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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.02.03,Sun

 

この話は、『幸せ家族の作成法』のその後、音譜帯に戻ったアシュルクのお話です。
当サイト一のバカップルは、『必殺☆お助けバカップル!』として世界を救うために日夜戦い続けるのであった!


お助けバカップルをどこに絡ませたら良いか考えて、当サイトで一番困っているローレライさんを助けてみた。

※ ファンダムやってないんで、リグレット戦の前だと知りませんでした;設定無視、ご勘弁。
幸せ家族の設定を少しだけ変えました。ゲーム中からこっそりラブラブだったという事に!
ちょっと同行者に冷たいです(笑)

※ルークは天然、アッシュは確信犯(笑)



『お助けバカップルが行く!』




「んで、なんの用だ」
いきなり飛び込んで来て良い所を邪魔したローレライ3号をボコボコにしたアッシュは、イイ笑顔で訊ねた。
這いつくばっていたローレライ3号がずるずると近づいて来る。
見かねたルークがお茶を出してやると、ローレライ3号はむせび泣きしながら話し出した。

(実はな・・・かくかくしかじか・・・・・・)


回想  アスルクINファンダム (以前拍手にあった小話です)


「やっと、二人きりになったな・・・ルーク。」
「も~アッシュってば、誰かいると絶対名前呼んでくんないんだから!」
「ふん、名を呼んだとき笑うお前の可愛い顔を、誰にも見せたくないだけだ」
「ま・・・真顔でそんなこと言うなよっ!このツンデレめ!」
「そんなら俺が優しくするのを、他の奴に見せてもいいんだな?」
「ヤダ!みんながアッシュに惚れちゃうじゃないか!」
「俺が見ているのは、お前だけだ・・・」
「/////////v」

(あ~・・・もしもーし! 聞こえてますかー!)
「うるせえな、ローレライ。なんか用か?」
(用かじゃないだろ!話があるから他の奴らを先に帰せって言ったのは、お前達だろうが!)
「うん、だってさ、帰ったら俺たち死んじゃうだろ?だったら未練がなくなるまでイチャイチャしようと思ってさ!」
「どうせ、来た時の時間に帰るって言ってただろ?なら良いじゃねぇか」
(それはまあ、そうだが・・・)
「どうせだから、二人が住む新居でも出してくれ」
(新居って・・・いつまでここにいる気だー!)
「「気が済むまで!」」

そして73年イチャイチャと過ごした二人は、うっかり老衰で大往生してしまった。
90才になっても二人の気は済まなかったらしい。

オールドラント? 幸せボケの二人には、そんな事はどうでも良かった。


回想終わり



「ふ~ん、それで?」
(冷たいではないか、アッシュ!)
「だぁってねぇ・・・それって自業自得じゃん」
(ああっ、ルークまで!・・・ひどいっ!)
両手で顔を覆った3号はしくしくと泣きながら言い募った。
(だって・・・あまりのイチャイチャぶりに、我は声をかけられなかったのだ! 我だって、死ぬと分かっている所に愛し子を送り返したくは無かった!)
ちょっと目を見交わしたアッシュとルークは、少し優しく3号に訊ねた。
「・・・そいつらは幸せだったのか?」
(幸せだったとも! 生涯離れなかった。死ぬときまで一緒だったぞ・・・)

アッシュが溜息をつき、ルークが苦笑した。
「・・・しょうがねぇな」
「力になってあげるよ」
(ありがとう、ありがとう!では早速・・・)
「一寸待った!」
アッシュがビシッと3号を指差した。にやりと笑う。
「今日はこれから俺達は愛を確かめ合うのに忙しい。明日出直して来い」
「アッシュ! もぉ~v 恥ずかしいこと言わないでよ!」
真っ赤になってしがみ付くルークの旋毛にちゅっと口付けて、アッシュは囁いた。
「お前を抱くのは何十年ぶりだと思ってるんだ・・・・・・俺にお前を確かめさせろ」
腰砕けになったルークを抱き上げると、アッシュは意気揚々と寝室へと去っていった。

(・・・・・・・・・・・・)
呆然としている3号に、ドアに挟まれたダメージから回復したローレライ1号が呟いた。
(諦めろ。 力を貸すと言ってくれたのだからおとなしく待て。・・・我ん家で茶でも出してやろう。)


次の日。すっきりさっぱり上機嫌のアッシュと、へろへろくったりお肌つやつやのルークは、3号の話を詳しく聞いていた。
ちなみにルークの居場所はアッシュの膝の上だ。

「で、そっちの俺達はどんな奴らなんだ?」
(お前達とほとんど変わらない生を歩んできた。 違ったのはエルドラントでファンダム世界に召還されたことだけだ。)
「そうだね・・・俺たちも二人で生きる道があったなら、そっちを選んじゃったかも・・・・・・」
すまなそうにルークがローレライを見た。
(こっちの二人は、お前達と同じく出会い惹かれあって、仲間達には隠れて会っていた。瘴気を中和しエルドラントに向かったところまでは同じだ。)
「んじゃ、そっちのティア達も俺たちのところと変わらないの?」
(ああ、仲間達や周りの者もお前達の所と変わらぬ生を歩んできている。性格も一緒だ)
「ふぅん・・・」
ちょっと微妙な顔になったルークをアッシュが優しく撫でてやった。
「怖がるな・・・俺が付いているだろう? あの時のように離れたりはしない」
「アッシュ・・・・・・絶対死なないって約束してくれる?」
「ああ・・・何度でも誓おう・・・・・・」
見つめあう二人の唇がゆっくりと近づいてゆき・・・


(あー!ゲホンゲホン!!)
いきなり二人の世界に入り込んだアッシュとルークを、咳払いでローレライが引き戻した。
むっとして睨みつけるアッシュに、ローレライ1号が苦笑しながら説明を続ける。
(お前達はここに来た時点ですでに身体と言うものは無いのだ。今のお前達は意思のある音素の集合体・・・つまりは我と同じ者だ。だから死んだりはしない。)
「そうなのか?」
不思議そうに訊ねるルークにローレライは微笑んだ。
(だからシュザンヌやクリムゾンに憑依出来たのだ。行った先に依巫(よりまし)が居なければ、音素を使って身体を作る事が出来るだろう。)
「へぇ~そうなんだ・・・・・・って、アッシュ!知ってたのか!」
「当たり前だ。てめぇがニブすぎんだよ」
「ぶぅ~!」
膨れるルークを苦笑してぐりぐり撫でながら、アッシュは尋ねた。
「んで、俺たちはどの時点に送り込まれるんだ」
(エルドラントの、落とし穴に落ちた辺りだろう)
「解った。じゃあ行くか、ルーク。少し離れ離れになるが、良い子にしてろよ?」
「うん、早く一緒になろうね!」

ちょん、とバードキスを交わした二人は、手を繋いでローレライの前に並んだ。
(向こうに行ったら我はヴァンに捕らわれてしまっているが、こっちの我が力を貸してくれる。何かあったら回線をつなげ。)
3号に言葉に軽く頷いた二人は、次の瞬間その場から消えうせた。


「あれ?」
ふっと眼を開くと、皆がまるで夢でも見ていたように眼を瞬いている。きっと皆もファンダム世界から帰ってきたばかりなのだろう。
そう思いながら踏み出したルークの足元が突然消えうせた。
さっと飛び退く皆が目の端に映る。中央付近に居たルークはそのまま落ちていった。
「うわあぁ!」
痛かったよなぁ~と思いつつルークが衝撃に備えようとしたが、その体はすっぽりと抱き留められた。
「大丈夫か? ルーク」
「アッシュ! ありがとう、大丈夫だよ。 やっと会えたね!」
まだ10秒も経ってないだろ! というツッコミは二人の耳には入らない。
「ああ、会いたかったぞルーク。一秒たりとも離れたくないもんだな」


ルークを姫抱っこしたアッシュは、ゆっくりと辺りを見渡した。
「覚えているか、ルーク。ここで俺達は約束を交わした・・・」
「うん・・・忘れないよ。」
白い石像が守る美しい部屋。そこで二人は・・・


「もう一度誓おう・・・・・・二人は、病める時も健やかなる時も・・・」
「「お互いに支えあい、共に歩む事を誓います・・・」」


ちょ、何の誓いだよ!というツッコミはこの際置いておいて。
長々と口付けを交わしていた二人は、乱入してきたレプリカ兵に不機嫌な眼を向けた。
「ちっ、邪魔しやがって。あの時の俺たちには力が足りなかった。今度はそうは行かないぜ」
「もう絶対にアッシュと離れたりしない! あんな思いはもう、したくない!」
キッとレプリカ兵を睨みつけるルーク。
アッシュは無造作に手を翳した。その手に光が膨れ上がる。

「あっ、やべぇ」
アッシュが放った超振動はレプリカ兵を巻き込んで向こうの壁を突き抜けた。遠くに海が見える。
「久しぶりに超振動を使ったから、やりすぎた」
「ドンマイ、アッシュ!」
可愛らしく胸の辺りで拳を握るルークに微笑みかける。些細な事はどうでも良いのだ。
今度は注意して扉に穴を開けると、二人は並んで他のメンバーの元へ向かった。 


「ルゥ~クぅ! 無事だったかぁ!」
「まあ、アッシュも一緒でしたの?良かったですわ!」
「・・・・・・どうしちゃったの?二人とも」
駆け寄ってきた仲間達は、二人の様子に戸惑ったように顔を見合わせた。
出会うと喧嘩ばかりしてきた二人が、仲良く手を繋いで現れたのだ。(それも恋人繋ぎだ)
「何が?」
きょとん、と首をかしげるルークに、アニスが問いかける。
「だってぇ、いっつも喧嘩してたじゃん! アッシュはルークを見るとレプリカだ屑だって言ってたし」
アッシュは馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「ふん、あんな演技を見抜けないとは、お前達も大した事無いな。」
「俺たち、前から仲良いよ? いつも回線でおしゃべりしてたし、時々泊まりに行ってたし」
「何だって! ルーク、それは本当か? 何で教えてくれなかったんだ」
縋るように近づいてきたガイを避けるようにぴったりと張り付いたルークを抱き寄せると、アッシュは一同に眼を向けた。
「てめぇらは絶対、何だかんだと混ぜっ返しただろう? 俺は邪魔されるのもからかわれるのも嫌いだ 」
「うん、俺もv 」
微笑み合う二人を唖然としてみていた一行から、ジェイドが進み出た。
「何故、言う気になったのです?」
「解るだろう?ネクロマンサー。もうそんな事を気にしている時期は終わったのさ」
「そう、もうすぐ終わるのに離れ離れなんていやだもん。 ね~、アッシュ」
「ああ、・・・大体、この世でただ一人の同胞を、憎めるわけが無いだろう?」

無言になったジェイドを怪訝そうに見るナタリアやアニスと、青褪めるティア。
ガイはアッシュを睨みつけている。今の言葉の意味を分かっていないようだった。
「・・・それでは、先に進みましょう」
眼鏡で表情を隠したジェイドが告げる。一行は動き出した。


「アッシュ、お腹すいた。ねぇ、チキンサンド作ってv」
「よし、そんならお前、スープ作ってくれ」
「うんv」

ガルディオス家の跡地に出たところで、ルークがアッシュにねだった。
楽しそうに食事の支度を始める二人に、周囲の者は唖然としている。
「ん~v やっぱ、アッシュのチキンサンド美味しそう! スープの味見してみてv」
「ん・・・良いんじゃないか? コーンの甘みが丁度良い」
お互いに食べさせ合いっことかしている。 ・・・何処の新婚さんだ!

「出来たよ~! ・・・・・・食べないの?」
「いや、食べるけど・・・ルーク、お前なんでそんなトコに座ってんだ?」
おそるおそる、と言った感じにガイが問いかける。
ルークはアッシュの膝に座って、「はい、あ~んv」している所だ。

「何か問題あるか?」
しれっと問いかけるアッシュにガイが叫ぶ。
「大有りだ! ルーク、こっちに来いよ。お前は騙されてるんだ!」
「何でだよ? ガイ、お前アッシュと新たな関係を作るって言うつもりじゃなかった? あれって嘘だったんだ・・・ガイはまだアッシュを憎んでるんだな・・・・・・」
「ち、違う・・・」
哀しそうなルークに慌てたようにガイが手を振った。


アッシュがどうでも良さそうにガイに尋ねた。手はしっかりルークの腰に回されている。
「ガイ、お前父上を敵と言うのに、何でインゴベルト国王を憎まないんだ? ナタリアとも偽姫と判る間から仲が良かっただろう。父上は国王に命じられてホドを攻めたんだぞ。臣下が独断で敵の有力貴族を殺せるとお前は思ってんのか? お前が恨むのはインゴベルト王じゃないのか、普通」
「そういやそうだね? アッシュがガイに何かした訳じゃないもんねぇ・・・」
不思議そうにルークに首を傾げられて、ガイは絶句した。
「・・・・・・いや、だって、ガルディオス家を滅ぼしたのはファブレ公だし・・・」
しどろもどろになるガイの言葉を聞いて、ルークはポン、と手を打った。
「ああ、そっか! ガイは指示した奴より実行犯のが悪いと思ってるんだもんな! アクゼリュスでも暗示かけたヴァンじゃなくて俺を責めたし!」
納得したぁ、と無邪気に笑うルークに、今度こそガイは撃沈した。

さらさらと灰になって崩れる(比喩表現v)ガイを見つめたティア達は、無言のままに食事を取った。こっちではバカップルがイチャイチャしている。
アッシュの膝の上のルークが、にっこり笑いながら振り返った。
「そういや俺さ、ずっと皆に聞いてみたかった事があるんだ! ソボクなギモン?なんだけどさ」
ルークの無邪気な微笑みに癒された一行は、その後の発言に固まる事となった。


「アニスさぁ、ご両親ってダアトで幽閉とかされてたっけ? そんなら分かるんだけど、なんで親の無駄遣いを強制的にでも止めさせないで、イオンを騙す方を選んだの? さっさと両親をダアトから逃しちゃえば良かったじゃない」
「え・・・だって・・・・・・借金が・・・」
「ダアトにいたって借金膨らむばかりじゃない。ご両親を何とかしないとさ」
「そうだな、俺なら禁治産者にして施設にでも入ってもらうな。 どこに居たってあの二人は幸せだろうよ」
ムッとしてアッシュに言い返そうとしたアニスは、ルークの言葉に固まった。
「しょうがないじゃん、アッシュ。やっぱり肉親が一番なんじゃねぇ? 他人の、それもレプリカよりはさ。俺だってアッシュが一番だもんv」
「そうか、俺はレプリカでもお前が一番大事だぞ・・・v」
アッシュに鼻先に口付けられて、ルークが嬉しそうに笑う。
アニスは撃沈して座り込んでいた。確かに、両親をしっかりした管理人に預けてしまえば借金は返済出来ていたのだ。それをしなかったのは、アニスが今の地位を失いたくなかったからだ。

暗くなってしまったアニスに近寄りながら、ナタリアが怒ったように口を挟んだ。
「ひどいですわ! ルーク、アッシュ。アニスにお謝りなさい!」
「何で? ダメだなんて言って無いじゃん」
ルークがきょとん、と言い返す。
ちなみにルーク的には責めているつもりはまったく無い。ただ前回訊けなかった事を訊いてみたかっただけだ。
アッシュが面白そうにやり取りを見ている。不思議そうなルークと目が会うと、優しく微笑んだ。
「ああ、責めているわけでもないしな。そういえば俺も聞いてみたかった事があるな」
アッシュはナタリアを見ると、とてもどうでも良さそうに訊いた。
「ナタリア・・・おまえ、ヴァンがこいつに亡命を勧めたの知ってて黙認したんだってな。こいつが亡命したら、ファブレ家はおしまいだぞ? 父上も母上も死罪だったろうよ。お前、他の王位継承者を追い落とそうとしてわざとやったのか?」
「へぇ~そうなんだ。師匠が俺を亡命させるつもり無くて良かったね、ナタリア」
「なんて事を言いますの! 違いますわ!」
憤慨したように叫んだナタリアは、次の瞬間青褪めて口を押さえた。
ヴァンが裏切った所為で亡命はしなかったが、もし亡命が成功したらアッシュの言うとおりになったであろう事に、やっと思い至ったのだ。
己の浅はかな言動の数々に、恥じ入るばかりのナタリアは、赤くなったり青褪めたりで大変な顔色になっている。

「ルーク!貴方、変わるんじゃなかったの!」
ティアが見損なったと言わんばかりにルークを怒鳴りつけた。
「え・・・俺、変わったよ? 聞きたいことは自分から聞かなきゃ誰も教えてくれないだろう? だから訊いてみただけなんだけど・・・何かおかしかった?」
不思議そうに訊き返されて、ティアが言葉に詰まる。
「ああそうだ、ティアにも訊きたかったんだ!」
ルークが明るく笑った。
「ティアってさ、私は軍人だから!って良く言うけどさ・・・やってる事って全然軍人らしくないような気がするんだけど。もしかして自分が特別扱いされてるって気付いてなかったとか?」
言い返そうとしたティアは、続けられたアッシュの言葉に動きを止めた。
「ああ、そうだな・・・俺の部下なら即効、懲罰房行きか除隊だな。身分の意味も知らん奴が、軍人を名乗るなどおこがましい。ファブレ家を襲って謝罪ですむと考えてる時点でアウトだ。普通死罪だからな」

「ジェイドもさぁ、俺いまだに分かんないんだけど、なんで最初のころあんなに慇懃無礼だったの? 剣もろくに使えない王位継承者を前衛って、戦争が起きるとかって考えなかった?」
「俺はピオニーがこいつを名代に選んだ理由がわからねぇ。 戦争を仕掛けに行ったとしか思えなかったからな」
「「・・・・・・・・・」」

無言になって固まってしまった一同を、不思議そうに見ながら、ルークは食事の後片付けを始めた。アッシュが手伝っている。
「さ、じゃぁ行こっか!」
「返事は聞かなくていいのか?」
にやにや笑うアッシュにルークはニコッと笑いかけた。
「ん~・・・もう良いや! ちょっと訊いてみたかっただけなんだ。それに何となく分かった気がするし!」
「そうか。じゃぁ行くか。(・・・俺もすっきりしたぜ)」


手を繋いだバカップルの後ろを、お通夜のような一行が黙々とついて行く。
その奇妙な一団が道を通り過ぎようとした時、突然先頭のアッシュとルークが譜陣に飲み込まれた。
にやりと笑ったアッシュは、ルークと恋人繋ぎの手を譜陣に翳す。
パシッと音がして譜陣が打ち消された。
「超振動・・・いや、第二超振動?ばかな・・・!」
ジェイドが驚愕して呟いた。

「第二超振動か。冗談じゃないね」
「シンク!」
「よぉ、久しぶりだな、出来損ない」
「燃え滓・・・なんで自分のレプリカと仲良くこんなトコにいるのさ」
憮然としたシンクがアッシュを睨みつけた。
「決まってるだろう? 俺達が愛し合っているからだ」
超真顔のアッシュがルークを抱き寄せた。嬉しそうなルークが引っ付く。
「ちょ・・・正気? 自分のレプリカに! 変態じゃないの?」
呆れたように吐き捨てるシンクに、アッシュが言い返す。
「うるせえ! 真実の愛も知らない童貞野郎が生意気抜かすんじゃねぇ!」
低俗な口喧嘩が勃発しそうになったとき、ルークの呟きが聞こえた。
「・・・シンクって、童貞なの?」
「・・・・・・・・・」
微妙な雰囲気が流れる。(ちなみに一番ダメージを食らったのは最後尾に居たガイだった)

「うっ、煩いな!ほっとけよ!(ゴホン)・・・・・・そんな化け物みたいな力を使われちゃ、ユリアの加護を受けたヴァンにも荷が重くなる。ここで大人しく鍵を渡してヴァンの下に降るかさっさとくたばるか選んでよ」
無理やり話を戻そうとするシンクに、ルークが話しかけた。
「シンク、自分は空っぽだから、自分を生み出した預言と第七音素を消し去ろうとしてるんだろ?」
「ああ? 馬鹿くせぇ・・・たった2年しか生きてなくて、空っぽなんて当たり前だろう。生きるなんてなぁ、その空っぽを埋めてく事じゃねぇか」
鼻で笑ったアッシュに、ルークが(かっこいい・・・v)と寄り添った。また惚れ直したらしい。


「ならさぁ、預言も音素も無い世界で暮らしてみたら良いんじゃない?」
にっこり笑って言ったルークの言葉に、虚を突かれたシンクは眼を瞬いた。
「ハァ? 何言ってんの。そんな事、出来るわけ無いじゃない!」
呆れたように肩を竦めるシンクに、アッシュが話しかけた。
「いい考えだな、ルーク。・・・おいシンク、てめぇの腕なら傭兵とかして食ってけるだろう? 死に物狂いで働いてたら、そのうちその空っぽにもなんか詰まるんじゃねぇか?」
「そうだね! 童貞も捨てれるよ、きっと!」

最後のルークの言葉にショックを受けたシンクは脱力した。
しゃがみこんでいじいじしているシンクに、いい笑顔のアッシュとルークが近寄ってきた。
左右からシンクの肩にぽん、と手を掛けると、ルークが嬉しそうに叫んだ。
「よろしく~! ローレライ、たのむよ~!」
(我に任せておけ~! イノセンス界と言うトコに送ってやるからなぁ~)
シンクの身体は消え失せた。


「シンク、元気でやってくれると良いね」
「まあ、あいつなら大丈夫だろう」

お互いに手を回して微笑み合う赤毛たちに、同行者の我慢の限界が訪れた。
「ちょっと、シンク何処にやったのよ!」
「貴方達ばかり解ってないで、説明して頂戴!」
「あれは第二超振動ですか・・・どうやって発生させたのです」
「アッシュ・・・貴方はルークと・・・その・・・愛し合っているのでいらして?」
「ルーク・・・・・・お前はいつ童貞じゃなくなったんだぁ・・・・・・!」

ホントにどうでもいい質問もさり気なく混じっている。アッシュは呆れてそっぽを向いた。
「・・・・・・別に良いだろう、そんな事。気にすんな、先を急ぐぞ。」
『気にするわ!』という一同の心の叫びをあっさりスルーして、赤毛たちはまた手を繋いだ。
もちろん恋人繋ぎだった。

 

「あ、アッシュ。この先に師匠が居るんだけどさ、おっかしーの! 正座してるんだぜ!」
「脚が痺れている内に、後ろから蹴り入れてやろうか」
「あはは!それ、楽しそうだね!」

楽しそうな二人を、同行者はうんざりと見つめていた。ガイはすすり泣いている。
この二人、何かと言うとちゅんちゅんイチャイチャ。・・・・・・やってらんない。

「え・・・師匠って、兄さん? ということはラスボス戦!」
ハッとしたティアがやっと気付いた。うんざりしている場合ではない。


「ヤッホー! 師匠。脚、痺れてる?」
「待たせたな、ヴァン。ボコボコにしてやんぜ!」
ヴァンの脚を触りに、ルークが駆け出して行った。アッシュはヴァンに蹴りを入れる気満々だ。
前置きも無く、突然戦いが始まってしまった。
自分的にカッコいい事を語るつもりだったヴァンは、ちょっと悔しそうだ。
アッシュの蹴りを身を逸らせて避けたヴァンは、ルークの膝カックンに見事はまってすっ転んでいた。
赤毛たちは笑いながらハイタッチをかましている。
・・・見事すぎる連係プレイに、皆、言葉も無い。

「ティア!大譜歌詠ってて! 皆は手を出さなくて良いから!」

突然指名されたティアがしどろもどろに聞き返す。
「え? だ、だって私、最後の歌を知らないわ・・・」
「小さい頃、師匠が子守唄を歌ってたでしょ? あれだよ。 早く!」
「え・・・? あれなの!」
唖然としたティアがつっかえながら大譜歌を詠い出す。歌はすぐにしっかりとした旋律を取り戻した。

「ぐ・・・!」
いきなり苦しみだしたヴァンを見て、赤毛たちはにんまりと笑みを浮かべた。
「チャーンス! アッシュ、行くぜ!」
「おお、ルーク、叩きのめしてやろうぜ!」

「「インディグネイション!崩襲脚!翔破裂光閃!絞牙鳴衝斬!穿衝破!岩斬滅砕陣!烈震天衝!レイディアント・ハウル!」」

・・・どっちが出しているかもう訳が分からないすげぇコンボだ。
ヴァンは浮いているかピヨっているかで、反撃すら出来ない。
アッシュとルークは並んで手を繋ぐと、ヴァンにイイ笑顔を向けた。

「「ロスト・フォン・ドライブ×2!!」」

突き出した恋人繋ぎの手から、光が迸る。
まるで伝説のプリ○ュアのようなその神々しい姿に、人々は感動した・・・・・・と言うのは嘘だが。
一行が唖然として見守るなか、ヴァンが白目をむいて倒れた。口からローレライがちょっと出ている。

「終わったね、アッシュ!」
「ああ、めんどくせぇことはさっさと済ますに限る。さっさとローレライを解放するぞ」
「うんv」

アッシュが嫌そうにヴァンの足を持って引き摺って来た。
ルークはいそいそとローレライの剣に宝珠を嵌め込んでいる。
二人がローレライの鍵を振り上げた時、声が掛かった。
「ち、ちょっと待って! 兄さんはどうなったの!」

「・・・お前達、まだいたのか。 ヴァンは殺してねぇよ。だがこの世界は置いておけねぇだろう?せっかくだからこいつが見たがってた預言の無い世界にでも送ってやるぜ」
アッシュが面倒そうに答えると、ルークが微笑みながら一行に声をかけた。

「みんな、お疲れさま! 俺たちこれからローレライを解放するから、みんなは早くここから離れて。早くしないと崩れちゃうよ!」

 

無言になった一同から、ジェイドが進み出た。
「ルーク。あなたは本当に変わりましたね・・・ですが、どれだけ変わろうと悔いようと、あなたのしてきたことの全てが許されはしない。だからこそ生きて帰ってください。いえ・・・そう望みます」
いつの間にか立ち直ったガイが、爽やかな笑顔でルークの手を取った。
「待ってるからな。 俺はもう公爵家の使用人じゃないがおまえの心の友兼使用人でいてやってもいいんだぜ。だから、さくっと戻って来いよ。帰ってきたら、心の友に隠し事をするような根性矯正してやるよ」
アニスがルークに抱きつく。
「私、イオン様の代わりに教団を立て直したいんだ。そのためにはぁパトロンが必要でしょ ちゃんと帰ってきてね!」
ナタリアが強張った笑顔で二人に微笑みかけた。
「ルーク、アッシュ・・・。生き延びて下さい。私はもうこれ以上大切な人を失いたくありません。キムラスカを守るためではありませんわよ? あなたがあなたの人生を生きるため。わかりますわね」
泣きそうな顔のティアが、ルークの前に進み出た。
「・・・必ず帰ってきて」
「ティア・・・」
「必ず。必ずよ。待ってるから。ずっと。ずっと・・・」

困ったように笑ったルークが、ひと言答えた。


「ああ、それ無理!」


泣き笑いのまま固まった一同に、耐えられなくなったアッシュは噴き出した。
「ははっ! 何だお前達、まだ分かってなかったのか? 俺たちはお前達と旅をしてきたルークとアッシュじゃないぜ?」
「こっちの俺とアッシュの代わりに、ローレライに頼まれて解放に来たんだよ!」
顔を見合わせて笑うルークとアッシュに、震える声でナタリアが問いかけた。
「私達の知っているルークとアッシュは、どうなさいましたの?」
「ああ、ファンダムって所で、死んじゃったんだって。だから落とし穴に落ちたところで入れ替わったんだよ。」
「これが終わったら、俺たちは自分の世界に帰るからな」
「・・・だから誰も戻って来れるわけないじゃん!」

当然のように笑って告げる二人に、同行者達はもう声も出ない。
身動きも出来ない同行者たちに面倒になったアッシュは、彼らを超振動でエルドラントから放り出した。

「あ、アッシュ。寿命で死んだって言ってあげた方が良かったかな?」
「どっちだって一緒じゃねぇか? 戻ってこないことに変わりはねぇんだし」
「それもそっか!」

二人は手を取り合うと、ウェディングケーキの入刀のようにローレライの鍵を突き立てた。
ヴァンを中心に譜陣が広がってゆく。
・・・ヴァンの口からローレライがにょろ~んと出て来た。キモイ。
(ありがとうありがとう! さすがはお助けバカップル! 見事だったぞ!)
「御託はいい。さっさと俺たちを戻せ。・・・ああ、ヴァンは預言の無いどっかの世界に放りこんどいてくれ。」
(分かった、まかせろ! ・・・それと礼がしたい、何か望みがあるか?)
ちょっと考えたアッシュが首を振った。満たされた新婚カップルに必要なのはお互いだけだ。
「今んとこ、平穏に暮らしたいだけだが・・・・・・ところで、なんで俺たちの事を知ったんだ?」
(ああ、お助けバカップルの活躍を、お前達のローレライがそれはもう自慢げにあちこちで言い回っていたぞ?)

「・・・・・・そうか。じゃあ、さっさと俺たちを元のところに返せ」

アッシュの満面の笑みに、ルークが引いた。
・・・コワイ! アッシュ、魔王化してるぅ~!
「・・・・・・あの野郎・・・帰ったら覚えてろ・・・」
「アッシュ・・・せめて四分の三殺しくらいにしてあげてね?」
「ちっ、しょうがねぇな。残りの四分の一は、お前をベッドで殺すので我慢してやるよ」
「うわぁ~! お手柔らかに~!」
「冗談だ。・・・・・・お前は優しいな」
苦笑してルークの腰に手を回すと、ルークもアッシュの首に手を回してきた。
見詰め合った二人は、どちらからともなく唇を合わせる。
唇の甘さを堪能していると、遠慮がちに声が掛かった。
(あの~・・・もう送ってもいいかな?)
じろっと睨むアッシュの目付きに、ローレライが小さくなる。
「さっさとしろ」
(はいっ!)

幸せそうなルークがアッシュに微笑みかける。
「アッシュ、ちょっと疲れたね。帰ったらお茶にしようよ!」
「そうだな」

もう一度二人は口付けを交わした。
崩れ行くエルドラントから全ての人影は消えうせた。

 

(おかえり~二人とも! また見事に解決したな、我も鼻が高いぞ!)

上機嫌のローレライ1号が両手を広げて二人の帰りを祝っている。
ルークと抱き合って帰還したアッシュは、いきなり不機嫌になった。
「・・・何だ、そいつらは」
自分の家で同じ顔がぞろぞろとお茶をしていたら、そりゃ不機嫌にもなるだろう。

(ローレライ4号でーす)
(我は5号)
(6号です)

(((我を助けてくれー!)))

 

にっこり笑ったルークが、どこかからハリセンを取り出した。
「はい、アッシュv お家壊さないでくれたら、思う存分やっていいよv」
「ああ、茶でも入れて待っててくれ」

ちゅんvと軽く口付けると、アッシュはハリセンを手に振り返った。
ドスのきいた笑顔に黒いオーラが立ち昇る。

 

「・・・さて、覚悟はいいか、てめぇら」

 

 

                                                          任務☆完了!
                          

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はくしゅ
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tafuto
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作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

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