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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 
 

タルタロスに組み込んだ地核の振動を止める装置が出来上がり、いよいよ決行となったその時、シェリダンをオラクル兵が襲ってきた。
アスランが、連れていた兵でオラクルを食い止め、一行をシェリダン港に向かわせる。
ヘンケンが機転を利かせて港を襲ったオラクル兵を眠らせたので、一同でタルタロスに乗り込もうとした時、ヴァンが現れた。

行かせまいとしたヘンケン達をヴァンが切り捨てようとしたその時、アッシュの剣がヴァンの剣を食い止めた。ぎぎっと鈍い音が響き、一瞬後に双方飛び離れる。そこにリグレットの銃弾が突き刺さる。

「さっさと行け! 早くしろ!」
ヴァンを見据えたままアッシュが叫ぶ。
「アッシュ!」
叫んだルークは決意したように身を返すと、タルタロスに向かって走り出した。
追おうとするヴァンと、行かせまいとするアッシュが切り結ぶ。
そこに豪快なメテオスォームが降り注いだ。

シリウスが親指を上げ、タルタロスに乗り込むのが一瞬視界に写った。
譜術をかわそうとするが、防ぎきれずダウンするリグレット。
よろめいたヴァンの隙を見逃さずにアッシュは間を詰め絞牙鳴衝斬を放った。
「やるなアッシュ」
にやりと嗤うヴァンをアッシュは睨みつけた。

「アッシュ殿!」
駆けつけてきたアスランの声を聞き、ヴァンはリグレットを連れて身を翻し、その場から立ち去った。
「ご無事ですか、アッシュ殿」
「ああ、シリウスが譜術で援護しれてくれたからな。あいつらは上手くタルタロスを出航させた」
荒く息を吐きながら、アッシュは遠く見える艦を思いやった。
 
 

タルタロスを地核に沈めると、六神将のシンクが現れた。
シンクは強敵で、一行は全力での戦いを余儀なくされた。ようやく戦いに終わりが見え、シンクがよろめきながら膝を突くと、仮面が落ちた。その顔に一同は息を呑む。
仮面の下には、イオンと同じ顔があった。

シンクは嘲るように笑うと、イオンに話しかけた。
「僕等は導師イオンのレプリカとして作られた。なあ『イオン』」
青ざめたイオンが前に進み出た。

「皆さん、黙っていてすみませんでした。僕もレプリカなんです。本物のイオンは2年前に亡くなっているんです。 ・・・シンク、もうこんな事はやめてください」

「出来損ないの僕等は生きながらザレッホ火山の火口に投げ込まれたのさ!」
その言葉に一同は息を呑む。
よろよろと立ち上がったシンクは、地核の方に歩いていった。
 

「僕は何の為に生まれたんだ。おまえみたいに代用品ですらない。ただ肉塊として生まれただけだ
ばかばかしい。預言なんてものがなければ、ボクはこんな愚かしい生を受けずに済んだ。ボクは空っぽさ、
だが構わない。誰だってよかったんだ。預言を・・・第七音素を消し去ってくれるならな!」

 
そのまま地核に飛び込もうとしたシンクの腕を捕らえ、シリウスは一本背負いで投げ飛ばした。
胸倉を掴み、そのまま顔を殴り、怒鳴りつける。
 
「2歳児がナマ言ってんじゃねぇ! 人間の存在意義なんてモンはなあ、一生かかって探すモンなんだよ! お前を空っぽにしてんのは、おまえ自身だろうが! 美味いモン食って、楽しく遊んで、クソして寝ろ! 10年続けてまだ空っぽだなんて言いやがったらそんときゃ俺が殺してやる。
人形が嫌なら陰毛髭なんかに良いように使われてるんじゃねぇよ! わかったかクソガキ!!」
 
ボグッといい音がして、頭を殴られたシンクは動かなくなった。
 

 
「六神将のシンクは、地核に落ちて死にました。じゃあ、帰りましょうか、皆さん」
落ちていた仮面を拾い上げ、ぽいっと地核に投げ落とすと、シリウスはシンクを担ぎ上げた。
「ちょ・・・そいつをどうすんのよ! まさか連れて帰る気?」
「何を考えてるのよ、あなた」

「ああ、あんた達は使用済みのレプリカは捨てればいいと思ってるんだっけ。
・・・アニス、イオン様の前で、良くそんな事が言えるよね。散々ルークを人間もどきなんて罵って、イオン様はどんな気分だっただろうね」
「あ・・・ッ」
うつむいたイオンの哀しそうな顔を見て、アニスは真っ青になってガタガタ震えだした。
 

「ルゥは、反対するかい?」
並んで歩きながら、シリウスはルークに問いかけた。
「ううん。俺は生きてて、辛い事もあったけど楽しい事もいっぱいあったから、シンクにも生きてて欲しい。
・・・空っぽだなんて、哀しいよ」
真っ直ぐなルークの言葉に、シリウスは優しく微笑んだ。

 
譜陣を書き直し、アルビオールは空へと舞い戻っていった。
 


シェリダンに着くとアッシュとアスランが待っていた。住民や守りに着いた兵に重軽傷者はいるが、幸いな事に命を落とした者はいなかった。ティアやナタリアに住民の回復を任せる。

「どうしたんだ、それは」
シリウスに担がれたシンクをアッシュは怪訝そうに眺めた。
「ああ、2歳児の癖に生意気なこと言ってたから、ぶん殴って連れてきた」
「・・・お前、時々ワイルドだよな・・・」
呆れるアッシュに、にぱっとルークが笑いかけた。
「えぇー、すげぇかっこいいじゃん!」
「・・・・・・お前の能天気はいつもだな」


 
シェリダンの宿は負傷者が使っているため、数名の兵を守りに残し一行はベルケンドに移動した。
シリウス達が別荘に移動しようとすると、同行者が着いてきた。
アスランがにっこりと笑って一行を制止する。
「あなた達は宿でゆっくり休んでください」

不満を口々に述べる同行者の仲から、イオンが進み出た。
「シンクが心配なんです。僕も行っていいでしょうか」
イオンの真剣な表情に、シリウスは笑って頷く。
「イオン様が行くならあたしも!」
「アニスはこないで下さい。僕ならシリウス達が守ってくれるので大丈夫ですから」
近寄るアニスを振り返りもせず拒絶するイオンに、アニスの足が止まる。
同行者をそこに残し、シリウス達は別荘へと向かっていった。
 


 
「何で僕を助けたのさ」
ベッドに寝かせ回復術をかけると、やがてシンクの目が開いた。覗き込むシリウスを睨みつける。
「何となく。捻くれたガキになんか美味いもんでも食わせたくなった」
「あんた、馬鹿じゃないの?」
「子供を育てるのは大人の役目だよ。楽しい事、幸せな事、やっちゃいけない事教えるのもね」
シンクの頭のこぶをそっと撫でる。

そこに控えめなノックの音が響き、おずおずとイオンが入ってきた。
「何。失敗作を哀れみにでも来たの?」
俯いていたイオンは、意を決した様に真っ直ぐシンクを見据えた。
「シンク・・・僕はあなたがずっと羨ましかったんです。導師イオンの代わりじゃない、シンクという名のあなたが」
瞠目するシンクに決意したような表情で続ける。
「あなたが空っぽというなら、僕はただの身代わり人形です。シンク・・・一緒に探しませんか? 楽しい事、生きてて良かったと思えるような事」
「・・・・・・・・・」

「さぁて、じゃあ俺は飛び切り美味しい物でも作ってこようかな」
微笑んでぽんぽんとやさしく二人の頭を叩きながら、シリウスは出て行った。

「あんたも出て行きなよ。あいつに殴られた頭がガンガンするんだから! しばらく寝る。・・・飛び切り美味しい物とやらが出来たら、起こしに来てよね」
「シンク・・・! はい、おやすみなさい」
布団を被ってしまったシンクを泣き笑いで見ながら、イオンはそっと部屋を後にした。


 
キッチンではシリウスが楽しそうに料理をしている。
ルークが手伝い(という名の邪魔)をし、アッシュがそんなルークをフォローしている。

「あいつ、むかつかねぇか? 人のこと燃え滓呼ばわりしやがって」
「あー・・・ツンデレには、慣れてるからね。可愛いもんじゃないか」
「・・・なんか含みがねぇか? その言い方」
「アッシュ、ツンデレって何?」
「聞くな!」

 
やがて膨大なご馳走が出来上がり、兵士を含めた全員が舌鼓を打った。
運悪くくじに外れた見張りにもたっぷりと振舞われ、感涙を誘っていた。
イオンに引っ張ってこられたシンクも、無言で食事している。

「とても美味しいですね! シンク」
「・・・まあ、悪くないんじゃない」
「ほーらルゥ、あれがツンデレだよ」「そっか!」
「な・・・何いってんのさ!」

笑い合うシリウスとルークに怒鳴り、不意にシンクは脱力した。
「あーもう、馬鹿馬鹿しい」
「諦めろ。あいつらの能天気は筋金入りだ」
そういったアッシュを見遣ると、見慣れた眉間の皺が無い。
「随分と絆されたんじゃないの? 燃え滓」
「うるせぇ出来損ない。・・・もう諦めた。今までの自分が馬鹿馬鹿しくなるほど、居心地がいいんだよ、あいつらの側は。てめぇも今までが馬鹿馬鹿しいと思うんなら、好きな事すりゃいいだろ」
「好きな事ねぇ・・・とりあえず、人を使い捨てにしたあの髭に一泡吹かせてやりたいかな」

「シンク、協力してくれるのですか!」
「シンクー、手伝ってくれるのか。ありがとうな!」
ひしっとイオンに手を握られ、ルークに手を振られ、シンクは真っ赤になった。
「き・・・協力するなんて言ってないだろ! ・・・ああもう、わかったよ!」
 
 
 
 
翌日、今後の事を話し合うためにジェイドとティアが別荘に来た。
シンクを見て、僅かに警戒の表情を覗かせる。
「勝手な事をされては困りますね、シリウス。彼は六神将です」
「六神将のシンクは地核で死んだって言っただろう。ここに居るのは2歳児のシンちゃんだ」
「シンちゃん言うな!」

「信じるのですか、彼を。レプリカがどんな心境の変化です。あなたはレプリカを手懐けるのが随分お上手なようだ」

その言葉に激高する数名を手で制して、シリウスは静かに続けた。
「自分のために生きるのに、理由が要るのか。同じ命にレプリカも人間も無いだろう?」
「さて、私には命というものが理解できませんから」
眼鏡に手をやり、表情を隠すジェイド。

「あんたはまだ目を逸らすのかい?バルフォア。 ・・・あんたは解らないんじゃない、解りたくないだけだ」
「・・・・・・」

 

しんとしたその場の雰囲気を変えるように一つ手を叩くと、アッシュは話し始めた。
「外殻大地を降下させるには、各セフィロトツリーを回って書き換えをしなきゃなんねえ。時間短縮に別れたいとこだが、ダアト式、ユリア式二つの封印がな・・・」
「後はザレッホ火山、メジオラ高原、ロニール雪山、それにアブソーブゲートとラジエイトゲートですね」
「ダアトにあるザレッホ火山のダアト式封咒は開いている筈です」

「私が行くわ!」
ティアが名乗りを上げたが、シリウスが反対した。
「瘴気の排出は出来るようになったのか? 無理なら止めた方が良い」
「あなたには関係ないでしょ! 私はユリアの子孫として、兄さんを止めなきゃならないのよ」

ヒステリックなティアを呆れたように見ていたアッシュが口を挟んだ。
「やると言っているんなら良いんじゃないのか? 罪人の贖罪だろう?」
「何をあなた・・・失礼な人ね! 私は軍人として・・・」
「公爵邸襲撃、王位継承者誘拐、数々の不敬罪。どれをとっても極刑間違いなしじゃねぇか。モースだってそのつもりで崩落するアクゼリュスに送ったんだろう?」
「そんなはず無いわ! シュザンヌ様にはちゃんと謝りました!」
「誘拐したルークには罵倒しかしなかったんだろ。大体これだけの事しでかして、謝りゃすむと思ってるなんて、どんなお目出度い頭してんだよ。何が軍人だ。ダアトでお前の噂は聞いてるぜ。
『身分も階級も理解できないから、とても皆と一緒の職務に付けさせられない』ってな。ユリアは頭が痛いだろうぜ」
「あなた失礼だわ! 馬鹿にしないで!」
「事実しか言ってねぇだろ。止めてねぇから、好きにすりゃ良い」
 


メンバー割りは、侃々諤々の末、以下のように決まった。
ちょうどキムラスカからジョゼット・セシル小将、マルクトから贖罪のためにガイが送られてきていたので、彼らも含めて2組のグループを作った。
 
ルーク シリウス アスラン ジョゼット イオン シンク でメジオラ高原
 
アッシュ ティア ジェイド アニス ガイ ナタリア でザレッホ火山
 

戦闘バランスに難が有るが、アッシュがルークをあのメンバーと一緒にするのを嫌がったのだ。
「アッシュ・・・また自虐的なメンバーを選んだもんだね・・・」
シリウスが目頭を押さえる。
「しょうがねぇだろ! シンクが欲しいとこだが、代わりに回せるやつがいねぇ・・・そっちは前衛ばっかで平気か?」
「ああ、俺が後衛と回復をするから。みんな強いから、戦力的に問題は無いと思うよ」

「アッシュ~気をつけてな。終わったら、ケテルブルグで待ち合わせだかんな!」
ぐりぐりアッシュに懐きながらルークが言う。


ロニール雪山は魔物が強力な為、合流してから望む事になったのだ。
他に、ギンジとノエルの護衛に2名ずつ兵を選び、一行はそれぞれ飛び立った。
 

 

補足  シリウスについて

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