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同人二次創作サイト(文章メイン) サイト主 tafuto
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by tafuto - 2008.02.29,Fri


IF 記憶喪失アッシュ

誘拐された直後に、レプリカ情報を抜かれた副作用で記憶喪失になってしまったアッシュ。
孤児としてヴァンに引き取られ、働きながら育ったアッシュは凄い常識人。ほとんど別人。
キムラスカのしがらみが無いからルークを憎んでいない。むしろ家族に出会えたみたいで嬉しい。
ルークは最後まで大使。出会った時からアッシュと仲が良い。仲良し兄弟。カップリング無し。
同行者には厳しいが、ほとんど空気。人死に無し。
ピオニー、シンク、アリエッタ贔屓。ヴァンと六神将は途中から全員仲間。ディスト大活躍(だが影は薄い)イオンもこっち側。
キムラスカには厳し目(シュザンヌ、クリムゾン含む)

詳しいあらすじ兼設定を見たい方は ネタ語りをご覧下さい。
ほとんど別人と化した常識人アッシュでもOKな方、仲良し兄弟を求めていらっしゃる方、どうぞ。

 

 

『向かい風に胸を張れ』

 

「てめぇ、この屑! 乗員には傷をつけるなってあれほど言ったじゃねぇか!」
高そうな服を着た奴に剣を向けた兵士を、俺は鞘で殴り飛ばした。
ついでに一発蹴り飛ばしてから振り返る。
「すまなかったな。命令が徹底していな・・・・・・」
俺はポカンと口を開けた。1m先で俺と同じ顔がやはりポカンと口を開けて固まっている。
端から見たら鏡に写した馬鹿面だ。思わず問いかける。

「何でお前、俺と同じ顔してんだ? ・・・・・・もしかして俺の双子の兄弟か!」
「えっ、ええっ? 知らなかった、母上いつの間に俺の双子の兄弟産んだんだろう!」
「・・・・・・」 

そいつの阿呆な言葉に思わずツッコミかけた俺は、はっと我に返った。
いかん、漫才してる場合じゃねぇ。
とっととこの混乱を収めないと、ダアトとマルクトで戦争だ。
しかしこいつキムラスカ人に見えるが。それも王族の色合いをしてるな。
まあ俺みたいな奴もいるから、色はあてにならねぇのかも知れんが。一応聞いて見るか。
「俺は神託の盾の六神将、アッシュと言う。おまえはキムラスカ人か。・・・名は?」
「俺はルーク・フォン・ファブレ」

・・・っ! バリバリの王族じゃねぇか! 何でマルクトの陸艦なんぞに乗ってやがる。
俺は膝を付いて礼を取った。
「失礼致しました。私達はマルクトに誘拐された導師救出の任に当たっております。何故ルーク様はこのような所においでなのですか」
「い、いいから立てよ! 俺にもわかんねぇ。屋敷を襲撃されて、気が付いたら山ん中にいた。馬車に乗ったらエンゲーブに着いちゃって、イヤミな眼鏡にここに連れて来られた。」

ハァ? 訳がわからねぇ。マルクトはダアトとキムラスカに戦争でも仕掛けるつもりか。
憮然としたように唇を尖らせたそいつは、さらに爆弾発言をかましてくれた。
「あ、イオンはマルクトとキムラスカの和平の為に自分で付いて来たって言ってたぞ?」
何だと! 一体何処で話が食い違ったんだ! モースの阿呆野郎、確認くらいしやがれ!
内心の罵倒を押し隠して、俺は兵どもに叫んだ。乗員を殲滅しろなんて命令に従わなくて本当によかった。危なく戦争になるところだった。


「皆、剣を納めろ! 導師は誘拐されたのでは無い! 伝令をまわして一旦撤収せよ!」
俺と同じく驚愕した兵士があたふたと散っていく中、艦橋からマルクト兵が出て来た。
俺とルーク・フォン・ファブレの顔を見比べていやがる。
「俺は六神将のアッシュだ。大詠師モースより、マルクトに誘拐された導師イオン奪還の命を受けた。・・・しかし話に行き違いがあるようだ。兵は引かせた、詳しい説明を求める。」
「私はマルクト軍、ジェイド・カーティス大佐です。・・・まったく、いきなり襲撃するとはオラクルは乱暴ですねぇ」
「導師はダアトの頂点だ。てめぇは自分とこの皇帝が誘拐されても悠長にしてんのか?」
眼鏡のイヤミに鼻で笑って返す。

伝令が、導師はリグレットが安全な所に連れて行ったと伝えてきた。命令に不審な点があると伝えたからしばらくしたら戻ってくるだろう。
その間、何でこんな事になったのかを訊く事にする。
俺は陸艦の一室に案内された。カーティスとルーク・フォン・ファブレ、後はなぜかオラクルの制服を着た長い髪の女が付いて来ている。導師の護衛か?
眼鏡が話し出した。
「さて、私たちはキムラスカとの和平を進めるためにバチカルに向かっています。その為に導師イオンにご足労願ったというわけです。和平の為ならと導師が快く協力してくれましたのでねぇ」
眼鏡のふざけた言い草に、眉間に皺が寄る。
「通常このような重大な事は、教団の審議会にかけてから決められる。手順は守っていただきたい」
「何度要請しても、モース殿に一蹴されてしまいましたからねぇ」


のらりくらりとはぐらかされていた所に導師イオンが戻ってきた。今にも銃をぶっ放しそうなリグレットを何とか宥めて外に追い出し(こいつがいると話が進まねぇ!)導師に確認を取る。
「それでは導師イオン、貴方は和平に協力する為に自主的にダアトを出たのですね?」
「はい・・・心配かけてすみませんでした」
「心配どころではない。今回の事は一歩間違ったら戦争になっていたのですよ。御自分の行動に責任を持って頂きたい。・・・せめてトリトハイム師には知らせるべきでしたね」
「はい・・・すみません」

「ちょっと貴方、導師は和平の為に力を尽くしているのに、言いすぎだわ!」
項垂れる導師の横から、長い髪の女がしゃしゃり出てきた。
「・・・・・・おまえは導師の護衛か? 俺がいつ発言を許した。名と階級を言え」
とたんに女が口ごもる。
「わ、私は大詠師モースの配下、神託の盾騎士団情報部所属、ティア・グランツ響長」
「何で情報部がこんなとこにいる。大詠師モースは知ってて襲撃を命じたのか?」
「ち・・・違うわ! モース様は知らないことよ! 私は・・・」
俺はしどろもどろになる女に冷たい視線を向けた。こいつ、上官への口のきき方も知らないのか。

「ああ、こいつはファブレ邸を襲撃してきたんだよ。んで、俺と一緒に飛ばされちまったんだ。その前からイオンは行方不明だったって師匠が言ってたから、イオンのことは関係ないんじゃねぇ?」
「ルーク! あなたはちょっと黙ってて!」

俺は唖然とした。というか今自分の耳が聞いた事を信じたくなくて一瞬現実逃避に陥りかけた。
この女・・・ダアトの制服を着てファブレ家を襲撃、子息を連れ出して反省の色も無く王族を呼び捨て命令するとは。今度はダアトはキムラスカと戦争になりかねない。
下手したら三つ巴の大戦争だ。・・・こいつらホントにそのことが分かってんのか!
俺は目配せで背後の部下に女を捕らえるよう指示を出した。
話を聞いて青褪めていた部下がすぐさま女を捕らえる。ギャアギャア煩いから猿轡をかませた。


俺は一同に向き直る。
「カーティス大佐、マルクトはこの事を御存知だったのか?」
「・・・いえ、知りませんでした」
「確認するべきだったな。・・・・・・導師イオンはご存知だったのですか?」
「いえ・・・知りませんでした。・・・アッシュ、ティアは僕を助けてくれたんです、どうか・・・」
縋るような導師の視線を感じるが、許せる事と許せない事がある。
「導師イオン、貴方はこれからキムラスカに和平に向かうのでしょう? この女を許せばダアトがマルクトと組んでキムラスカに戦争を仕掛けたと思われてもおかしくないのですよ。一人の罪人の命と世界に戦争が引き起こされる事のどちらが重要か、よく考えていただきたい」
その言葉に導師は項垂れ、女は青褪めて大人しくなった。・・・気付いてなかったのか。

俺はルーク・フォン・ファブレに跪き、頭を垂れる。
「ルーク様、ダアトの兵によるご無礼、心よりお詫びいたします。この女は軍法会議にかけキムラスカに引き渡しますゆえ、なにとぞご容赦ください」
「い、良いよ。俺は無事だったんだし! いいから顔上げろよ!」
立ち上がった俺に、眼鏡が話しかけて来た。・・・そういやこいつ、導師や王族に一度も礼を取らないな。
「それでは貴方は、導師イオンが和平に向かう事を認めるというのでしょうか?」
「当然だろう? 導師は教団の最高位だ。上司が決めた事に、何故部下である俺が口を出せるんだ」

俯いていた導師が少しホッとしたように微笑んだ。
「ありがとうございます、アッシュ」
「いえ、これからはこんな無茶はお控えください。・・・導師守護役はどうしたのです?」
「リグレットと争っている時に甲板から落ちてしまって・・・でもきっと無事でいると思います」
ちょっと待て。・・・それは守護役が一人しかいなかった、そして今はその一人もいないって事か。
「・・・・・・せめて外出される時は守護役を3人はお連れ下さい。一人で護衛するのは無理です。部下を何名かお貸ししましょう」

あ~あ、アタマ痛てぇな。と思いつつ一礼して席を立とうとした俺に眼鏡が話しかけて来た。
「貴方はルークとそっくりですが、何か関わりが有るのですか?」
「あっ、俺もきこうと思ってた!」
ルーク殿もやたらキラキラした眼で見上げてくる。・・・そんなの俺が聞きたいくらいだぜ。
「さあな・・・俺は孤児で、拾われたダアトで育った。親の顔も知らん。何か関わりがあるとしても俺に確かめる術はないし、別に知りたいとも思わねぇ」
・・・最後のはちょっとした強がりだ。俺だって親の顔くらい見てみたい。まあ、見たって覚えてねぇけどな。

めんどくせぇ事になりそうだなと思いながら俺は部屋を後にした。

 

 

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