忍者ブログ
同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by tafuto - 2007.12.08,Sat

 

※ ティアが鬱陶しいです。
ちなみにこのティアはダアトに属していません。ユリアシティ出のバリバリの預言絶対主義。
自分(と兄)は正しいと思っている為、人の話を聞きません。(いつもかw)
ガイ様、華麗に登場! そして今回もごめん、ミュウ。常識人はチーグルの森には行かないんだ。
.
.

 

白い花に囲まれて気を失っていたエステルは、女の声に目を覚ました。
「ん・・・ここは・・・ あーっ!お前、なんで父上を襲ったんだよ!」
「あなたの父を襲った訳じゃないわ! 兄さんを返して貰いたかっただけよ。兄さんは無実の罪でキムラスカに捕らわれているんだから!」
「兄さんって誰だよ。」
「ダアトの主席総長だったヴァン・グランツよ。兄さんに何の罪があるって言うの!」
「だってあいつは・・・(いけない、俺が造られた事は秘密なんだった・・・!)」
言いよどんでしまったエステルに、ティアは勝ち誇ったように続けた。
「ほら、言えないじゃない! 兄さんは陥れられたのよ!」
実質7歳のエステルは、ティアを言い負かせるほどの言語スキルは持っていなかった。


「・・・・・・お前、名前は?」
「人に名前を聞く時は、自分から名乗るものよ。」
「・・・俺はエステル。」
「ティアよ。あなたを連れ出してしまったのは私の落ち度だから、バチカルまで送るわ。行きましょう。」
(!こいつ、王に刃を向けて無事ですむと思っているのか? ・・・けど、俺一人じゃ移動するのは無理だ・・・ここはおとなしくしていよう。)
「ここがどこかも分からないのに、夜の山道を移動するのか?」
「ここにいたってしょうがないでしょう? 川沿いに下れば町があるはずよ。」
イライラと急かすティアに連れられて、エステルは山道を歩いていった。


途中魔物と遭遇し、エステルは当然のように前衛に立たされた。
いつも熱心に稽古していた為それなりに剣の腕はあったが、生き物を殺すことには慣れていない。
いつもいっしょに遊んでいるアリエッタのお友達が目蓋に浮かぶ。
母はいつも、どんな命でも軽んじてはならないと教えてくれた。そして父は、自分の命を守る為に剣を振るう事を躊躇ってはならないと厳しく稽古を付けてくれた。
その教えを胸に抱き、心の中で謝りながら魔物を打ち倒していく。
エステルは俯いて吐き気を堪えた。
「魔物を殺す事が怖いの? ・・・甘いのね。これだから貴族のお坊ちゃんは・・・」
馬鹿にしたように言い放つティアの言葉に、傷ついたエステルは黙り込んだ。

 

麓に着くと、ちょうど辻馬車が休憩していた。
ティアが掛け合っている間、エステルは地形から此処がどこかを調べようとしたが、辺りが暗くて良く分からない。
(もし此処がマルクトでも、現在マルクトとの関係は悪くない。人里に着きさえすれば何とかなるだろう・・・)
そう考えていると、大声が聞こえる。エステルは馬車に近づいていった。

「高いわ! 何とかならないかしら・・・」
「こっちも商売だからねぇ・・・」
「これで良いかな?」
エステルが、そのとき付けていた翡翠のはまった腕輪を渡すと、御者は笑って受け取った。
「こりゃあ、良いものだ!首都までだったな、乗ってきな。」
(聞いてなかった・・・首都ってどっちのだろう?)
馬車に乗り込むと、エステルはティアに訊ねてみた。
「ティア、首都ってどっちの首都?」
「そんなの、キムラスカに決まっているでしょう?」
ちょっと安心したエステルは、疲労から眠り込んでしまった。
その言葉がティアの思い込みとは思わずに。

 

ルークはアリエッタに借りていたフレスベルグに乗ってエンゲーブ方面を目指していた。
激怒してすぐに飛び出そうとしたのを、アッシュに諌められたのだ。
「焦るな、まず装備を整えろ。エステルはマルクトにいる可能性が高い、旅券も必要だ。ちょうどピオニー皇帝から和平の使者が出されたと聞く。フレスベルグなら追いつけるだろう。俺はシェリダンに連絡を取って、アルビオールを回してもらう。 ・・・エステルを頼むぞ。」
「分かりました、父上!」


焦る気持ちを抑えながら、フレスベルグを休ませる。父や母の言葉が無かったら焦りの余り、もう飛べなくなるくらいフレスベルグを急かしてしまった事だろう。
母は、タタル渓谷からエンゲーブを経てカイツールまでのどこかにエステルが居るだろうと言っていた。タルタロスに乗っているかもしれない、とも。
母は長い髪の女がした事を聞くと、悲しげに目を伏せた。
出来れば殺さないで欲しい、との言葉に父親も微妙な顔で同意していた。
(王を襲撃なぞしたら、捕らえても死罪以外はありえないのに・・・)
釈然としないながら、ルークは頷いたのであった。


やがて地平線に小さくマルクトの陸艦の姿を捉えた。
(見えた、タルタロスだ。・・・・・・!!)
タルタロスは、所属不明の一団に襲撃を受けていた。
「エステル!!」

 


エステルが目を覚ましたのは、エンゲーブの近くだった。
慌てて辺りを見回していると、ティアが目を覚ました。
「お前、ここエンゲーブだぞ! バチカル行きじゃなかったのか? 確認しなかったのかよ。」
「何ですって!? ・・・・・・ごめんなさい、間違えたわ。」
ハッとして辺りを見回したティアはがっくりと項垂れた。
「あーもう、いいよ! おじさーん、行き先変更だ、エンゲーブで降ろしてくれないか?」


エンゲーブに着いたエステルは、見たことの無い風景に目を輝かせた。
王族であった為、さすがにあまり自由に旅行したりは出来なかったからだ。
草木の好きなエステルは、本で読んだエンゲーブの景色に触れて感激していた。
「すげえ! きれいだなぁ・・・さすがエンゲーブ、どれも美味しそう!」
子供のように無邪気に誉めるエステルに、露天のおじさんも嬉しそうに話しかけて来た。
「おっ、兄さんわかってるねぇ! りんご一つどうだい? 今が旬だよ!」
「う~欲しいけど、俺今お金持ってないんだ。」
「あはは! じゃあ味見だ、一つやるよ。今度買ってってくれよ!」
「ありがとう! ・・・うわぁ、美味しい!」
嬉しそうにりんごに齧りつくエステルに、ティアのイラついた声がかかった。
「りんごなんてどこにでも有るでしょう?早くして頂戴、宿に行くわよ。」
その言葉に露天の主人がムッとした顔をする。ティアは気付いていない。
エステルはおじさんにそっと目顔で謝った。

 

宿で身体を休めていると、外が騒がしい。エステルが外に出てみると、郊外に巨大な陸艦の姿が見える。
どうやら補給に立ち寄ったらしい。
(上手くしたら保護してもらえるかも!)
そっと抜け出したエステルは、軍人の姿の見えるエンゲーブのまとめ役の家のほうへと走っていった。


「ちょっとエステル! ここはマルクトなのよ、勝手な事しないで頂戴!」
背後から追って来るキツい声に、ドキッとしたエステルは転びそうになってしまった。
その身体を、金髪の若い男が抱き止める。
「おっと、どうしたんだい?」
「助けて!」
笑いながらエステルに目を向けた男が、その身に纏う色彩に顔色を変える。
すっと背後に庇うとティアに対峙した。

「何故この方を追っているんだ。」
「あなたには関係ないでしょう!エステル、こっちに来なさい!」
「それが関係あるんだ。・・・この女を捕らえろ!」
「ち、ちょっと!いきなり何をするのよ!失礼ね!」
男は冷笑した。
「先ほどキムラスカからエンゲーブに鳩が届いた。王城に侵入し、クリムゾン王に刃を向けた女が子息を連れ去ったと。」
「!!あれがキムラスカ王? ・・・私はそんなつもりじゃ・・・!」
「言い訳は後で聞く。 ・・・拘束してタルタロスに連れて行け!」


不安そうにそれを見送っていたエステルに、男は微笑んで話しかけた。
「はじめまして、私はガイラルディア・ガラン・ガルディオス。マルクトの伯爵です。お話を伺いたいので、一緒にいらしていただけますか?」
「俺はエステル・フォン・キムラスカ・ランバルディア。ありがとう、助かりました。」
「いえ・・・シュザンヌ様からあなたのお話は伺っています。私のことはどうぞガイとお呼び下さい。」
目を見張ったエステルは、安心して微笑んだ。
ガルディオス伯爵の事は父から聞いている。大事な協力者だ。
「俺も、エステルって呼んで下さい。普通に話してくれると嬉しいな。・・・ガイ。」
「わかったよ、よろしくな、エステル。」


ローズ婦人の家で、他の人たちと引き合わされる。感情の読めない笑顔を浮かべた軍人と、『導師イオン』そして導師の守護役の黒髪の少女が同席していた。
「はじめましてエステル。希望の星、いい名前ですね。僕はイオン、ダアトの導師です。」
「あたしは導師守護役のアニスちゃんで~す。」
『イオン』を思い出してちょっと哀しくなってしまったエステルは精一杯微笑んだ。
「はじめまして、導師イオン、アニス。」
「私はジェイド・カーティス。マルクト軍大佐です。お見知り置きを。補給を済ませたらタルタロスでキムラスカにお送りしましょう。」
「よろしくお願いする、カーティス大佐。」
「いえいえ、ついでですから。貴方達の事は母君から頼まれていますしね。」
(母上から? じゃあ、この人がバルフォア博士なのか! 大爆発の研究はどうなったのかな?)
黙り込んだエステルを見て、ガイがジェイドを諌めた。
「ジェイド、言葉が過ぎるぞ。」
「失礼致しました。今日はここで休んで、明日の朝出発しましょう。」


マルクト兵に守られた宿で寛いでいると、部屋にガイが尋ねてきた。
朗らかで面倒見のいいガイと話すのは楽しかった。
「俺は、ホドでクリムゾン殿に助けられたんだ。彼が預言を教えてくれなかったら、ホドの民はみんな死んでいただろう。その後ケテルブルクでシュザンヌ様にお話を伺ったんだ。だから君の事も知っている。」
「俺が・・・造られたってことも・・・?」
「ああ。けれど会って見て思ったよ、君は人間だ。・・・俺は君と親友になりたいんだ。」
「うん、親友になろう! ・・・ありがとう、ガイ。」

二人は笑い合うと、夜遅くまで話し込んだ。他愛の無い話から重要な話まで。
途中ジェイドが顔を出し、秘密裏にキムラスカへ和平の為に向かっている事を告げた。
導師はダアトの許可を取って和平の為に着いて来ているそうだ。

「ジェイド・・・あなたはバルフォア博士? 大爆発の研究はどうなったのかな?」
「さあ、理論的には完成したのですが、何しろ実例が無くて。貴方の身体を徹底的に研究してみない事には・・・」
「ジェイド! こっちの胃が痛くなるような事言わないでくれ!」
怯えて壁に張り付いたエステルを庇って、ガイがジェイドを叱る。
「ははは、冗談です。あとはあなたたち二人が揃った所で調整をするだけですよ。・・・私の愚かな罪の償いに、全力を尽くします。まあ、皇帝じきじきに頼まれては断れませんしねぇ。」

やっと力を抜いたエステルに、ジェイドは微笑みかけた。今までとは違う、柔らかな笑みだった。
くるくると表情の変わるエステルの、生き生きとした感情の発露を見て、ジェイドはレプリカもまた人間である、と心から納得したのだった。

 

 

PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
はくしゅ
気に入って下さいましたら、 ぜひぽちっとな
プロフィール
HN:
tafuto
性別:
女性
自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

当家のPCとセキュリティ
Windows Vista  IE8
Norton Internet Security 2009
GENOウィルス対策↓
Adobe Reader 9.4.4
Adobe Flash Player WIN 10,3,181,14
メールフォーム
カウンター
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]