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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by tafuto - 2007.10.12,Fri

 

 
晩餐は和やかな雰囲気で行われた。
昔から屋敷に使える者達は、痛々しいほど頑張っていたあの小さな子供が立派に成長して帰ってきたことに喜び、傍若無人だったルークが素直な笑顔で礼を言うのに驚いた。
レプリカに対して偏見を持っていた者たちも、降下作戦を共にした騎士たちが話すルーク達のことを聞いて偏見を捨てていった。
 

二人の居室は、元のルークの部屋があった離れを改装して、対象の間取りの部屋が並んだ状態になっていた。
二つの部屋の中央には応接間があり、奥に小さなキッチンと護衛(シリウス)の為の寝室があった。
二つの部屋は応接間を介して繋がっている。
降下作戦時にクリムゾンにアッシュのことを聞いたシュザンヌが、希望を込めて改装したのだ。
役に立ってよかったわ、と嬉しそうなシュザンヌに、二人は気恥ずかしそうに部屋に足を踏み入れた。

「あ、シリウスの部屋もある」
「うん、これは俺にお茶を入れろといっているのかな?」
「茶請けも作れと言ってるに違いないよ、きっと」
ちゃっかりねだるルークの頭を苦笑したシリウスが一つ撫でた。
「ははは・・・でも君たち、どうせどっちかの部屋でくっついて寝るんだから、2つも部屋は要らなかったんじゃないの?」
「何言ってんだ!子守はうんざりだ」
「えーアッシュ一緒に寝ようよ~」
「・・・・・・時々な」
 

笑ってソファーに座り込んだルークが、不意に黙り込んだ。しゅんとして項垂れてしまう。
「・・・父上、余り嬉しそうじゃなかった。俺、ここに居ていいのかな・・・」
「まだそんな事言ってやがるのか」
シリウスが苦笑する。

「十分嬉しそうだったじゃないか。むしろ、これ以上無いって位だったよ?」
「ええ~?」
「あの方は、目と耳で語る人だからねぇ」
「目は解るが、耳ってなぁなんだよ」
アッシュも怪訝そうに口を挟んだ。

「照れてるときは、耳の先がちょっと赤くなるんだ。嬉しいときは目尻がすこーし下がる」
「すっげぇシリウス! 俺全然わかんなかった。今度じっくり見てみよっと!」
「伊達に白光騎士団副団長はしてないぜ」
 

3人で笑っている所に、ノックの音が響いた。シリウスがドアを開くと、クリムゾンがワインボトルを手に立っていた。・・・物凄く気まずい。

「ち・・・父上。はは・・・(あ、確かに耳がちょっと赤い!)」
「ど、どうぞ。(・・・聞こえてたか?あ、髪で耳を隠しやがった。)」
「う・・・うむ」
ワインボトルを一礼して受け取ると、シリウスは静かに下がりグラスの準備を始めた。(逃げたとも言う)
 
 
ソファーに腰掛け、しばし無言の時間が流れる。
シリウスが三人のグラスにワインを注ぎ、壁際に下がった。

「・・・・・・お前達と、話したいと思ってな。来てみたが、不調法で言葉も浮かばん。すまんな」
「い、いえ」
グラスを開けると、クリムゾンは何かを思い出すようにゆっくりと言葉を紡いだ。
 

「シュザンヌはな、子は無理だと言われていた。それが息子を授かり、その小さな体を抱いたとき、この世にこれほどの幸せがあるのかと思った。 ・・・それはすぐ絶望に変わった。預言でキムラスカの贄になる児だと告げられたのだ」

そっと注がれたワインを手に、続ける。
「私は怖かったのだ。・・・キムラスカを、預言を憎んでしまいそうな自分が。いつか死を命じなければならない息子に憎まれるのが。それが私の足をお前達から遠ざけた。・・・・・・無様であろう」
「父上・・・」
「謝罪は世界の為に命をかけたお前達への侮辱となろう。年寄りの懺悔とでも思ってくれれば良い。・・・長居したな。明日は二人とも城に呼ばれている。ゆっくりと休め」
そう言って席を立つクリムゾンにルークは抱きついた。
「ちちうえ・・・!」
 

自分の胸元を濡らす息子をそっと抱きしめる。近づいてきたアッシュの頭をそっと撫でる。
「ずっと、こうしたいと思っていた。・・・・・・私にはそんな資格などないと思っていたがな。大きくなったな、『ルーク』よ」
アッシュが俯く。涙が一筋流れた。
 
 
クリムゾンが退室した後には、目を赤くした赤毛たちが残された。
クリムゾンを見送ったシリウスが2人の頭をくしゃくしゃとかき回す。
「不器用な人だって言ったろ?・・・良かったね」
風呂に追いやられて、着替えさせられた赤毛たちは、その晩寄り添って眠りに着いた。
 
 
 
 
翌日、2人に登城が命ぜられた。
正装し、そろって優雅に膝を突く朱と紅の堂々とした姿に、周囲の貴族達は感嘆の溜息をついた。
インゴベルトは2人への子爵位の授与とアッシュの王位継承権の復帰を伝えたが、アッシュがそれに難色を示した。

「私は、七年間オラクルの特務師団長、六神将のアッシュとして働いてきました。それを無かった事にはしたくありません。鮮血の二つ名を付けられるほど、裏の汚れ仕事をしてきたのです。そのような者が、キムラスカの王位継承権を持つなど、あってはならない事です。他国にも、自国の民にも侮られましょう。ナタリア王女との婚約も正式に破棄させていただきたい。私は王女には相応しく有りませんので」

その言葉に、インゴベルトの脇に控えていたナタリアが思わず口を挟んだ。
「まあ、何を言いますのアッシュ。あなた以外に誰が私に相応しいと言いますの」
公式の場での無許可の発言に、周りがざわめく。インゴベルトは眉を顰めてナタリアに問うた。
「しかし、ルークはどうなのだ? 七年間婚約者であっただろう」
ナタリアはきょとんとした顔で、答えを返した。
「え・・・? ルークはレプリカではありませんか」

謁見の間にいた一同は、その言葉に硬直した。国王がルークを認め、爵位を与えたにもかかわらず、王女が侮辱するなど有り得ない。
ルークが哀しそうに目を伏せ、アッシュの目に怒りが灯った。
そこで一同は、アッシュが婚約を破棄した本当の理由に気が付いたのだった。
 
 
インゴベルト王の大きな溜息が謁見の間に響く。
そこに、クリムゾンが進み出てきた。跪礼を取り、発言を求める。そして話し始めた。
「恐れながら、陛下。聖なる焔の光はアクゼリュスで役目を終えたのです。ここにいるのはアッシュとルーシェルです。どうか、我が息子達の願いを聞き届けてやっては下さいませんか」

子息が王位継承権も婚約者の座も放棄する、という事に賛同する公爵に、貴族達は驚愕した。
「・・・そうだな。大地の降下をやり遂げ、民を救ってくれた英雄の言葉、聞かん訳にはいかんな。しかし子爵位だけは受け取ってくれんか。感謝の気持ちだ」
「解りました。お受け致します」
 
 
 
一同は謁見を終え、クリムゾンとアッシュ、ルークは帰路に着いた。
 
応接間に入ったとたん、憮然としていたアッシュが口を開いた。
「大体『ルーク』は17で死ぬと解っていたのですから、後継者くらい用意しているはずです」
「まあ、そう言うな。いるにはいるのだが、赤毛でないのだ。ちと血が遠くてな」
「父上、外に子でも居ないのですか?」
アッシュのあけすけな言葉に、クリムゾンは微妙な表情になり、ごほんと一つ咳払いをした。
 
「紅毛緑眼で子を成せるのは、わしだけだからな。王家の血を絶やしたくない輩に、それはもう沢山の女を送り込まれた・・・シュザンヌには内緒だぞ。 だがな、わしは子を贄とする様な罪深い家などわしの代で絶えてしまえばいいと思ったのだ。けして子は作らなかった」

クリムゾンは二人を見ると、珍しく微笑を浮かべた。
「ファブレの名など継いでも継がなくても良い。お前達が我が子である、それだけで良いのだ。
強制はしない。お前達のしたいようにしなさい」
アッシュは表情を和らげると、頭を下げた。
「父上・・・ありがとうございます」
 

 
 
ずっと無言で二人の会話を聞いていたルークが突然口を開いた。
「父上・・・どうやって子を作るんですか?」
 

「・・・・!」
「・・・・・・・・・」
 

固まって冷や汗を垂らすクリムゾンが、やがて言葉を搾り出した。
「あーーー・・・。それは、・・・・・・アッシュに聞きなさい」
「!っ父上! 俺に振らないで下さい!」
「兄として、しっかり教育するのだぞ。さて私は用事がっ!」

クリムゾンの撤退は素早かった。敵前逃亡とも言うかも知れない。
キムラスカの盾も、7歳児には勝てなかったようだ。
 
 
 
 
数日間ゆっくりして身体を休めていた所に、シンクとアリエッタが訪ねて来た。
ダアトでの処分が決定されたのだ。
無罪放免というわけにはいかず、二人は地位剥奪とオラクルからの追放を言い渡された。
つまりは自由になって良いという事だ。(イオンは泣いて引き止めたが。)

「あんた達のお節介が原因なんだから、面倒見てよね」
「お願いする、です」

溜息をついたアッシュはファブレ公と相談し、二人を護衛兼使用人として雇い入れた。
随分と態度のでかい使用人だったが、実力はお墨付きである。
シンクはすぐにアッシュの参謀として実力を発揮し始めたし、アリエッタのお友達は、白光騎士団に重宝された。

初め怯えていた騎士団の面々は、グリフォンやフレスベルグに乗って移動する事を(アッシュに無理やりに)叩き込まれ、その移動速度に目を見張った。なんせ、伝令の鳩より早いのだ。おまけに鷹などにやられる事もなく、直接騎士が文書を渡せその場で返事が聞ける。
『お友達通信』はすぐに無くてはならないものになった。

アリエッタ自身は、女の子が欲しかったシュザンヌに可愛がられ、恥ずかしそうに懐いていた。
 
 

 


※パパは赤毛が幸せなら何でもいいやと思ってる(笑)


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