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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.15,Mon

 

 
バチカルサイド
 
 

シリウスはケセドニアに来ていた。バチカルに行く為に、『前回』の行程をなぞってみたのだ。
ケセドニアから陸路でバチカルに向う隊商の護衛として雇われた。
隊商は途中、商売をしながらゆっくりバチカルへと向っていく。

イニスタ湿原の近くに来た時、魔物の群れに襲われた。
湿原から多数の魔物が飛び出してきたのだ。遠くに魔物を追っている騎士団の影が見える。
(よし、上手く会えたぞ)
シリウスは微笑むと、すぐに表情をけして魔物にむかっていった。
 


魔物討伐をしていたキムラスカの騎士団は、追っていた魔物が隊商に襲い掛かったのを見て慌てた。
全速力で追いかける。その目前で火柱が上がった。
びくりとして立ち止まると、隊商の護衛らしき人物が譜術を使っている。その威力に驚愕した。
護衛は双剣を抜くと、魔物の群れに突っ込んでいった。舞うように刃を閃かせ、一瞬で倒していく。
同時に、隊商にむかっていった魔物がサンダーブレードで吹き飛ばされていった。

鮮やかな手並みに見入っていると、低い声が指示を出した。
「何をしている。早く助けにいかんか。我らが取り逃がした魔物で民を危険に曝すつもりか」
「は、はい」
急いで駆けつけたが、ほとんど戦闘は終了していた。
「手助けをありがとうございました」
来てくれた騎士たちに、シリウスは礼を言った。隊商のリーダーも馬車を降りてくる。
そこに声がかかった。
「我らが主がお話があるそうです。いらして下さい」

 

紋の付いた頑丈そうな馬車の前に連れて行かれる。ファブレ家の家紋だ。隊商のリーダーと並んで跪く。
「・・・すまなかったな。そちらに魔物を追い込んでしまった」
「め、滅相も無い!」
「詫びに、バチカルまで同行しよう。我らも帰還するついでだが」
「あ、ありがとうございます!」
リーダーは恐縮して下がっていった。


「貴公、名を何と言う」

残されたシリウスに馬車の中の貴人が問うた。
「シリウス・ブレイズに御座います。ファブレ公爵様・・・お久しぶりです」
「顔を上げよ。・・・シリウスか、久しいな。元気であったか。『双牙』は残念であった」
「勿体無いお言葉で御座います」
「久しぶりに話がしたい。バチカルに着いたら、屋敷を訪ねてくれ」
「承知致しました」
 

一礼して去っていったシリウスを懐かしそうに見ていたクリムゾンは、白光騎士団長の怪訝そうな視線に気が付いた。
「傭兵の『氷華』ファリィヤと『双牙』フェンリルを知らんか? あれはその息子。『冥王』シリウスだ。ホドでは世話になった」
「め・・・『冥王』? 彼が・・・まだ若いでは有りませんか」
「『冥王』を継いだのはまだ15、6の時だったとアルマンダイン殿に聞いたぞ。・・・あれを欲しいと思わんか?」

滅多に見ることの無い主の楽しそうな顔に、騎士団長は驚愕してシリウスが去っていった方を見つめた。確かに剣の冴えや譜術の威力は、滅多にお目にかかれない程のものだった。
 


バチカルで隊商の護衛を終了し、ファブレ邸へと向う。話は通されていたらしく、さほど待つ事も無く応接間に通された。護衛騎士が興味深そうに視線を向けてくる。
そこに、ファブレ公爵が、騎士団長を連れて表れた。

立ち上がり、跪いて礼を取る。傭兵とは思えぬ優雅な礼に、騎士団長が驚きの目で見た。
「よい。客として来ているのだ。座ってくれ」
父の事、それから何をしていたか、近況など、聞かれるままに話す。(もちろん言えない事も有るが)
ダアトで料理人をしたという事を話した時には苦笑された。

「ダアトも勿体無い事をする。なあ、シリウス、白光騎士団に入らんか」
シリウスは来た!と思いながらも考え込んだ。ルークに会うにはどうしたら良いだろうと。
ためらいながら口を開く。
「お言葉は大変有り難いのですが・・・実は私には預言が詠まれているのです。『バチカルで眠る者を目覚めさせよ』と。何のことか分からず、とりあえずバチカルへ赴いたのですが、何かご存知ではないでしょうか?」

その言葉に驚愕したのは、ファブレ公爵と騎士団長だった。
公爵には2年間時を止めたように眠り続ける息子が居たからだ。このことは極秘で、国外に知っている者がいるとも思えない。
二人は顔を見合わせると、意を決したようにシリウスに話しかけた。
「知っている・・・しかしこの事は極秘なのだ。けして他言しないと約束するなら、案内しよう」
「傭兵は、依頼者の秘密を守るものです。けして他言せぬと誓いましょう」
頷いた二人はシリウスをルークの部屋へと案内していった。
 
 

そこには、まるで薄い光の繭に包まれたようにベッドの上で眠るルークの姿があった。
「これは我が息子『ルーク』だ。2年前誘拐され、発見されてここに戻った時から眠り続けている。まるで時を止めたように成長しておらん。この子を目覚めさせる事が出来るのか?」
ルゥの姿をじっと見つめていたシリウスは、ためらいながら口を開いた。

「・・・公爵様。秘密にして欲しいのですが、ファリィヤはユリアの子孫でした。そして私も。私はユリアの譜歌を謡う事が出来ます。あるいはそれで、ご子息が目覚めるかもしれません」
シリウスの告白にクリムゾンは驚いたが、すぐに頷いた。
「やって見てくれるか」
 

シリウスは、ゆっくりと大譜歌を謡いだした。澄んだ声が響く。その声に合わせる様に、ルークを包む光がふわりふわりと散っていった。
「おお・・・!」
大譜歌が終わると、ルークはパッチリと目を開いた。
「ルーク!」

クリムゾンが駆け寄るが、ルークは体を動かせない。
作られたばかりで眠りについたので、筋肉が動かないのだ。
掠れた声でうーあーと赤子のように声を漏らすルークに、クリムゾンは絶望の表情を浮かべた。
「せっかく目覚めたというのに、何と言うことだ。・・・哀れな」

「公爵様、子供は哀れむものではありません。慈しむものです。赤子に成ってしまったのなら、もう一度育てれば良いだけではありませんか。これも私の運命だと思います。私を御子息の教育係としてお雇いただけませんか? 護衛も致します」


優しげにルークを見るシリウスの微笑みに、クリムゾンは胸を突かれた。ルークが笑った。
「・・・そうしてくれるか。これから頼むぞ、シリウス」
恭しく跪き、シリウスは安堵の吐息を漏らした。


(ルゥ、やっと会えたね)


 
 

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