忍者ブログ
同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by tafuto - 2007.10.09,Tue


バチカル港に着くとゴールドバーグ将軍とセシル少将の出迎えが有った。
労いの言葉と会見の承諾を伝えられ、罪人を引き渡すとシリウスはほっと胸をなでおろした。
王城の門前で、ルークに話しかける。
「ルーク様、一介の騎士である私はここより先に入る事が出来ません。ファブレ邸に戻り、公爵様へ報告をして参ります」
「え・・・行っちゃうのか?」
不安そうなルークに微笑みかけ、そっと言葉を続ける。
「大丈夫です。ここは守りも堅いし、国王陛下が会見を決められたのですから。礼を失しない様に行動し、堂々としていれば良いのですよ」
表情を引き締めたシリウスは跪き、一分の隙も無い見事な騎士の礼を取って一行を見送った。
 

 
「顔を上げよシリウス、ご苦労だった。ルークを無事に連れ戻してくれた事、礼を言う」
「勿体無いお言葉です、クリムゾン様。後ほど報告書を提出いたします」
「うむ」
「騎士団の処分の方は、どうなされたでしょうか」
「まだ決めておらん。ルークは無事戻ったが、メイドはともかく護衛騎士が眠り込んで処分無しと言うわけにはいかんからな」
「あの襲撃犯が使ったのはユリアの譜歌だと思われます。普通の騎士程度では抗えないでしょう。・・・今回の事は、騎士団の教育担当である私の責任です。白光騎士団副団長を解任して下さい」
「お前に抜けられるのは正直痛いのだが・・・」
「団長や、せっかく育てた騎士がごっそり居なくなるよりはましかと思われます。それに、お願いがあるのです。私をルーク様の護衛兼教育係とさせて頂けないでしょうか。あの方には、導く者が必要です」

その言葉に瞠目したクリムゾンは、じっとシリウスを見つめた後、ひどく辛そうに眉を寄せシリウスに背を向けた。
「この時をもって、シリウス・ブレイズを白光騎士団副団長より解任する。
騎士団を解任した者を私が教育係に任命するわけにはいかん。 ・・・しかしルークが自分で護衛として雇う分には問題ないだろう。 ・・・・・・息子を、頼む・・・」
シリウスはその言葉に深く礼をすると、静かに部屋を後にした。
 
 

無事大役も果たし、イオン達をつれて屋敷に戻ったルークが見たものは、私服姿で荷物を纏め、門前に立つシリウスの姿だった。
「どうしたんだよ、そんなカッコで」
「今回の騒動で白光騎士団をクビになりましたので」
「な・・・! 何でそんな事になってんだよ!! 俺、父上に言ってくる!」
「ルーク様」

駆け出そうとしたルークをシリウスは引き止めた。
「今の私は一介の傭兵です。ルーク様はご自分の護衛をお雇いになる気は御座いませんか?」
はっとしてシリウスの目を見詰めたルークは破顔しながら勢い込んで言った。
「や・・・雇う雇う!」
「私は高いですよ」
「どうせ小遣いの使い道なんて無ぇんだから、かまわねぇ! ・・・やった!」
飛び付いて来たルークを宥めて立たせると、シリウスは静かに跪き頭を垂れる。

「今この時より、傭兵シリウス・ブレイズはあなたに御仕えする。私の全てをもってあなたの命と立場をお守りすることをここに誓う。主が解約を望まぬ限り、私はあなたのものだ」

剣をかしゃんと一度鳴らし、ルークの服の裾に口付ける。騎士の礼とも違うその優雅な所作に回りの者は息を呑んだ。
真っ赤になって言葉も無く立ち尽くすルークに、同じく赤くなりながら門前の白光騎士が話しかけた。
「あの・・・とりあえず屋敷にお入りになりませんか・・・」
 

 
翌日、王城に呼ばれたルークは驚くべき話を持ってきた。
親善大使になって、アクゼリュスに赴くという事だ。しかもメンバーは数人のみで、モースの命により襲撃犯が同行している。襲撃に加担したと疑われていたヴァン謡将もメンバーに入っている。
疑問を投げかけたルークに預言に詠まれていたから、だけで済ませたという。

話を聞くとシリウスは頭を抱えた。
「なんですかそれは。国王も貴族達もなにを考えているのか。こんな少人数で行って何をしろと言うのか。いやこちらはあくまで親善大使なのだから救助はマルクトが行うのだろう。しかし外交初心者のルーク様が選ばれるのは不可解だ。預言預言と胡散臭すぎる ・・・ヴァン殿と襲撃犯も何故無罪放免なんだ」
「師匠は巻き込まれただけで関係無いじゃん! それに師匠は無事にやり遂げて英雄になったら、外に出られるって言ってた。私とダアトに来いって」
「!!(亡命を勧めたのか!?)・・・そうですね。まずは王命の親善大使を見事やり遂げて、その後で考えることにしましょう」

アクゼリュスへの親善こそが最大の危機であるとこの時まだシリウスは気が付いていなかった。
 
 

翌日集まった一行に、過激派が危険な為自分が囮として船で行くとヴァンは言った。
冷ややかにそれを聞いていたシリウスはにっこりと笑って言った。
「ヴァン謡将、いったい誰が過激派を操っているんでしょうね、困ったものです。幸い今バチカルにはオラクルの導師と大詠師と主席総長がおられるのだから、ちょっとその、おいたなさってる方たちに止めろと言ってはくれませんか?」

少したじろいだヴァンは、気を取り直したようにルークに向かう。
「・・・かならず処罰すると約束しよう。だが今は危険だから、陸路を行ってくれ、ルーク」
「わかったよ、師匠」

ヴァンが去って行き、こちらも進もうとした矢先に、アニスの声が響いた。
朝起きたら導師が居なくなっていた。バチカル入り口には六神将がいて出られないから、同行してついでにイオンを探してくれと言う言葉に殴りつけたくなる衝動を堪える。
「モース殿に指示を仰ぎなさい。大詠師に言われれば六神将も引き上げるでしょう」
「そんなヒマありませんてば~、連れて行ってくださいよ~」
そこにティアやガイが口を挟む。
「イオン様に何かあったら、和平が壊れる可能性も無いわけではないわ。探しましょう」
「バチカル廃工場に、外に抜ける道があったはずだぜ」
ジェイドはまるで他人事のようにルークに問いかける。
「まあ、アニスの同行を許可するかどうかは、親善大使様がお決めになればいいんじゃないですか?ねえ、ルーク様。それでは、排工場に向かいましょうか」
「わあったよ! 勝手にしろ!」

混乱したルークは不機嫌に叫ぶ。
身分や立場を理解していない同行者の、あまりに非常識な発言の数々に呆れ返りながら、そっと溜息をついてシリウスはルークの後を追った。
廃工場でもまたひと悶着起きる。ルークの婚約者であるナタリア殿下が王命に背き後を追ってきたのだ。ルークが遠くにひっぱって行き会話しているナタリアの唇を読んで、シリウスは驚いた。

「(連れて行ってくれなければ、ヴァン謡将との事ばらしますわよ。ダアトに行っても、約束を思い出してくだされば私は良いのです)」

結局ナタリアも同行することになった。私を王女とは思わないで下さいませ! と宣言するナタリアにシリウスはもう止める気にもなれなかった。
 

廃工場を抜けた所で、六神将に連れられたイオンを発見した。雨にぬれるイオンを見たルークは激高して切りかかっていく。その後を追い、反撃された刃を受け止めたシリウスは驚愕する。
緋色の髪と深緑の瞳。その顔はルークと瓜二つだった。ルークも呆然と立ちすくむ。
憎しみと悲しみが綯交ぜになった視線がルークを射抜く。
「導師を返して欲しかったら、ザオ遺跡に来い」
彼が身を翻し、イオンを連れて去っていくまで、ルークは動く事が出来なかった。
「ルークにそっくり・・・」
「あれが六神将、鮮血のアッシュですか・・・」
眼鏡を押さえながら呟くジェイドの声が、小さく響いた。
 

PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
はくしゅ
気に入って下さいましたら、 ぜひぽちっとな
プロフィール
HN:
tafuto
性別:
女性
自己紹介:
作品は全部書き上げてからUPするので、連載が終わると次の更新まで間が空きます。

当家のPCとセキュリティ
Windows Vista  IE8
Norton Internet Security 2009
GENOウィルス対策↓
Adobe Reader 9.4.4
Adobe Flash Player WIN 10,3,181,14
メールフォーム
カウンター
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]