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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2007.10.14,Sun

 

 
ダアト組みの日常                 ※視点三人称になります
 


 
アッシュは、だんだんと頭角を現し始めた。彼の頑張る姿勢や、めきめきと腕を上げていく剣の腕に、初め子供だからと馬鹿にしていた一般兵からも一目置かれるようになった。
もう、リンチを受ける事もない。

アッシュと食事を取ると、時たま美味しいおこぼれが回ってきたりするので、昼時は隣の席の争奪戦だ。大概アリエッタや、時々ラルゴなんかが居て、滅多に有り付けないが。
「バランスよく食べて、夜はちゃんと寝るんだぞー。そしたら背が伸びるよ」
「う・・・うるせぇ!」
なんて微笑ましい会話も聞こえてくる。
 


シリウスの評判は、至極良かった。食事内容を大幅に改善したばかりか、アンケートを取って郷土料理まで出してくれたからだ。
時々「食べたい物がある奴は、ここに書け」と書かれた紙が食堂に張ってあることがある。多く書かれたものがメニューに追加されるのだ。
食堂に下働きを雇い入れ、見込みのありそうな若者に料理を仕込んだりもしている。

自分で何もかもやっていた時よりは、時間に余裕が出来たシリウスは、アッシュやアリエッタに勉強を教えたり出来るようになった。
ヴァンに言って、新兵に野営の仕方(と野戦料理)を教える事もあった。
これはとても好評で、新兵でない者からも希望者が続出した為、何度かに分けて行ったくらいだ。
なんせ獲物を捕まえて捌く所から始めるので、どんな遠征でも飢えずに済む! と古株たちも喜んだ。
おまけに作り方が単純で美味しいので、ついに指揮官クラスも参加するようになった。
 


そんなこんなで、シリウスはわりと自由にダアト内を動けるようになっていた。
この、どこにいて誰と話していても不審に思われない存在、というのが大事なのだ。
同じくけっこう自由に外出できるようになったアッシュと夕飯を共にしたり、そこにアリエッタやイオンが乱入したり。作戦会議したり(ライガに見張りをさせて)と楽しく過ごしていた。
イオンの体力増進の為に体術を教えてみたら意外に才能が有り、アカシック・トーメントまで出来るようになったのは吃驚したが。

シリウスとヴァンの仲も、わりと改善した。
『ホドの郷土料理』という本を手に入れたシリウスが頑張った。
ヴァンがこっそりアンケートに書いたメニュー、「親子丼」を作ってやったからだ。
実はメニューが決まる前には、味見と称して何回か試作品が出るのだが、親子丼の試作をうきうきと食べに行ったヴァンが品切れに落ち込んで涙しているのを哀れに思ったシリウスが、ヴァンの部屋に親子丼を持って行ってやったのだった。
感激したヴァンになし崩しに事に及ばれたが、それはまぁ良しとしよう。大人だし。
 

 
ある夜、シリウスはアッシュと作戦会議していた。
ヴァンをどうするか、だ。

「以前と比べて、彼の態度はどうだい?」
「前より穏やかな気がするな。もっとぴりぴりしてた気がする。狂信的なところが少ないというか・・・あと前よりうそ臭い笑みじゃなくなった」
「彼を仲間にできた方が、後々楽なんだけどねぇ」
「お前はあいつを殺したくなくなったんじゃねぇか? 随分気に入られてるじゃねぇか」
「いや、君らのが大事だから、君らに何かするなら躊躇わないよ?」
そっぽを向いたアッシュに苦笑したシリウスは『妬くなよ~』と、ちょっと赤くなったアッシュをぐりぐりして嫌がられる。

「いや、マジでさ、あいつを仲間に出来れば、六神将の問題が一気に片がつく。各国の要人ともつなぎが取れるし。イオン様一人だけでは、さすがに連れ出せないからね。ファブレ家に行く前に、一遍声掛けて見ようとは思ってる」
「・・・そうか」
「あと、イオン様の問題だ。毒を盛られるのは阻止できたが、預言を覆して生き延びられるかは正直俺にはわからない。だが、生き延びてもダアトに居たら殺されるだろう。どこかに隠れ場所を探さないと」
しばらく考え込んでいたアッシュはふと思いついた。
「漆黒の翼はどうだ?」
「ああ、いいかも。 ・・・シンクたちは作られると思うかい?」
二人は顔を見合わせた。
「・・・・・・多分な。でも、空っぽなんて言わせねぇよ」
「全力でこちらに引き込め。 ・・・その頃俺は此処に居ない。アッシュにもっと協力者が欲しいな」
「前より数段楽だ。アリエッタも知ってるしな。お前も、ルゥも居るだろ」
自信たっぷりに言い放つアッシュにシリウスは微笑んだ。
 
ふふっ、と笑っていたシリウスは、突然大声を出した。
「ああっ、忘れてた!ヴァンと知り合うきっかけのユリアシティ行き。何でかって言うと、これを作るために行ったんだよ」
ごそごそ荷物から取り出す。
それはブレスレット型の通信機だった。

「ここをこう押すと、もう一つの方のここが振動する。そしたらここを押すと会話が通じる。切る時はここ」
使い方を説明して使ってみる。結構クリアに聞こえる。
ごそごそ弄っていたアッシュが感心したように言った。
「へぇ・・・良いじゃねぇか」
「これは中に古代の譜業が入ってるんで、量産は出来ないし、この二つの間でしか通じない。
大切にしろよ。まあ、これが活躍するのは随分先だろうけどね」
「こんなのが軍に配備されれば、すげぇ楽だぞ」
「だから、作らせなかったんだよ。パワーバランスが崩れたら戦争だ。配備するなら各国同時じゃないと。和平が成立してからでも遅くないよ」
「・・・そうだな」
 
 
アッシュが帰ろうとしたその時、シリウスが引き止めた。
「・・・・・・ごめん、もうひとつ忘れてた」
「何だ?」
「ディスト・・・ってどこにいるの? 見たこと無いんだけど」
「時々、食堂に食いに来てるじゃねぇか」
「ごめん、・・・まったく気付かなかった」
「ウゼェから目ぇ逸らしてたんじゃねぇか?」
「(かも知れない、が)・・・酷いよそれは。ご飯に誘ってあげてよ」
「ぅええ~」
「性格はどうでも、彼は引き込んでおいたほうが良いよ。イオンの事もあるし」
「お前のが酷いぞ・・・分かった。頑張ってやるよ」
嫌そうにアッシュは溜息をついた。
 

それから少しすると、アッシュやアリエッタと嬉しそうに食事するディストが見られるようになったという。誰よりも年上な癖に『成長期サービス』を貰って嬉しそうだった。

ちなみにあの目に痛い服は、シリウスが騙くらかして止めさせた。

「綺麗な髪ですね。貴方にはすっきりした立ち襟の、そう研究者のような服装がお似合いですよ。知的な貴方にぴったりだ」

にっこり微笑むシリウスの、歯の浮きそうな台詞にディストはころっと騙されたのだ。
・・・彼を引き込むのは、実は一番簡単だった。
 
 
 

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