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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2007.10.30,Tue

 
                 ※ちょっとだけ流血注意。 ヴァンの最後。 後半ルーク頑張る。
 
 
 

 
外殻大地降下の最終目的地であるアブソーブゲートで、ヴァンは待ち構えていた。
もうヴァンを止める事は誰にも出来なかった。ルークたちはヴァンとの決戦に臨んだが、ヴァンは強く一同は押され気味になっていた。
 

突然銃声が響く。弾丸はヴァンの腕を掠めて床に跳ね返った。2発、3発と続く弾丸にヴァンは素早く身を引いた。
「・・・お前らか。雑魚どもが何をしにきた。」

アッシュが特務師団を引き連れてその場に現れた。黒衣に紅がひるがえる。
「てめぇに借りを返してやろうと思ってな。・・・雑魚の戦いを見せてやるよ。」

アッシュの合図に特務師団の面々がヴァンを取り囲む。ヴァンの足元に譜業爆弾が爆発したのを皮切りに一斉攻撃が始まった。
金属の糸がヴァンの手足に絡まり、動きを止める。その一瞬の隙を突いて素早い者が切りつけた。ヴァンが剣で受け止めると、後方からさらに剣戟があびせられる。
次々と隙を突いて切りつけては素早く離れる戦法に、ヴァンは翻弄された。
一つ一つは致命傷でなくても、それが重なれば体力は落ちてくる。
 
奥義を出す暇もない波状攻撃に、堪らずヴァンはよろめいた。そこに特務師団二人の譜術師の秘奥義が立て続けに炸裂する。アッシュともう二人がヴァンの懐に飛び込み、3人が次々と奥義を放った。
息をつく暇も無い一糸乱れぬ連携だった。

「ぐあっ・・・!」

ふらふらと後ずさるヴァンを、特務師団たちは逃がしはしなかった。数人が回りこんで退路を塞ぐ。
チェイスがヴァンの剣を止めた一瞬の隙にノールがヴァンの腹を貫いた。
アッシュは風のように飛び込んで行くと、剣を一閃させた。
ドサリと重い音を立てて、ヴァンの身体が倒れこんだ。
 
「兄さん!」
ティアの悲鳴が響き渡る中を、ヴァンの首級が転がっていった。
 
 
 
「何だ、こいつを殺す覚悟はついていたんじゃないのか?てめぇら何しに此処まで来たんだよ。」
クックッと笑いながらアッシュが近寄ってくる。
剣を手にしヴァンの返り血を浴びた、『鮮血』の二つ名に相応しいその姿にルークの仲間達は後ずさった。

ルークだけが悲しげな笑顔で一人進み出てくる。
「アッシュ、ありがとう。これから俺は外殻大地の降下をするよ。」
「最後くらいは手伝ってやるよ。ラジエイトゲートは書き換えておいてやった。」
二人は同時にパッセージリングに手を伸ばすと、其処に光が溢れた。
重い振動が響き渡り、大地はゆっくりと降下して行った。
 

 
疲労で膝を突いてしまったルークを置いて踵を返そうとしたアッシュを、激しい頭痛が襲った。
ルークも頭を抱えている。二人の元に光が集約し、アッシュの元には剣が残された。

「・・・ローレライが、早く開放しろとよ。お前、宝珠を取り込んじまったな?出せる様にしとけよ。そいつとこれが合わさってローレライの鍵になるらしいぜ。」
アッシュは顔をしかめながら、ローレライの剣をルークに投げ渡した。
「アッシュ。 ・・・これはアッシュが持っていて。俺、頑張るから、手伝って欲しい。」
頭痛に泣きそうになりながらルークが剣を差し出した。ちょっと迷って嫌そうにそれを受け取る。
「しかたねぇな。しばらくしたら連絡するから、宝珠を出せるようにしとけ。」
「解った。」
 
 
アッシュは此処まで付いて来た特務師団の隊員たちの方に向き直ると、笑いかけた。
「ご苦労だったな、皆。目的は達した、これより帰還する!」
「「「おお!」」」
20名ほどの特務師団たちが、一斉に敬礼をする。その中をアッシュは毅然と進んでいった。
団員達は次々と踵を返してアッシュの後を追った。
 

アッシュは特務師団を引き連れて去っていった。
そして一月の間、連絡が来る事はなかった。
 
 
 

 
ルークたちはそれぞれの国に戻り、暮らしていた。
ルークはファブレの屋敷で宝珠を取り出す為の訓練をしていたが、皆、腫れ物を触るようにルークに接した。
レプリカと知れてしまったルークを怖がる使用人達が多かったのだ。
ルークにとってバチカルの屋敷はけして居心地の良いものでは無かった。
 
その間、アッシュたち特務師団は、各地の残党狩りに勤しんでいたらしい。
特務師団は、ヴァンのやろうとしていた事をばらし、それでもヴァンにつこうと言う者達を次々に叩き潰して行った。
点在していたレプリカの製造施設も全て破壊されたという。
最も、レプリカはディストが作成に入ってしまっていたので、千人余り作られてしまっていたようだが。
 
 

 
そして、恐れていた事が起こってしまった。
ディバイングラインで大地の下に封じ込めていた瘴気が、大地の隙間から噴出してきたのだった。
 
アニスにモースの所に連れて行かれたイオンは、預言を詠んで乖離してしまった。
仕方が無かった、と口々に慰められるアニスを、仲間達を、ルークは凍った瞳で見つめた。
イオンの死を心から嘆く者は居ない。ただイオンを死なせてしまった自分たちを哀れんでいるだけだ。
レプリカは利用され、使い捨てられるものでしかないのか?ルークの心を絶望が覆った。
 
 
久しぶりにダアトに集合した皆は、解決策を話し合った。アッシュも特務師団を引き連れてダアトに来ていた。両国の王達も。
そこでジェイドが瘴気中和の方法をルークに示した。 ・・・施行者の命をかける方法を。
ルークは、アッシュにだけは何としてでも生きていて欲しかった。
 
 
「俺がやります。」
 
哀しい決意を込めてそう言ったルークを、周囲のものは痛ましそうに見つめた。
何故お前が!という者もいるが、代案を出す訳ではない。ただ言っているだけだ。
レプリカであるルークが瘴気を中和するというジェイドの案に皆が傾いていたその時、笑い声が響いた。
壁にもたれて会話を聞いていたアッシュだった。
 
 
 
「ははははっ! 結局そうやって全部お前に押し付けて利用して、お前を殺して皆助かりたいんだよ。世界の為?奇麗事言ってんじゃねぇよ。」
「そんなこと無いわ! 私たちはルークの意志を尊重して・・・」
「こいつの負い目を利用して、そう言わざるを得ない様に仕向けたじゃねぇか。意志を尊重?笑わせるぜ。」
言葉に詰まり、何も言えなくなった皆の前に、笑いながらゆっくりと近づいてくる。
 
 
「いいぜ、俺がやってやるよ。だが、お前らの為でも世界の為でもねぇ。報酬を寄こせ。お前らの全ての国民の命に見合った額をな。俺もこいつらを食わせなきゃなんねぇからな。 ・・・そうだな、コーラル城と周辺の土地を寄こせ、カイツールまでだ。あとは城の修繕費用を持ってもらおうか。それと年間200万ガルド、暮らしが軌道に乗るまでだ。10年位か。安いもんだろ? キムラスカ、マルクト、ダアトで出しゃ良いんだから。 ・・・さあ、どうするよ。」
 
ナタリアが憤慨したように叫ぶ。
「何を言いますの、報酬の為なんて! アッシュ、貴方は本当のルークではありませんか。王家の青き血の誇りはどこに行きましたの?」
「ルーク・フォン・ファブレ? そんな奴はもういねぇ。お前らが寄って集って殺したじゃねぇか。アクゼリュスで。 ・・・ああ、バチカルでもベルケンドでもダアトでも、ずっと殺し続けてきたっけな。」
その言葉に、後ろめたそうにインゴベルトは目を逸らした。そしてピオニーを見て頷き合う。
「・・・わかった。その提案を呑もう。」
 
 
 
その様子を鼻で笑って出て行こうとしたアッシュに、必死な表情でルークが走り寄った。
命がけの仕事なのに、アッシュは笑って報酬の為と言い切る。
アッシュが言うと何でも出来る気がする。俺は、使い捨てにされるのは嫌だ!
・・・もう、離れたくなかった。
 
「待ってアッシュ! 俺は、アッシュと行きたい。いっしょに連れて行って。俺は、誰の為でもなく、自分の為に生きたいんだ!」
 
 
いつもの諦めたような笑顔を消したルークの意志の発露に、アッシュは少し驚き、笑った。
やっとこいつも、自分の為に生きたいと思えるようになったか、と。
 
「・・・いいだろう。お前も報酬を貰え。キムラスカからルーク・フォン・ファブレを貰っちまえ。」

ルークは振り返り、真っ直ぐにクリムゾンとインゴベルトを見つめた。
「国王陛下、父上、ルーク・フォン・ファブレはアクゼリュスで死にました。俺はただのルークです。 ・・・自由にしてください。」
 

ルークの願いに、今までルークを犠牲にする事で全てを進めて来た施政者たちは否を唱える事が出来なかった。
「・・・認めよう。」
 
 
 

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