「取り合えずさぁ、アクゼリュスが落ちないと何もはじまらないね」
ファブレ邸では、お茶の時間だった。ヴァンがアッシュを連れてルゥの剣の指南に来ている。
4人でテラスのテーブルを囲みながら、シリウスは呟いた。
「あそこが落ちないと、他のパッセージリングに近づけない。ってことは、降下の準備もローレライを開放する事もできない。ローレライを解放できないと瘴気も中和できない。今回フェレス島は無いしね」
アルビオールは完成しているし、地核の振動を止める装置も研究に入っている。(ユリアシティの創世記時代の書物から、半永久的に振動を止める装置の文献が見つかった。ディストに渡して “お前だけが頼りだ!“ なんて微笑んだら、寝食を忘れて没頭しているようだ)
何もことが起きていないのに、和平や大地の降下を人民に納得させるのは難しい。
「あんまり早く落としちまうと、モースが煩いんじゃねぇか?」
アッシュの言葉に、めんどくさそうに顔をしかめる。
「モースね・・・ あいつ追い落とす弱みとか無いもんかね?」
「イオンの暗殺未遂ってのはどうだ」
「・・・そうか!」
ダアトに戻ったヴァンとアッシュが頑張り、毒を盛った犯人を割り出して捕らえた。
全てを吐かせると、何と先代のエベノス導師も毒殺されていた事が発覚し、モースは捕らえられた。
これで、作戦を実行する障害は、全て無くなった。
導師を務めていた『イオン』は自由になり、リオは導師としてダアトに戻った。『導師イオン』を二人で務めている。リオが外を飛び回っている時にイオンが導師を代理しているのだ。
イオンとシンクとリオは兄弟のように仲良く暮らしている。アリエッタも入ってワイワイ毎日煩いくらいだ。
ダアトも賛同した両国の和平が、ついに大々的に行われた。
ピオニーとインゴベルトが、重鎮達を説得したのだ。
消滅預言とパッセージリング耐用期限のことを話すと、不満を言う貴族達は居なくなった。誰しも自分の身は可愛いらしい。預言よりも。
預言を絶対視する者達には(そう何人も居なかったが)リオやヴァンがローレライの宝珠でユリアの願いを見せると、大人しくなった。
ユリアに預言を覆してといわれては、逆らえるはずが無かったのだ。
和平が成立した為、シリーは通信機の作成をシェリダンに依頼し各国に配備させた。これは大変喜ばれた。シェリダンは開発を進めて古代の譜業なしでも使えるようにしていたのだ。
こうして準備が整った。アクゼリュスが崩落したあとは、時間が勝負だ。
ルゥとアッシュは、シリウスが今回はたっぷり時間を掛けて作った、パワーアップしたフォニム収束とコントロールの宝珠を受け取り、やる気満々だった。
まずは瘴気が出始めていたアクゼリュスから住民を避難させ、アッシュとヴァンがアクゼリュスを崩落させた。フレスベルグに掴まり、すぐに脱出する。
同時にルゥ、シリウス、リオ、アリエッタがラジエイトゲートで地核の振動数を測定し、すぐにシェリダンへと渡す。リオとアリエッタはラルゴ、リグレットと合流し、アルビオールで各地のダアト式封咒を開けて回った。
ルゥとシリウスは、地核の振動を止める装置が完成すると、技術者と共にそれに乗り込みアクゼリュス崩落痕から地核へと向った。
シュレーの丘のパッセージリングでクリフォトの地表の流動化が止まるのを待っていたアッシュ達は、連絡があると即座に不安定になっていたセントビナー近辺を下降させた。住民はあらかじめ避難させてある。
見事な連携だった。これで一息つける。
シュレーのパッセージリングでヴァンに大譜歌を謡わせると、アッシュはローレライから剣を受け取った。剣と宝珠が揃い、ローレライの鍵が手にはいることになった。
2018年に入ってすぐのことだった。
本格的な外殻大地降下作戦の前に、ダアトで各国主要人物の会合が持たれる事になった。
キムラスカからは国王とファブレ公、ルゥとシリウス。マルクトからはピオニーとアスラン、老マクガヴァン。ユリアシティからはテオドーロ。ケセドニアからアスター。ダアトからはヴァンとリオと六神将。
これからの作戦の進行を話し合う為だ。
ちなみにその少し前、ナタリアに王家の血が流れていない事が発覚したのだが、インゴベルトはナタリアを娘と認めた。
ラルゴが実の父である事もわかったのだが、ラルゴは自分の娘は死んだと言い張ったのだ。
さすがに王位継承権はなくなったが、ナタリアは今までのように姫として迎え入れられた。落ち着いたナタリアは、時々ラルゴと話しているという。
「先に瘴気を中和した方がいいんじゃないか?ディバイングラインで一時的に瘴気を押し込めても、いつかは漏れて来る。その時に慌てるよりは、先にやっておこう」
「それなら、ローレライの解放を先にしないと。今回フェレス島が無いから、ローレライの第七音素がないと瘴気中和は難しいよ」
シリウスとアッシュの提案で、ローレライの開放をすることになった。
その間に、各国の民に大地の現状と降下作戦の概要を発表する事になった。
実際降下するときのパニックを避ける為だ。それはピオニーとインゴベルトの手腕にお任せする。
ヴァンと六神将、シリウスとルゥでラジエイトゲートに向う。(ダンジョンが短いから)
シリウスとヴァンが大譜歌を謡うなか、アッシュとルゥが一緒にローレライの鍵を地に突き立て、回した。
朱金の光が立ち上る。その光は寄り集まると人型になり、言葉を発した。
(良くやってくれた。聖なる焔の光よ。ユリアの子孫よ。我はこれで地核から開放される。ご苦労であった)
「ローレライ、瘴気を中和するのに力を貸して欲しい」
シリウスの頼みにローレライは頷くと、言った。
(ユリアシティで我を呼べ。中和はクリフォトでするが良かろう)
「わかった」
朱金の光は、光の柱となって天に昇っていった。
ルゥは安堵と疲れからへちょっと座り込み、アッシュがそれを抱きしめた。
シリウスとヴァンは笑い合い、そんな彼ら達を見て他の者達が笑い出した。
皆の顔に喜びが溢れている。
「さぁて、正念場だ。しっかり疲れを取って、大仕事に行こうか!」
「おお!」
当家のPCとセキュリティ
Windows Vista IE8
Norton Internet Security 2009
GENOウィルス対策↓
Adobe Reader 9.4.4
Adobe Flash Player WIN 10,3,181,14
Powered by "Samurai Factory"