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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2007.10.13,Sat

 
 
-アッシュ-

 
いきなりぶん殴られたような衝撃があった。

俺は目の前の自分とそっくりな存在を見て、混乱した。
言うならば、いきなり自分が死ぬまでの記憶が押し寄せてきた感じだ。
振り返れば、昨日までの辛い監禁生活の記憶もちゃんとある。
記憶は徐々に整理され、すとん、と心の中に落ち着いた。

ああ、此処に居るのは自分の半身だ。また会えた。

感激のあまり黙り込んだ俺を、ヴァンは混乱している所為だと思い込み、これがお前の全てを奪うのだ、とか言っているが、はっきり言って聞いちゃいなかった。
ふらふらと前に進みレプリカの髪にふれる。
 
「これは『ルーク』・・・」
 
ローレライ、てめぇもたまには役に立つな。世界よどんと来い! 運命なんてなんのその。
預言? こてんぱんにしてやんぜ!
まだ自我の無いはずのレプリカの眼が、確かに俺を捉える。あー、と唇が動いた。
お前も戻ってきたのか?
 
「俺は今日から『アッシュ』だ」
 
満足そうなヴァンの顔なんぞ一瞥もせず、俺は最愛の半身の顔を見つめ続けた。
暫く見納めだからな。 ・・・待ってろよ、ルゥ!
 
 
 


 
-シリウス-

 
突然衝撃が襲った。精神じゃない、肉体のだ。俺は譜業砲の爆発に吹っ飛ばされた。

受身を取り、勝手に身体が動いて敵を倒している間、俺は混乱した記憶の整理に勤めた。
OK.理解した。『思い出した』よ。 ・・・だがな。
いきなりこんな所まで遡る事無いだろう? ゴルァ、聞いてんのか、ローレライ!
 

これは親父が死ぬことになった戦い。振り向くと、遠くに血まみれで倒れているのが見える。
さっきの譜業砲にやられたか。

アタマを殺られて味方が浮き足立つ。
敵方の傭兵部隊も自分の味方に攻撃されて混乱している。
ネクロマンサー、やってくれたな。いくら未来であんたが改心しても、今のてめぇは屑だよ。
自分とこの傭兵ごと、俺達を殲滅しようとしたあんたはな。

「てめぇら!西の森へ引け! 今からでかい花火打ち上げてやるから、そしたら掃討に移れ!」
味方にフェアリーサークルをかけ、指示を怒鳴る。ついでに向こうの傭兵にも。
「お前ら、死にたくなかったら東の山沿いに後退しろ! ネクロマンサーはお前らごと殺る気だぞ!」
敵味方の傭兵部隊が散っていく中、俺は真っ直ぐに敵本陣に突っ込んでいった。

悪いな、ジェイド。潰してやるよ。
双剣を閃かせ、譜術を交わして敵影の最も濃いところにたどり着く。

「ビックバン! ついでにメテオスォーム!!」

景気良くぶちかます。ちょっとふらつくが、かまやしない。俺は怒ってるんだよ。
たった二発で、敵のほとんどが戦闘不能になった。怒りに燃えた傭兵達が残った敵の掃討に移った。ジェイドが残った数名の兵と戦場を後退していく。
ネクロマンサー、あんたを此処で殺っちまう訳にゃいかないんで、逃がしてやるよ。
せいぜい反省して、顔洗って出直すんだな。俺はてめぇが大嫌いなんだよ。

さすがに疲れて座り込む俺に、味方が近寄ってくる。
「シリー・・・親父さんが・・・」
「知ってる」
俯いて黙り込む俺に、何を思ったか膝を突いた。
「今日からお前が俺たちの頭だ。 ・・・おまえが『冥王』だ」
顔を上げると、みんなが膝を突いている。
ああ、この戦いで俺は『冥王』になったのか。
 

 
向こうについてた傭兵部隊の頭が挨拶に来た。
「契約違反で精々ふんだくってやれ。ネクロマンサーがいる限り、マルクトにゃ付かない方がいいぜ」
そうするよ、と頭は笑って帰っていった。俺を『冥王』と呼んで。
とりあえずキムラスカ正規軍に報告に行った。 あ、アルマンダイン殿だ、若いなぁ。

「フェンリルは死んだ。俺が次の頭だ。シリウスという。以後、お見知り置きを。マルクト正規軍は壊滅させた、契約は此処までだったな」
アルマンダイン殿は俺があんまり若いんで不審そうだったが、副長に俺の二つ名を言われて驚いている。
そりゃそうだよな、今15、6だもんな。
礼を弾んでもらって、部隊に休暇を出した。確か半年位戦闘は無かったはずだ。

 
さて、これからどうするか。
 
 

 

 
-ルゥ-

 
水槽の液体がごぼりと抜けて、引っ張り出された。
部屋に連れて行かれて寝かされる。ああ、俺は今生まれたばかりなんだ。
身体がうまく動かせない。ドアを開けて誰か入ってきた。
紅が見えた。


アッシュが俺を見て目を見開いた。
なあ、おまえもちゃんと『戻って』来たか?

近づいてきたアッシュが俺にそっと触れる。眼と眼が合う。

「俺は今日からアッシュだ」

相変わらずの仏頂面だけど、耳赤いよ、アッシュ。
アッシュ、大好きだよアッシュ!
また会えるの、楽しみにしてるよ。


 
コーラル城に置き去りにされた俺を、白光騎士とヴァン師匠が迎えに来た。
そっと抱かれて屋敷に連れて行かれた。(俺はほとんど寝てたけどな)
母上が泣いて、父上が苦しそうな顔をした。
父上、苦しまないで。今なら父上の気持ちが分かる。 ・・・こんどは幸せになろうよ。

その晩、ローレライがやって来た。
うん、分かってる。しばらく眠るんだよね。
早くシリウスやアッシュの顔が見たいな。次に眼を開けたら、会えるかな。
 
 

・・・おやすみ、またね。
 
 

 

 

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