気付くと隣にあいつが倒れているのが見えた。 よかった、消えないでいてくれた。
重い頭を振って起き上がる。早く離れなければ。
「アッシュ・・・」
ぼんやりと目を覚ましたルークが俺に手を差し伸べる。

「俺に触るんじゃねえ!」

ルークはびくりと手を引く。危ないところだった。

「アッシュ、そんな言い方しなくてもいいじゃないか!」
「そうよぉ、いくらルークを嫌いだからって、それは無いんじゃない」

ルークを怒鳴り付けた俺を、口々に責める。ジェイドだけが感情の読めない眼で俺を見ていた。
「おい眼鏡、お前にはわかってるんだろう? 何でこいつらに教えてやらない。俺とこいつが触れ合えば大爆発が起きてこいつは消滅してしまうんだって」
ジェイドは一瞬絶句すると眼鏡を押さえた手で表情を隠した。
「・・・・・・ええ、知っていました。けれど貴方はルークを憎んでいるので触れないだろうと思っていたのです」

みな息を飲んで一斉に俺達を見た。
両手を握りしめて俯いていたルークが潤んだ目で俺を見上げた。

「アッシュ・・・俺、アッシュに触りたい。もう離れているのは嫌だ。アッシュに触れて消えるんなら本望だ」
(・・・・・・それに、きっともう、おれは・・・・・・)

おずおずと伸ばされた手を見て、怯えたように俺は後ずさった。
「やめろ! 嫌だ、お前が消えてしまうのは・・・・・・ 頼むから、俺に、触れないでくれ!」

泣きだしたあいつと、唇を噛んで俯いた俺を、声を失った皆が見ていた。

 

ベルケンドで診察を受けた俺達は、力を使いすぎたルークが乖離しかかっている事を知らされた。
何となくわかっていた、とあいつは静かに笑った。

『 俺達の間にいつか別れは来るだろう
けれど それでも せめてその時まで 一緒にいようよ 』

・・・・・・そう、言って 笑った。



研究所からの帰り道、俺とルークはゆっくりと街を歩いて帰った。
少し寄り道をして、店を冷やかしながら通りを歩く。
慌ただしげに行き交う人混みに流されそうになるあいつを、溜息をついて呼び戻す。

「何やってやがる。迷子になっちまうぞ。・・・・・・ほら、これでも持っていろ」
店先に掛っていた赤いリボンを買い求め片方の端を投げてやると、少しきょとんとしたあいつは嬉しそうに笑ってそれを手首に巻き付けた。
「へへっ、デートみたいだな!」
俺は無言でもう片方の端を自分の手首に巻き付けた。
赤くなった顔を見せないように、そっぽを向きながら。


街の終りの高台まで二人で歩いた。
海に落ちる夕日があいつの髪みたいに綺麗だった。
いつも夕陽を見ては思い出していた。 出会った時のこいつの髪の色を。

『逢えない間もずっとお前の事を考えていた』

無意識に回線を繋いでいたらしい。驚いたように顔を上げたルークがふわりと笑った。

『俺も、ずっとずっとアッシュの事考えてた。いつでもアッシュに逢いたかった』
(ねぇアッシュ・・・ 俺のこと、忘れないでね)

忘れるものか。 ・・・・・・俺の、命の最後の一瞬まで。

 


ヴァンを倒しローレライを解放する為、俺達はエルドラントへと向かった。
あいつの仲間達は、酷くすまなそうに俺に謝ってきた。
何か言いたげに、しかし何も言えずに俺達二人を見守っている。
あいつらにも分かっているんだ。ルークがもう永くない事が。

あのとき買ったリボンを腕に巻いて、ルークが笑う。
つられて微笑んだ俺は、ひらりと垂れたリボンを手にとってそれにくちづけた。
あいつの真赤になった顔にハッと我にかえれば、ガイやナタリアが眼を丸くして見ていた。
・・・・・・しまった、恥ずかしい事を。
二人揃って赤くなった俺達を、あいつらは苦笑しながら祝福してくれた。

 

エルドラントの最深部でヴァンと戦いになった。
これが最後の戦いだ。

力の落ちたルークを庇いながらヴァンと斬り結ぶ。
俺達の総力を叩き付け弱ったヴァンの中でローレライが暴れ、奴の腕を変形させていった。
譜歌を謡うティアに斬りかかったヴァンを止めようとルークが前へ出た。
剣をヴァンに向かって突き出した瞬間、ルークの腕が薄れた。 手をすり抜けた剣が音を立てて落ちる。
丸腰で茫然と立ち尽くすあいつに、ヴァンの剣が迫った。

何も考えられなかった。
ただ、失いたくなかった。

あいつの前に飛び出した俺を、ヴァンの剣が貫いた。

「アッシュ!」

腹から背まで抜けるほど俺を深く貫いた剣は、直ぐには抜けなかった。
戦う者にとっては、その一瞬の隙で十分だった。
ガイの剣がヴァンに止めを刺した事を眼の端にとらえながら、俺はその場に崩れ落ちた。
氷のような灼熱が身体の中心を走る。不思議と、痛みは感じなかった。


駆け寄ろうとするルークを眼で制止する。
『・・・まだ、もう一つだけやる事が残っているだろう? これで、やっと終わるんだ』

俯いて唇を噛んだルークは顔を上げて皆を見渡した。
「これからローレライを解放するから、皆は早くここから離れて」

ガイが絶望の表情を浮かべた。俺は、回復の詠唱を続けるナタリアとティアに首を振った。
自分の体の事は自分でわかる。内臓を深く傷つけたこの血は詠唱で止まる事は無い。

「・・・もういい、無駄だ。おまえたちは早く逃げろ」
「アッシュ! そんなこと仰らないで!」
泣きながら叫ぶナタリアの肩を、ジェイドがそっと押さえた。

「行きましょう。彼らの邪魔になる」

(彼らは、やっと触れ合うことが出来るんですよ)

涙を浮かべ、何度も振り返りながら去っていく人影の後から、そんな声が聞こえた気がした。

 

ルークがローレライの鍵を振り上げる。
地に突き刺した場所から、巨大な譜陣が広がった。
譜陣は俺達を飲み込み、周囲を崩壊させながら下へと沈んでいった。


眼を閉じて剣を握るルークのその腕がかすかに揺らぎ、薄れた。
俺はとても静かな安堵に包まれていた。
嬉しかった。あいつと共にいけることが。

「ルーク・・・・・・これで、やっと、お前を抱き締めることができる・・・」

眼を開けて俺を見たルークが、嬉しそうににっこりと微笑んだ。

「アッシュ・・・もう、アッシュに触れてもいいの?」

 

「来い、ルーク」

 

ろくに動かない両手を広げて呼ぶと、嬉しそうな満面の笑みを浮かべて縋り付いてくる。

・・・・・・ああ、温かいな。

指先をからめ合い、頬をなぞり、お互いの体に腕をまわす。
同じ形の手が、身体が、ぴたりと合わさるようにお互いを抱き留めた。

(・・・・・・初めから、俺達はこういう生き物だったんだよ)


淡い光があいつの体からゆっくりと舞い散っていく。
蛍に飾られるようにあいつが微笑む。
霞む目が最後に映すものが、おまえでよかった。


・・・・・・きれいだ    しあわせ  だっ た


柔らかくて温かい唇が、俺の最後の吐息を飲み込む。
優しい翡翠の瞳と夕陽色の髪が目の前に広がり・・・・・・  ひか り  が

 

 
 

燐光のような光の奔流が二人を包み、きえたとき。

ことりと音をたてて青年の鼓動が止まった。

 

 


 


     さあ、いこう



     ・・・・・・ 逝きましょう

 

 

 











青年の亡骸は、幸せそうな微笑みを浮かべていた

巨大な白い墓標はゆっくりと崩れ去り

すべてを 静かに のみこんでいった

 
 

PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
はくしゅ
気に入って下さいましたら、 ぜひぽちっとな
プロフィール
HN:
tafuto
性別:
女性
自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

当家のPCとセキュリティ
Windows Vista  IE8
Norton Internet Security 2009
GENOウィルス対策↓
Adobe Reader 9.4.4
Adobe Flash Player WIN 10,3,181,14
メールフォーム
カウンター
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]