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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.09,Tue

 

ザオ遺跡でイオンを取り戻した一行は、ケセドニアにたどり着いた。
体調を崩したイオンを気遣い休息を多くする為、随分と行程が遅れている。
前回の旅のように些細な事を質問しては楽しんでいたルークは、ティアやジェイドの嘲る様な言葉に不機嫌になり、だんだんと笑顔も少なくなっていった。
野営の寝るまでの僅かな時間、シリウスの傍らに寝転がり、その土地の面白い話や歴史を聞いたり、譜術や剣の勉強をするのだけがルークの楽しみだった。
「そんな事も知らないの」と水を差される事もしばしばだったが。
 

ケセドニアでイオンがアクゼリュスへの同行を強請った。
「ダメだ。そんな身体で強行軍なんて、出来るわけ無いだろ。俺が居れば良いんだからおとなしくダアトに帰れよ。お前の役目は終わったろ」
「あんた馬鹿ぁ? イオン様が行かなくてどうすんのよ!」
「随分傲慢ね、貴族のお坊ちゃんはこれだから常識知らずなのよ」
「ルーク、わがまま言ってないで、連れてってやったらどうだ?」
「まあ決めるのは、親善大使であるルーク様ですからね」
 
口々に責められ、自分の考えの何が悪いのかもわからず、ルークは混乱して怒鳴りそうになった。
その肩にそっと手が置かれる。
「イオン様。ルーク様はあなたの体調を考え、親善大使として同行は許可できないと仰せです。どうしても同行したいのであれば、導師守護役と体調を相談し、導師権限でアクゼリュスの視察という事にすればいかがですか。正式な報告書は作成させて頂きますが」
「ええ、それでかまいません。アニス、良いですよね」
「もちろんですよー、イオン様」
 

消沈したルークをさりげなく一行から離し、歩き出す。
「いいのか・・・?」
「ルーク様・・・今の彼らに何を言っても、聞いてくれはしないでしょう。せめて責任があなたに掛からないように致します」
「でも、もう随分遅れてるし、イオンが倒れるんじゃないか?」
「それは導師守護役に頑張ってもらいましょう。彼女の職務なのだから」
 
 

カイツールに着くと、ジェイドがシリウスを呼び止めた。
「アルマンダイン将軍を知っていますか?」
「何度かお目にかかったことはありますが」
「それはちょうど良い、一緒に来てくれませんか。知った顔が居た方が、話が早いでしょうから」
「今の私は白光騎士団ではありませんよ?それに・・・」
「ルークなら俺が見てるよ。それでいいだろ」
ルークと談笑していたガイが笑って手を振る。
子ども扱いすんなよ!と膨れたルークが笑って手を振るのに振り返し、
「じゃあ、ちょっと行ってきます。ガイ、しばらく任せるから、ルーク様から離れないで下さいね」
 
軍港責任者と話をし、帰ってくる途中で、魔物の気配を感じた。
胸騒ぎに駆け出すと向こうからガイが走り寄ってくる。
「シリウス! ちょっと目を放した隙にルークが魔物に浚われた。六神将のアリエッタが、コーラル城に来いと・・・!」

「馬鹿野郎! 離れるなと言っただろう! 何の為の護衛だ!」

いつも穏やかなシリウスの激高に、周りは立ちすくむ。
踵を返したシリウスは軍港の兵に言って騎獣を借りると飛び乗った。
「私は後を追います。あなたたちは此処に居て下さい。足手まといですから」
「ま、待てよ六神将相手に一人じゃ・・・」
返事など聞く気も無くシリウスは走り去った。
 


硬い台の上で、ルークは目を覚ました。頭痛を堪え、身体を起こすと何か興奮し騒いでいる人影が見えた。
「シンク、見て下さいこのデータ! 素晴しい」
「うるさいよ死神」
「キー! 薔薇のディストだと何度言ったら!」
「ちょっと黙りなよ。 お目覚めかい? 聖なる焔の光。ちょっと検査するついでに、フォンスロットを開かせてもらったよ」
「何で、そんな事・・・」
「知らないよ。燃え滓に聞きな。あいつがあんまり煩かったからやってやったんだから。
・・・そろそろお迎えが来たかな。僕達は消えるとするよ」
 

シリウスは騎獣ごと広間に入ると、魔物を一掃し騎獣を繋いだ。目を閉じ気配を探る。
「・・・下か」
開かない扉は譜術で吹き飛ばし、魔物は足も止めずに切り払って最短距離を進んでいく。
奇妙な装置のある部屋に目指す人影を見つけた。

「ルーク様! ご無事で」
「シリウス、大丈夫だ。なんか危害を加えるって感じじゃなかった。フォンスロットを開いたって言ってた。なんでかは燃え滓に聞けって。シンクとディストは、さっき居なくなっちゃったよ。 ・・・ああー頭痛てぇ。ガンガンする」
シリウスはルークをそっと抱き上げると、壁際に座りルークを膝枕した。
「寝心地は悪いでしょうが、少し休んでください。此処は安全ですから」
「うん・・・そうする」


シリウスはルークの頭を優しく撫で続ける。
小さな声で歌を歌うと、表情を和らげたルークがやがて寝息を立て出した。
静かな子守唄は長い間その場に流れていた。
 
 

 


閑話 その頃のアッシュ

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