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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.10,Wed

 


「なぁ、無理すんなよシリウス」
「喉を痛めただけだから、そんなに心配しなくていいよ。譜歌はまだ無理だけど普通の術なら使えるしね」

翌日、回復したシリウスとルーク、アッシュ、そして同行を命じられたアスランは、アルビオールに乗って魔界の穴を抜けユリアシティに向かった。
テオドーロは、預言に詠まれていない展開に呆然としながらも、協力を約束してくれた。彼の話によると、セントビナーの近くにセフィロトツリーがあるという。その操作方法を聞き、一行は飛び立った。


崩落したセントビナーは、かろうじてクリフォトでその姿を保っていた。
上空から遺跡のような物が見える。4人はアルビオールから降り立ち、遺跡に向かった。

「ここは以前、ヴァンが導師に封印を解かせていたはずだ」
アッシュが入り口を指で指し示し、開かれた扉から中へと入って行った。
そのまま中に進んでいくと、やがてパッセージリングが見えてくる。
アクゼリュスを思い出し竦むルークの背を、を宥める様に叩きながらアッシュが話しだす。

「テオドーロのいった様に指示を書き直す事が出来ればいいんだが、ユリア式封咒とやらがあるらしい。どうするか・・・」
4人が頭をひねる。
「ぶち壊せないものかな・・・」
物騒なことを呟きながらシリウスが近づくと、突然目の前の本のような物が開いた。
「うわっ!」

身を捩って膝を着くシリウスに、ルークが駆け寄る。支え起こされながらシリウスは目を見張った。
「封印が解けた・・・もしかして、ユリア式封咒は、ユリアの血に反応するのか?」
「ユリアの血?」
全員が驚いたようにシリウスを見た。

「私はユリアの子孫なのです。傍系もいいところですけれど。祖母が住んでいた所を飛び出して傭兵の祖父と結婚したのだそうです。私の譜歌はユリアの譜歌に似ていたでしょう? 祖母と母で改良しまくったので、随分違ったものになってしまいましたが。 ・・・ああ、ほら。パッセージリングに文字が現れた」

現れた古代イスパニア語を読み、書き換えようとアッシュがパッセージリングの前に立つ。
「ルゥ、俺に同調していろ。お前にも出来るはずだ。教えてやるから力を合わせろ」
「うん! ・・・でも俺、古代イスパニア語、わかんないんだけど」
「・・・・・・・・・その辺はあとで、シリウスに教わっとけ」

無事に書き換えが済んだと思ったその時、警報音とともに赤い字が現れた。
「耐用年数に達している、だと? ユリアの時代から2000年。全てのパッセージリングが崩壊を始めてもおかしくないってのか! なんてこった」
「何とかしなくてはなりませんね。本当に、戦争などしている場合ではない」
アスランの言葉に一同は頷き、グランコクマに戻る為シュレーの丘を後にした。
 


ルグニカ平野を横切ったアルビオールから、キムラスカとマルクとの陣営が互いに集結しているのが見えた。
「な・・・なんで! 戦争が始まろうとしてるの?」

グランコクマは物々しい雰囲気に包まれていた。すぐにピオニーに面会した一同は、驚くべき事を聞かされた。
「ナタリア殿は偽姫疑惑で捕らえられたそうだ。王位継承者ルーク・フォン・ファブレと、王女を死亡させたとして、キムラスカはマルクトに宣戦布告した」
「何故! 俺とナタリアが生きている事は、キムラスカに報告したはずなのに!」
「報告書が届かなかったか、もみ消されたか・・・ キムラスカは預言に読まれた繁栄が、どうしても捨て難かったと見える」
「戦争なんかしている暇は無いんだ! 大地を支えるセフィロトツリーは、もう限界なんだ。このままでは世界中が崩落してしまう!」
謁見の間にいた者全てが青ざめ、言葉を失う。
「とはいっても、それをキムラスカに信じさせる術が無い・・・」
ピオニーが、困り果てたように頭を抱えた。
 

「俺がバチカルに行って来よう。インゴベルト王に現状を話し、真意を聞いてくる」
アッシュが前に進み出る。そして、自分もと言いかけるルークを手で制した。
「ルゥ、お前は今キムラスカに行くのは危険だ。預言を絶対とするものに、命を狙われる危険がある。それより、膨大な兵が集結しているルグニカ平野が崩落したら、キムラスカもマルクトも只ではすまない。お前はパッセージリングを操作して、ルグニカ平野を崩落する前に降下させろ。ザオ遺跡から遠隔操作出来るはずだ。
出来るな? ルーシェル。 ・・・シリウス、こいつを頼む」 

「うん、頑張る! ・・・アッシュも『ルーク』なんだから、気をつけろよ!」
「誰に言ってる」
ニヤッと笑うアッシュ。目と目を見交わしお互いに笑い合うと、二人は並んで歩き出した。
その後ろを守るように着いてゆくシリウス。それはまるで強い光を放っているように眩しく見えた。
(これが『聖なる焔の光』か。こんな者たちを使い捨てにするなど、キムラスカもヴァンも愚かだな。それとも、まだ気付いていないのか?この崇高な光に)

見蕩れていたピオニーは、3人が部屋を出る間際にあわてて声をかけた。
「まあ、待て。せめて協力させてくれ。旅の備品と、あと腕の立つ者を何人か貸してやる。しっかり準備していってくれ。俺たちは降下に巻き込まれない位置に兵を誘導しておく。ケセドニアやエンゲーブにも連絡しよう」
「・・・感謝する」
 
 

バチカル近くでアルビオールから下ろしてもらったアッシュは、私服のマルクト兵を数名連れて王城を目指した。
途中でガイ、ティア、アニスと会う。ナタリアを助ける為に機を窺っていたのだった。
アニスはダアトに戻ったイオンに命ぜられてナタリアについてきたのだと言った。

「アッシュが来た方が、ナタリアは喜ぶよ~v」
「そうよアッシュ、久しぶりじゃない」
「ルークはどうしたんだ。アラミス湧水洞にはティアしかいなかったぞ!」
「今、そんな事を言ってる場合か! 俺は国王に会って現状を話す必要がある。お前らはナタリアを助けてさっさと逃げろ」
ナタリアの所までの抜け道を教え、助けに向かわせたが、能天気な言葉に頭痛がする。
 

謁見の間に入ると、インゴベルト王とモース、六神将がいた。
「お前はルークか!」
国王の言葉にアッシュは黙って頷く。

「私は、7年前にヴァンにより誘拐されたルーク・フォン・ファブレです。今はアッシュと名乗っております。国王陛下、直ちに戦争をおやめ下さい。世界中のパッセージリングの耐用年数が過ぎた今、次々と大地が崩落していってもおかしくありません。戦争などしている場合ではないのです」

「何を言う! 預言にそのような事は詠まれていないわ! この不届き者を捕らえよ!」
モースがディストとラルゴに命じる。
「アッシュ、六神将のお前が何故そのような事をしている」
「黙れ。辞表はとっくの昔に出した。俺はもうヴァンの言いなりにはならねえ」

刃を交わそうとした所に、ナタリア達が乱入してきた。
「お父様! どういうことですの? 私がお父様の娘で無いなどと!」
「ナタリア、私とて信じとうは無い・・・モース殿が言ったとおり、乳母が証言したのだ。お前は乳母の娘の子、メリルだと」
「そんな! お父様は今まで過ごしてきた年月を嘘だと仰るの?」
「ナタリア、何をしに来た! さっさと逃げろ!!」
「ルーク! 助けに来てくれましたのね」
「そんな事はいい、早く行け!」
切りかかる兵を防ぎながらアッシュは叫んだ。ナタリアたちを押し出すように謁見の間から逃す。
「・・・陛下。キムラスカは泡沫の繁栄を信じるのですか!」
「ルーク・・・」
王座に崩れこむインゴベルトを責めるように見詰め、アッシュは踵を返した。
 

王宮前広場では、キムラスカ兵とナタリアを守ろうとする市民が争っていた。
市民を切り払おうとした刃をアッシュの剣が止める。
「守るべき民を傷つけるのか! バチカルの市民を守るのがお前らの仕事だろうが!」
立ち竦んだ兵を蹴り倒した所に、白光騎士団が現れた。警戒するアッシュに呼びかける。
「ルーク様、ここは我々にお任せ下さい! ルーク様はナタリア殿下を!」
「わかった」
アッシュが振り返ると、クリムゾンが白光騎士団に指示をしているのが目に映った。
「父上・・・」
その呟きが聞こえたようにクリムゾンがこちらを向く。束の間、目を合わせると、アッシュは想いを振り切るようにバチカルを後にした。
 


アッシュたちがイニスタ湿原を越えている頃、ルークはシリウス、アスランと共にザオ遺跡に来ていた。
群がる魔物を切り払い、最深部にたどり着く。
ユリア式封咒の前にシリウスが立つと、かすかな音と共に封印が解かれ、パッセージリングの周囲に文字が現れた。やはり耐用年数超過と出ている。

「ルゥ、大丈夫だ、きっと出来る。アッシュに教わったとおり、精神を集中させるんだ」
ルークはその言葉に頷くと両手を高く上げ、指示されたように超振動を使って文字を書き換えていった。しばらくすると、低い地鳴りと共に大地が徐々に降下していった。
「やった・・・! 出来た」
疲れと安堵から、座り込むルーク。そこに笑顔で近づいたシリウスは、突然胸を押さえ膝を突いた。

「どうしたのです、シリウス殿!」
「いや・・・何だろう。ユリア式封咒の前に立つと身体が重くなる」
「瘴気障害の症状に似ている気がするのですが・・・」
シリウスを支えたアスランが疑問を発する。ルークが心配そうに覗き込んだ。

しばらくの間、自分の体内のフォンスロットを操ってフォニムの流れを調べていたシリウスは、やがて納得したように頷いた。
「どうやらユリア式封咒を介して、瘴気に汚染されたフォニムを取り込んでしまったようです」
「ええっ、それってまずいじゃんか!」
あせるルークにシリウスは微笑みかけた。
「大丈夫です。幸い私はフォニムを操る事に長けていますから、フォンスロットを調整して、譜術と共に汚染されたフォニムを少しずつ体外に放出する事が出来ます。大事に至ることは無いでしょう」
「よ・・・よかったぁ」
安心したルークはぺたんとその場に座り込んだ。その時、アッシュから回線が開かれる。

(どうやらうまく行ったみてぇだな)
「アッシュ! うん。そっちは?」
(停戦をさせることは出来なかった。まあ、どっちみちもう戦争なんかしていられないだろうが。俺たちはイニスタ湿原を通って、ベルケンドに行く途中だ)
ルークの説明に、アスランは頷いた。
「シリウス殿の体調も心配です。私達もベルケンドに向かいませんか?」
 

 

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