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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2025.04.22,Tue
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Posted by tafuto - 2007.10.15,Mon

 
 

シリウスの子育てが始まった。
膝の上にルークを座らせ、体をマッサージしながらゆっくりと動かしていく。
「体に、どうしたら動かせるのかを覚えさせるんだよ。・・・焦らずに」

ルークは記憶を取り戻しているので、意識ははっきりしている。ただ、それを表現できないだけだ。
シリウスは話しかけ、説明しながら少しずつ体が動くようにしていった。
同時に、発声練習も。
「言葉が話せるようになったら、アッシュと連絡が取れるよ。そのための譜業を作るのに、俺はとっても頑張ったよ。誉めてくれるかい?」
俄然張り切ったルークは、あー、いー、うーとか、うるさいほど張り切り、一週間で片言なら話せるようになった。そして座っていられるようになった。
 
 

ある日クリムゾンに許可を貰い、シュザンヌに面会させる事にする。
クリムゾンはまだ戸惑いが強くあれから息子に会いに来た事は無かったが、成果を見てくださいと言うと、しぶしぶ同席することを約束した。

二人の居室に、ルークを抱いて行く。
父と母の顔を見たルークが、ぱっと顔を輝かせ、満面の笑みで手を差し伸べる。
「ちちうえー・・・ははうえー」
「・・・ルーク!」
ベッドの上に座らせたルークをシュザンヌが抱きしめる。喜びの涙を流している。

それを見ていたクリムゾンに、シリウスは話しかけた。
「ルーク様は、以前の記憶は失っておられるようですが、知能は損なわれてはいません。利発なお子様です。赤子と同じでこれからどんどんご成長なされるでしょう。・・・失ったのでは無いのです。やり直す機会が与えられたのです」

その言葉に、哀しそうに、しかし喜びを含んで目元を緩ませたクリムゾンは、そっとルークに近づくと、頭に手を置いた。振り向いて嬉しそうに笑うルークに愛おしさが込み上げて来る。
しかし同時に預言の事を思うと、身を切られるような痛みが心を襲うのだった。
辛そうに微笑むクリムゾンを、シリウスとルークはじっと見ていた。
 


「ちちうえ、に、はなし、だめ・・・?」

部屋に帰ってから、ルークはシリウスに言った。『以前』は分からなかった父の内心が理解でき、辛くなってしまったのだ。
「・・・そうしたいんだけど、少し早すぎるよ。もう少し君が話せるようになって、説明できるようじゃないとね。機を見てそれとなく俺が預言について話してみるよ」
「ん・・・」
「さあ、今日は一緒に歌を歌おうか。目指せ!アッシュとおしゃべり! だよ」
「ん・・・!」
 
 

テラスでシリウスと歌うルークの歌が随分上手になってきた頃、シリウスはアッシュに連絡を取った。
「ここを押すと向こうが振動して連絡が来たのを知らせるんだ。向こうから返答があった時点で話すことが出来る。他人といる時にいきなり話すのは不味いからね。周囲に誰もいないのを確認して、話すこと。切る時はここ」
「わかった!」

 
ボタンを押して5分ほどすると、返答があった。息を切らせている。

「ル・・・ルゥ! お前か!」
「あっしゅー! ひさし、ぶりー」
「話せるように、なったのか・・・」
「まだ、ゆっくり、なの」
「・・・・・!(ぐはっ!)」←クリティカルヒット
 

なんか向こうのアッシュの様子がわかるなーと思いながら、シリウスが割り込んだ。
「アッシュ、今日は突然だったけど、そっちの都合のいい時間帯をルゥに教えておいてね」
「シリー! 久しぶりだな。お前が行ってからのヴァンの野郎の様子はなかなか笑えたぜ」
くっくくと思い出し笑いをするアッシュに溜息をつく。
「まあ、あんまり苛めないであげてよ。 ・・・ルゥとの話は、初めは短めにね。喉が疲れちゃうから」
「わかった」
「ええー、いっぱい、はなしたいー」
ルークの頭をぐしゃっと撫でると、二人の時間を邪魔しないようにシリウスは退室した。
 

 
半年も経つと、ルークは外見年齢相応の行動が出来るようになった。
『以前』も7歳児だったので、逆行してもかえって違和感が無いくらいだ。
天真爛漫に笑い、子供らしい行動をするルークに、初めは誘拐前の『ルーク様』と比べていた使用人達もだんだん絆されていった。
『以前』苦労したので、他人を思いやる優しい気持ちが前面に現れていたのだ。

一緒に花壇の世話をしている時のペールなんか、メロメロだ。ガイは今回ルーク様付きでは無かった為、複雑そうにそれを見ている。
クリムゾンも、ルークが無邪気に慕ってくるのに、戸惑いながらも絆されていた。
シリウスとルークがテラスで歌うのを(発声練習代わりが習慣になっていた)部屋の窓からこっそり覗いているのが何度も目撃された。とても優しい目をしていたという。
シュザンヌもたびたびルークに会いたがった。具合の悪そうな時でも、ルークが訪ねると身を起こして抱きしめた。
 

あるとき、酷く調子を崩したシュザンヌにシリウスが回復を申し出た。
ルークが泣きそうになりながら頼んだのだ。
優しく紡ぐハートレスサークルにシュザンヌの顔色は良くなり、クリムゾンにも喜ばれた。時々回復の譜歌を謡うようにすると、シュザンヌは寝たきりでなくても良い位、体調が良くなっていった。
シリウスがルークにベンチで御伽噺を聞かせているのを、窓から一緒に聞いている事もあった。
一度、悲恋の物話をしていたらルークとシュザンヌに泣かれてしまい、騒ぎ出したメイドたちにシリウスは慌てて謝った。
 
 
 


 
閑話? 花畑でピクニック ルゥ歌う
 

 
ここ数日調子の良かったシュザンヌに、ルークはおねだりをしてみた。
裏庭の一角にルークが蒔いた草花が花を開き、綺麗なお花畑になっていたから、見せたかったのだ。

「ははうえ、お体が平気なら、お花畑をみにいきませんか?」
「ルーク様が裏庭に育てられた花が、とても綺麗に咲いていますよ。軽く摘める物でも持って、外でランチでも致しませんか?」
シリウスも笑って言葉をかける。
「まあ、素敵ね。ねぇあなたもご一緒にいらっしゃいませんか?」
「うむ、・・・そうだな」
妻の願いに、ちょうど休日だったクリムゾンも珍しく付き合うことになった。
 

こうして、ささやかなピクニックが開催される事になった。
普段人もあまり行かないような裏庭は、ルークが蒔いた花の種が、一面の花畑になっていた。
穏やかな光が降り注ぎ、気持ちの良い風が吹いている。

花畑の真ん中の開いている場所(花を潰したくなかったルークが其処だけ種を蒔かなかった)に、防水の毛氈をひき、クッションを重ねた上にシュザンヌがもたれかかる。膝掛けがそっと掛けられた。
摘みやすいように作られた可愛いお弁当と、口当たりの良い飲み物が配られた。
 

「とても綺麗ね、ルーク。素敵だわ」
嬉しそうに笑ったルークは、小さな花冠をシュザンヌに乗せた。
「ははうえが、元気になりますように」
「まあ、ありがとうルーク」
微笑を浮かべるシュザンヌ。ルークはクリムゾンの首にも花輪をかけた。
「ちちうえも」

照れくさそうな仏頂面の耳が赤い。護衛の兵士やメイドたちは、微笑ましくそれを見守った。
ルークがシリウスと練習していた歌を披露する。
 

幼いが一生懸命な歌声と綺麗に澄んだ声のハーモニーが流れる。
シュザンヌたちはそれに聞き惚れた。


幸せな、午後であった。
 
 
 

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Posted by tafuto - 2007.10.15,Mon

 

 
バチカルサイド
 
 

シリウスはケセドニアに来ていた。バチカルに行く為に、『前回』の行程をなぞってみたのだ。
ケセドニアから陸路でバチカルに向う隊商の護衛として雇われた。
隊商は途中、商売をしながらゆっくりバチカルへと向っていく。

イニスタ湿原の近くに来た時、魔物の群れに襲われた。
湿原から多数の魔物が飛び出してきたのだ。遠くに魔物を追っている騎士団の影が見える。
(よし、上手く会えたぞ)
シリウスは微笑むと、すぐに表情をけして魔物にむかっていった。
 


魔物討伐をしていたキムラスカの騎士団は、追っていた魔物が隊商に襲い掛かったのを見て慌てた。
全速力で追いかける。その目前で火柱が上がった。
びくりとして立ち止まると、隊商の護衛らしき人物が譜術を使っている。その威力に驚愕した。
護衛は双剣を抜くと、魔物の群れに突っ込んでいった。舞うように刃を閃かせ、一瞬で倒していく。
同時に、隊商にむかっていった魔物がサンダーブレードで吹き飛ばされていった。

鮮やかな手並みに見入っていると、低い声が指示を出した。
「何をしている。早く助けにいかんか。我らが取り逃がした魔物で民を危険に曝すつもりか」
「は、はい」
急いで駆けつけたが、ほとんど戦闘は終了していた。
「手助けをありがとうございました」
来てくれた騎士たちに、シリウスは礼を言った。隊商のリーダーも馬車を降りてくる。
そこに声がかかった。
「我らが主がお話があるそうです。いらして下さい」

 

紋の付いた頑丈そうな馬車の前に連れて行かれる。ファブレ家の家紋だ。隊商のリーダーと並んで跪く。
「・・・すまなかったな。そちらに魔物を追い込んでしまった」
「め、滅相も無い!」
「詫びに、バチカルまで同行しよう。我らも帰還するついでだが」
「あ、ありがとうございます!」
リーダーは恐縮して下がっていった。


「貴公、名を何と言う」

残されたシリウスに馬車の中の貴人が問うた。
「シリウス・ブレイズに御座います。ファブレ公爵様・・・お久しぶりです」
「顔を上げよ。・・・シリウスか、久しいな。元気であったか。『双牙』は残念であった」
「勿体無いお言葉で御座います」
「久しぶりに話がしたい。バチカルに着いたら、屋敷を訪ねてくれ」
「承知致しました」
 

一礼して去っていったシリウスを懐かしそうに見ていたクリムゾンは、白光騎士団長の怪訝そうな視線に気が付いた。
「傭兵の『氷華』ファリィヤと『双牙』フェンリルを知らんか? あれはその息子。『冥王』シリウスだ。ホドでは世話になった」
「め・・・『冥王』? 彼が・・・まだ若いでは有りませんか」
「『冥王』を継いだのはまだ15、6の時だったとアルマンダイン殿に聞いたぞ。・・・あれを欲しいと思わんか?」

滅多に見ることの無い主の楽しそうな顔に、騎士団長は驚愕してシリウスが去っていった方を見つめた。確かに剣の冴えや譜術の威力は、滅多にお目にかかれない程のものだった。
 


バチカルで隊商の護衛を終了し、ファブレ邸へと向う。話は通されていたらしく、さほど待つ事も無く応接間に通された。護衛騎士が興味深そうに視線を向けてくる。
そこに、ファブレ公爵が、騎士団長を連れて表れた。

立ち上がり、跪いて礼を取る。傭兵とは思えぬ優雅な礼に、騎士団長が驚きの目で見た。
「よい。客として来ているのだ。座ってくれ」
父の事、それから何をしていたか、近況など、聞かれるままに話す。(もちろん言えない事も有るが)
ダアトで料理人をしたという事を話した時には苦笑された。

「ダアトも勿体無い事をする。なあ、シリウス、白光騎士団に入らんか」
シリウスは来た!と思いながらも考え込んだ。ルークに会うにはどうしたら良いだろうと。
ためらいながら口を開く。
「お言葉は大変有り難いのですが・・・実は私には預言が詠まれているのです。『バチカルで眠る者を目覚めさせよ』と。何のことか分からず、とりあえずバチカルへ赴いたのですが、何かご存知ではないでしょうか?」

その言葉に驚愕したのは、ファブレ公爵と騎士団長だった。
公爵には2年間時を止めたように眠り続ける息子が居たからだ。このことは極秘で、国外に知っている者がいるとも思えない。
二人は顔を見合わせると、意を決したようにシリウスに話しかけた。
「知っている・・・しかしこの事は極秘なのだ。けして他言しないと約束するなら、案内しよう」
「傭兵は、依頼者の秘密を守るものです。けして他言せぬと誓いましょう」
頷いた二人はシリウスをルークの部屋へと案内していった。
 
 

そこには、まるで薄い光の繭に包まれたようにベッドの上で眠るルークの姿があった。
「これは我が息子『ルーク』だ。2年前誘拐され、発見されてここに戻った時から眠り続けている。まるで時を止めたように成長しておらん。この子を目覚めさせる事が出来るのか?」
ルゥの姿をじっと見つめていたシリウスは、ためらいながら口を開いた。

「・・・公爵様。秘密にして欲しいのですが、ファリィヤはユリアの子孫でした。そして私も。私はユリアの譜歌を謡う事が出来ます。あるいはそれで、ご子息が目覚めるかもしれません」
シリウスの告白にクリムゾンは驚いたが、すぐに頷いた。
「やって見てくれるか」
 

シリウスは、ゆっくりと大譜歌を謡いだした。澄んだ声が響く。その声に合わせる様に、ルークを包む光がふわりふわりと散っていった。
「おお・・・!」
大譜歌が終わると、ルークはパッチリと目を開いた。
「ルーク!」

クリムゾンが駆け寄るが、ルークは体を動かせない。
作られたばかりで眠りについたので、筋肉が動かないのだ。
掠れた声でうーあーと赤子のように声を漏らすルークに、クリムゾンは絶望の表情を浮かべた。
「せっかく目覚めたというのに、何と言うことだ。・・・哀れな」

「公爵様、子供は哀れむものではありません。慈しむものです。赤子に成ってしまったのなら、もう一度育てれば良いだけではありませんか。これも私の運命だと思います。私を御子息の教育係としてお雇いただけませんか? 護衛も致します」


優しげにルークを見るシリウスの微笑みに、クリムゾンは胸を突かれた。ルークが笑った。
「・・・そうしてくれるか。これから頼むぞ、シリウス」
恭しく跪き、シリウスは安堵の吐息を漏らした。


(ルゥ、やっと会えたね)


 
 

Posted by tafuto - 2007.10.15,Mon

 
 

そろそろ2年が過ぎようとしていた。
シリウスは食堂のほかの調理人たちに自分が2年契約である事を告げ、自分無しでもやっていけるように仕込んだ。2年かけただけあって、もうほとんど遜色は無い。
涙ぐむ同僚に新しいレシピを送る事を約束し、引継ぎをはじめた。
そしてその頃から毎晩、深夜に聖堂で歌を奉納し始めた。
 

番兵に声をかけ(顔パス)、するりと聖堂に入り込む。
ユリアのステンドグラスの前に立つ。大きく息を吸って、浪々と歌いはじめた。

初日はノーム、2日目はレム、3日目はルナという風に、一晩に精霊一体に歌を捧げていった。
番兵はその声に聞き惚れた。長く教団にいるが、こんなに見事な声はそう聞けるものではない。
自分の幸運さにユリアに感謝を捧げた。
最後のローレライの日、シリウスが聖堂に入ってすぐにヴァンがやって来た。重要な話が有るのだと人払いを命じ、扉に鍵をかけてしまった。(番兵は少し殺意が沸いた)
 
 

ユリアのステンドグラスの前にシリウスは立っていた。こちらに背を向けている。
そして歌い出した。 ・・・大譜歌を。

ヴァンは呆然とそれを見つめ続けた。澄んだ声にいつしか聞き惚れていた。
大譜歌が終わり、シリウスが振り向いた。その目を見て、やっと動くことが出来た。
ゆっくりと近づくヴァンに、シリウスが微笑みかける。

「・・・何故お前がそれを謡えるのだ」
「それはね、俺がユリアの子孫だからだよ。テオドーロ殿は言ってなかったかい? シティを飛び出した俺の祖母にユリアの血が流れている事を」
「・・・知らなかった」
「ねぇ、ユリアは何で預言を詠んだんだと思う?」
「・・・知らん!」
「教えてあげる」

 
シリウスはふっと宝珠を出現させて、ヴァンの手を取った。
自分の手で宝珠とヴァンの手を包み込むように触れさせる。
世界の消滅を詠み、嘆くユリアの声が届いた。どうか覆して、と泣いている。

目を瞠り呆然と動けないヴァンの手を外し、宝珠を体内にしまう。
「・・・まだ、ユリアを、預言を憎むかい? ユリアは滅亡を覆せるようにと預言を詠んだんだ。
長い年月のうちに預言を絶対視して、その通りに生きてきた人間は愚かだ。しかしそうじゃない人もいる。あんたの考えてる事は、きっとあんた自身も幸せになる事は出来ないんだろう? ・・・違うかい?」
 

ヴァンの目を見てするりと腰に手を回す。
「まだ人間を憎んでいる? すべてを滅ぼしたいほど」

答えられないヴァンに笑うと、シリウスは体を離し歩き出した。 
「・・・俺はけっこうあんたが気に入っている。だけど、前に言ったろ? 俺は俺の好きな人たちと楽しく暮らしたいって。末永く幸せになりたいんだよ。そのためにユリアの願いを叶えたい。
・・・明日でダアトでの契約は終了だ。答えは2年ぐらいしたら聞きに来るよ」
「待て、どこに行くのだ」
「やりたいことがあるんだよ」
 

 
次の日、皆に契約終了を告げたシリウスは、滂沱の涙と共に見送られ、ダアトを去った。
 

 

 


 
閑話   その後の主席総長
 

 
しばらくヴァンはおかしかった。
同じ書類を何枚も書いたり、コーヒーにペンを指してみたり。
虚ろな目でフォークに刺したにんじんを5分も見ていた時には、痛々しくて話し掛けられなかったほどだ。
だんだんリグレットの目が怖くなってきた。情けなさすぎて怒りが沸くらしい。
 

うんざりしたアッシュが果敢に突っ込み(というか追い討ち)を入れる。
「ハッ! 男に逃げられたくらいで、主席総長がだらしねぇな」
「ち、違う、そんな事で悩んでいるのではない! というかその表現は何だ!」

ハッと気付いたヴァンが慌てて訂正する。 
「へぇ・・・あいつのことは『そんな事』でしかないのか? シリー、可哀想になぁ・・・若いうちから散々弄ばれて、尽くしてきたのに『そんな事』かぁ」
(実はアッシュはシリウスから、ヴァンに何を言ったかは全て聞いている。ただの嫌がらせだ)

 
ちなみにここは食堂だ。大勢いるオラクル兵たちは、ヴァンを見てひそひそ噂している。
当然アッシュは狙ってやっている。ヴァンはそんな事には気が付かず、墓穴を掘りまくっていた。

「弄んでなどいないぞ! 同意の上だ」
「えぇー? 無理やり部屋に引っ張り込まれて、気絶するまで犯られたって言ってたけどなぁ」
周囲のざわめきが大きくなる。強姦?とか絶倫! とか聞こえる。
「あれは久しぶりだったから、つい・・・!」
「やっぱり体目当で、弄んでたんじゃねぇか。だから逃げられるんだよ」

「違っ「閣下。その辺にしてください。・・・アッシュ。これ以上は可哀想だから止めてあげてくれないか。情け無くて涙が出そうだ」

 
リグレットの冷たい言葉に我に返ると、ヴァンは周りを見渡した。
生暖かい視線がそっとそらされる。いくつも。
ヴァンは別な意味で虚ろな視線になると、そっと、席を立った。
 
 
シリウスに聞いたユリアの真実や預言について深く悩んでいたヴァンは、「犯り過ぎで愛人に逃げられ、子供にくどくど言い訳する情けない男」という事になっていた。

 

アッシュは一人になると机を叩いて爆笑していた。
 彼の人生でこんなイイ笑顔、ちょっと見た事が無い。
 
 

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自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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