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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2025.04.21,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.17,Wed

 
 


「取り合えずさぁ、アクゼリュスが落ちないと何もはじまらないね」
 
 ファブレ邸では、お茶の時間だった。ヴァンがアッシュを連れてルゥの剣の指南に来ている。
4人でテラスのテーブルを囲みながら、シリウスは呟いた。
「あそこが落ちないと、他のパッセージリングに近づけない。ってことは、降下の準備もローレライを開放する事もできない。ローレライを解放できないと瘴気も中和できない。今回フェレス島は無いしね」
 
アルビオールは完成しているし、地核の振動を止める装置も研究に入っている。(ユリアシティの創世記時代の書物から、半永久的に振動を止める装置の文献が見つかった。ディストに渡して “お前だけが頼りだ!“ なんて微笑んだら、寝食を忘れて没頭しているようだ)
 
 
何もことが起きていないのに、和平や大地の降下を人民に納得させるのは難しい。
「あんまり早く落としちまうと、モースが煩いんじゃねぇか?」
アッシュの言葉に、めんどくさそうに顔をしかめる。
「モースね・・・ あいつ追い落とす弱みとか無いもんかね?」
「イオンの暗殺未遂ってのはどうだ」
「・・・そうか!」
 

ダアトに戻ったヴァンとアッシュが頑張り、毒を盛った犯人を割り出して捕らえた。
全てを吐かせると、何と先代のエベノス導師も毒殺されていた事が発覚し、モースは捕らえられた。
これで、作戦を実行する障害は、全て無くなった。
 
導師を務めていた『イオン』は自由になり、リオは導師としてダアトに戻った。『導師イオン』を二人で務めている。リオが外を飛び回っている時にイオンが導師を代理しているのだ。

イオンとシンクとリオは兄弟のように仲良く暮らしている。アリエッタも入ってワイワイ毎日煩いくらいだ。
 
 
 
ダアトも賛同した両国の和平が、ついに大々的に行われた。
ピオニーとインゴベルトが、重鎮達を説得したのだ。

消滅預言とパッセージリング耐用期限のことを話すと、不満を言う貴族達は居なくなった。誰しも自分の身は可愛いらしい。預言よりも。
預言を絶対視する者達には(そう何人も居なかったが)リオやヴァンがローレライの宝珠でユリアの願いを見せると、大人しくなった。
ユリアに預言を覆してといわれては、逆らえるはずが無かったのだ。

和平が成立した為、シリーは通信機の作成をシェリダンに依頼し各国に配備させた。これは大変喜ばれた。シェリダンは開発を進めて古代の譜業なしでも使えるようにしていたのだ。
 

こうして準備が整った。アクゼリュスが崩落したあとは、時間が勝負だ。
ルゥとアッシュは、シリウスが今回はたっぷり時間を掛けて作った、パワーアップしたフォニム収束とコントロールの宝珠を受け取り、やる気満々だった。
 

 
まずは瘴気が出始めていたアクゼリュスから住民を避難させ、アッシュとヴァンがアクゼリュスを崩落させた。フレスベルグに掴まり、すぐに脱出する。
同時にルゥ、シリウス、リオ、アリエッタがラジエイトゲートで地核の振動数を測定し、すぐにシェリダンへと渡す。リオとアリエッタはラルゴ、リグレットと合流し、アルビオールで各地のダアト式封咒を開けて回った。
 
ルゥとシリウスは、地核の振動を止める装置が完成すると、技術者と共にそれに乗り込みアクゼリュス崩落痕から地核へと向った。
シュレーの丘のパッセージリングでクリフォトの地表の流動化が止まるのを待っていたアッシュ達は、連絡があると即座に不安定になっていたセントビナー近辺を下降させた。住民はあらかじめ避難させてある。
 
見事な連携だった。これで一息つける。


シュレーのパッセージリングでヴァンに大譜歌を謡わせると、アッシュはローレライから剣を受け取った。剣と宝珠が揃い、ローレライの鍵が手にはいることになった。
2018年に入ってすぐのことだった。
 
 
 
本格的な外殻大地降下作戦の前に、ダアトで各国主要人物の会合が持たれる事になった。
キムラスカからは国王とファブレ公、ルゥとシリウス。マルクトからはピオニーとアスラン、老マクガヴァン。ユリアシティからはテオドーロ。ケセドニアからアスター。ダアトからはヴァンとリオと六神将。
これからの作戦の進行を話し合う為だ。
 

ちなみにその少し前、ナタリアに王家の血が流れていない事が発覚したのだが、インゴベルトはナタリアを娘と認めた。
ラルゴが実の父である事もわかったのだが、ラルゴは自分の娘は死んだと言い張ったのだ。
さすがに王位継承権はなくなったが、ナタリアは今までのように姫として迎え入れられた。落ち着いたナタリアは、時々ラルゴと話しているという。
 

 
「先に瘴気を中和した方がいいんじゃないか?ディバイングラインで一時的に瘴気を押し込めても、いつかは漏れて来る。その時に慌てるよりは、先にやっておこう」
「それなら、ローレライの解放を先にしないと。今回フェレス島が無いから、ローレライの第七音素がないと瘴気中和は難しいよ」

シリウスとアッシュの提案で、ローレライの開放をすることになった。
その間に、各国の民に大地の現状と降下作戦の概要を発表する事になった。
実際降下するときのパニックを避ける為だ。それはピオニーとインゴベルトの手腕にお任せする。
 
 
 
ヴァンと六神将、シリウスとルゥでラジエイトゲートに向う。(ダンジョンが短いから)
シリウスとヴァンが大譜歌を謡うなか、アッシュとルゥが一緒にローレライの鍵を地に突き立て、回した。
朱金の光が立ち上る。その光は寄り集まると人型になり、言葉を発した。

(良くやってくれた。聖なる焔の光よ。ユリアの子孫よ。我はこれで地核から開放される。ご苦労であった)

「ローレライ、瘴気を中和するのに力を貸して欲しい」
シリウスの頼みにローレライは頷くと、言った。
(ユリアシティで我を呼べ。中和はクリフォトでするが良かろう)
「わかった」

朱金の光は、光の柱となって天に昇っていった。
ルゥは安堵と疲れからへちょっと座り込み、アッシュがそれを抱きしめた。
シリウスとヴァンは笑い合い、そんな彼ら達を見て他の者達が笑い出した。
皆の顔に喜びが溢れている。
 

 
「さぁて、正念場だ。しっかり疲れを取って、大仕事に行こうか!」
「おお!」
 
 
 

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Posted by tafuto - 2007.10.17,Wed


 
閑話  対拷問訓練  
 
 
 
「しかしお前って痛みに強いよな」
ここはケセドニア経由でバチカルへと帰還するための馬車の中である。
まだ少し具合の悪いシリウスに、マクガヴァンがお詫びにと用意してくれた物だ。
ごろごろクッションに懐いているシリウスにアッシュが呆れたように話しかけた。

「いや? 痛いのは大嫌いだよ。けど、俺は対拷問訓練受けてるしね」
「対拷問訓練?」
「そう。俺の両親はそりゃあもうスパルタでさぁ。戦場に出るならって、小さい頃から色々仕込まれた」


アッシュもヴァンも興味深そうに身を乗り出してくる。伝説の傭兵の逸話が聞きたいのだ。

「まず母親から、言葉が話せるか話せないかって頃から血を吐くまで譜歌や譜術を叩き込まれた。いっぺんフォニムが暴走してさぁ。問答無用で譜眼にされたんだよ。5歳くらいの時だっけか。あんときゃ失明するかと思ったよ」
 

ヴァンが青ざめる。いきなりハードだ。
「親父にも毎日気絶するまでボコられた。あんときの俺の必需品、リバースドールとエフェクティーリングだもん。小遣いは全て回復アイテムに消えたわ。ダークシール付けられてメジオラ高原に放りこまれたときにゃ、マジ死ぬかと思った」
 

アッシュも引いた。俺の子供時代より数段ヒデェ。
「戦場に出るなら、ってんで、性技の上手い奴んとこ一週間くらい行かされてさ。色々習ったんだ。8つか9つの時だっけか」

「な・・・! それは虐待ではないか!」
ヴァンが眼を剥く。確かに色々上手だが、しかし!
いや決して仕込んだ奴を羨ましがってなんかいないぞ!
 

「いや、子供だとどうしてもそういう目に遭いやすいし。何も知らないでいきなり輪姦されるとかよりずっとマシだろうと。確かに上手く教えてもらったしな。 ・・・それに、慰安目的の子供だと思わせておけば、敵に捕まってもいきなり拷問されたり殺される事は無いし。上手く気持ちよくしてやれば、勿体無いから殺さないモンなんだよ。戦場では貴重だから。テントの隅でおとなしく可愛がられてれば情報取れることもあるし。そしたら皆殺しにして逃げてくればいい」
 
 

アッシュとヴァンは轟沈した。 こ・・・これは想像以上にハードだ!

「痛くっても気持ち良くってもペロッと機密をしゃべっちゃわないように、結構仕込まれた。最終テストで薬盛られて10人位に責められても、何も吐かなかったモンv」
「モンvじゃねぇ! 笑い事かそれは!」
突っ伏したアッシュが震えながら叫ぶ。

「あはは、でも両親には感謝してるんだ。早死にしたのに自分達の持つ技術を残さず伝えてくれたからね。だから今の俺があるのさ」
 


アッシュがちょっと見直すようにシリウスを見た。しかし続けられた言葉に固まる。

「ヴァン、あんたの鬼畜プレイに付き合えるのも、俺の両親のおかげだ。感謝しろよー」
「・・・ヴァン・・・てめぇいつもシリーにどんな事してやがるんだ」
「あのねぇ、腕を縛ってベッドに括り付けたり、尿道に「シリー!

 
「・・・ヴァン、ちょっと顔貸して貰おうか・・・」

冷や汗をかいて慌てて止めるヴァンにアッシュの地を這う声がかけられる。
馬車を止めてヴァンが引き摺っていかれた。
遠くにアッシュの秘奥義の叫びが聞こえる。ヴァンの悲鳴も。
 
 
・・・今日も平和だなぁ・・・

シリウスは昼寝の続きをすることにした。
 
 

Posted by tafuto - 2007.10.17,Wed

 

                       ※ジェイド好きさん、ごめんなさい。 ジェイド、馬鹿です。

 

 

ナム孤島からリオが到着するのを待って、インゴベルト王に非公式での会見を申し込んだクリムゾンは、シリウスとリオを連れてインゴベルトの私室に入っていった。
重要な話であるからと、人払いをお願いする。
そして、キムラスカの繁栄の先にある預言について話し始めた。

黙って聞いていたインゴベルトは、どんどん青ざめてゆく。
「とても信じられん。 ・・・こんな重要な話に、何故その二人を同席させたのだ、クリムゾン」
「それは、この二人がこの話の証拠だからです」

シリウスとリオが進み出る。リオが挨拶をした。
「お久しぶりです、インゴベルト王。僕の顔を覚えていますか?」
「・・・貴方は導師イオン! 何故此処に?」
「世界の破滅を防ぐ為です。さあ、証拠をお目に掛けましょう。こちらはシリウス、ユリアの子孫です。彼はローレライの宝珠を持っている」

シリウスが宝珠を出現させると、リオはそれを受け取り、インゴベルトに触れさせた。
インゴベルトは驚愕に目を見開く。そしてがっくりと項垂れた。
 


「泡沫の繁栄のあとには破滅がまっておったのか・・・ わしは、何と愚かな選択をする所だったのか・・・」
「預言は、覆す事が出来るのです。僕には、死の預言が詠まれていました。しかしこうして此処に居る。ダアトに居るのは僕の身代わりです。 ・・・世界の存続の為に、マルクトと戦争をしてはなりません。和平を進めては頂けませんか」

クリムゾンとシリウスがクリフォトの事、パッセージリングの耐用年数のことを告げると、インゴベルトは和平を進める事に賛同した。
またレプリカの事、アッシュとルークのことも話しておく。
インゴベルトは驚く事ばかりだった。

モースが預言の為にイオンに毒を盛っていた事を告げるとインゴベルトは驚き、モースの言を重用しない事を約束してくれた。
モースに気付かれる事が無いよう、打ち合わせをしておく。
 

話し合いの末、インゴベルトからの和平の親書を内密にマルクトのピオニーへと渡す事になった。
いきなり国を挙げて和平を進めても、貴族達が納得しないことは解り切っていたからだ。
両国のトップ同士で話がついていれば、最悪戦争は免れる。
「頼んだぞ」
リオたちは親書を受け取ると、部屋を後にした。
 
 


リオは数日ファブレ邸へ滞在したあと、(ルゥととても仲良くなった)剣術指南の名目でやって来たヴァンと共にマルクトへと渡った。

ローレライの宝珠はヴァンに託された。途中でアリエッタと合流し、リオの護衛を頼む。
教団に依頼されていた仕事の報告ということでグランコクマに入り、伯爵位を継いだガイにピオニーとの繋ぎをつけてもらった。
 

ヴァンとリオがピオニーの私室に呼ばれる。
そこには面白そうな顔をしたピオニーとジェイドが居た。

「俺がピオニーだ、何か話があるって事だが、わざわざこんな遠くまでご苦労だったな」
「お初にお目にかかります、私はヴァン・グランツ。オラクルで謡将を勤めております」
「僕は導師イオンです。今はリオとお呼び下さい」

ヴァンは跪礼、リオは立礼を取って挨拶する。対してジェイドは礼を取りさえしなかった。
「まあ、堅苦しいのは抜きだ。話を聞かせてくれないか?」
ピオニーがヴァンを立たせ、二人に一礼してから話し始める。しかし、答えようとしたヴァンをリオが手で制した。

「そこの方はどなたですか?ダアトの導師に礼の一つもしないとは、さぞ高い身分でいらっしゃるのでしょうね」
「・・・失礼しました。私はマルクト軍第三師団師団長、ジェイド・カーティスと申します。階級は大佐です」
慇懃無礼なジェイドに、ピオニーがしまったという顔をする。

「申し訳ありませんが、たかが佐官が聞くには重要すぎる話ですので、外してもらえないでしょうか」
にっこり笑ったリオから、怒りのオーラが出ている。
ジェイドが冷笑しながら答えた。
「おや、私に聞かれては不味い話ですか? いちおう皇帝に護衛が付かないのはまずいんですけどねぇ。貴方が導師という保障もありませんし」
 

ヴァンは唖然としている。
・・・皇帝が通した客人にこの態度か、これはシリーが嫌うわけだと思いながら。

「他国の要人に対して公と私の区別も付かない無能な佐官は、不快だから出て行けといっているんですよ。そんな事も理解できませんか?」

リオの嘲笑に、不快気にジェイドの笑みが消される。そこにピオニーの声がかかった。
「ジェイド、悪いがアスランを呼んできてくれ。導師、謡将、すまなかった」
「わかりました」
謝罪もせず去ってゆく背中に、リオの声が突き刺さった。
「陛下、部下はきちんと躾けないと、ご自分の恥になりますよ」
 
 
「さて、すまなかった。本題に入ってくれるか」
ジェイドの代わりにアスランが入室し、その礼儀正しい態度にリオが機嫌を直すと、ピオニーが話を始めた。

「私たちは、秘密裏にキムラスカから和平の親書を預かってまいりました。まずはどうぞお受け取り下さい」
「キムラスカが? インゴベルト国王は戦争推進派だったと思ったが・・・」
そういいながら親書を確認するピオニーにリオは続ける。
「戦争など起こしている暇は無い事態が持ち上がったのです。それをこれから御説明したいのです。世界の存亡にかかわる事態ですが、よろしいですか?」
ちらりとアスランを見るリオに頷き返す。アスランならば機密を聞かれても問題ない。
 

「ではまず、これをご覧下さい。 ・・・これはローレライの宝珠です」
ヴァンが隠しから取り出した宝珠を皇帝に見せる。
「此処には、ユリアの最後の預言が入っています。ユリアの願いも。見る気は有りますか?」
疑わしそうにそれに触れたピオニーは、驚愕してそれに聞き入った。アスランにも触れさせる。

二人が声をなくしているとリオが話し始めた。
「私たちは、この預言を覆す為に動いているのです。協力していただけますか?」
無言だったピオニーが、いきなり笑い出した。
「当たり前だ。ほっといたら俺の民たちが死に絶えるなんざごめんだ。ぜひ一枚かませてくれ」
ヴァンとリオはインゴベルトに説明した様な事を話した。
レプリカの事を聞いたとき、ピオニーが小さく呟いた。

(ジェイド、あの馬鹿野郎。あんなに馬鹿じゃなかったらこの話が聞けたのに・・・)
 

 
この内密の和平で、キムラスカとマルクトはパッセージリングの合同調査を行う事に取り決めた。
クリムゾンは、インゴベルトの許可をえてシェリダンに資金援助し、アルビオールの開発を急がせた。
ちなみに宝刀ガルディオスはとっととガイに返した。
アクゼリュスの崩落が詠まれた、一年前の事だった。
 
 
アクゼリュスのパッセージリングを調べた調査団は、頭を抱えた。
パッセージリングは3つの封咒で守られており、そのうちの一つはホドとアクゼリュスが崩落する事によって開呪される。
アクゼリュスは、落とすしかなかった。

すでに少量ながら瘴気が発生しており、パッセージリングは限界に達している事が確認された。
同行していたシリウスがユリア式封咒を開けると、耐用年数超過の文字が出現した。
 

とりあえずそこまでにしておいて、調査団は各国に報告する為、帰国の途に着いた。
炭鉱から出たとたん、シリウスが倒れた。
瘴気汚染が進んだアクゼリュスのユリア式封咒を解いた為、一時的な瘴気障害に陥ったのだ。
同行していたリオとアリエッタは驚き、一番近いセントビナーに運ぶ事にした。

「あ~ ・・・忘れてたよ。ユリア式封咒を解くと、瘴気を受け取ってしまうんだった。さすがにアクゼリュスの瘴気はきついや。ああ、大丈夫、俺は体内フォンスロットを調整して少しずつ瘴気を排出できるから。死なないよ」
 

ぐったりしたシリウスは、ソイルの木の近くにいると楽だと言って、昼はずっとソイルの木にもたれていた。
3日もするととりあえず少しは動けるようになってきた。
しかし厄介ごとが来ていた。
 


 
シリウスが宿に向ってのろのろと歩いていると、突然攻撃された。よけきれず飛ばされたところにグランドダッシャーが襲い掛かる。ほとんど朦朧となりながら顔を上げた所に、青の軍服が映った。
髪を掴んで上を向かされる。・・・そこには冷笑したネクロマンサーがいた。

「こんな所に何の用です・・・『冥王』」

後ろ手に拘束され、譜術防止の猿轡が噛まされる。兵士に引きずられながら、軍の留置場に投げ込まれた。
 

リオとアリエッタは薬を買いに出ていた。戻ってくるとシリウスがいない。宿に戻ったかと思ったが、どこにもいない。困惑していると、外から噂話が聞こえてきた。
「なんだか、キムラスカ軍のスパイがいたらしいよ? 軍人さんが摑まえて連れて行ったの」
二人は顔を見合わせると、老マクガヴァンのところに飛んでいった。
 


シリウスは尋問とは名ばかりの、ウサ晴らしのような拷問を受けていた。大体猿轡も取らずに尋問なぞ出来るわけが無い。数人がかりで殴る蹴るの暴行だった。部屋の隅でジェイドが見ている。

「殺しはしませんよ。ただ、譜術を使われては困るのでね。ああ、動けないように手足は駄目にして置きましょうか」
そう言うと太腿にナイフを突き刺した。仰け反るシリウスを冷笑する。
その時ドアが開いて、誰かが飛び込んできた。

「止めんかジェイド!」
マクガヴァンがリオとアリエッタを連れてきていた。
アリエッタがシリウスの様子に息を呑んで駆け出して行った。止血にかかる。

「何故止めるのです。彼は我が軍に多大な損害を与えてきた『冥王』ですよ?」
「その方は、ピオニー陛下の命で体を壊してまで協力してくれていたのだぞ! すぐに拘束を解くのじゃ!」
その言葉に、暴行していた兵士達は青くなったがジェイドは動じなかった。
「陛下の? 聞いたことがありませんね、そんな命令は」

「それはあんたが信用できないからだよ。何で皇帝の全ての命を知ってる気になってるんだよ。自惚れるな、たかが佐官の癖に」
怒りに燃えたリオがジェイドの前に進み出た。その顔を見てジェイドが冷笑を消す。
そこにヴァンが飛び込んできた。
 

丁度グランコクマに来ていたヴァンは、シリウスが倒れたと鳩で連絡を受けたピオニーに聞いて、駆けつけてきたのだった。
軍本部で訊ねてすぐに此処に来たヴァンが見たものはズタボロになったシリウスの姿だった。

「おい、しっかりしろ!」
すぐに戒めを外してやり、回復術をかける。シリウスを抱き上げるとジェイドを一瞥した。
「この事は、ピオニー陛下に報告させてもらう。ネクロマンサーは、戦争をお望みか?」
そうしてそのまま出て行った。リオとアリエッタも続く。
 
「ジェイド・・・! だからお前には話せんかったのじゃ! グランコクマに戻り、しばらく謹慎しておれ!」

後日、クリムゾンにピオニーから丁重な謝罪文が届いた。
ジェイドは降格処分となったそうだ。
 
 

「おい、シリー! 大丈夫か?」
呼びかけるヴァンにシリウスはうっすらと目を開いた。
「や。なんでここにいるの? ・・・・・・いや~あんたのSMプレイより激しかったよ・・・」
ちょっと脱力したヴァンは、夜っぴて回復をかけまくったのだった。


リオとアリエッタを先に帰し、一週間ほど療養したシリウスは、駆けつけてきたアッシュとヴァンに付き添われてキムラスカに帰っていった。
 
 
 

 

 

閑話  対拷問訓練  R・・・ではないが、倫理的にちょっとアレなシリウスの過去

 

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作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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