拍手お礼SSその3 ヴァンとシリーのクリスマス ※長編2その後のお話です
ルゥが出産をむかえ、大騒ぎしながらも可愛い息子をその手に抱き、てんやわんやの騒ぎが一段落した頃、バチカルは聖夜を間近に控えていた。
キンと澄んだ空気に星空は冴え渡り、行きかう人々は暖かいコートを着込んで道を急いでいる。
シリウスは明日にひかえた王と王妃の旅支度に励んでいた。
色々大変だった一年の慰労をかねて、二人はケテルブルクへと旅行しに行くのだ。
「シリー、準備出来た?」
「うん、もう少しで完成。」
ルゥが赤子を抱きながら、にっこりと微笑みかけてくる。
「明日はちゃんと見送りに来てね?」
「もちろんだよ、王妃様。」
嬉しくてたまらないと言ったふうのルゥにシリーは笑顔を返した。
翌日、バチカル港に整列した親衛隊の中を王と王妃が進んでいく。
最前列でそれを見送ろうとしたシリーは、突然腕を掴まれた。
えっ?と思うまもなく船に引っ張り上げられる。
「メリークリスマス! シリー、いつもありがとう! 二人からのプレゼントだよ。」
「たまにはゆっくりして来い。俺たちは子供と留守番してるから。」
ルゥとアッシュが、してやったり! という表情で桟橋から手を振っている。
親衛隊員たちもにやにやしている。 シリーは苦笑した。
何か隠してると思ったら、こう言う事だったのか・・・
あっという間に船は岸を離れ、バチカルは小さくなっていった。
「あんたも、隠れてないで出てきたら?」
「相変わらず目敏いな、シリー・・・」
呆れたように笑うシリーにヴァンが近づいてくる。
「王と王妃から、お前をしっかり楽しませろと仰せつかった。」
「んじゃあ、せいぜい楽しませてもらおうか。」
雪のちらつくケテルブルクは、きらめく光に彩られていた。
飾り付けられた街の中を、ヴァンはシリーの腕を取って誘う。
「ケテルブルクホテルじゃないの?」
「ああ、落ち着けるように街外れの家を借りた。必要なものはもう準備してある。」
こじんまりとした可愛い家は、待ちわびていたように二人を迎えた。
暖炉には暖かな火が燃え、ツリーの飾りを照らしている。
ワインは冷やされ、テーブルには湯気の立つご馳走が並べられていた。
息を呑んだシリーに留守番をしていた者が微笑し、そっと一礼して去っていった。
まるで貴族の令嬢のようにコートを脱がされ、席に案内され、料理を取り分けられる。
ワインのコルクを抜くヴァンを、シリーは照れくさそうに眺めた。
「「メリークリスマス。」」
チン、と澄んだ音でグラスが合わせられる。
「どうしたの、ヴァン。あんまり優しくて、気持ち悪いんだけど。」
情け無さそうな、微妙になった顔でヴァンが答える。
「楽しめないか? 頑張ったのだが・・・」
「いや・・・・・・嬉しいよ、ありがとう。」
頬が赤いのは、ワインの所為だ、きっと。
食事が終わり、ヴァンが部屋の隅のピアノの方に歩いていった。
椅子に腰掛け、鍵盤に指を走らせる。
優しい音色が流れてくる。
聖なる夜の、人々の幸せを願う美しい曲だ。
聞き惚れたシリーは、いつしかその歌を口ずさむ。
ピアノの音色に寄り添うように、美しい歌声が流れていった。
So,happy and it's X’mas time
Merry X’mas!
ヴァンがヘタレじゃない! とツッコまれましたv ・・・いや、私もそう思いました(笑)
なので、実はこれにはオチがついています(笑)
ヘタレヴァンのオチが読みたい方はこちら
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