外殻大地に戻る為、タルタロスを改造し、セフィロトツリーで押し上げる事になった。
改造が終わるまでの間、シリウスはアッシュやこっそり訪ねてきたイオンに調書を取ったりして過ごしていた。ルークはまだ身体を動かす事が出来ない。
出航を目前にした時、アッシュがルークとシリウスを尋ねてきた。
「おい、俺たちは上に戻るがお前はどうする」
「お・・・俺も行きたい!」
ルークは身体を起こそうとするが、呻いて倒れこんでしまう。
「そんな身体で何が出来る、足手まといだ。 ・・・それに、上に戻って何がしたいんだ、お前」
「俺が出来ること、何でもして償いたいんだ! マルクトにも謝りに行きたい。父上や陛下にも」
「・・・キムラスカは今は止めた方がいい。バチカルにはモースがいる。多分、叔父上達はアクゼリュスの秘預言を知っていたはずだ。その後の繁栄も。下手すりゃ戦争になる」
「そんな!」
「おいシリウス。こいつはどの位で動けるようになる?」
「あと2、3日ってとこかな」
「それまで、俺の中に居ろ。外に連れてってやる。動けるようになったら、ユリアロードから外に出て、おまえのしたいことすればいい」
アッシュがルークの額に額を合わせ軽く目を閉じると、ルークはぱたりと動かなくなった。
(わっ! 俺が寝てる!)
「うるせえ、頭ん中で騒ぐな。シリウス、こいつを連れて行くぞ」
「身体は任せてくれ。時々戻してくれよ?食事させるから。あのね、一つ良い事教えてあげるよ。
バチカルを出発する前の日、クリムゾン様が俺に言ったんだ。『息子を頼む』ってね。
あの人は不器用だね、君たちにそっくりだ。
・・・行ってらっしゃい、アッシュ、ルーク。気をつけて」
セルパーティクルに驚いたり、同行者の発言に落ち込んだりしながらルークはアッシュを通して外界を見ていた。アッシュは辛辣な言葉をかけたが、ルークはまるで『前を見ろ!』と言われている気がしていた。
ふと、ガイがアッシュを冷たくを睨みつけているのに気が付いた。
(なんでガイがアッシュを睨むんだ?)
(さあな、あいつは昔からあんな感じだ。俺が見ると作り笑いしていたけどな)
ベルケンド港に着き、一行と別れるつもりだったアッシュに皆が同行を申し出た。(ヴァンの企みを知ると言う名目だが、ナタリアの勢いに押されたのも大きい)
「おい、お前の剣はなっちゃいねぇ。しっかり見てろ」
「フォニムの制御は出来るか? 同調して感覚を掴め。暴走されたらことだからな」
アッシュの教育は静かに、しかし激しく行われていた。
傍から見ると態々戦いに突っ込んでいっては技や譜術を使いまくって疲れている変な人だが。
ベルケンドでスピノザの話を聞いた後、アッシュはルークに話しかけた。
(おい、身体はもう動くだろう。俺はワイヨン鏡窟に行くが、お前は勝手にしろ。何か分かったら連絡してやる。へますんなよ・・・・・・ルーシェル)
(え・・・アッシュ! それって)
「アッシュ!」
いきなり叫んで飛び起きたルークにシリウスは驚愕した。
「ああびっくりした。どうしたの?」
「あ・・・あのさ。アッシュがもう勝手にしろって俺を追い出したんだけどさ。 ・・・最後にルーシェルって呼んだんだ。これってあれかな、俺の名前かな?」
「ルーシェル・・・光を纏う者って意味だよ。良い名前を貰ったね」
「うん! シリウスもそう呼んでくれよ!」
照れたように笑うルークにシリウスは微笑みかけた。
「ああ、分かった・・・ルーシェル。さあ、これからどうしようか?」
その言葉にルークは真面目な顔になった。
「俺、マルクトに行きたい。ピオニー陛下に謝りたいんだ」
「旅の準備はしてあるよ。そろそろだと思ったからね。じゃあ、テオドーロ市長に言ってユリアロードを使わせてもらおう」
挨拶を済ませ、ユリアロードに向かって歩いていると、一人の男が近づいてきた。
「あなたはアクゼリュスの・・・」
シリウスの言葉にルークは身体を震わせると、泣きそうになって深く頭を下げた。
「ごめんなさい! 俺の所為でアクゼリュスが・・・」
男はじっとルークを見詰めると、話しはじめた。
「あんた達の事は、あんたとそっくりな奴から聞いた。はっきり言って、戸惑ってる。死んじまった奴は帰らねえ・・・だけどあんた達が居なかったら、俺達はみんな死んでたろう。まだ怒ってる奴も居るが、・・・なあ、大人が子供に『そこの樽を落としてみろ』って言って、子供が素直に落とした樽で人が死んだら、悪いのは子供だと思うか? ・・・割り切れない気持ちはたしかにある。だけど、俺はお前を憎もうとは思えない」
「ごめんなさい。俺は、償いたいと思う」
顔を上げたルークは、決意を秘めた目で男を見た。
ルークの目を見返していた男はやがてふっと笑った。
「頑張れよ、坊主」
アラミス湧水洞を抜け、ダアト港に着くと、かろうじてまだマルクト行きの船が出ていた。
「良かった、まだ開戦とかにはなっていないようだね」
船室で寛いでいると、アッシュから回線が開いた。
(おい、今何処だ。ガイに会ったか? アラミス湧水洞を教えたんだが)
「アッシュ! 名前ありがとう。あと色々教えてくれたのもありがとう!」
(い・・・いいから質問に答えやがれ!)
「ガイには会ってないよ。今マルクトへの連絡船の中。ピオニー陛下に謝りにいくんだ」
(そうか。間が悪い男だな、あいつも。お前らも気をつけろよ)
「あ、アッシュ」
回線を切ろうとしたアッシュをシリウスが呼び止めた。
「開戦はまだだが、予断を許さない。しばらくはまめに連絡をくれ。それから・・・照れ屋さんなんだから。せっかくの名前、呼んでやれよ」
(う・・・うるせえっ!!)
「ぎゃあ! 痛てえ! 頭が割れるー!」
頭を抱えるルークにアッシュは思わず謝った。
(わ・・・悪りぃ。大丈夫か、ルゥ。・・・切るぞ)
「頭痛は辛いのかい?」
「怒鳴られなければ、それほどでもない。えへへ~、ルゥだって。愛称まで貰っちゃった。アッシュ強いんだよ。中にいた時、技とか譜術を手取り足取り教えてくれたんだ!」
「・・・その手と足はアッシュのものだけどね」
頭を押さえながら真っ赤になってにやけるルークに、呆れた溜息をつくシリウスだった。
※ルーシェル(光を纏う者) 愛称 ルゥ ちなみに断髪して無い。 ・・・超捏造です。
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